ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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夢と欲望、そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!


子供と夢

 

 俺が前に通っていた学校は最悪だった。

 

 所謂自称進学校。

 地方の私立で偏差値はそれなりに高い。

 だが、生徒の素行がとにかく悪かった。

 いじめにパパ活にカンニングに万引きに暴走族…枚挙に暇は無い。

 しかもタチが悪いことに、隠れてやるのが滅茶苦茶上手く、大半の教師は気付かなかった。

 気づいた教師も関わりたくないから無視し、大した証拠が無いと我関せずの態度。全く、進学校が聞いて呆れる。

 まあ、俺もその非行生徒共と関わる事であの学校が最低だと気付いたんだが。

 頭はいいがソレを自覚して調子に乗っているガキの巣窟。

 ソレが俺の通ってた世紀末みたいな学園だ。

 結論を言う。

 

 子供がキレイな存在って思ってるのは大人の幻想だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近多発している不可解な子供攫いねぇ…」

 

 宿題をやり終えた午後。

 とあるアプリで海外の記事に目を通す。

 勿論日本語なわけないので日本語訳しながら。

 しかも英語圏だけじゃないから色んな翻訳サイト活用しなくちゃいけない。

 本音を言えば面倒だが、怪獣情報アプリが反応したという事は原作絡みの可能性がある。無視は出来ない。

 

 怪獣は全世界に現れる。

 原作では日本によく出ていたが、現実ではそうはいかない。

 というか、あんな巨体が日本の町だけで暴れられたら日本が潰れるわ。

 で、怪獣や宇宙人が海外に出てもすぐ駆け付けられるように怪獣情報アプリを開発した。

 

 怪獣情報アプリ。

 前世で学んだプログラミング技術を使って俺が開発したアプリ。

 当時の俺は挫折して中途半端に終わったが。

 とまあ、このアプリで俺は全国の怪獣の情報を集めている。

 SNSや海外の電子掲示板などを通して怪獣の目撃情報や出現を収集し、俺に知らせるという仕組みだ。

 で、今回は子供誘拐事件がヒットしたのだが…。

 

「…ああ、そういうことか」

 

 記事を日本語訳していると気になるワードを見つけた。

 魔女と悪魔、そして時期外れのハロウィン。

 コレが該当する怪獣は奴しかないない。

 

「アイツの出現はまだ早くないか?設定ミスだろ」

 

 そう思ったが全て原作通りというわけはないのは既に体験している。

 この世界の時代設定とか全然違うし、そもそもガッツ自体影すらない。

 なら、怪獣の登場時系列が違うくらい誤差だろう。

 

「じゃ、行くか」

 

 学校や仕事を気にせず外出出来る。

 これも引きこもりの強みだな。

 

 ブラックスパークレンスを掲げる。

 中央部が展開されて中の結晶体が黒い光を放ち、俺は光となって光速で目的地に飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 北欧のとある寒村。

 何処からかオルゴールの音色が不気味になる真夜中。

 巨大なカボチャを模した建物に子供たちが集まっていた。

 子供たちは皆揃って目に精気が無い。

 まるで操られているかのようにフラフラとカボチャの家に入っていく。

 

「ヒッヒッヒ。子供たちよ、今日もたっぷり夢を置いていくんじゃぞ」

 

 ソレを眺めるのは魔女のような恰好をした老婆。

 いや、絵本で登場する魔女そのものだった。

 

 異次元人ギランボ。

 毎年ハロウィンの夜に世界のどこかに出現する生命体

 強力な磁場で空間を歪めることで次元を移動することができる。

 

 ギランボの目的は子どもの夢。

 魔女に扮して催眠を掛ける飴を配り、それを食べた子供達をオルゴールの音色で巨大なカボチャ型の次元移動船に連れ去ろうとしている。

 連れ去った子供たちは食料。夢を喰われた子供たちは廃人化し、夢の墓場という公園のような場所に捨てられる。

 では、何故子供ばかり狙うのか。

 本人曰く、大人の夢は『欲望』であって腐って食えるものではないらしい。

 だからかギランボは欲望の臭いに敏感である。

 特に、闇の気配がするものには。

 

「何だアイツ?」

 

 一人だけ妙な奴がいた。

 高校生ぐらいのアジア人の子供だ。

 

「お前は大きくなり過ぎだ」

 

 ギランボが好む純粋な夢を持つ子供は小学生ぐらいまで。

 中学生ぐらいから欲望が混じり出してマズくなる。

 いや、最近は小学生でも欲望が混じるようになった。

 世知辛く汚い世の中になったものだ。

 

「(大方、子供にやった飴を食ったんだろう)」

 

 実際、配った飴を大人にやられたり横取りされたり間違って食べられることは何度もあった。

 今回もソレだろうと結論付け、その高校生に近付く。

 その瞬間だった。

 

「ッ!!?」

 

