転生したらプロペラヘッドだった件   作:卍錆色アモン卍

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13終幕のち日常

 

 

 

 掃討作戦は無事に終わった。主犯である沢渡アカネは捕らえられ、彼女の仲間達は壊滅。マキマさんは今回の件によって上から評価をされ、それと同時に特異課の面々から信頼を得ることとなった。その結果、マキマさんは実質特異課のトップといってもいいほどの権力を手に入れたのだ。

 

 いつもの一室で、俺達特異五課は勢揃いをしていた。そこでマキマさんの言葉を待つ。

 

「皆、本当にありがとう。皆のおかげで事がうまく運んだよ」

 

 マキマさんが笑顔を見せ、嬉しそうに報告をする。そのため俺も喜んだ。

 

「私もようやく自由に動けるようになってきた。だけど仕事は待ってはくれない。それは特異五課も同じで、掃討作戦の間にかなり仕事が溜まってるんだ。だから、それらを順次片付けていって欲しい」

 

 正直なところ聞きたくない内容だった。だが、また日常が戻ってくると思えば火もまた涼しだ。

 

「今日のところはこれで解散。だけど、フミコちゃんだけは残っていって」

 

 マキマさんの言葉に、俺達は了承した。

 

 

 

 公安対魔特異課本部の一室には、主であるマキマと彼女に引き止められた三船フミコがいた。堂々とした姿を見せるマキマとは対照的にフミコはやや不安げだ。それもそのはずで、フミコはマキマと二人きりで話したことがなかったのだ。

 

「えっと、私に何か用ですか?」

 

 フミコは探るようにマキマへ問いかける。すると、彼女は淡々と語り出した。

 

「性病の悪魔と契約した者は、性行為をした相手を身も心も自身へ作り変えることができる。数に際限はなくて、性行為をした分だけ本人は増殖する。当然ながら全てが本人であるため、契約者はねずみ算式に増えていく。まさに性病を体現した能力だよね。それで、フミコちゃんは性病の悪魔と契約しているでしょ?」

 

 一体、何故それを……。フミコはマキマに末恐ろしい思いを抱いた。だが、まずは彼女に返答をする。

 

「……してますが、それが何か?」

 

「武器人間は年を取らず、永遠とも言える時を過ごすの。彼らは人間を超越した存在であり、もはや普通の人間とは相容れない。センカイ君はそのことを理解していて、あえてフミコちゃんと距離を取っている。そのことは知ってる?」

 

「……っさっきから、何が言いたいんすか!」

 

「これは私の推測なんだけど、性病の悪魔よりも格の低い悪魔の心臓を移植することで、武器人間であろうと問題なく性病の悪魔の契約を履行できる。もしこの推測が正しければ、武器人間の中でもさらなる不死性を手に入れることになり、より特別な存在へと至れる」

 

 マキマは一つ区切りをつけると、じっとフミコを見つめる。そして、本題を話した。

 

「ねえ、フミコちゃん──“武器人間”に興味はない?」

 

 

 

 女が仕事に来なくなった。といっても今週いっぱいなだけで、来週から来ると本人から聞いている。なんでも自分にしかできない仕事を回されたらしい。その影響で俺の仕事に支障が出てるのだが、まあ仕方ないかと割り切った。

 

「兄貴ー! 雲の上を飛んでますよー!」

 

「さっきも聞いたゾ」

 

「いい景色だね〜! 対空砲火があるとなお良しだ!」

 

「バルエムさん、それだと墜落するゾ」

 

 俺はソードとバルエムを乗せて空を飛んでいた。目的地は新潟県西部に位置する島、佐渡島(さどがしま)だ。現在その島には兵隊の悪魔が出現しており、現地が地獄と化してるらしい。なんでも古臭い軍服を着た骸骨がスコップやらを振り回してくるとのこと。彼らは戦闘力自体は低いのだが、とにかく無限湧きで手に負えないとか。俺達はこの問題を解決するために、佐渡島へ派遣されたのだ。

 

 

 

