翼を得た少女は自由の意味を探す   作:ココア@レネ

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今年最後に始まりのお話になります。
なるべく週一位の投稿でやっていこうと思いますが、他にも色々と書いているため、遅れたらすみません。
因みに作者は先日やっとアリスを迎える事が出来ました。
エンジョイ勢ではあるのですが、本当に来てくれなかった……。


プロローグ~第一章
第33話:プロローグ.終焉へと向かう希望の道標


 ……私のミスでした(私の間違いだった)

 

 私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況(終焉)

 

 結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかった(一人ではなにも成しえない)ことを悟るだなんて……。

 

 ……今更図々しいですが、お願いします。

 

 先生(■■■)

 

 きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。

 

 何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから。

 

 ですから…...大事なのは経験(選択)ではなく、選択(意思)

 

 私が信じられる大人(子共)である、あなた(お前)になら、この捻れて歪んだ先の終着点(絶望)とは、また別の結果(結末)を……。

 

 そこへ繋がる選択肢(希望)は……きっと見つかるはずです。

 

 だから先生(■■■)、どうか……。

 

 世界(未来)を……。

 

 

 

 

 

 

1

 

 

 

 

 

 

 ある日から、キヴォトス内の犯罪率が異様な程上がり始めたとSNSで流れ始めた。

 

 トリニティへと入学し、やっと学校生活に慣れ……慣れ……諦めがつき始めた位からだ。

 

 賞金稼ぎとちょっとした傭兵業でお金を稼ぐ生活をしていたので、キヴォトスが荒れていくのをこの目で見ることが出来た。

 

 トリニティ内は正実が頑張っているのと、ミネさんの暴走により他よりもマシだったけど、他は散々たるものだ。

 

 それと、私としては少し不可解な事が幾つかあった。

 

 一つ目は、ミカさんだ。

 

 お茶会に誘ってくれるのは良いけど、何か焦っている様な感じがした。

 

 それと……いや、私にはミカさんの考えは分からないけど、平和を望んでいる事だけはよく理解できた。

 

 ゲヘナへの敵意はあるけれど、その敵意は無知から来るものだと話している内に分かった。

 

 とは言っても別に私にどうこうするつもりもないので、聞き流しながらお茶を飲んでやり過ごした。

 

 少し遠出に誘われる事もあったけど、タイミングが合わなかった事とミネさんに攫われたりなんて事があり、遠出をすることは叶わなかった。

 

 そしてその遠出については、とある事件があって以降誘われる事が無くなった。

 

 二つ目はナギサさんと、セイアさんだ。

 

 ナギサさんは会うたびに少しずつ生気を失っていくというか、何やら疲れた様子だったけど、セイアさんが襲撃される事件が起きて以降、ガラッと変わった。

 

 セイアさんの代わりにホストとなり、トリニティを纏めて行く事になったのだから仕方ないのかもしれないけど、私には無理をしている様にしか見えない。

 

 少しばかり見ていられなかったので、手伝いを申し出たら…………いや、この件はナギサさんのためにも、胸にしまっておくとしよう。

 

 多分私がトリニティの生徒を叩きのめしたのも関係していたと思うので、少しだけ申し訳ない気持ちになった。

 

 悪いのは相手だけど。

 

 ついでにその時やっとナギサさんとモモトークを交換した。

 

 トリニティ内でも色々と変化が起き始めたが、他にも重大な事が起きていたりする。

 

 それはセイアさんについてなのだけど、この件は他言無用と念を押されているのと、個人的になるべく忘れていたいので、考えるのも止めておく。

 

 自由とは何なのか知りたいのに生きているのに、最近は縛られてばかりだ。

 

 たまの息抜きにヒフミさんとライブに出掛けたり、ハルナさんと美味しい物を食べに行ったり、イチカさんを揶揄ったりしてストレス発散をしていた…………けど。

 

 諸事情により私は今、D.U.にあるビルの屋上に居る。

 

 お金を沢山稼ぎウタハさんに貢ぐことにより、私は様々な装備を手に入れたのだが、そんな事は一旦おいといて私が此処に居る理由は、ナギサさんからのお願いとハスミさんが関係している。

