楽しすぎて執筆できないくらいにやってましたね。ウマ娘楽しいのに遊んでると執筆できないジレンマ
とりあえず初めてUA出せたので投稿。もちろんイクノです
ちなみにここでオルフェがダート担当な元ネタですがある時ふと思い立って私がダートオルフェ育成してみたからです。ダートDなら適正上げ楽じゃん、と。
そして進化スキルで気付く訳です。堂々と踊る《芝》の字に……
ところで新シナリオ何か色っぽい大人な美人がいましたよね()
「慣れないものね」
らしくない、と独り言を溢した樫本理子は自身を叱咤する。
執務室にて、机に向かう樫本理子の前にあるのは積み上げられた書類の山である。理事長代理として、必要な業務をこなす彼女は淡々と手を動かしながらも業務とは別のことに思いを馳せていた。
忙殺の合間を縫って、樫本理子は自身が抱えるチーム:ファーストの指導も行う。
とはいっても、トレーナーではなく理事長代理として赴任した樫本理子に出来ることは少ない。せいぜい事前に課していたトレーニングの成果を確認する程度の作業であり、そこには仲睦まじいトレーナーとウマ娘の姿は無かった。
互いが互いに目的のために利用し合うビジネスライクな関係、とでも言えばいいだろうか。勿論なんの感情も無い訳ではないが少なくとも樫本理子は、私情を交えないことに努めていた。
アジテイターに言わせれば、私情まみれだろうと真顔で呟く光景なのだが、樫本理子にその自覚は全く無かった。
(リトルココン……最近の彼女の脚は乱れている。もう少し負荷は軽くした方がいいかしら……)
樫本理子の懸念はリトルココンである。
計測したタイムの乱れが激しい、というのは理論的に戦術を組み立てる樫本理子の思想からはなるべく排除したい要諦であった。遅くなっているのではなく、一回ごとのタイムの差が激しいのが問題である。要は、出力が安定していないのだ。
現状、リトルココンに故障や怪我といった外的要因は見られない。そうすると、原因はリトルココンの内側────即ち、精神的な意味合いになる。
樫本理子はため息を心の中で漏らした。トレーナーとして、ウマ娘が抱える一般的な、かつ対処の難しい問題だからだ。
レースで勝とうが負けようが、トレーニングを重ねていけば身体というのは仕上がってくる。才能の差はあれど、平均的な出力はどのウマ娘を見比べても最終的には大差無いはず────本当の強者はそれすらも越えてくるのだが、あくまでも
樫本理子が思う"慣れない"とは、詰まるところその外れ値なのだ。どれだけ理論を積み上げ百点満点の走りを組もうと、理論を越えた分からないナニかで抜き去ってくる怪物がいる。樫本理子はそれを単に才能の差などと呼びたくはなかったのだ。
(ダメね、効率が下がってる。一息付けましょう)
澱んだ考えに思考が侵されそうになったと、気分転換を図る。
樫本理子はデキる仕事人である。故に、必要でなければ残業もしないし、適度な休憩が仕事の効率を保つのに有効であることも分かっている。
であるからして、コーヒーを淹れようと目論んだ訳だがその前に執務室へノックが響く。間こそ悪いがこのノックは彼女を救っており、このままコーヒーを淹れようとしていれば特有の手つきの悪さで火傷していたからであった。
ノックの主は無作法にも樫本理子の返事も待たずに入室する。
その傍若無人な振る舞いは、よく知られていたウマ娘によるもの。
「失礼する、樫本代理。アポ無しのところ悪いが────御時間はありますかね?」
「……構いません。ちょうど貴方とも、話さなくてはならないことがありましたからね」
不敵な笑みと共に入ってきたのは、あのアジテイターであった。
「休憩でしたか。間が悪かったでしょうか?」
「いえ、お構い無く……」
「よろしければこちらを。八つ時にはちょうど良いかと」
持ってた手提げ袋をこれ見よがしに掲げてやる。門前仲町にある老舗の和菓子屋、そこのごま団子だ。俺はこいつが好きで取り寄せたり機会があればこうやって贈り物なんかにも使う。
「お気持ちは有り難いのですが、何故?」
「以前の謝罪かまだだったかと。本当はすぐにでも行きたかったのですが」
「謝罪……?」
「樫本代理就任直後のあの御披露目ですよ。無用な話を分かっていて吹っ掛けたでしょう?」
