ノリで秘密結社立ち上げたら入ってくるやつ全員秘密しかなかった   作:恋狸

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光属性主人公


圧倒的な光

Side ナイン

 

 ボスさん……すごい……。

 わたしは瞬く間に研究員たちの視界を塞いでいくボスさんの姿に感嘆を覚えていました。

 ……どうやって謎の光を発しているか分からないですが、もしかしたらボスさんの異能だったりするのかな……。

 

 わたしの【念力】は強力だけれど、その分少しだけ発動に"溜め"がいります。ほんの少しの溜めですが、戦闘においてはその"少し"が戦況を分けることがある──と、アクションシーンのある映画を見ていた時に由美さんが言っていました。

 

 実際、今の状況はまさしくそれが正しいことを示しています。

 洪水のように押し寄せてくる武器を持った研究員たちは、誰もが大した力を持っていないようですが、数の力というのは侮れないものです。

 

 わたしの【念力】の仕様上、高速で連発することはできません。

 

 ですが、ボスさんはその"溜め"を埋めるように、的確にわたしに迫る研究員たちに謎の光を放射して足を止めています。

 すごい……きっとボスさんが戦ったら恐ろしいくらい強いに違いありません。

 

 

『──共に行こう。君は一人じゃない』

 

 

 あの時、【読心】の応用でボスさんとシャルミナさんの会話を盗み聞きしていたわたしは、自分一人が安全圏で助かろうとしていることに嫌気が差して、つい押しかけるようにボスさんにわたしを連れて行ってくれるように頼み込みました。

 

 断られると、思っていた。

 だって、わたしは得体の知れない人物で、彼らの信用を何も得ることができていないから……。

 

 

 そんな憂慮は、ボスさんの即答で打ち砕かれました。

 

 ──君は一人じゃない。

 

 その言葉にどれほど救われたのか、きっとボスさんは分からないでしょう。嬉しかった。泣きそうだった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それだけのことがわたしにとって救いでした。

 

 あの研究所がわたしの人生の全てだと思っていたわたしにとって、由美さんは世界を広げてくれた大恩人で……ボスさんとシャルミナさんは、由美さんが広げてくれた世界で出会った初めての味方です。

 

 ……ぜったいにたすける。

 そんな強い決意と同時に、わたしはボスさんから貰ったモノクルの位置を直しました。

 

 ……このモノクルとマント、それと仮面。

 どれも不思議な力を感じました。

 

 どの装備の効果かは分かりませんが、明らかに()()()()()()()()()()()()()

 わたしの【念力】は人一人程度は軽く吹き飛ばす力はありましたが、大人数をまとめて吹き飛ばすほどの出力は無かったはずです。

 

 異能の出力を上げる装備なんて聞いたこともありません。

 

 ……今はそんなことはどうでも良いですね。

 

「……敵が少なくなってきたな。ナイン、どうだ。反応はあるか?」

「……少し集中してみます」

 

 確かに押し寄せるように襲いかかってきた研究員がいつの間にかいなくなっていました。

 そこでわたしは【読心】と【共感覚】の二つを使用した特殊な索敵方法で由美さんの反応を探し出すべく集中しました。

 

 ……ここは違う……違う……ここも……いえ、この……地下? 微かに人の反応が……二つ?

 

『君……ら……って、協力…………はない』

『侵入…………も……来て……ぞ』

 

 由美さんの声…………っ!!!

 みつけた!!!

 

「──っ、あっち!! 右に曲がって真っすぐ進んだ先の部屋から反応があります……!!」

「……それは僥倖。急ごうか。少し、失礼するよ」

「えっ、きゃっ……!」

 

 不意にボスさんがわたしの首と膝裏に手を回して──そう、俗に言う"お姫様抱っこ"をして走り出した。

 

 え……えっ……そ、そんな急に……いや、憧れはあったけど……おとこのひと……たくまし……ち、違いますよね!!

 

 わたしは正気を取り戻して、ボスさんに言いました。

 

「……ボスさんも【読心】が使えるんですか」

「ふふ、まさか。だが、共に行動している者の()()くらいは分かるよ。君、限界が近いだろう。走りっぱなしだったからな」

「足手まといにはなりたくないので、万が一の時は置いていってくださいね」

 

 由美さんと一緒に反応があった人物……。

 遠くて話の内容は聞き取れませんでしたが、【共感覚】からその人物には害意のようなものが読み取れました。

 ……考えたくはありませんが、その人物にボスさんが追い込まれてわたしが足手まといになった時……わたしを置いていって欲しい。

 もうここに連れて来てもらった時点で恩があって、巻き込んでしまった負い目もあります。

 

 だから、これ以上求めるのは贅沢というものです。

 

 

()()。私が一度救うと決めたからには、それをやり抜く責務がある。君が泣き喚いて置いていくように懇願しようと、私は君の意思を尊重しない。第一──涙を流す少女を見捨てるのは、私の性分に合わないのでね」

 

 ──【共感覚(シナスタジア)】。

 

 わたしはその異能を発動してボスさんを見ました。

 

 すると、圧倒的なまでの()がわたしを包み込みました。

 

「まぶしい…………」

 

 ああ……きっとこれはボスさんの心を表しているに違いありません。

 なんて、おおらかな人なんでしょうか。

 

 

☆☆☆

 

 やっべ、間違えてナインに懐中電灯ぶっぱなしちゃった。

 

 大丈夫かな……なんか恍惚な表情してる気がするんだけど……ま、まあ気の所為に違いないだろ。すぐ消したし。

 

 さてさて、どうやら最終決戦の時が近いようだ。

 ナイン曰く、例の研究員を見つけたらしいし。

 

 ここでラスボス的な存在を倒して取り戻してハッピーエンド……もしくは俺が救出している間にシャルミナと女刑事がここの黒幕を倒してハッピーエンド……って流れに違いない。

 俺の戦闘パートは十分にこなしただろうし、これ以上の見せ場は過多というものだろう。

 

 まあ、俺はずっと懐中電灯パなしてただけだけど。

 味方にもパなしちゃったし。

 

 ……って、アッ!!

 電池切れた!!! やべ!!!

 

 ……いや丁度良いか。

 これ以上の敵は現れないだろうし……。

 

 まあ、現れたら現れたらで何とかなるっしょ。

 知らんけど。

 

 

 

 

 

 




ホンマに眩しいことあるんかおい。

次回──主人公の戦闘回。
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