ツインバスターライフルを出したいだけなので、独自解釈や設定がございます。
第1話:自由
ぼんやりと、意識が浮上する。
目を開けると、全てが緑色の世界が広がっていた。
いや……。
私が緑色の液体の中に居るから、緑色に見えているのか……。
息は苦しくないし、身体が動かないと言うわけでもない。
何故私は……いや、私は誰だ?
私は誰で何をしていた?
名前……年齢……住んでいた場所。それらが全て思い出せない。
いや、俺は……私は知っている。
私は私だが、俺でもあり、私ではなく俺でもない。
空回る思考を止めるために、ふと辺りを見回すと、大きな液晶が目につき、薄っすらだが自分の状況を知る事が出来た。
液体の中に居るので分かっていたが、今はポッドの中に居て、隣に空のポッドがあるのも見えた。
無機質な光が部屋を照らしているが、人は誰も居ない様に見える。
このままポッドの中で待つか、それともポッドから外に出るか……。
状況から、自分がまともな状態で無いのは分かる。
此処は治療室というよりは、間違いなく実験室であり、私は何かしらされているのだろう。
人が居ない理由は分からないが、多分このまま此処に居るのは悪手な気がする。
腕を伸ばしてポッドに触ると、硬い感触が返ってくる。
……まあ、ダメ元だし、やるだけやるか。
「ごぼぉ! 」
気合いを込めて殴りつけると、案外簡単には割れて外へと投げ出される。
少しふらつくが、背中に違和感を感じた。
「つば……さ?」
ぐっしょりと濡れた翼……それも大きくて立派なのが、四枚も生えている。
私の記憶にある俺に翼など無く、動かし方も分からないはずなのに、意識すると手足のように動かすことが出来る。
そしてポッドの中では気付かなかったが、視線が低く、胸には小さいがオッパイもある。
勿論股下には何もないが、俺である私としては少し寂しいものがある。
無論私としては全く問題ないのだが、まだまだ頭の中が混乱しているのがよく分かる。
『…………そうか、実験は成功したのか……』
ポッドを壊したのに、警報も何も鳴らないと思っていると、大きなディスプレイが光り、男の姿が映る。
誰なのか分からないが、やはり私は何かしらの研究や実験をされていたのだろう。
最初の一言で、それが察せられた。
声は男だが顔の部分は人の顔ではなく、炎みたいに揺らめいている。
私は人だと思うが、俺の部分では不気味な存在だと感じる。
『これを聞いているということは、私は既に死んでいるか、或いはこの世界から去っているのだろう。目覚めた時に近くに居ることが出来ずにすまない』
通話かと思ったが、録画したものだったか……。
少し悲しいが、今は話を聞いておいた方が良いな。
『目覚めた君が覚えているか分からないが、私は神秘が与える身体への影響。そして、神秘の意味付けの研究をしていた。君は契約の下、私の研究に協力してくれていた。今だから白状するが、私は当初君をただのモルモットとしか思っていなかった』
……状況から理解できるが、男の声を聞いても怒りは湧いてこない。
悪い
しかし神秘か……何のことだ?
『研究は順調とは言えなかったが、君の協力もあり成果自体は出ていた。だが、研究は色彩により全て無意味の物となってしまった……』
色彩……恐怖……ああ、そうか、私は……私達は負けたのか。
『神秘に君という情報を包容させ、無事な平行世界で新たに組み立て直す。成功したとしても、君が君自身かは分からない。だが、生きている事を嬉しく思う』
私は死んだが、私という存在を神秘へと変化させ、逃がしたってことか……。
その途中で俺が混ざったわけだが、それはそれとして私には翼なんて生えていなかった気がする。
『今の君を縛る物は何もない。契約も、繋がりさえもだ。色彩も余程のことが無い限り、滅ぼしに来る事は無いだろう。だから、自由に生きて構わない。……だが、万が一のために、武器を残しておいた』
武器……銃の事か。
ぼんやりとだが、SG550を改造したのを使っていた気がする。
命中精度が高く、鈍器代わりにしても大丈夫な頑丈な銃だった……かな?
