グバイドは大きな力を持った魔族であり、その実力そのものは本物であった。しかし、Uのような更に上の強者にとっては、所詮程度の知れた存在であり、Uはグバイドを瞬殺してしまうのであった………
グバイドをあっという間に瞬殺して見せたUの姿に、ミイルは驚きを通り越して戦慄していた。だがその直後、そんなUの後ろ姿を見たミイルは、自らが知るユウとはまるで違う面影を感じていた。
「(Uさんは確かにお顔こそユウ様と同じ………けれど、その雰囲気は全く違う………Uさんは遥かにお強い方………でもどこか………どこか悲しいようにも思える………)」
そして、Uの様子からどこか悲しげな気配も感じており、彼はただ人を殺していく百戦錬磨の戦士ではない事を僅かながらに察するきっかけとなった。だがその直後、U達の元へ歩いてくる足音が聞こえると………
「………流石Uさん。私が見込んだ通りの男ですね………人間側にはない絶対的な強さ………想像以上で驚いていますよ」
Uが聞いた事のある人物の声がUとミイルの耳へ届いた。声の聞こえた方には大柄のローブを身に纏ったバーニンが立っていた。
「………バーニン」
Uはバーニンの姿を目の当たりにし、彼女の名を呟いた。
「バーニン様………!? いったいどういう事なのですか………!?」
ミイルはバーニンの言葉の意味が理解出来ない様子を見せていた。しかし、バーニンはミイルに向けて軽く頭を下げると………
「姫様、こんな事態に巻き込んで大変申し訳ございません。しかし………彼に手を貸して貰えたのは私達としても都合が良かった………それだけはご理解を」
そう言って、今回のグバイド達の襲撃事態にミイルを巻き込んだ事を謝罪するも、同時に今回の騒動でUの力を借りられた事は都合が良いと評し、理解を求める言葉をかけた。
「ふざけんなよ………全部アンタの思惑通りだろ?」
だがUは冷静な様子でそう返した。それを聞いたバーニンはフッと笑いを零しながらUの耳元へ近づくと………
「………確かに、貴方の指摘通りこれは私の思惑通りです………まあ、あのリーダー格の魔族を瞬殺してしまう事は想定外でしたがね」
彼にしか聞こえない声の大きさで自身の思惑であったとあっさり白状して見せた。尤も、Uがグバイドをあっさり倒してしまった事そのものは想定外だったようだが。
「貴様………!!」
Uは思わず声を漏らす。だがバーニンはミイルの傍へ近づくと………
「………お忘れですか? まだここは戦場………私や貴方もまだ盤上の上………逃げられるタイミングを逃してもよろしいので?」
そう言って、今の状況を嘲笑うかのようにそう言い放った。だが、それを聞いたUは………
「………それは裏を返せば今なら逃げられるって事だろ?」
咄嗟に機転を効かせ、近くの壁に向けて鋭いパンチを放つ。これにより砦の壁が破壊され、Uは破壊された事によって生まれた風穴に向けて飛び出し、砦の外へ出た。
「待って………! そこから飛び降りたら死んじゃいます!!」
だがUが先程まで滞在していた砦は上の階であり、普通の人間が落下すれば死ぬ程の高さであった。
「大丈夫ですよ………彼はこんな程度で死にませんから」
だがバーニンは彼の心配をしていなかった。その理由は、落下をしているUが途端に空中浮遊を開始し、近くの森の中へ紛れるように姿を消したからであった。
「と………飛んだ………?」
ミイルはUの飛行能力に唖然としていた。バーニンはフッと笑いを零すと………
「(………同じユウの呼び名を持つ白髪の戦士………U。貴方とはまだまだ顔を合わせる事になりそうですね………)」
そう言ってバーニンは今後もUと顔を合わせる事となる予感を感じていたのだった………
そして、空中浮遊をしていたUは、すぐさま待機していた真子達を見つけると、彼女達の元へ降り立ち………
「………ここから退くぞ!!」
そう言って、突如として砦から離れる指示を行う。
「えっ!? ど、どういう事!?」
ミディアはUの話を聞き首を傾げていたが………
「理由は後で話す!!」
Uはそう言って逃亡を優先する様子を見せた。真子以外の2人、ミディアとライガは何が起きているのか理解出来ない様子だったが、真子はまた何か面倒事が起きている事を察すると、無言でUへ続き、ミディア達も慌ててU達を追いかけたのであった………
砦での激闘が全てバーニンの思惑通りに進んでいた事が気に入らないUであったが、当初の目的通りミイルが砦に来ていた本当の理由を掴むという当初の目的は果たす事に成功する。だが、この戦いは、Uと人間軍の因縁や関係の始まりを予感させるものとなったのであった………
To Be Continued………
次回予告
大きく距離を取った後、Uは砦での出来事とミイルが連れられた本当の目的を語った。だが、その会話の中でU達は人間軍との因縁が生まれた事を予感するのであった………
次回「一幕の終わり、因縁の始まり」