 

 犯罪率が上がっているのは連邦生徒会が機能不全に陥っているからであり、その確認のためにハスミさんがサンクトゥムタワーに出向いている。

 

 私も同行しても良かったけど、俺や私があそこに入るのは嫌らしく、こうやって外から監視をするに留めている。

 

 しかし、今日もキヴォトスは荒れてるな……。

 

 少し遠いけど銃声が聞こえるし、戦車が走っているのが見える。

 

 ……いや、装甲車や戦車が走っているのはいつもの事だけど、こんなところで走らせていれば、ヴァルキューレが取り締まるはずだけど…………それだけおかしな状況って事か。

 

 狙撃しても良いけど、一銭にもならないし無視で良いか。

 

 しばらく待っていると、サンクトゥムタワーからハスミさんの他に、数人出て来て、車に乗って移動を開始した。

 

 一人大人の人が混じっていたけど……あの様子ではトリニティへ帰るって感じでもないし、ビルの上を跳んで後をついていく。

 

 すると途中で降りてから、暴れているヘルメット団を相手に戦いながら進み始めた。

 

 戦っているのはハスミさんにスズミさん。それからユウカさんとチナツさんか。

 

 全員知り合いだけど、多分全員目的は一緒だったのだろう。

 

 向かっているのは……あの大きなビルか。

 

 助けに入っても良いけど、しばらくは静観しておくかな。

 

 どうも俺の部分は、あの大人に対して良い感情を持っていないようだし。

 

 ただ私の部分は完全に無反応なので、少し気になる。

 

 そんな訳で双眼鏡で眺めていると、手配書に載っていた人が大量の不良と共に現れて戦闘になり、挙句にトリニティでも使われている、巡航戦車クルセイダーが走って来た。

 

 あの面子では少し大変そうだし、先日ハスミさんには美味しい紅茶を飲ませて貰ったので、少しお手伝いをしておこう。

 

 

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 

「巡航戦車クルセイダー一型!? まさか、トリニティの正式採用戦車と同じ――」

「本当に不良が戦車を……!?」

 

 シャーレの目前までやって来た、成り行きで先生となった大人とハスミ達。

 

 しかし七囚人であるワカモの置き土産である、不良達と戦車に驚きの声を上げる。

 

 徹甲弾をハスミは持っているものの、クルセイダーの装甲を抜くには力不足であり、先生はどうやってこの困難を抜けるか思案していた。

 

(装甲は確かに厚いけど、真正面からでなければ……)

 

 やりようはある。

 

 直ぐに指示を出そうと口を開こうとするが、その時――一筋の閃光がクルセイダーを呑み込んだ。

 

「これは……」

「この射撃は……あの子ね」

 

 決死の戦いを挑むべき相手であったクルセイダーは爆発四散し、シャーレの前に大きなクレーターを作りだす。

 

 あまりの状況に頭が追いつかない先生だが、ハスミとユウカの二人……いや、四人ともあまり驚いていないようだ。

 

 呆れる様な、苦々しい様な。全員浮かべている表情は違うが、銃を既に下げ、先程までの重苦しい雰囲気は無くなっている。

 

 そして――空から一人の少女が舞い降りてきた。

 

 白い制服を身に纏い、ハスミとは違い白い翼を四枚生やしている。

 

「おお!」

「えっ、先生?」

 

 急に大声を上げた先生だが、それは無理も無い事だった。

 

 先生は先生である前に、一人の男だ。

 

 そして目の前の少女はロマンの塊であった。

 

 翼を覆う機械に、戦車の主砲クラスの大きさの銃。

 

 しかも武器を収納する時の動きは、男心を大いに刺激した。

 

 そしてそんな先生を見てユウカは少し引いた。

 

「援護ありがとうございます。しかし、どうしてここに?」

「ミレニアムへ行った際に、プリプリ怒りながら出て行くユウカさんを見たので、装備の確認ついでに後をつけて来ました」

「えっ! 気付かなかったわ……」

「ビルの屋上を伝って移動していましたから。ところで、そちらの大人の方は?」

 

