ソーダリア兵士長の能力は両腕両足を鋼鉄の剣に変える力であった。だがUはソーダリア兵士長の信じる強さをへし折る勢いで彼の右腕を切断するなど格の違いを見せつけたのだった………
右手を切断されたソーダリア兵士長はしばらくして痛覚に慣れたものの、自身の右腕をへし折られるという事態は彼の中で怒りを与えるものであった。
「貴様………この俺の腕を………誇りを………良くもへし折ってくれたなああぁぁ!!」
ソーダリア兵士長は右腕をかばいながら言葉を返した。
「誇りねぇ………随分脆かったな」
Uはそう言って笑みを零しながら煽り返し、そのまま追撃の姿勢を見せる。
「き、貴様ぁぁ!!」
ソーダリア兵士長は我を忘れた様子で左腕を振り上げようとする。だが次の瞬間、2人の間に突如として巨大な火球が飛んできた。
「うわあっ!? こ、今度は何………!?」
ミディアは突然の事態に困惑する様子を見せる。すると次の瞬間、炎の向こうではソーダリア兵士長の近くに顔すら覆う大きなローブを纏った人の影が見えた。
「(増援か………これ以上人が増えたら面倒になる………)」
しかしUはこれ以上の戦闘を面倒くさがると、足音を立てずにライガの服の襟元を掴むと、そのまま真子とミディアの方へ動くと………
「いいか、1度しか言わない。僕の身体に掴まれ、飛ぶぞ」
そう言って小声で2人にそう呟いた。
「飛ぶ………?」
ミディアはUの言葉に疑問を感じたが、真子が迷わずUの身体を抱くように掴まったのを目にすると、ミディアもそれに倣ってUの身体に掴まる。
「………行くぞ、せいぜい舌噛むなよ………!!」
Uはそう言うと、火球によって上がった火の手を隠れ蓑にその場で大きく跳躍。そのまま猛スピードで空中を飛ぶ事で他の3人を連れたままその場から離脱した。
「ええええっーー!?」
当然ミディアやライガはこの事態に驚く事しか出来なかった。Uの事情を知る真子だけは冷静なままだったが、何はともあれこの事態から逃げる事には成功した。
「ま、待ちやがれ!!」
ソーダリア兵士長は無謀にもUの後を追いかけようとする。だが次の瞬間、ローブを纏った人物がソーダリア兵士長の肩を叩くと………
「待ちなさい、今は彼等を追っている場合ではない、貴方の手当が先よ」
そう言ってソーダリア兵士長のダメージの手当が先である事を冷静に伝える。
「お前は………バーニン魔法長………何故ここにいる………?」
ソーダリア兵士長は自身を制止するローブを纏った女性、バーニン魔法長に対して、何故この場にいるかを問いかける。
「心配で様子を見に来てみればあっさりと右腕を切断されているとはね………腕が鈍ったんじゃなくて?」
バーニン魔法長は、ソーダリア兵士長がUにあっさりと右腕を取られた事に苦言を呈した。
「………油断しただけだ。あんな男、次は負けん………!」
ソーダリア兵士長はUに押されたのを油断で片付けた。その一方、バーニン魔法長は溜息を漏らすと………
「そうだといいんですがね。それと彼の顔………髪の色こそ違うけどユウそっくりだった………あれはどういう事かしら?」
ソーダリア兵士長に自身の不安をぶつけ、それに加えてUが自身の知るユウに似ている理由を問いかける。
「さあな。髪色を変えればバレないという浅はかな考えだろう」
ソーダリア兵士長は、Uと彼の知るユウが別人であるとはまるで考えていなかった。
「そう………」
バーニン魔法長もこの場では軽く流したが、彼女の中ではソーダリア兵士長の右腕を軽く落とした男が只者であるとは到底考えられない様子を見せた。
「(………この男の話は素直に受け止めても良い事がない………次機会があれば自分で調べてみるべきね………)」
だがバーニン魔法長はソーダリア兵士長の話を手放しに信じておらず、自身の目で確認する必要性を感じていたのだった………
ソーダリア兵士長を助ける形で現れたバーニン魔法長。彼女もまたソーダリア兵士長に並ぶ人物でありながら、彼とは対称的に冷静さを保った人物であった。果たして、Uに興味を抱いたバーニン魔法長がUと対峙する時、彼女は何を思うのだろうか………?
To Be Continued………
次回予告
戦場からの離脱に成功し、一旦の落ち着きを感じるU達。ライガは何故自身を助けたのか疑問をぶつけるものの、Uはライガに可能性を感じた事を語るのだった………
次回「救出の理由、若い魔族への期待」