人間側の王女が砦に現れる事態に掌返しの如く興味を持ち始めるU。真子達も只事ではない可能性を感じ、情報収集に賛成し、潜入方法の話し合いに動いていたが、それはUのみが取れる手段でしかなかったのであった………
それからしばらく経った頃、砦の方には厳重な鎧を身に纏った兵士の小隊が砦の前へとやってきた。小隊のリーダー格は砦を見張る兵士へ敬礼し………
「………バーニン魔法長殿の援軍要請の為参上した。指示書もここにある」
自分達が援軍であり、それを証明する書類を提示する。
「………よし、通れ!」
見張りはこれを受け入れると、小隊の兵士達を通した。小隊の兵士達十数人は砦の中へ入り、それから数分程度歩くと………
「………よし! これから配属先について上長に確認を取ってくる。お前達は少し休んでいろ」
リーダー格の兵士はそう言って、その場を後にする。それを聞いた兵士達はリーダー格の兵士がその場を去った後に溜め息を漏らすと………
「はあっ………ここ数日人を歩かせやがって………魔法長殿直々の命令なのは光栄だけど、ここまでとは聞いてないぜ………なあ?」
数人の兵士は兜を外しつつ、愚痴を零していた。
「………そうだな」
そんな中で、1人の兵士だけは顔にスリットが入っているだけのフルフェイスの兜を外さずにそう呟いた。
「お前、兜外さなくていいのか? 普通に暑いだろ………」
兵士の1人はその兵士が兜を外さない事に疑問を感じていた。
「敵が攻めてきた時が怖いものでな。ここは戦場のど真ん中だし」
その兵士は危機感を感じているが故に外せないと語った。
「よくもまあこんなブラックな職場で働けるなアンタ………いや、働き過ぎて可笑しくなったの間違いか?」
話を聞いていた兵士は呆れ混じりにそう言葉を返した。その兵士は傍から見れば真面目な兵士に思えた事だろう。だが………
「(………正体バレるから外せないに決まってるだろうが………!!)」
その兵士の正体はUであった。
「(とはいえ………兜がフルフェイス仕様で助かった。休憩中の中で1人から身ぐるみ剥がして入れ替わってもバレずに済んだのは幸運と言うべきか………)」
Uは兵士の1人から装備を奪う形で潜入に成功。兜がフルフェイス仕様である事も、彼の潜入を成功させる後押しへと繋がっていた。Uはスリットから周囲の様子を調べていたが、彼の近くにて兵士が話す声が聞こえ、Uは耳を傾けた。
「………なあ、知ってるか? ミイル王女殿下はバーニン魔法長殿が社会見学の為にここへお連れしたらしい」
その兵士曰く、バーニン魔法長による社会見学こそ、ミイル王女がこの砦へ現れた理由である事がここで明らかとなった。
「(何っ………!?)」
それを聞いたUは当然困惑を隠せない様子だった。そして、もう少し話を聞こうとしたUだったが………
「お前達! 上長への配属先確認が完了した! これより名前と配属先を伝える!!」
リーダー格の兵士の登場で、その話の先を聞く事は叶わない事となってしまったのだった………
兵士とすり変わる形で潜入に成功したUは、ミイル王女が砦へやってきた理由を知る事となる。果たして、Uはこの潜入で更なる情報を得る事が出来るのだろうか………?
To Be Continued………
次回予告
Uが配属されたのは、バーニン魔法長が使う執務室前の警護であった。ミイル王女に関する情報が手に入るか怪しい状況の中、Uは偶然にもバーニン魔法長と顔を合わせる事となる………
次回「警護任務、魔法長との顔合わせ」