転生したらプロペラヘッドだった件   作:卍錆色アモン卍

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28激突

 

 

 

 パワーに轢き殺された翌日。俺はデンジの護衛を遂行しながら、予定通りデパートへとやってきていた。今は一階の出入り口付近で待機をしており、外を見張っている最中だ。

 

 ちなみに俺が轢き殺された件については、早川アキに頭を下げられたため許している。そもそも偶然とはいえ、アメリカの刺客を一人処理してくれたのだ。その後、残りの二人も吉田が活躍をして処理してくれた。ならば、俺が轢かれた事にも意味があるというものだ。

 

「デンジ君、下がってて。人形達が来る」

 

「んあ?」

 

 レゼから襲撃の合図を受け取っていた俺は、出入り口を注視していた。そして、次の瞬間──大量の人形達が押し寄せてきたのだ。

 

 俺は両腕を掲げ、すぐさま機銃を掃射する。それにより爆音と明滅が繰り返されては弾丸が雨のように射出され、次々と人形達を粉砕していった。

 

 腹部から続々と弾薬が送られていく中、俺はプロペラを回しながらも考える。サンタだけでも十分脅威だが、あとは中国のデビルハンターがいる。もし奴が同時に現れれば、危険だろう。

 

 そんなことを考えていたからだろうか。俺は一瞬何かが視界に映り込んだと思ったその時──体が両断されていた。

 

「アッ!?」

 

 胴体が泣き別れてしまい、俺は巨大なレシプロエンジンも相まって一瞬で頽れた。すぐさま状況を確認すれば、鋼鉄で覆われていない腹部が綺麗に切断されている。俺はプロペラを回して再生させるが、すぐ目前には大量の人形達が押し寄せていた。

 

 

 

 プロペラヘッドが機銃を掃射して人形達を処理する中、レゼはデンジを守りながら周囲を警戒していた。

 

 その時、視界に何かが映ったのだ。それは人形達を一瞬ですり抜け、プロペラヘッドの脇を通り過ぎる。そして、こちらへとやってきていた。

 

「ッ!!」

 

 激しい火花を散らせながらも、レゼは不可視の斬撃を両腕で防ぐ。ほんの少しのたたらを踏むレゼだったが、持ち前の怪力ですぐさま戦闘態勢へ移行した。

 

「今ので分かった。あなたがクァンシね」

 

「へえ、私の剣を防ぐんだ」

 

 いつの間にかレゼの前に立っていた女。彼女こそが中国のデビルハンター、クァンシであった。レゼは拳を構えながらも、彼女へ問いかける。

 

「この人数差で勝てると思う?」

 

 レゼの周囲にはバルエム、ソード、スピア、ムチコ、フミコの他に、早川アキと天使がいる。いくら戦闘力が高かろうと、数の力は偉大だ。それらに対し、クァンシは答えた。

 

「流石に厳しいから──彼女達にも頑張ってもらう」

 

 レゼはデパートの奥から、四人の人影が歩み寄ってくることに気付いた。挟撃を警戒した彼女はデンジ達を連れて移動し、両者を視界に収めようとする。そして、レゼは捉えたのだ。四人の魔人達を。

 

「ピンツイ、コスモ、ロン、ツギハギ。間違っても、無理はしないでね」

 

「お任せくださいクァンシ様!」

 

「ハロウィ〜ン!」

 

「……!」

 

「……」

 

 彼女達がそれぞれの返事をクァンシへ返すと、こちらも戦闘態勢を取る。だが、ここで突如として地響きが起こった。

 

 クァンシの背後、そこには両断されたプロペラヘッドがいたはずだ。しかし彼は人形達で埋め尽くされており、姿が見えない。クァンシは既に脅威を取り除いたと思っていたようだが、その時。彼の声が響いたのだ。

 

『俺を無視するとハ、いい度胸だナ。たかが腹を切られた程度で倒れるとでも思ったカ?』

 

 人形達を吹き飛ばし、鋼鉄の腕が姿を現す。それと同時に巨大でいて長大な胴体が人形達を薙ぎ払い、天井を破壊しながらも頭部であるレシプロエンジンが持ち上がった。

 

 異形の怪物がそこには居た。狭苦しそうに姿勢を下げているが、プロペラはこれでもかと回転しており、白煙吹き上げ続ける。そして群がる人形達を意にも返さず薙ぎ払い、クァンシへと頭部を向けていた。

 

『俺とレゼでクァンシを処理すル。残りのメンバーは護衛を優先しロ』

 

 彼はそれだけ告げるとデパートの床を強く掻き、クァンシへと鋼鉄の腕を薙ぎ払ったのだ。

 

 

 

 目の前では人外バトルが始まっていた。それを見守る早川アキだったが、デンジに声を掛けられたためそちらへ振り向く。

 

「おいアキ! 魔人が来てっぞ!」

 