「ああ……」
どうやらすっかり忘れていたらしい。まぁあんなのは犬にでも噛まれたような────いや、俺が噛んでやったというべきか。ともかく、日々の業務にかかりきりになっていて休む暇も無いような樫本さんにとってみれば、あれは忘れられる程度の事故だったんだろう。
代理という意識がそうさせているおかげか、執務室は秋川理事長が使っていた頃そのままだ。以前トレセン学園に対して
「それで……謝罪のためだけに訪れた訳ではないでしょう」
「謝罪は別に嘘ではないんですがね。手荒だったとはいえ樫本代理のやり方に茶々を入れた訳ですから」
「……本題から先に話した方が、物事は円滑に進みむかと」
歓迎されてないな。残念でもないし当然と言えるが。
「ではそうしましょう。提案と言っては何ですが────樫本さんの業務、私の方で肩代わりさせえもらえませんか?」
「……なんですって?」
目から鱗とはこのことか。仏頂面を意識してるつもりだろうが、表情がのこのこと顔に出やすい。
「樫本代理、トレセン学園における業務は多岐に渡っており、その大半は決裁や届出書の許可など書類仕事がほとんどです。単に、他に
「ですが、貴方は生徒です。これらは管理業務であり管理職に無い立場の人間に任せる訳にはいきません。貴方が株主だとしても、これは越権行為です」
「そこはほら、貴方が黙認すれば済む話なので」
「何を言って……?」
頭が固いな。杓子定規にも程がある。
俺は樫本さんを楽させたいんだがなんで楽させたいのか、そこまでは読みきれてないみたいだな。
「要するに、樫本代理にはトレーナー業もちゃんとやってほしいんですよ。貴方が見ているチーム:ファースト……彼女達が十全に力を発揮できるようにね」
「理解できません。ライバルに対してわざわざ有利になるよう取り計らいたいと?」
「スポーツマンシップというやつでして、どうせならお互い万全の状態でぶつかりたいでしょう? 樫本代理の負担か減れば良いレースが出来る。私はそう思って提案しているだけですよ」
「それでは私がトレセン学園に来た意味がありません。私の役割はあくまでも理事長代理。確かにチーム:ファーストの指導は行っていますが、本業を疎かにする根拠にはなりません」
これは困った。生真面目とかで済まないくらいに実直だ。
この調子で人生歩んできたのか? 生き辛いなんてレベルじゃないと思うんだが。
「……はぁ。樫本さん、もうちょい本音出してください。仕事と割りきるのは結構ですがそれではやりづらい。何も、私とて無償で助けたい訳じゃないんですよ」
「本音、と言われましても……」
俺は態度を崩す。経験上、このタイプはこちらから腹を割った方が分かりやすい類いなんだ。
「損得の話をしましょう。貴方はウマ娘の怪我を可能な限り減らしたい。一方、私はそれによってURAの収益が減る可能性を論じた訳です。この見解に相違はありませんか」
「ありません。……それとこれが何の関係が?」
「理事長が戻って以降も、貴方にはトレーナーとして在籍し続けてほしいんですよ。それが私の望む対価です」
俺が一番言いたかったのはこれだ。
組織に属してると、各々お互い為になると思った考えが全くの正反対でぶつかることがある。それを上手く調整するのが所謂政治ってやつなんだが、今回に限れば俺と樫本さんの方針がそれだ。
俺は勿論株主だからURAに稼いでもらわないと困る。樫本さんの方針のせいでつまらないレースが蔓延ると収益に関わる訳だからそれに待ったをかけてる訳だが、樫本さんの理念にも一理ある訳だ。怪我が頻発するレースなんて誰も見たくないからな。
「樫本さん。私は、貴方が今この在任中にトレーナーとしての実績も残してほしいんですよ。それは貴方が願う理想に近づきますから」
「……? 貴方は、私の方針に反対だったのでは?」
「何事にも程度というのはある。私は収益に関わるからという体で申し上げただけで反対はしていません。理念そのものには賛成していますよ」
「では、やり方の問題だと?」
「その通りです。貴方が就任直後に言い放った放任主義の話、あれは私でもそう思います。ここ中央に集まるウマ娘は皆個性豊かで管理主義が合わないようなウマ娘ばかりです。だから放任主義でいていい、という訳ではない。一方の考えだけで完結してしまっては、結局競争力に鈍化をもたらす羽目になる」
