翼を得た少女は自由の意味を探す   作:ココア@レネ

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ウマ娘の二次か、ダン街の二次か、ブルアカの二次のどれかを書きたいなと昔悩んでいたのですが、選ばれたのはブルアカでした。

今更ですが、本小説は基本的に対話(暴力)で解決していきます(多分)。



第23話:ラストシューティング×2

「流石大聖堂でしたね。見る事が出来て良かったです」

「はい。私もじっくり見るのは初めてでしたけど、とても綺麗でした」

 

 サクラコさんなんて危ない人に出会ったものの、大聖堂自体はとても素晴らしかった。

 

 大聖堂の中は勿論の事、中庭はしっかりと剪定されていて、心地よい風が通り抜ける様になっており、更に噴水で打ち上がる水の音が心地よかった。

 

 一時的に翼に止まる鳥の数が増える事件はあったものの、ヒフミさん曰く出る時には元の数に戻っていたらしい。

 

 どうやら、最初の十六匹はそのままみたいだ。

 

「ナギサ様との約束の時間まではまだありますし次は……」

「今だ!撃ってしまえ!」

 

 次についてヒフミさんと話そうとすると、沢山の爆発音と共に、発砲音が聞こえてきた。

 

 位置的に先程デモをしていた珈琲部が、遂にしびれを切らしたのだろう。

 

「総員! 暴徒を鎮圧せよ。暴れたならば、仕方ありません」

「あ、ああ……サクラコ様になんて説明すれば……」

 

 珈琲部に、正義実現委員会とシスターフッド。

 

 シスターフッドは逃げようとしているが、珈琲部の矛先はシスターフッドに向いているらしく、正義実現委員会の後ろに隠れて動けないでいる。

 

 結構な人数のデモだったためか、中々酷い事になり始めているのが良く見える。

 

「どうしましょうか?」

「……どうしますかね……」 

 

 ドンパチが始まったせいで、私達は大聖堂から出て行くことが出来なくなってしまった。

 

 遠回りすれば他の出口から出る事も可能だろうけども、その遠回りがかなり遠回りとなってしまう。

 

 とりあえずヒフミさんと一緒になって眺めているが、人数的に珈琲部が有利であり、あくまでも監視に留めていた正義実現委員会が押され気味になっている。

 

 黒い制服を着ているおかげか、勢力差が分かりやすい。

 

「ヒフミさんが良ければ、介入して終わらせますが、どうしますか?」

 

 位置的に上を取れているため、被害を考えなければ一撃か二撃位で全員纏めて戦闘不能に出来るだろう。

 

 一般生徒は逃げているので、倒して直ぐに逃げれば煩く言われる事は無いと思う。

 

 おそらく待っていれば正義実現委員会……正実の増援が来て、騒ぎは収まるだろうけど、それまでに珈琲部が大聖堂まで来ないとも限らない。

 

 噂ではシスターフッドも武闘派が居るらしいけど、タイミング悪かったのだろうか?

 

「ええ! 危ないですよ! 待っていればきっと正義実現委員会がどうにかしてくれますし、ここは……」

「しかし、折角ヒフミさんと一緒に居られる時間を無駄にするのは、勿体ないと思いまして。危険はありませんし、ほんの一瞬で終わりますので、駄目でしょうか?」

「う~ん……」 

 

 ヒフミさんは頭を抱えて悩み、その間に流れ弾が飛んできたのでそっと弾いておく。

 

 翼に止まっているシマエナガ達は全く動じることなく、飛ばずに翼に止まったままだ。

 

 怖くないのだろうか?

 

「本当に大丈夫なんですか?」

「はい。これでもゲヘナで普通に生活できる程度には強いので、安心してください」 

 

 最後は風紀委員会に喧嘩を売って逃げてきてしまったけど、私の分の罪はハルナさんが受けてくれている筈だ。

 

 もしかしたら、イオリさんが乗っていた装甲車が事故を起こしていたかもしれないけど、撃たれたから撃ち返しただけなので、ノーカウントだ。

 

「そ、それなら、お願いしてもいいですか?」

「はい。念のためですが、伏せていて下さいね」

 

 ヒフミさんから許可が出たので、ゼロカスタムを翼から受け取り、合体させながら起動させる。

 

 出力は二割弱くらいで良いだろう。

 

