転生したらプロペラヘッドだった件   作:卍錆色アモン卍

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21衝突

 

 

 

 空から飛び降りたデンジは、辛うじてトラックの荷台に乗り難を逃れていた。しかし、上空を見上げて悔しげに呟く。

 

「クソ、プロペラ頭……!」

 

 デンジの案じるプロペラヘッドは爆散をしていた。もはや残骸が地上へと降り注ぐのみ。

 

 そこへ人影が映る。レゼだ。彼女は片足を上げ、地上へ狙いをつけるように構えていた。デンジがその足へ注目をしたその時、ミサイルの形状へと変化した。

 

 デンジは直感的に横っ飛び、トラックから飛び降りる。その瞬間──爆音と共にレゼがトラックに突っ込み、二つに引き裂いては道路を爆破した。

 

 周囲一帯に爆風が襲い掛かり、後続車が次々と事故を引き起こす。デンジは事故に巻き込まれずに済んだが、一般人にかなりの被害が出てしまっていた。思わずそちらへ意識を向けるデンジだったが、轟々と燃えるトラックからレゼが飛び出してきたのだ。

 

 大きく腕を振りかぶったレゼがデンジを殴りつける。対するデンジは両腕で体を庇うが、爆破とともに吹き飛ばされ中央分離帯に衝突した。

 

「ってぇ……!」

 

「デンジ君、応用ができてないね。もっと自分の力を理解しなくちゃ」

 

 レゼにそう言われたデンジは、一瞬頭に疑問を浮かべる。だが、彼女の指が頭部のチェンソーに引っ掛かっていることに気付くと、身を持って知ることとなった。

 

「バン」

 

 レゼがそう呟いた瞬間──それは猛烈な勢いで爆発しデンジを至近距離から吹き飛ばした。デンジは中央分離帯を越えて反対車線まで吹き飛び、停車をしていた車にまたもや衝突をする。

 

 クソ、どうすれば。デンジは痛む体を無理やり引き起こし、最善策を考える。だが、それよりも先にレゼが動いていた。

 

 彼女は爆破を応用してこちらとの距離を詰め、拳を振り上げては殴りかからんとする。デンジはなんとかして凌ごうと構えるが、このままでは先程の二の舞いだろう。何か出来ないかとデンジが必死に考えていると、救いの手が差し伸べられた。

 

「デンジ!!」

 

「ッアキ!」

 

 それは早川アキだった。彼はレゼに突貫し、刀を横一線に薙ぎ払う。するとレゼは大きく回避行動を取り、一度距離を取った。そして、拳を構えたのだ。

 

「ふ〜ん、やろうか」

 

「望むところだ」

 

 アキはレゼの誘いに乗ると、大きく一歩を踏み出した。

 

 

 

 デンジの眼前ではレゼとアキが鬩ぎ合っており、一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

 レゼが瞬速の蹴りを繰り出してはアキが足を斬り飛ばし、反撃として真っ向切りを放つ。しかし、アキの反撃をほんの僅かな体捌きで避けたレゼが切断された足を大地に叩きつけ、アキ諸共道路を爆破させた。

 

 思わず声を上げるデンジだったが、アキは爆破によって発生した黒煙を切り裂き、居合の構えを取った。そして、全身全霊の居合斬りを放つ。しかしレゼが爆炎を撒き散らしながらも迎え撃ち、真正面から二人は衝突していた。

 

「す、すげぇ! アキの奴レゼと渡り合ってる……!」

 

「チェンソー君、大丈夫かい?」

 

「チェンソー様あああ!!」

 

 アキに関心をしていたデンジは、駆け寄ってきた天使とビームに気遣われた。体は無事なためにデンジは返事を返すが、自身はアキとは違いレゼには勝てないと、素直に思いの丈を吐露する。

 

「サメ君はチェンソーの悪魔を知ってるみたいだね。今日死にたくなければ、話せる事を話すべきだよ」

 

 天使にそう言われたビームは必死に思い出す。そして、話し始めた。

 

「チェンソー様、足超速い……。でも移動するとき、足だけじゃない……! チェンソーのチェーン使って移動してた……!」

 

「そうか! サムライソードは居合で移動してたし……レゼも爆発で移動していた……! 俺も自分の力を応用するべきなんだ!」

 

「チェンソー様天才! チェンソー様天才!」

 

「チェーンを使った移動……! そういう事か! 分かった!」

 

「そういう事! そういう事!」

 

「じゃあやってやるぜ!! ビーム! サメになれ!!」

 

「はい!!」

 

 デンジが意気込み、いざ実行しようとしたその時。突如として地響きが起こった。そして──世界に変化が訪れる。

 

 星空の見える夜空が急激に分厚い雲に覆われ、やがて滝のような雨が降り出した。そして嵐と見紛うほどの突風が吹き荒び、避難をしていた人々を空へと打ち上げる。デンジ達は必死に車に捕まり耐えるが、暴風は決して緩まることはなく、より強く、より大きくなっていった。

 

「ようやく来たか」

 

「くそ……! 何がどうなってんだ!」

 

 レゼとアキが戦闘を一時中断し、互いに距離を取る。そこへ、高速道路を端から粉砕しながら新たな乱入者がやってきた。

 

 地上よりも遥かに高い道路へと届き得る巨躯。内臓を自身の周囲に高速で飛翔させ、あらゆる物を粉砕する破壊の嵐。そして、自然災害である台風を自由自在に引き起こす強大な悪魔の力。それらを併せ持つ大悪魔──台風の悪魔が姿を現したのだ。

 

『レゼ様! 台風タダイマサンジョウシマシタ!』

 

 台風の悪魔はそれだけレゼへ告げると、足を一歩踏み出した。たったのそれだけで高速道路は砕け散り、近くに停車していた車を遥か上空へと打ち上げる。アキは必死に地面へと這いつくばっていたが、隙を見て退避をしデンジ達と合流をした。

 

「流石に斬れないぞ! あんなもの!」

 

「やべぇな!! でもよぉ、俺にゃあ秘策があるんだぜ!! 行くぞ、ビーム!!」

 

「はい!!」

 

 ビームが悪魔の姿へと変化し、サメの悪魔となった。そこへデンジが跨り、チェンソーのチェーンを馬の口へと着ける馬銜のように引っ掛ける。

 

「これが俺の出した答えだああああ!!!」

 

「そういう事なの!? 違うんじゃないか!? なんかこうチェーンを腕から飛ばして建物に引っ掛けてさ!」

 

「あ〜? これが正解だよなあビーム!!」

 

「正解!! 正解!! 正解!!」

 

「っしゃあ走れビーム!!」

 

「デンジ!?」

 

 アキの心配をする声を余所に、デンジ達は嵐の中を突っ切った。そして爆破を応用して空を飛ぶレゼへと迫る。

 

「あはははは! なにそれ〜!」

 

『来タナ!! チェンソー!!』

 

「レゼ!! お前を止めてみせる!!」

 

「あはは、やってみなよ!!」

 

 デンジ達は嵐の動きを読み、なんと空を泳いだ。それを追いかけるようにレゼもまた嵐に乗り、デンジ達へと続く。

 

 もはや滅茶苦茶ではあったが、二人の決着は限りなく終わりに近づいていた。

 




 オリ要素
・早川アキ強化(未来の悪魔とは契約していない)
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