 ソード達を地上へ降ろし、俺は一度島を偵察する。島は沖縄本島に次ぐ大きさなだけあってかなり広大で、北側に大佐渡山地(おおさどさんち)、南側に小佐渡山地(こさどさんち)があり、その真ん中に国中平野(くになかへいや)と呼ばれる穀倉地帯があった。俺がソード達を下ろしたのは、この国中平野にある中心街だ。

 

 すでに悪魔が出現してからかなりの時間が経過しており、地元住民に多大な被害が出ている。しかし彼らなりに抵抗をして、今は兵隊の悪魔と拮抗しているとのこと。そこへ俺達が加わり、なんとかして悪魔を根絶しなければならない。

 

 ここでバルエムから通信があった。なんでも兵隊の悪魔は他の悪魔と協力している可能性が高いと言うのだ。というのもこの島へ上陸した際に、急に体が重く感じたらしい。初めは気にしていなかったが、予想以上に動きが鈍くなってきたとか。

 

『早めに原因を突き止めた方がいいねえ。島民の死因は殆どが衰弱死だ。兵隊の悪魔による殺傷じゃない』

 

「分かっタ。だガ、まずは兵隊の悪魔の出処を調べさせてくレ」

 

『オーケー。こっちでも色々と調べて見るよ』

 

 俺はプロペラを回し、大空を舞った。

 

 

 

 ゆっくりとした歩みで、兵隊の悪魔が市街地の方へと進んでいく。彼らは佐渡島の北に位置する大佐渡山地から来ているようだ。

 

 より詳しく調べてみると、彼らの発生源は大佐渡山地の西側に位置する佐渡金山であった。この金鉱山は既に閉山されているが、非常に歴史が長く偉大な金鉱山で、最盛期には世界の一割近い金を採掘していたとされている。また、山そのものが二つに分かたれた特徴的な外観をしており、自然豊かな山中でも特に目立っていた。

 

「かなり怪しいナ……」

 

 俺は上空から佐渡金山を偵察しているが、明らかに二つに分かたれた山の合間から兵隊の悪魔が出現している。間違いなく本体がそこにいるだろう。しかし周りは自然豊かな森であり、不時着はできるだろうが無理にしたくはない。ならばやることは一つ。

 

「ジェリ缶を一つ消費シ、五百キロ爆弾を投下すル。狙いは裂け目の中心ダ」

 

 誰も居ないのは承知で声に出し、命令を頭に染み込ませる。そして急上昇をし、高度を稼いだ。

 

 

 

 高度四〇〇〇メートル。俺は機体を反転させ、急降下を開始した。

 

 高度三〇〇〇メートル。速度が乗り、機体が悲鳴を上げる。しかし限界ギリギリまで速度を乗せ、地上を目指して落下した。

 

 高度二〇〇〇メートル。徐々に目標が近づいてきた。俺は二つに分かたれた山を見定める。

 

 高度一〇〇〇メートル。目標である佐渡金山への侵入角度は完璧だ。これより、五百キロ爆弾を投下する。

 

 俺は爆弾倉をガバリと開き、五百キロ爆弾を投下した。急激に機体が軽くなったことで姿勢が崩れるが、すぐさま立て直して水平飛行へ移行する。

 

 やがて佐渡金山の割れ目から大爆発が起こり、大きなきのこ雲が上がった。爆発によって円状の爆風が発生し、周囲一帯の森を薙ぎ払う。俺は多くの鳥達が我先にと逃げる中、目標を見定めていた。

 

「やったカ……?」

 

 何か違和感を感じ取った俺は機体を翻し、目標へ近づこうとする。だが、その時──山を粉砕しながら、巨大な骸骨が姿を現したのだ。

 

 眼窩が大幅に欠けているが、それはかの有名な妖怪のような外見をしており、下半身はなく体を引きずるようにして這い出してくる。

 

 そして、その妖怪とは──。

 

餓者髑髏(がしゃどくろ)かヨ!!」

 

 餓者髑髏であった。

 

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