 本当はナギサのお願いで来ていたエリスだが、正直に話してしまえば正実に疑惑を持たせる事となるので、あり得そうな嘘を話す。

 

 仮にユウカが変な反応をしても、ゲヘナ側の言い訳も用意してあるので抜かりはない。

 

「私は先生だよ。宜しく。君は?」

「トリニティ総合学園一年の白凰エリスと申します」

 

 お嬢様らしい自己紹介をするエリスだが、お嬢様と呼ぶにはゴツい装備をしている。

 

 背中は勿論のこと、スカートの部分や靴に機械らしきものを装備し、仕草は優雅だがトリニティというよりは、ミレニアムと言われた方が納得出来る。

 

 そんなエリスは悩む素振りをする。

 

「先生……ですか……。ところで、ビルに行かなくて大丈夫なのですか?」

 

 エリスの登場に面喰らってしまっていた面々が、当初の目的はシャーレの奪還である。

 

 クルセイダーで使うはずだった時間は、エリスの自己紹介となり、時間的には結局変わらない結果となる。

 

「そうだった……リン? シャーレに到着したよ、見た所他に敵性勢力は見当たらない」

 

『はい、此方でも確認しています、彼女が現れたのは予想外でしたが……周辺に展開した敵部隊は見当たりません、シャーレの奪還は一先ず成功でしょう――私も直ぐに到着します。先生はシャーレの地下に向かって下さい……お話はそこで』

 

 慌てて通信をした先生は一息ついたと汗を拭い、少しだけ思考する。

 

「皆、お疲れ様。私はシャーレの地下へと向かうから、周りの警備をお願いしていいかな? リンの出迎えも必要だろうからね」

「それは……いえ、分かりました」

「仕方ないわね。けど、大丈夫なの? 中にはあのワカモが居るかもしれないのよ?」

 

 ユウカの言う通り、ワカモが何処へ行ったかは分かっていない。

 

 なので、シャーレ内に潜んでいる可能性は十分にある。

 

 しかし、先生はあまり心配していなかった。

 

 何故なのか…………それは先生自身も上手く分かっていない。

 

「大丈夫だよ。それじゃあお願いね」

「よく分かりませんが、私は関係ないと思いますので、これにて失礼しますね。それでは」

 

 善意と情報収集の為に現れたエリスだったが、正確には今何が起きているのかを理解していない。

 

 そして下手に関わらない方が良いと、エリスの中の何かが囁き、エリスは跳んでいなくなってしまう。

 

 エリスが居た場所には、純白の羽根が一枚だけゆっくりと舞い降りる。

 

 そんなエリスを見送った先生はシャーレへと入って行き、ハスミはエリスが来た本当の理由を考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

 

 先生……先生ね……。

 

 ちょっとお手伝いをした後、私はシャーレの屋上へと跳んできた。

 

 ウタハさん謹製の重力軽減装置のおかげで、ゼロカスタムを装備していてもそれなりに跳んだり飛んだり出来るようになった。

 

 お値段は目が飛び出るほどだったけど、新しくエンジニア部に入った子達のおかげで、良い感じの仕上がりである。

 

 しかしちょいとSNSで調べてみたけど、連邦生徒会長の失踪に、その連邦生徒会長が残したシャーレとその顧問である先生。

 

 まだ詳しくは分からないけど、俺と私が騒めいているのが分かる。

 

 ついでに先程の先生とハスミさん達の戦いについても書かれているが、クルセイダーを破壊した私については特に書かれていない。

 

 理由は分かっているので気にしないけど、お金のためとはいえ、暴れてきた結果としか言えない。

 

 何気なく下を眺めていると、黒い影が飛び出てそのまま遠ざかって行く。

 

 このまま様子を見ても良いけど…………折角だし追いかけてみよう。

 

 あの尻尾はワカモさんのはずだし、少し気になることもあるし。

 

 ゼロカスタムを片方だけ持ち、思いっきり跳ぶ。

 

 それにしても、大金を叩いてウタハさんに開発をお願いして良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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