幻想異次元冒険記   作:Uさんの部屋

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前回までのあらすじ
バイクに乗って走っていたUと真子は、突如として異世界へと誘われ、その世界の人間達にユウという人物と似ている事から疑いの目を向けられてしまう。そこへ怪人が襲来し、真子が負傷する事態となってしまうが、突如として真子に子供の頃の姿と全盛期の力が戻る事となり、見事怪人を全滅させる事に成功する。だが、Uへの疑いが晴れなかった事からUは真子と共にその場から離脱を図るが、その際にその世界の人間の1人である少女も一緒に着いてくる事態となってしまったのであった………


第2話 少女の素性、ユウの名を持つ者

少女を含めた3人を乗せたバイク。少女がバイクに乗ってきた直後はUも真子も警戒したが、特に何かしてくる訳でも無く、Uは十数分バイクを走らせる事により、一先ず他の人間達を撒く事に成功したのだった………

 

 

 

それから少し経ち、U達は逃げていく最中で入った森の中において、焚き火をしながら話をする事になった。

 

「………なんで着いてきた?」

 

しかし、この世界の人間に対して疑いの目を向けられた事から、Uはやや不機嫌そうな様子でそう問いかけた。

 

「あの………ごめんなさい。まさかユウにそっくりどころか名前の発音すら同じ人がいるなんて思ってもなかったから………」

 

少女は彼女が知るユウと、目の前にいるUがあまりに似ている事から、混乱を隠しきれていなかった。それを聞いたUは複雑な様子だったが………

 

「お父さん、悪気はなさそうだから許してあげたら………?」

 

真子は目の前の少女を許すよう進言した。

 

「………お前が言うならまあ………」

 

それを聞いたUは真子の言葉を信じる事とし、彼女の宥めを聞き入れた。真子のフォローで取り敢えずその場の空気が落ち着き………

 

「ありがとうございます………」

 

少女は真子に向けて感謝の言葉をかける。

 

「いいって。それよりまだ私の方は自己紹介して無かったよね。私は真子。青原真子だよ」

 

その後、真子は少女に対し自身の名を語る。それを聞いた少女は………

 

「私は………ミディア=フラウと申します。魔族との戦争を推進する国家、ウォーザ国の重役フラウ伯爵の娘です」

 

そう言って自身の素性を明かした。

 

「重役………伯爵の娘………フン」

 

しかし、ミディアが偉い立場の娘である事を聞いたUは露骨に嫌悪感のある表情を浮かべた。

 

「えっ………? 何か私失礼な事を………?」

 

これにはミディアも首を傾げながら困惑していたが………

 

「ああ、気にしないで。うちのお父さん、貴族とか王族があんまり好きな人じゃないだけだから………」

 

真子がUの態度の理由を語った事で、少なくとも彼がそういう高い身分の人間が苦手なだけであると理解する事が出来た。

 

「まあとにかく、私も人間側の勝利の為に働いている立場の人間になりますね………」

 

ミディアは自身も戦争に関与している人間であると自覚していたが、その表情は暗いものだった。

 

「その割にはあんまり誇らしげじゃなさそうだが?」

 

実際Uもその点は気になっており、思わず問いかけた。

 

「………私、喧嘩とか殺し合いとか苦手なんです………例え相手が魔族だからと言って………生命を奪うのは何か違う気がして………」

 

その理由は、ミディア本人が殺傷を好まない事が関係していた。

 

「………そうか」

 

それを聞いたUはそれ以上追求する気は起きなかった。だが………

 

「でも君は今、人を殺す事を何とも思わなくなってしまった男の前にいるんだぞ?」

 

Uは暗に自身が人殺しである事を語る。

 

「えっ………?」

 

ミディアは話が理解出来ず首を傾げる様子を見せた。

 

「………君がどういう世界で生きていたかは知らないが………僕は殺し合いに関しては甘くないぞ………?」

 

Uは威圧を与えるように続けてそう言い放つが………

 

「………ああ、大丈夫です。今の世界で一線を越えていない人なんて一握りですから………周りが全員人殺しなんて光景、もう慣れました………」

 

ミディアは人殺しに当たる人物は腐る程見てきた事から、そこまでUに怯えてはいなかった。

 

「そう………ならいいけど」

 

それを聞いたUはこれ以上の追求は無意味であると判断し、そう言って口を閉じた。その後、真子はミディアへ視線を向けると………

 

「そういえば………さっきお父さんと間違えて認識していたその………ユウって人ってどういう人なの?」

 

そう言って、ミディアにユウという人物について問いかける。

 

「ユウ………私の幼なじみで私の知る限り強くて………禁忌を犯して裏切り者となってしまった男です………」

 

ユウという人物について説明をするミディア。彼女の説明を聞く中で、U達は1つ疑問を感じていた。

 

「禁忌………?」

 

その禁忌について問いかけるU達。ミディアは最初こそ言い出しづらそうな様子を見せていたが………

 

「………魔族と結婚して、子供を作ってしまった………人間側としては犯してはならない行為です………」

 

ユウという人物が犯した禁忌について口を開いた。

 

「人間と魔族の恋愛………ねぇ。それってそんなにマズイ事なのか?」

 

Uはミディアに向けて、ユウの犯した行為かそれ程までに禁忌なのかを問いかけた。

 

「………どうなんでしょう。少なくとも偉い立場の人間は信じられない様子でした………でもその結果、戦争が起きて今の状態になった事には変わりありません」

 