 胸元のスターターを引き、頭部と両腕からチェンソーを生やしたデンジは戦う気満々だ。恐らくレゼが隣にいないからだろう。アキは頭の片隅でそんなことを考えながらも、刀を引き抜く。

 

「バルエムさん、俺達はどう動けばいい?」

 

「そうだね〜。せっかくなら、デンジ君にも戦ってもらおうかな。マキマさんが言うにはチェンソーの悪魔は特別らしいからさ」

 

 そう言ってワクワクする表情を浮かべたバルエムは、ソードを呼び出してデンジと共闘するように言った。するとソードが気合の入った声を上げ、武器人間と化す。そしてデンジの隣へと並んだ。

 

「よろしくな、デンジ!」

 

「ああ! よろしくな!」

 

 二人は気が合ったようで、チェンソーの武器人間と長剣の武器人間が仲良く肩を並べる。それを見ていたバルエムは残りのメンバーにも武器化するように指示を出すと、自身もまた武器化をした。

 

「ははは! 俺の目指す世界が垣間見えるねえ!!」

 

 大仰に手を広げて笑ったバルエムはやがて表情を引き締め、アキ達に指示を出す。

 

「まずは彼らの出方次第だが、君達にも一人相手してもらうよ。なあに、安心してくれ。増援がすぐにやってくるさ」

 

 アキは彼に頷き、魔人達を見据える。彼女達は人数差をものともしておらず、戦う意思を表明していた。その時、彼女達のリーダーであろうピンツイが声を上げたのだ。

 

「中々に強そうじゃない。だけど──私達の方が強いのよ! コスモ、レーザー! ロン、溶岩! ツギハギ、兵隊を作りなさい!」

 

 矢継ぎ早に指示を出した彼女は腕を組み、勝ち誇った笑みを浮かべる。それと同時にコスモ、ロン、ツギハギが動き出した。

 

「ハロウィ〜ン!」

 

 最初に動いたのは、コスモと呼ばれるピンク髪の魔人だ。彼女は左目から、夜空を内包したかのようなレーザー光線を放ってきた。それはデパートの床を切り裂きながらも、瞬時にアキ達へと迫る。

 

「皆、退避をするんだ!」

 

 バルエムの一声と共にアキ達は散開をし、レーザー光線をやり過ごす。しかし通り過ぎていったその光線は、背後で戦闘をしていたプロペラヘッドの巨腕を切り飛ばしたのだ。

 

 ──何ィ!?

 

 ──大丈夫!?

 

 彼とレゼの声が聞こえるが、アキは気にする余裕がない。というのも、急激に室温が上がり始めたためだ。

 

 融解する床に手を付けていたロンが、より強く腕を押し付けた。それと同時に辺り一帯が赤黒く光り始め、溶岩へと作り変えられていく。それにより店頭に並べられていた商品が熱に耐えられず燃え上がり、次々と火の手を上げ始めていた。

 

「厄介だな……!」

 

 アキはそう呟き、冷や汗を流す。彼の眼前ではツギハギと呼ばれた魔人が溶岩を操り、兵隊を量産していたのだ。言うなれば、溶岩人形。それらは融解した岩石が人の形となっており、次々とこちらへと歩み寄ってきていた。

 

「人間君、君は下がっていた方がいいかも」

 

「素直に従うと思うか?」

 

「はぁ。そういうところが嫌いだけど、嫌いじゃない。これが恋ってやつなのかな」

 

「冗談を言ってないでお前も戦え」

 

 アキは天使へ言葉を返しながらも、どうするべきかと思案した。その時、二人の男が現れたのだ。

 

「凄いことになってるじゃん。オレ、役に立てるかな?」

 

「──ほぉ、滾るじゃねぇか」

 

 一人は吉田ヒロフミであった。彼は困ったように笑っており、首元に手を当てている。そして、もう一人は顔と手に包帯を巻いた黒スーツの男であった。彼は腰に刀を差しており、それを見たアキは嬉しげに声を上げる。

 

「野茂さんッ!!」

 

「アキィ! 遅れちまってすまねぇな。だが、俺が来たからには安心していいぜ?」

 

 野茂は僅かに覗かせていた口元に笑みを浮かべると、刀に手を添える。そして、叫んだ。

 

「まずは魔人達を分断するぞ! 一番槍は俺が貰うッ!!」

 

 野茂は熱風をものともせずに駆け出した。アキは彼の周囲に風が渦巻いていることに気付くと、野茂が以前よりも多くの悪魔と契約していることを察する。

 

 ──野茂さん、貴方って人は……!

 

 向上心の塊であり、それでいて部下を大切にする男の背中に、アキは頼もしさを覚えるのだった。

 




 オリ要素
・ピンツイ強化
・コスモ強化
・ロン強化
・ツギハギ強化
・野茂再登場&強化(誰得)
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