『この研究室は、私が消える前に残したものだ。後は好きに使ってくれて構わない。君の未来に幸あらん事を願う』
映像が止まり、ディスプレイが暗くなる。
……あの、名前は?
自由と言われても、記憶が無いせいで何も分からないし、俺の知識の方も使えるか分からない。
それに、話し方的に男もこの世界へとやって来たのだろうが、せめてそこら辺も説明して欲しかった……。
とりあえず裸で辺りを散策すると、カードキーとこの研究室の地図。それから武器について書かれた紙が置いてあった。
「スナイパーライフル……にしては……」
普通の銃はマガジンに込めた弾を放つのだが、男が残した銃はエネルギーパックからエネルギーを供給し、圧縮したのを撃つ形式となっている。
そしてこのエネルギーとは神秘の事であり、少々特殊な仕様となっている。
ざっくりと言えば、私専用の武装となっていて、最大出力で使えるのは私だけだ。
エネルギーパックとは私自身の神秘を込めなくても使うために必要な物であり、威力の調整のためにでもある。
更に二本で一本の銃となっているのだが、銃身の長さだけで二メートル位ある。
重さも相応にあるが…………まあ先ずは使ってみない事には何も言えないな。
折角私の為に造ってくれた物だし、出来れば普段使いしたい。
……いや、銃なんて普段使いする物ではないと俺の知識にはあるが、平行世界である以上、銃撃戦が当たり前なはずだ。
記憶は無いが、身体に染み付いている物がある。
記憶は無いのに妙な知識がありまだまだ混乱するが、何があろうと私は私だ。
名前は無いが、生きてるのだからそんなに悩まなくても良いだろう。
さて、銃の名前はゼロカスタムか……カスタムって事はゼロが元の名前なのだろうか?
型式はXXXG-00W0と書いてあるが、多分男の趣味だろう。
出来れば男の名前が書いてあれば良かったのだが、それらしいものは見当たらない。
一応恩人になるので、名前くらい知っておきたかったが、仕方ない。
銃を見に行きたい気持ちもあるが、今も裸だし、翼も濡れたままなので、先に部屋で着替えるとしよう。
しかし、翼が自分の意思で動くのは妙な感覚だな。
それに生えている位置も少しおかしい気がする。
背中が見えないので正確には分からないが、ほとんど横に四翼並んでいる気がする。
真ん中の二翼は後ろに飛び出ている感じで、左右は横から前に広がる感じだ。
仰向けで寝ることは出来るのだろうか?
翼があっても、自力で飛ぶなんてマネは出来ないと私は思うので、完全に邪魔なだけである。
私が特殊なのでもしかしたら飛べるかも知れないが、後で試してみるとしよう。
飛べなかったとしても、翼が丈夫ならガンラックの代わりに使うことも出来る。
二メートル以上あるゼロカスタムを、普通に持って歩くのは大変そうだからな。
カードキーで扉を開けながら進み、私用に用意されていた部屋へと入る。
あるのはタンスとクローゼット。それから机とベッド。
必要最低限だが、何故か懐かしく感じる。
机の上にはスマホがポツンと置かれ、充電ケーブルに繋がれている。
私の……ということか。
「電源は入る……か。それと、クレジットか……」
パスワードは設定されておらず、スマホの中にはほとんどアプリが入っていない。
電子マネーとして使えるクレジットが結構な金額用意されているので、多分当分は生きるのに困ることはないだろう。
おっと、スマホは一旦見るのを止めて、シャワーを浴びなければな。
大きな翼も邪魔だが、髪も腰辺りまで伸びていて洗うのが大変そうだ。
翼とは違い、髪は切ることも出来るので、後で考えるとしよう。
私の髪はそんなに長くなかった気がするし。
色もこんなに綺麗な白ではなかったはずだ。
翼も白なので、全身が真っ白だ……いや、肌の色は多少白いが、ちゃんと血が通っている白さなので、そんなに白くはない。
「あー、生き返るわー」
温かいシャワーを浴びると、身体から余分な力が抜ける。
何も分からない状況に、少なからずストレスを感じているようだ。
名前もそうだが、私の今の年齢はいくつなのだろうか?
