ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
そういう時代だったんでしょうね。
北欧の広大な平原。
辺り一面はほぼ何もなく星空と月明りだけが光を照らしている。
そこに二体の巨大生物が光と共に突如現れた。
口の部分が青く発光する結晶体になっており、鋭利な刃物のようになった左手。
よく見ると牛のような尻尾が生え、脚は魔女の靴のようにとがっている。
悪魔と魔女を合わせたかのような姿。
コレがギランボの本性である。
「ディア!」
ティガダークが動き出す。
通常体から敏捷体にタイプチェンジ。
劇中でギランボは素早い動きでティガを翻弄させていた。
そのことを知っている圭吾は予めスピードに特化した形態と戦法で仕掛ける。
所謂原作知識。予め相手の情報を知り、戦う前から行動出来る。
転生者の強みである。
「ッ!」
ギランボが仕掛ける。
タイプチェンジの隙を突いて。
突進して左手の刃を突き出す。
想定内。むしろ誘ってやった。
故に、ティガダークはスムーズに対処する。
「ディア!」
ティガダークは右回転しながら避け、遠心力の乗ったラリアットを叩き込む。
回避と同時に攻撃。
大したダメージは与えられなかったが、予想外の行動にギランボが動揺。
その隙を突いてティガダークは更に畳みかける。
連続蹴りを繰り出すティガダーク。
ローキック、前蹴り、上段蹴り、三日月蹴り、横蹴り、後ろ回し蹴り、飛び蹴り。
流れるかのように淀みなく繰り出される連撃の前に、ギランボは何も出来ず蹴り飛ばされた。
地面に叩きつけられ激しくリバウンド。
土や草が高く跳ね上がって汚れる。
倒れたギランボに向かうティガダーク。
助走を付けて踵押しを繰り出す。
しかし踵が当たる寸前でギランボが消えた。
瞬間移動。
この技をギランボが使える事を知っているティガダークは、特に慌てることなく次の手に移る。
再びタイプチェンジ。
今度は通常体に戻る。
瞬間、その隙を突いてギランボがティガダークの背後に現れた。
「(コイツワンパターンだな。戦い慣れてないのか?)」
頸椎狙いの一撃
ティガダークは振り返り様にしゃがんで回避。
更に、ギランボの懐に潜り込み、下腹部にフックを繰り出した。
めり込むティガダークの拳。
勢いと痛みにギランボの動きが止まる。
その隙にティガダークが次の手に移った。
突き出されたギランボの腕を掴む。
肩の上で抱えるようにして引っ張り、立ち上がりながら回転。
背中と腰でギランボを持ち上げ、地面に叩きつけた。
背負い投げ。
更に自分も倒れ込む事でその体重分威力が増し、その勢いを利用して掴んだ腕の関節を外した。
わざと脱臼させたのだ。
柔道の試合なら反則。しかし今は実戦。そんなことを気にする者は誰も無い。
勿論、ティガダークの攻撃はここで終わらない。
「(この角ちょうと良いな!ハンドル角ってか?)」
ギランボの角を掴んで立ち上がらせる。
叩き込まれる顔面右膝蹴り。
両手で角をハンドルのように乱暴に掴みながら、何度も右膝をぶち込む。
そして、最後の仕上げと言わんばかりに、掴んだ両角で投げ飛ばした。
ダメージの連続で相手は動けない。
その間に力をチャージさせ、必殺技の準備にかかる。
「ッ!?」
危機を察知したギランボが足掻く。
立ち上がりながら分身してティガダークの目を欺こうとした。
だが、彼にそんなものは通じない。
既にギランボがどう動くか把握済みである。
「デュア!」
放たれるゼペリオン光線。
分身に隠れて逃げようとしていたギランボに直撃。
瞬間、ギランボは大爆発を起こして消滅した。
分身を囮にして逃げる。
ティガダークの予想通りだ。
ギランボの絶命と同時にオーロラが現れる。
ソレはギランボが子供たちから奪っていった夢である。
そこから降り注いだ光の粒子により子供たちは夢を取り戻せたという。
ちゃんと原作通り取られたものを取り返せた。
安心したティガダークは、カボチャのアジトをチョップで割る。
コレで子供たちの救助も楽になる筈だ。
「デュア!」
夜明けと共に飛び立つティガダーク。
その姿を、その雄姿を、目覚めていた子供たちは眺めていた。
「君のレポート、なかなか面白かったぞ」
ギランボを倒した翌日の午後、担任が自宅に来ていた。
外見は冨岡さんだが決してコミュ症ではない。
むしろ夏油に近いと思う。
「確か将来の夢についての作文の筈だが、まさか子供と子供の夢の汚さについて実例を交えて書かれるとは思ってなかった」
「は、はあ。すいません、書き直します」
