城へ潜入したU達は、ダクトの隙間からバーニンの様子を伺っていた。現状の人間軍はバーニンへ戦力が依存しており、バーニンの失脚は人間軍の勝利に相反したものである事を知らされるのだった………
それからしばらくして、バーニンは会議を終えた後に城の中の自室へと戻った。バーニンは溜息をついており、同時に腰掛けた椅子の背もたれに寄りかかっていた。その一方でU達はバーニンの部屋の上にあるダクトを通じてバーニンの部屋を覗いており、バーニンの様子を伺っていた。
「(酷く疲れてるな………まあそうか、戦力がほぼ自分に左右されるなんて責任が重すぎるわな………)」
Uはバーニンの疲弊を前に思わずその胸中を悟っていた。だがそんな中、バーニンは天井へ視線を向けると………
「………誰か見ているのですか?」
と、まるで近くに誰かいると言わんばかりの様子でそう呟く。真子は驚く様子を見せていたが、Uは冷静な様子で………
「………完全にバレた確証は無い。まだ潜伏する」
潜伏を続ける事を小声で真子に伝えた。だがバーニンは椅子から腰を上げると………
「生憎、今の私は殺されてしまうと人間軍を負けさせてしまいますからね………それは避けさせてくださいよ………」
そう言って、天井のダクトに向けて石の魔法を放つ。
「ぐっ!? (魔法でぶん殴ってきた!? 正気か!?)」
このバーニンの行動には流石のUも驚かされていた。そして何度目かの石の魔法で天井のダクトに無数の穴が開き、U達がいる地点は音を立てて地面へと落下する。
「(相変わらず疑い深い女だ………止むを得ん)」
Uも落下し始めるダクトの中で観念したのか、地面へ落下したタイミングで臨戦態勢を取り、懐に手を伸ばした。真子もUの様子を見て即座に戦闘姿勢を取ると、バーニンの前へ立った。
「………私を監視していたのはUさんでしたか。逆に安心しましたよ………」
バーニンはフッと笑うようにそう呟くと、安堵の声と共に近くの椅子へ腰掛ける。
「安心? 僕はアンタの敵だぞ?」
Uはそう言って、懐からセイバーの持ち手を取り出す。
「貴方が私を抹殺に来たのなら、抵抗するまでですが………恐らく貴方の狙いはそれじゃない。いえ、殺す選択もあったがそれ以上に様子を見る事を狙っていた………というのが正しいのでしょうね」
だがバーニンはUの狙いが自身の暗殺では無いと踏んでいた。
「考えたけど一旦保留って言うのが本音かな。今の人間軍の戦力がアンタに依存している現状はとてつもなく嫌な流れだ。人間軍が倒れようと知った事じゃないが………今ここで魔族軍に戦争を勝たれても困る」
Uはそれを遠回しに認めると、魔族軍にこのまま勝たれても困る事を口にするのだった………
バーニンの様子を見ていたU達だったが、バーニンによって発見され、一触即発の空気になりかける。しかし、バーニンは逆に安堵したのか、対話によってU達の事を伺い、そしてUもまた会話の中でバーニンの様子を伺うのであった………
To Be Continued………
次回予告
バーニンはUが未だギレスタ側の人間であると読んでいたが、今の人間軍にUをどうにかする術は無い事を認める。だがバーニン自体は、Uと敵対するのではなく手を組む形が最善である事を語り、敵であるはずの彼に条件付きの協力を申し出るのだった………
次回「最強の切札、手を組む最善」