 銀閃が走る。

 ギランボの首筋に。

 しかしソレがギランボの頸動脈を掻っ切ることはなかった。

 

「………は?」

 

 突然のことに反応が遅れるギランボ。

 どういうことだ、何故この子供は動ける。

 飴で催眠状態になったのではないのか。

 そう考えているうちに少年は敵から距離を取った。

 

「ッチ、やっぱ人間と同じにはいかないか」

 

 少年―――鞠川圭吾は折れたナイフを捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様…やはり催眠に掛かってないな!どうやってこの場所を知った!?」

「さあな。当ててみな」

 

 ギランボは傷を再生させながら言う。

 頸動脈目掛けて振るったナイフ。

 人間なら多量出血で死ぬ、というのに浅い傷しか刻めなかった。

 流石は魔女といったところか。

 

「貴様…大人になりかけているな。汚い欲望の臭いがプンプンする」

「欲望?そんなの夢を耳障りの言い様に言い換えた物だろ?」

「フン、何も分かっておらん大人の言い分じゃな。いいか、子供の夢は純粋なんじゃよ」

「ッハ!それこそ大人の幻想だろ。純粋だから何だ?糞が純粋でも糞は糞だろ」

 

 ソレを聞いた俺は鼻で笑い飛ばした。

 子供が純粋だの、子供の夢はキレイだの、そんなのは大人の幻想だ。

 

 純粋だから何だ?

 ただ物を知らないだけだろ。

 本当に純粋が善なら、たとえ汚い悪とやらを知っても染まらず拒絶出来る。

 染まったらソレは汚い悪がソイツに相応しいだけだ。

 

 ガキなんざ所詮は我欲に塗れた残酷な存在。

 だから教育や躾けというものがある。

 まあ、ソレ自体が悪や間違いの時もあるが。

 

 ソレに、世の中には純粋だからこそ生まれる悪と悪意がある。

 生き物を玩具にして嬲り殺すように。

 いじめ事件がまさにそれだ。

 他者を玩具にして遊ぶ。

 実に子供らしく残酷だ。

 

 いじめもそうだ。

 本能から来るソレはむしろ子供の方が苛烈。

 前世でも今世でもどれだけ酷いものを見て来たか。

 アレを見たらいえるね、子供は決して純粋でも綺麗でも増してや善の側でもない。ただ無知なだけだと。

 子供の夢は未来を作る人類の宝。子供の夢は綺麗で大人の欲望は汚い。

 寝言は寝てから言え。

 これもただ無知なだけだ。

 最初はみんなケーキ屋さんだの正義のヒーローだの、可愛らしい夢をほざくがそう感じるのは表面上だけ。

 根本は我欲と自己顕示欲から出来ている。

 だってそうだろ、ただ楽しそうだとかカッコいいと思われたいとかでそう言った夢を見るんだろ。

 そんなの大人が金持って異性にチヤホヤされたいっていう欲望と何が違う。

 なにも違わない。

 

 大人の欲望も子供の夢に違いなどない。

 ただより具体的かつ現実的になり、細かくなっただけ。

 当然だ、なにせ子供の夢なんて大人の欲望の卵なのだから。

 けど、ソレの何がいけない。

 

 欲望とは行動の原動力だ。

 食欲や睡眠欲がなければ生きてけないし、物欲があるから色んなものを作れる。

 欲望が汚くて夢がキレイだとかほざく奴は、夢や希望を大事に思っている自分がキレイな存在だと感じながら、そういったものがない他人をバカだの醜いだの下賤だのと見下して嘲笑いたい奴らぐらいだ。

 俺から見ればそう言った奴こそ下らない存在だ。

 

「分かるか?お前はキレイな夢を食べているんじゃない。ただ選り好みしてるだけで結局は欲望を食べている。お前のいう汚い大人と何ら変わりない」

「き…貴様~~~!」

 

 おーおー、怒ってる怒ってる。

 やっぱ原作知識あると挑発も楽だな。

 まあ本心しか言ってないから考えなしで口動かしてるけど。

 

「このガキめ、お前は直接踏み潰してやる!」

 

 怒りを露わにするギランボ。

 コレで俺を無視して逃げられる心配は無くなった。

 

 ブラックスパークレンスを掲げる。

 中央部が展開されて中の結晶体が黒い光を放ち、俺を闇の巨人へと変えた。

 




主人公はひねくれたこと言ってますが、私はここまでは思ってません。
ただ、子供は人類の宝だの子供の夢は人類の未来とか聞くともやっとします。
子供がいなければ将来的に人類滅ぶのはわかってますが、それでも子供のころ思い出すと美化しすぎやしないかって思うんですよね。
なんていうか“俺や周りが子供の頃や夢ってそんな大層なもんじゃなかったぞ”って言いたくなるんですよね。
ですから人類の宝だの何だの聞いてるとむずがゆく感じました。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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