崖下に落ちていたUは、怪我を負った末に気を失っていた。だが、何も出来ない自分を事を嫌がったミイルはUの為に懸命に回復魔法を使い、彼の手当に動いていたのであった………
それから数分。Uはようやく落ち着きを取り戻し、瞼を開ける。
「ここは………」
Uが状況把握の為に周囲を見回す中、Uの真正面の視界にミイルの顔が入った。
「ん………? ………え?」
Uは困惑の声を漏らした。何故こんな目の前にミイルの顔があるのかと。そして彼の頭に感じる柔らかな感触。そこから今の自分がどうなっているのか全てを察したUは………
「な、何してるんだ君は………!?」
思わず動揺した様子で問いかけた。
「ひうっ!? ご、ごめんなさい! Uさんの頭から酷い出血があったので私の方で治療をと思い………ご、ごめんなさい………!!」
ミイルは怯えた様子で何度も謝る様子を見せた。だが、Uは直後に頭痛を感じ、それか落下時のものによる事を察知すると………
「………そうか。それはすまなかったな」
そう言ってミイルの事情を理解し、彼女へ謝罪の言葉をかける。
「いえ………私が勝手にやった事ですから」
ミイル本人はあくまでこれが独断行動によるものであると語る。Uは頭を押さえながら周囲を見回していたが、同時に1つ疑問を感じていた。
「(………しかし分からん。何故この子はずっと僕にこんな事をしてくれている………? 生命を助けたとはいえ………それ以上の大した事はやっていないはずだが………?)」
それは、ミイルが何故ここまで自分に献身的なのかという事だった。U本人が気付かないフリをしているのもいくらか要因ではあるが、彼にとってもミイルの様子は気がかりだった。そんな中、近くから足音が聞こえると………
「膝枕しながら会話とは………随分なご身分だな………」
Uに向けてそう言い放つ男の声が聞こえた。Uが身体を起こすと、そこには黒髪のUそっくりの男………ユウが立っていた。
「ユウ………アンタか。懲りないものだね」
Uは呆れ混じりにそうボヤいた。それを聞いたユウは苛立ちながら剣を腰の鞘から抜刀すると………
「黙れ………今度こそ貴様はここで殺す………!!」
そう言って、Uに対して刃を向ける。
「前回で力の差は歴然だとハッキリしたはずだ。アンタも懲りないな」
Uは呆れ混じりにそう呟く。
「ほざけ………! そう何度も俺は敗れん!!」
ユウはそういうと目にも止まらぬ速さで接近する。Uが面倒くさそうに反撃を狙おうとしたその時、突如としてミイルがU達の前に飛び出してきた。それにより、ユウは思わず剣の手を止めてしまった。
「で、殿下………!? な、何の真似ですか………!?」
ユウはミイルの行動に思わず動揺していた。
「ユウ様………! この御方は私の生命の恩人なんです………! 殺すなんて真似はやめてください………!!」
ミイルは恐怖に怯えながらユウへそう言い返す。それを聞いたユウは苛立つ様子を見せ………
「………どけ! そうしないと幾らアンタでも殺すぞ!!」
ミイルに対して脅しをかけてきた。
「嫌です!!」
だがミイルはこれを否定した。
「っ………!? ミイル様………何がアンタをそこまで突き動かしているんだ………!?」
それを聞いたユウは、引こうとしないミイルの姿勢に動揺を隠せなかったのだった………
ミイルの手当てで目を覚ましたU。だが直後に彼等の前にユウが現れ一触即発の危機に。そんな中で勝負に介入してくるミイル。自らの恐怖に怯えながらもUを庇う姿勢を見せた。果たして、何が彼女に勇気を与えているのか………?
To Be Continued………
次回予告
ミイルの勇気を前にしても彼女へ剣を振り下ろそうとするユウ。それに怒りを覚えたUは、ユウに対して慈悲を与えない様子を見せるのだった………
次回「姫の勇気、堕ちる剣士への無慈悲な剣」