「管理主義、放任主義……どちらであっても必要だとアジテイターさんは考えている訳ですね」
「付け加えるなら、放任主義や管理主義で育成論を二極化する風潮も崩すべきかな、と。私に言わせれば、それこそが一番
民主主義やってんだ、下手に
大事なのは多様性。ウマ娘一人一人に合う育成論なんて千差万別なんだから、それだけ考え方も多様であってほしいんだよ。
「私の予想に間違いが無ければ、樫本さんは理事長が戻られればそのまま辞するつもりではないかと思っています」
「それは……そうですね。私は代理ですから」
「貴方みたいなトレーナーがいてもいい。そう思うくらいの爪痕を残してほしいんです。少なくとも、樫本さんが擁するウマ娘達は貴方に辞めてほしいだなんて欠片も考えちゃいませんよ」
「……あの子達が……」
樫本さんを攻めるとしたらここだ。結局はウマ娘大好きで甘々なところがあるから面倒見てるウマ娘達に駄々をこねられたら折れるはず。本人は仕事と割りきってるつもりだろうが、俺からしたらその意識そのものが既に情を移してるんだよな。
「ま、今すぐって話じゃないんです。学園にいる間、ゆっくり決めてくれればいい。それに────」
「こちらもそこそこデカい話を理事長に持ちかけてましてね。事の推移次第じゃ、樫本さんの手を借りることになると思うんですよ」
1月初旬。
大井レース場 1800m 右 バ場:良 天候:晴れ
「ふっふっふーん♪」
「ウララよ。楽しみなのは良いが、見据えるべき先を見失うな」
アオハル杯2戦目、ダート部門。
ハルウララとオルフェーヴルが対する相手は、ウマドルとして広く知られた《砂上のハヤブサ》であった。
「意外だね~。オルフェーヴルさんがダート走るなんて」
「余興のつもりではあったのだがな。どうにも、その程度では収まらぬようだ」
「それはそうだよ。私がいるのに、余興扱いなんて出来ないんだから」
ゲート入り直前、緊張感が漂うはずがハルウララのおかげで弛緩する。
オルフェーヴル、スマートファルコン共に優駿であることは疑いようがないのだが、芝とダート、互いに主戦場は違う。そしてここはダートであるからして、己の土俵で戦えるスマートファルコンに対してはオルフェーヴルが幾らか譲る、そう見られていた。
観客席に並ぶほとんどはスマートファルコンのファンで埋め尽くされている。オルフェーヴルとてファンは多いはずだが、人気で比べればスマートファルコンに比肩しうるウマ娘はこの場においていなかった。アオハル杯の日程は特に公開されていないはずなのだが、熱心なファンはどこからか情報を聞き付けてくるのだ。
雰囲気としては、にんじんプリンに対してアウェーと言える環境であった。
しかし────。
「ウララ」
「どうしたの、オルフェちゃん」
「今はまだ分からなくとも良い。ただ、前だけを見ておけ」
「前? ファルコンちゃんのこと?」
「違う」
いつぞやに、オルフェーヴルは病床からファンだと慕う子供の声援を受けたことがある。
ヒーローなのだと、力無く沈むはずのベッドの上で彼はオルフェーヴルにそう言って破顔して見せていた。
故に。
「────目に焼き付けよ。この
「さて、そろそろレース終わった頃か……」
執務室から出てLANEを確認する。
チーム内でグループ作ってあるから、早ければ各々がレースの結果を報告してくれるはずだ。
「3勝2敗でまぁ勝てるだろ。流石にサイレンススズカとスマートファルコンは土俵が悪い……ん? 4勝1敗?」
LANEから送られてきたのは泥を被る黄金の姿。
「ええ……なんで勝てる……?」
どうやらオルフェーヴルが下馬評を覆してスマートファルコンを相手に勝ったらしい。かなりの接戦だったようで写真判定にまでもつれ込んだようだった。
「マジかー。過小評価してたか? もうちょいオルフェーヴルへのトレーニング見直した方が良さそうだな……」
「おや、君のアオハル杯は順調のようだね」
「あ、ポンコツ」
「流石に学園じゃポンコツ呼びは控えてほしいんだが」
なんでルドルフがここにいるんだ? アオハル杯やってるならこいつも出場してるはずなんだが……?