ミディア本人はユウの行為が禁忌と呼べるかについては疑問視していたものの、結果として戦争が起きてしまった理由の1つに変わりは無い事を語る。

 

「………そんな事で争いが起きるなんて愚かなものだな」

 

Uは非情な言葉を吐き捨てる。

 

「でも結局戦争は起きてしまっています。このままじゃ戦争に関係ない人が苦しむばかり………どうにかしないとダメなのは明白です………!」

 

ミディアはほれでも戦争が起きている事実からどうにか止めるべく動こうとしていた。

 

「………そうか。まあ頑張ってくれ」

 

しかし、Uはこの状況においてまるで自分には関係ないと言わんばかりの様子を見せた。

 

「………お父さん、今回の件には関与しないつもりなの?」

 

この他人事のような言葉に対し、真子は思わずそう問いかけた。

 

「僕達は正義の味方じゃない。それにこれはこの世界の人間達の問題だ、僕達が何とかする話じゃない………」

 

Uはこの問題を自分達が何とかする問題ではないと考えており、それ故に他人事の姿勢を取っていた。

 

「それでいいの? これからしばらく元の世界に戻れそうもないのに………」

 

真子はそう言って、どっちつかずの立ち場に立とうとする彼に疑問を抱いていた。

 

「僕はそれよりお前の身体に起きた事態の方が大事だと思ってる」

 

U本人はあくまで真子の身に起きた、突然子供の姿となってしまった事を重要視していた。

 

「………確かにあれには驚いたけど………別に私の身体には何も害は無さそうだし………」

 

真子本人はそこまでこの事態を重要視していなかったが………

 

「それでも戦争よりは危機的な事態だと僕は思う………その為ならなんだってやるつもりだ………」

 

Uは目的の為ならなんでもするつもりだった。それを聞いた真子は………

 

「………それで戦争している人達とぶつかる事になったらどうするの?」

 

真子はUに対して有事の際の事を問いかける。

 

「僕の目の前に立ちはだかるなら倒すまでだ」

 

Uは自身の脅威として立ちはだかるなら倒す姿勢を見せた。

 

「………第三勢力になるつもりですか………?」

 

ミディアはUに対して、Uが第三勢力になろうとしている可能性を察知する。

 

「言っただろうに。僕は正義の味方じゃない………目的の為に動くだけの人殺しだ………」

 

そしてそれを肯定するかのように、Uはそう言葉を返した。だがUの考えを聞いたミディアは動揺を隠せない様子を見せた。

 

「無茶ですよ………! 今この世界はどちらかの勢力に付いていない人間は苦しい環境を過ごす事になりますし、今ならまだ私が何とか人間側に加えてもらえないかお願いしますから………!!」

 

ミディアはUを人間側に付かせる事で、少なくとも人間側を味方にさせようと考えていた。この考えは何かの思惑とかではなく、ただ純粋に彼の身の危険を減らそうと考えてのものであった。

 

「………信用ならないな。それに僕はユウって奴と瓜二つらしいからな。どうせくだらない理由を付けて僕を殺そうとしてくる。真子の事もあるし、それなら自由に動けて敵か味方かを常に疑わなくて済む今の状況が楽だ」

 

しかし、Uは今の人間側をまるで信用していなかった。その理由はユウという人物と自身が瓜二つであるというどうしようも無い問題が関係していた。それを聞いたミディアはUの反論を前に言葉を失った。

 

「それと………真子はどうするんだ?」

 

そしてその直後、Uは真子に対しどの立場で今後行動するかを問いかける。

 

「そんなの決まってるよ………お父さんに着いて行く。1人で行かせたら不安だもん」

 

真子の答えは最初から決まっており、Uに着いて行くつもりであった。

 

「………そうか」

 

Uはぶっきらぼうながらどこか嬉しそうな様子でそう答えた。一方、ミディアは真子がUと同じ道を選ぶ事に首を傾げており………

 

「どうして真子さんも同じ道を選ぶんですか………?」

 

真子に対して思わずそう問いかけた。

 

「………私個人は実力ではお父さんに劣るよ。でも、私はお父さんが捜し求める道に着いて行くつもりだよ。それに………私もこう見えてずっと昔に取り返しのつかない事をしているから………」

 

真子が着いて行く選択を取ったのは、Uの求める道に着いて行く為であった。それと同時に、彼女自身がずっと前に犯した取り返しのつかない事が動機として関係していた。

 

「取り返しのつかない事………?」

 

ミディアは首を傾げながらその内容に疑問を感じていた。真子はそれを言うべきか少し悩んだが、少しして意を決する様子を見せると………

 

「こう見えても人殺しなんだ………しかもお父さんを一度殺した………ね」

 

その答えは真子自身もまた人殺しである事。しかもよりにもよって殺した相手がその相手が父であるUという告白であった………

 

 

 

あくまで人殺しと蔑まれようと先へ進もうとするUに着いて行く道を選んだ真子。その理由は真子が自身も人殺しである事が理由である事が関係していたのであった………

To Be Continued………




次回予告
真子が過去にUを1度殺してしまった話は、真子の長い人生に陰を落とす要因となっていた。そんな話をする中、盗賊の集団が襲来。だがその集団を前に真子は容赦なく殺害の選択を取るのであった………
次回「陰を落とす過去、非常な選択の未来」
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