 ちゃんと許可は貰っているし、多少の被害はお嬢様校たるトリニティなら問題ないと思う。

 

 銃撃戦が起きているおかげで、近くには誰も居ない。

 

 四枚の翼を大きく広げ、神秘をゼロカスタムに込めながら空へと跳ぶ。

 

 流石にシマエナガ達は逃げたが、近くで飛んでいるのが見える。

 

 跳ぶ時に、地面から割れる音がしたが、きっと気のせいだろう。

 

「照準良し。セーフティーロック……ファイア!」

 

 一発目が着弾し、コンクリートを吹き飛ばし、ついでに生徒達を気絶させる。

 

 後方を狙ったが、前線辺りはまだ意識があるので、二発目は前線目掛けて撃つ。

 

 ガレキと一緒に生徒も吹き飛んだが、着地する頃には爆発音や銃声は聞こえなくなり、見た限り全員制圧できたみたいだ。

 

 ゼロカスタムを翼に戻すとシマエナガ達も戻って来た。

 

 本当にこの鳥たちは何なのだろうか?

 

「え、エリスちゃん!」

「これで大丈夫ですね。それでは逃げましょう」

「えぇっ!?」

 

 驚きながらもヒフミさんは、しっかりと私の手を引いて走り出す。

 

 ヒフミさんは本当に表情豊かで面白い人だ。

 

 確かトリニティには救護騎士団という医療を専門とした部活があるので、後処理は大丈夫だろう。

 

 瓦礫での怪我はあっても、大怪我をすることは無いし。

 

「次はどこに行きたいですか?」

「図書館か古書館に行ってみたいですね。今日は時間を取れませんが、後日読みに行きたいので」

 

 トリニティの図書館はかなり大きいらしく、それにともない様々な分野の知識が集約されているらしい。

 

 知識を得るという面では、本を読み漁るのが一番効率が良い。

 

 古書館は噂程度しかSNSに流れてなかったが、表には出ない本が沢山有るとか。

 

 もしかしたらゼロカスタムに使われたオーパーツや、ゼロカスタムの解明に役立つ知識がないかと期待している。

 

「古書館は一般生徒が入れないようにバリケードがされていて、直ぐには入れないですね。図書館なら大丈夫です!」

「それでは図書館にお願いします」 

 

 図書館へと向かって歩いている最中に、通常のトリニティの制服ではなく、ナース服みたいな服を着た生徒達とすれ違う。

 

 急いでいるようだが、間違いなく私のせいだろう。

 

 少しだけヒフミさんの動きがぎこちなくなるも、通り過ぎた後は元に戻った。

 

 何となく隠れるように進み、大聖堂程ではないものの、立派な建物に辿り着いた。

 

「こちらの建物も立派ですね……」 

「私はあまり来ることはないけど、静かで良い場所らしいです」

 

 まあ学生で図書館に通う人は少ないのだろう。

 

 一々本を借りなくても、買ってしまえば良いと思っている人が大半だろうし。

 

 先程の騒ぎの影響もあるのだろうが、図書館周りはあまり人気が無い。

 

「ナギサさんとの待ち合わせまでは、あとどれ位ありますか?」

「後二時間位ですね。後で連絡をくれると言っていました」

 

 二時間位か……移動も考えると、一時間から一時間三十分位……それ位なら、このまま図書館で時間を潰せば良いか。

 

 ほとぼりが冷めるのを待つにも丁度良いだろうし。

 

「それでは、時間までは図書館でゆっくりとしましょう」

「分かりました」

 

 さてさて、どれだけ本があるだろうか?

 

 

 

 

 

1

 

 

 

 

 

 

 エリスとヒフミが身を隠すために図書館へ入った頃、事件現場は大変な事になっていた。

 

 確かにエリスの銃撃……砲撃により致命的な怪我をした生徒は誰一人としていない。

 

 しかし、そんな生徒が数十人倒れ伏し、地面にはクレーターが出来上がっている状況はかなり薄気味悪いものがある。

 

「外傷は瓦礫によるものだけですか……しかし、軽度の衰弱症状も……」

 

 現場で救護に当たるミネは、辺りの破壊の痕跡と倒れ伏す生徒達の状況に違和感を覚えた。

 

