「週休4日、正社員雇用」なんて美味い話、ある訳ない!   作:ダブル亮禅

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3話 ハッピーなセット

 

「一応さ、会社作る時、何をする会社か申請しなきゃいけないらしくてさ、とりあえず俺が小遣い稼ぎでやってた転売で申請出したんだって。だから、一応転売の実績も残しとこうと思ってな。」

俺の入った会社は公式では転売ヤーの会社らしい。

 

目的地に着くと、車を近くの駐車場に停め、店に向かう。

流石は有名ハンバーガーチェーン、

今日もお客さんがレジの前に何人も並んでいる。

社長とは店の前で別れ、

さも無関係でございって顔で別の列に並ぶ。

順番が来て、

「ハッピー◯ット、3つ下さい」

と注文すると、店員さんから、

「ハッピー◯ットは小学生以下のお客様を対象と致しております」

と言われ、恥ずかしさで俺は泣きたくなった。

「今日は息子の友達が遊びに来るんで、頼まれて」

と、社長の指示通りのセリフを言う。

…ごめんなさい嘘です。と罪悪感から心の中で謝罪する俺。

「はぁ〜…。分かりました、ハッピー◯ット3点ですね」

薄っすら俺の嘘を見抜いてはいるが、

指摘しても厄介なだけと諦めてオーダーを通してくれる店員さん。

ご面倒をおかけして本当にごめんなさい!

お金を払い、番号待ち。

番号を呼ばれるまでの時間が矢鱈と長く感じられる。

やっと出来上がったセットを受け取り、

そそくさと店を出る。

もうこの店にはしばらく来れないなと嘆きながら

社長の車に戻る。

終わったー

とほっと一息つくのも束の間、

「買ったセットは車に置いて、さっきの店戻るか」

と社長が言う。

「いやいや流石に次は売ってくれないと思う…」

拒絶する俺。

「大丈夫!この時間、あの店、シフトチェンジだから。

店員さん変わるから再トライ出来る!」

と、無駄なリサーチ力を見せてくる社長。

俺はしぶしぶつい今し方

「しばらくはいけない」

と嘆いた店に再び向かうのであった。

その日は3店舗をまわり、通算で7回も並ばされる。

最後の一回などは他の店舗を回った後に

もう一回最初の店に戻ると言われ並んだ。

しかも、俺の買った分で品切れになった様で

すぐ後ろに並んでいた子供が買えなくて

号泣していた。

番号待ちのあいだ、他の客や店員さんが

「お前、大人なんだから一つ譲ってやれよ」

と俺を非難しているような気がして

待ち時間をその日一番長く感じた。

 

帰り道…

車のトランクはチーズバーガーとポテトで溢れかえり、

目的のフィギュアも用意していた紙袋にパンパン詰め込まれていた。

「ざっと40ってとかかな。やっぱ人手あると違うわー」

ホクホク顔で運転する社長。

俺の方はさっきの子供の泣き声が耳から離れない。

「……社長」

「ん?」

「子供、泣いてましたね」

「ああ。今回のハッピー◯ットは転売ヤー界隈でも

前評判高かったからな。予想以上に品切れが早かった。

もう少し早目に動くべきだったなぁ」

買い占めている側の癖に他人事のように話す社長。

「子供、きっと楽しみにしてたんでしょうね」

思わず嫌味のようなことを言ってしまう。

でも、よくよく考えれば俺だって買い占めた側なんだ。

なに他人事みたいに言っているんだと自分に腹を立てる。

 

急に喋らなくなった俺を見て社長も気まずくなったのか、

「明日から土日月の三連休だけど、何すんの?」

と話題を変えてくる。

「まあ、うちの店の手伝いですね」

明日からの店の仕事を思い出し多少うんざりとした気持ちになるが、そこで気がつく。

「そうか!あと3日あるんだ!

社長!俺、この3日で絶対仕事考えついてみせるから!」

宣言する俺。

急に元気になった俺に面食らいながらも、

「そうか、楽しみにしておくな〜」

と少し嬉しそうな社長。

今度こそ真剣に考えようと固く決意する俺であった。

 

そして3日後。

まだ何も思いつかないままの俺がいた。

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