浴室にある鏡を見ると、若い少女である私が居る。
死ぬ前の私は確かもう直ぐ卒業……する予定だった気がする。
私が私なら同じ年齢だと思うが、俺や他にも色々と混ざっているので、前の年齢は当てにならない。
折角だし、もう一度学校…………学校………………通えるのか?
言うなれば、今の私はホームレスと一緒だ。
金と家は有っても、私が私を証明する方法がない。
スマホにも俺らしいものは無いし、学籍もない。
…………まあそこら辺も先ずは調べてからだな。
箱を開ける前に箱の中身で何をするか考えても、違うものが出てくれば意味がないのだ。
髪と翼を頑張って洗い、同じく頑張って乾かす。
洗って乾かすだけで、一時間以上必要になるとは…………面倒なことこの上ない。
誰か代わりにやってくれないだろうか……。
クローゼットの中にある服を取り出すが、翼のせいで着ることが出来るのがほとんどない。
多分あの男も、俺がこの様な姿になることを計算していなかったのだろう。
かなり早い段階で死んでしまい、あのポッドで私が出来上がるのを見届ける事が出来なかった……ってことだ。
幸い背中がガバっと開いている服があったので、それを着る。
翼を軽く動かすが、服に擦れることもなく、思いの外自由に動く。
翼で自分を包むことも出来そうだ。
身だしなみは整えたので、次はメインディッシュを見に行くとしよう。
XXXG-0W00――ゼロカスタム。
神秘を弾として打ち出す、銃身が二メートルを越える二丁の銃。
少し、楽しみだ。
1
『カードキー並びに管理者の承認を確認。ロックを解除します』
ポッドがあった実験室から地下へ続く階段を降りた先にあった、厳重な扉が開く。
扉の厚みは勿論のこと、何枚も扉が重なっており、物理的に抉じ開けるのは無理そうだな。
部屋の中に足を踏み入れると、照明が点灯して部屋の壁に掛けられている銃を照す。
「とても……大きいわね」
紙に書いてあったスペックでは、全長二.五メートル。重量は一丁あたり二百五十キロ。
現在は非アクティブ状態であるため、銃身が短くなっており、全長が二メートル位となっている。
破壊力は私の神秘次第だが、戦車程度なら軽く一発で破壊することが出来る。
最大威力……リミッターを解除しないで二丁を束ねた時の破壊力は、シェルターを貫けるそうだ。
…………過剰過ぎないだろうか?
色彩に負けたことだけは覚えているが、これでも勝つのは無理なのだろうか?
俺の部分は何やら呆れているが、まあ備えあれば憂いなしだ。
破壊力は凄いが、神秘そのものを放つ関係で、非殺傷モードも備わっている。
戦車の装甲を貫いても、乗っている相手に与えるダメージは最小限で済むのだ。
まあ戦車の爆発には巻き込まれるし、殺傷能力は無くても相手の神秘を削るらしいので、威力次第では気絶するみたいだが。
「……うっそ」
重さ的に持てるか分からなかったが、ハンガーから外してみた所、普通に持つことが出来た。
自分の感覚に従い、神秘っぽいのをゼロカスタムへと流し込むと、一部が仄かに光り、稼働音と共に銃身が伸びる。
……うん。邪魔だな。
ロマンと言うモノも分かるが、私の神秘が強いのならば、別にハンドガンでも問題無い……気がする。
とりあえずゼロカスタムを持ち出し、実験室まで戻ってくる。
今の私には、情報や知識が不足している。
スマホを見たところ、ネットには繋がっているみたいなので、先ずは情報を収集するのが先決だ。
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