 地面にあけられたクレーターは、迫撃砲や戦車クラスの大きさであり、そんな爆発に巻き込まれれば、この程度の怪我で済むはずがない。

 

 手足が折れたり、もっと酷い出血をしているはずなのだ。

 

 そして怪我もそうだが、この衰弱症状の原因が分からない。

 

 衰弱と言うよりは、疲れからの気を失った様に見えるが、初めてみる症状であった。

 

「怪我は軽度なので、消毒とガーゼで処置をお願いします」 

「分かりました!」

 

 ミネは指示を出しながら自らも手を動かし、辺りの惨状をもう一度確認する。

  

 倒れている生徒には争っていた痕跡が見られるが、状況からするに第三者による犯行なのだと考えられる。

 

「あら、これはまた凄いことになってるっすね」

「来ましたね。全員軽度の怪我ですので、引き取って頂いて構いません」

「えっ、これでですか?」

 

 しばらくすると正義実現委員会の部員とイチカが現れたので、ミネは問題ないことを告げるが、イチカとしては驚きでしかなかった。

 

 だが、倒れている部員を見ると本当に軽症であり、イチカは一緒に来た部員に抱えて帰るように指示を出す。

 

「しかし、これはまた修復が大変そうっすね。犯人とか知ってます?」

「いえ、私が来た時点では既にこの有り様でした」

「ふーむ……」

 

 イチカ達正義実現委員会は応援の要請を受けて、この場に来たのだが、無線が急に繋がらなくなり、急いで来た結果がご覧の有り様であった。

 

 暴徒に負けたのではなく、第三者の介入により全員纏めて倒された。

 

 そう見るのが妥当だが、これだけの人数を倒したならば、痕跡が残るものだ。

 

 砲撃によるものならば弾頭が。ミサイルならば破片が。

 

 クレーターこそ残っているものの、どの様に作られたのかは分からない。

 

「う……うぅ……」 

「目が覚めましたか。何が起きたのか分かりますか?」

 

 ミネが処置をしていた生徒が意識を取り戻し、薄目を開ける。

 

「……天使が……天使が空から……」

「――気を失いましたか」

「天使っすか……それも空から……」

 

 一言だけ残し再び生徒は気を失ったが、残された言葉を聞いてイチカは空を見上げる。

 

 その時、少しだけ強い風が吹き、大きな一枚の羽が飛んできた。

 

 それをイチカは掴み、ミネにも見えるようにして持つ。

 

 その羽はとても大きく真っ白であることから、鳥のものではないのが見て分かる。

 

 しかし羽の大きさとは翼の大きさであり、これだけ大きな羽となれば、犯人についても直ぐに分かりそうなものだが、イチカには心当たりがなかった。

 

 いや、この羽が黒ければ一人だけ思い当たる人がいるが、ともかく犯人の手掛かりになるものを手に入れることが出来た。 

 

「取りあえず私達は引き上げるっす。何か分かりましたら連絡をお願いします」

「……分かりました」

 

 倒れていた正義実現委員会の部員と、デモを行っていた珈琲部を護送車に乗せてイチカ達は去っていく。

 

 ミネは先程の羽を見て、来る途中にすれ違った一人の少女を思い出していた。

 

 意識の外ではあったが、その少女はトリニティでも見たことがない位の大きな翼を生やしており、イチカが持っていった羽が生えていてもおかしくない程の大きい翼だった。

 

 偶然飛んできた羽だけで容疑者として挙げるのは憚られたため、ミネはイチカに出会った少女の事を教えなかった。

 

 そして、その時に何か違うものも見たような気もするのだが、急いでいた事もあり、翼以外の事をミネは覚えていなかった。

 

 件の少女を探すべきか、それとも放置しておくべきか……。

 

 一緒にトリニティの制服を着た少女も居たので、何かの理由があってトリニティに居るのは明白だ。

 

「ミネさん! 果樹園にて窃盗団と正実が戦っているそうです! どうしますか?」

「……分かりました。残りの倒れている生徒達はベッドまで運んでください。手の空いている方々は、私と一緒に行きますよ」

「分かりました!」

 

 気になりはするが、ミネにとっては目先の救護が優先である。

 

 もしも犯行現場で会うようなことがあれば、その時に行動すればいい。

 

 そう思い直し、ミネは走り出した。

 

 

 

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