エルフとトロール 〜三流魔法使いのトロール、メスガキエルフの下僕になる〜   作:ルブク

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ひょんなことから始まった新生活。
新たに迎えた朝、目にしたのは青い空、輝く太陽――そしてエルフの生尻。

第一章エピローグ。
いわゆるサービスショット的な感じで。
なお、挿絵はAI生成によるものとなります。

第一章の人物紹介はこちら
https://syosetu.org/novel/385833/1.html


エピローグ ハダカのエルフ様

 朝日が空を染め始める刻。いずこから聞こえる鶏の鳴き声でヴィンセントは目覚めた。手入れの行き届いたベッドは寝心地も格別で、並の宿ではここまでの出来栄えは難しいだろう。

 

「ふぅ……」

 

 壁にかけた法衣を見ながら上体を起こす。突如として身に降りかかった巨額の請求。昨日の時点では愕然としたものだが、冷静になって考えてみるとヴィンセントにも利が多いものだった。

 いわゆる流れてきた余所(よそ)者同然であり、それが当面の住居と職をいっぺんに入手できたのだ。魔法使いとしては稚拙であり、また信用もない。言い方は腑に落ちないが、概ねリュミエの言に従わざるを得ないのである。

 

「よし、行こう」

 

 身支度を整え、ヴィンセントは部屋を出る。とどのつまり負債を抱えている身には変わらない。安穏と過ごす訳にはいかないのである。

 部屋を出たヴィンセントは外にある共用の井戸に向かった。

 

「あ、おはようございます!」

 

 そこには既に沢山の洗い終えた洗濯物と一緒にマルカがいた。朝早いながらも、輝くような笑顔は昨日とまるで変わらない。

 

「おはよう。普段より早く起きたつもりだったが……貴方はまた随分と早い」

「それはもうお仕事ですから」

 

 彼女の足元には籠が幾つも置かれていた。いずれも洗い終えた洗濯物が詰め込まれ、傍目にも重さを感じられた。

 

「――これを上に持っていって、干せば良いのだったかな」

 

 宿の支払いは自分の稼ぎから引かれてしまう。ならば少しでもリュミエへの返済に回せるよう、昨日の内に宿の手伝いを申し出たのだった。

 

「はい! 屋上にロープ張ってるんですぐに分かると思います。私も残りの終わったら合流しますから」

「承知した。お安い御用だ」

 

 ララクララとマルカは手伝いを快諾してくれた。微々たる額であるが、積み重ねていけば何とやら。いずれは大きな成果に繋がることだろう。

 

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 ヴィンセントは抱えられるだけ籠を抱えて階段を上ってゆく。まだ夜も明けて間もない頃合い、足音を立てないようゆっくり、慎重に。二階からそのまま屋上へ。確か話ではリュミエが使っている部屋があるはずだ。

 

(表でうるさくしていて大丈夫だろうか……)

 

 一抹の不安を感じながら二階から屋上へ。頭を覗かせると、朝特有の澄んだ爽やかな空気が眠気を虚空へと追いやってゆく。

 青みを増してゆく空、一日の始まりを告げる太陽。

 

「――!?」

 

【挿絵表示】

 

 ――そして、全裸のリュミエ。

 

(……何を!?)

 

 正確にはリュミエらしき人物。下ろした翠の髪が、小ぶりながら引き締まった臀部まで伸びている。

 ヴィンセントに背を向け、朝日に向かって両腕を大きく広げて直立不動である。恐らくリュミエに間違いないが、正面に回って確認する訳にもいかない。

 というより、屋上に上がることが非常に危険だった。

 

(もう起きて――いや何故裸で――)

 

 予期せぬ事態に階段の途中で立ち往生。単に起きているだけならまだしも、何故産まれたままの姿なのかまるで理解が追いつかない。

 

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 状況が状況だけに顔を出して外を窺うのも難しい。せめてこのまま部屋に戻ってくれることを祈るばかりだった。

 

「――洗濯干しに来たんでしょ? 上がってこないの?」

 

 ――しかし時既に遅し。

 階段のすぐ外からリュミエの声が聞こえてきた。もしかするとマルカと勘違いしている可能性もある。どのようにして誤解を解くか、とにかくその一点に思考を集中させた。

 

「ほら、早くしないと手伝い終わんないよ? 今日から始めてんでしょ?」

 

 隠すどころか、自ら全てを(さら)け出して階段の上に立ったリュミエ。気持ち控えめながらツンと上を向く形の良い胸、引き締まった腰周り、そして肉付き豊かなその下……。

 階段に居るのがヴィンセントと知っているにも関わらず、両手を腰に当て堂々と仁王立ちである。

 

「……着てくれ、服を!」

 

 とてもではないがヴィンセントは直視できず、視線を階下へ向けながら叫ぶ。歳はさておき、うら若き見た目の乙女がいとも容易く肌を見せるのはいかがなものか。

 

「え〜? 別に良いじゃん」

「良い訳ないだろう。誰かに見られでもしたら……」

「別に見たけりゃ見りゃ良いでしょ。そもそも、こんな朝っぱらから来る物好きなんていないし」

「そういうことではなく」

「……さては恥ずかしいって? ははぁ、いい歳して小娘一人のカラダも直視できないってやつぅ? もしかしてアレ? アレなの? へぇ〜♡」

「そういうことでもなく!」

 

 抗議すれども、当の本人にはまったく届かない。むしろ逆に挑発してくる有様である。ヴィンセントとしては洗濯物が干せればいいのだが、リュミエは頑なに服を着ようとしない。

 そして、着てくれ着ないの押し問答を繰り広げた結果。とうとう最悪のケースが訪れる。

 

「ごめんなさいヴィンセントさん! 一つ大変なこと言い忘れてて――!」

 

 残りの洗濯物を抱え、マルカが階下よりやってきたのである。上には一糸纏わぬリュミエ、下には何も知らないマルカ。もはや打つ手なし、詰みで終局。

 

「晴れた朝はリュミエさん、が……」

 

 立ち往生しているヴィンセントと、その向こうにいるリュミエを目にした彼女。パタパタ階段を上っていた足が止まる。

 

「一体ナニしてるんですかっ!?」

 

 当然ながらマルカの詰問が飛ぶ。抱えていた籠を置き、凄まじい勢いでヴィンセントへ詰め寄っていく。

 

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「申し訳ない! 私にも訳が分からず……しかし他意があったのではな――」

「ちょっとどいてください!」

「!?」

 

 マルカはそのままヴィンセントを押しのけてリュミエの前に。間髪入れずに彼女の肩をがっしり鷲掴みにし、逃げられないよう取り押さえる。

 

「あれほど言ったじゃないですか! 朝はせめて何か一枚羽織ってくださいって!」

「だってさ〜。直に日光浴びないと調子出なくてさ〜」

「だからって裸はダメです! 今日みたいに見られたらどうするんですか!?」

「私は気にしないけど? 見られて減るもんでもないし」

「ウチが! こ・ま・る・ん・で・す! 変な噂立てられたらどうするんですかっ!!」

「え〜? や〜だ〜」

「やだじゃありませんっ!!」

 

 厳しく問いただすマルカに、唇を尖らせてまるで取り合わないリュミエ。いつ終わるとも分からない二人の言い合いを横に、今後の先行きが急に不安になり始めたヴィンセントだった。

 




次話から第二章。
第一章が主にヴィンセント視点だったので、次はリュミエ視点でキャラの掘り下げ話でも。
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