「いやいい。これは君の精神チェックのためのものだ。成績には入れない」
先生はそう言ってぱさっと作文を机に置く。
「見たところ君は平気そうにしているが、思想や性格に多大な影響を受けているようだ。まあ、あんな経験を連続ですればそうなっても仕方ないが」
すいません、この性格と思想は前世からです。
「確かに大人は汚い。かといって子供がキレイとは限らず、純粋で無知だからこそ残酷な真似をする。確かにそうだ。だが…」
先生は膝に肘を置いて前かがみになった。
「子供の行動の大半は大人の模倣だ。無知だから大人から学ぶ。だから大人が正しい行動と教育をすればきっと子どもたちも正しい大人になってくれる筈だ」
「………子供が悪になるのは、大人の責任だと?」
「そういうことだ。大人がしっかりと手本を見せれば、子供もそうなる。ちゃんと誇れる背中を見せればな」
「あの学校じゃ無理な話ですね」
「ああ、一人の教員として、大人として恥ずかしい話だ。だから俺からもあの事件については君に謝りたい」
この先生けっこういい人だな。
けど俺、善人ってあんまり好きじゃないんだよ。
善人を見ていると、自分がクズであるという事実を直視してしまうから。
「じゃあ、この作文は俺だけの宿題ってことですか?」
「ああそうだ。進路調査も兼ねてな」
「進路調査?」
まだ俺は高1だ。
進路調査には早くないか?
「確かに普通ならしないがお前は希望の星だ。勉強もスポーツも出来る神童様だからな。校長からもせっつかれているんだよ。どこかの部に入らないかって」
ああ、そういうことね。
「生憎俺はそんなものじゃないですよ。周りより大人になるスピードが速かっただけです。だからそのうち他の奴らも追い抜いて気が付けば俺は凡人になってます」
「随分と悲観的だな。何か夢とかないのか?」
「………夢?」
ぴくッと、俺の何かがそのワードに反応した。
ソレを察知したのか先生は少し怪訝そうに俺を見る。
「どうした? 夢の話は嫌いか」
嫌いっちゃ嫌いだな。
というか、俺はそういった話題自体嫌いだ。
夢だの未来だの愛だの恋だの。学校でもテレビでもネットでも嘯く。
テレビやネットでは毎日暗いニュースが流れ、世の中が良くなる兆しは見えてこない。なのに何でそんなキレイ事を信じられる。
なのにそういった歌や言葉ばかり電波から流れる。
まるで世間がそうでないから、何度も言い聞かせて洗脳し、呪いを掛けるかのように。
「洗脳や呪いか。押しつけがましいとか嘘くさいとかは聞いたことあるが、そこまで言う奴はなかなかいないな」
先生は少し笑いながら言った。
「確かにお前の言うことは分かる。公共の電波というのは教育の一環もあるからな。嘘でもキレイ事を押し付けようとする側面も確かにある」
「だが、それが必ずしも悪とは限らない。キレイ事による嘘が蓋になって暴走しないようなる奴もいるし、中にはお前の言う嘘を本当にしてしまう奴もいる」
「ソレによって苦しむ奴もいるが…そこは人それぞれだ。お前のように嘘くさいと切り捨てるのもアリだ。…まあ、お前はまだ学生だからそうするには早いと思うが」
・・・まあ、ありきたりな答えだな。
俺もそう思うから特に何も言う事は無い。
ただ後半は違う。確かに今世ではまだ学生だが、中身は前世ニート。もう手遅れだ。
「しかしお前程の格闘技天才児ならプロも夢じゃないと思うんだが」
「嫌ですよ。変に夢持って破れると、ずっとそのことを引きずって生きてくことになる呪われたかのようにね」
「また呪いか。悲観的だな」
「あと、夢を持てない奴は駄目だという風潮も嫌いでしたね。まるでこの流れについていけない奴は落伍者だって言われてるようで」
「今はそういう風潮ではないだろ。どちらかといえば個人主義的というか、俺のやりやすいようにやらせろって感じが強くないか?」
ソレから俺は愚痴にもならないよく分からん不平不満を吐き出していった。
私はこの主人公ほど強く言う気はないんですが、それでも歌や物語で夢だの絆だの聞いてるとたまに嘘臭く感じることがあります。
けどそれでも見ようと聞こうとするんですよね。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
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いる
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いらない
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ご自由に