「ああ、私の出番は代わってもらってね。君がここにいることを聞き付けてきた訳だ」
「……? あっ!?」
そうだった、こいつ俺と樫本さんを会わせたくないとかほざいて……!
「逃がしはしない。この程度のことが見抜けないとでも?」
「てめぇっ……なんでこんな時だけ力強いんだよ!?」
「私とて日々鍛錬している。まさかこんなことに発揮されるとは思わなかったが……!?」
やたらと肩を拘束してくるが脇が甘い。
前世で柔道習っておいて良かった。学校の授業で学ぶ以上のことは習ってないが、ウマ娘相手に使える搦め手としては十分だ。
「な……!? 武道の経験でもあったのか!?」
「亀の甲より年の功ってな。まさかおまえ相手に使う羽目になるとは思ってなかったが……!」
肝心なとこで詰めが甘いのは変わらないな。さっさととんずらこいて────。
「貴方達、何をしているんですか」
「ああ、樫本代理。すみません、
「彼……? 事情は知りませんが、あまり羽目を外さないように。……全く、大人顔負けの話ができるかと思えば……いえ、待ちなさい」
執務室前で騒いでたらそりゃ気付くよな。樫本さんが顔出してきちゃったじゃないか。
案の定俺に視線が向いてるし。
「先ほどの話、是非受けさせて頂きたいと────」
「ほう、どんな話をしたのかな。随分と話が弾んだようだね」
「誤解してるんじゃねぇよポンコツお花畑。こちとら真っ当にトレセンの未来を案じただけだっつうの」
目からハイライトを消すんじゃねぇ。樫本さんがビビってるだろうが。
「ゴホンッ! ……その、アジテイターさんから受けた話に関してはシンボリルドルフさんとも共有しますが、その前に一つ確認させて頂いてもよろしいですか?」
「アッハイ ナンデモドウゾ」
ルドルフの視線がめんどくせぇ。本当に何も無かったんだってば。
第一手を出すならこんな色気の無いところでやる訳ねぇだろうが。少なくとも食事に誘ってからがスタートだろ。
「デカい話、とは何を指しているのでしょうか。理事長と共有しているということは、かなり込み入った内容なのでは?」
「あー……」
匂わせた程度っていうのは確かに良くないな。手を借りたいって言ってるのに詳細を話さないのは社会人のやることじゃねぇ。
本当は理事長が戻ってきてから進めようと思ってたんだけど、樫本さんもルドルフも影響力ある人だし教えて味方に引き込むか。
「二人とも、この件はなるべく内密にしてほしいんですが────」
「私が目指しているのは────
アジテイターのヒミツ⑫
実は、たづなさんと喧嘩したことがある。
キャラ紹介
アジテイター
シンボリルドルフから言われてたことをすっかり忘れて樫本代理に会いに行ったクソボケ。本人は真面目なことを考えてたつもりだったのでノーカウントのつもりだった。
トレセン学園の共学化を目論んでいることが明かされる。アジテイターなりにトレセン学園の現状を憂いたが故である。
駿川たづなとは犬猿の仲。大人の女性を好んでいると公言している中で唯一受け付けていないとのこと。その理由は……?
樫本理子
アジテイターの壮大な計画に巻き込まれてしまった被害者。アジテイターからは完全に舐められておりウマ娘をダシにすればいいだろうと思われている。実際その通りだったりする。
徐々にシンボリルドルフが苦手になりつつある。相変わらず本人に落ち度は全く無い。どこまでいってもただの被害者である。
オルフェーヴル&ハルウララ
ダート部門担当コンビ。
オルフェーヴルなりに本気になれるスイッチがあったのでスマートファルコン相手に勝ててしまった。オルフェーヴルはハルウララをかなり気に入っていて、無意識にいつもの一人称が崩れるレベル。ハルウララを相手に"姉"っぽく振る舞いたいらしく、それが今回の下馬評を覆した。
とてつもない番狂わせによりネットで話題を呼んでいるようだが……?
シンボリルドルフ
ストーカーしてきたライオン丸。自チームのレースすら投げ捨てアジテイターを追いかけてきた。ちなみに中距離担当だが全てシリウスシンボリに任せている。シリウスはキレていい(というかキレている)。
アジテイターの野望に巻き込まれる模様。嫁を自認する手前惜しみ無く協力するつもりだが、その前にアジテイターと樫本理子の関係に目を光らせたいようである。やるべきことは他にあるだろとシリウスシンボリにキレられている。