アジテイター   作:エドレア

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アオハル杯の話

さらに面子増えます


アオハル編②

 

 

 

 

 

 

「……ほんとーにどうしてこうなったんだか……」

 

 グラウンドにあるトレーニング施設で走るウマ娘達を見守る俺。ただ眺めてる訳じゃなく、俺の手には各ウマ娘に割り振ったトレーニングメニューがある。

 

「アジテイターちゃん! 坂路10本終わったよー! 次は何すればいい?」

「ウララ。まずは10分休憩な。その後はもう一度、今度は15本走ってくれ」

「はーい!」

 

 聞き分けが良すぎる。

 だが、俺は色々な意味で頭を抱えていた。

 

「勝てないウマ娘をどうしろと……」

 

 正直、俺は運命の神とやらを呪いたくなった。

 

 

 

 

 

 イカれたメンバーを紹介するぜ! まずはアメリカからのガンマン帰国子女! 

 

「はい、タイキシャトルです! マイルはワタシのステージですよ!」

 

 次、占いキチのしいたけ女! 

 

「マチカネフクキタルです! シラオキ様のお導きの元、チームを勝利に導きますよー!」

 

 その3、陰キャなくせして隠れた大食い米女! 

 

「ら、ライスシャワーです。あの、精一杯頑張るね……!」

 

 最後! 何走らせても絶対負ける陽キャロリ! 

 

「ハルウララですっ! 一生懸命頑張りま~す!」

 

「これを俺に面倒を見ろと」

「元々は俺の仕事だったんだがな。だが、俺にも限界がある」

「んなこと言ったら俺だって……」

「アジテイター、おまえにはトレーナーやれる素質があると俺は思ってるんだぜ?」

 

 クソボケトレーナーがよぉ。

 元々は俺のトレーナーが面倒見る話だったらしいが辞退したらしい。流石に面倒見切れないと。

 じゃあどうすると白羽の矢が立ったのが俺ということらしかった。

 

「俺はトレーナー資格なんぞ持ってねぇぞ」

「そこは大丈夫だ。名義上は俺で実際に指導するのがアジテイターってだけだから」

「おまえそれバレたら失職物のやらかしじゃねぇか」

「大丈夫、もうシンボリルドルフにはオーケーもらってる」

「なんでそこであいつが……」

「ついでに言うと、樫本代理に直談判したウマ娘がこの子達だ。この子達が走らないことには、アオハル杯が始まらないんだよ」

「……はぁぁぁ……」

 

 なんでこういう手で外堀埋めてくるのかねぇ。

 ちゃんとした書類揃えて妥当性のある辞令なら俺も考えなくはないのにな。

 部室の隅でこそこそと会話する俺達をガキ共が不安そうに眺めてる。大方俺の元なら勝てるはずだと吹き込まれてるんだろう。そういうのマジでやめてくれっての。

 

「なぁ、せめて報酬無いの? ご褒美無いと俺もやる気出ないんだが」

「あるぞ。アオハル杯には一つ面白いシステムがあってな。勝ったチームが負けたチームのメンバーを指名して自分のチームに入れることができるんだと」

「それがなんだよ」

「マルゼンスキーとメジロラモーヌも出るらしい」

「なんだよ、そういうことは早く言えよな」

 

 それだよ、俺が求めてんのはそういうのよ。

 実質トレーナーやるってことでいいんだろ? 学生に見えないトレセンお姉様ツートップ(俺調べ)を迎え入れる機会なんざ早々ある訳がねぇ。いやぁ、是非ともお姉様方のお話を聞いてみたいもんだ。

 

「まぁ二人ともシンボリルドルフと同じチームなんだがな」

「ん? なんか言ったか?」

「何でもない。じゃ、引き受けてくれるってことで良いか」

「もちろん。唯一の相棒と言っていいやつの頼みさ。義理と恩は、忘れねぇよ」

「ありがとなアジテイター。今度成人したら、俺の金で良い酒奢ってやるよ」

「バカ言え、それは俺より稼いでから言うもんだぞ。……気持ちは受け取っとく。それまで良いウマ娘見つけて稼いでこいよ」

 

 気の合うやつなんだよな、俺のトレーナー。多分これが他のトレーナーだったら俺は最悪トレセンを退学してるだろうから。

 書類関係はトレーナーに任せて、俺はチーム:にんじんプリンの面子に向き直る。改めて見るとこのチームには問題が山積みだが、問題そのものははっきりしている。一つずつ対処していけば解消できる類いだ。

 

「よし、改めて、自己紹介しよう。知ってるやつもいるだろうが、俺はアジテイターだ。俺のトレーナーのぶん投げでおまえらの面倒を見ることになった。とりあえずおまえらのことは何も知らねぇから、まずは一通り走ってみてくれ」

 

 適正だとか、脚質とか、そういうのは走らせないと分からんからな。

 ま、なるようになるだろ────と、思っていた俺がバカだった。

 

 

 

 

 

「はぁ……」

「アジテイターちゃん、ため息ついてどうしたの? ため息は幸せが逃げるってキングちゃんが言ってたよ?」

「そうだなぁ。あんまため息するもんじゃないよな。はぁ……」

「言ったそばからため息ついてる……」

 

 ウララ、ライスよ。

 これはため息もんだろ。

 

 一通り走らせても各々傾向を図る────これ自体は普通だからいい。四人中三人は真っ当に走れるからそこも良かった。

 問題は、このハルウララだ。

 

「なぁウララちゃん。トレセン学園に入る前でさ、地元のかけっことかで勝ったことあるか?」

「無いよ! みーんなね、わたしよりすっごく早いんだ~。みんなと走ると楽しいんだよ!」

「そっかぁ……」

 

 まさか競争意識すら無いのは誤算だった。単に勝てないなら勝てないなりに分析できるが本人に勝利意識が無いなら作戦や脚質以前の問題だ。

 この意識をどうにかしなきゃいけない。これじゃあウマ娘として落第もいいところだ。

 

「アジテイター先輩、ウララちゃんは、その……」

「皆まで言うな。大体分かる。ライスは他のやつらと同じメニューこなしてろ」

「う、うん。分かった……」

 

 この性格だから友達には恵まれている。今もライスシャワーが心配してるんだ。こいつは春の天皇賞を連覇するくらいのポテンシャルがあるのに。

 

 ウララ以外は適正がはっきりしている。

 

 マイルはタイキシャトル、これは本人の申告通りの強さだ。トップクラスのマイラーたる素質があるから任せていいだろう。

 クラシックディスタンスと言われる中距離と長距離だが、これらはフクキタルとライスが走れる。傾向としてどちらもステイヤー気質なんだよな。僅差でライスに長距離を割り振るといったところか。

 あと短距離がいないがこれは素直に勧誘だな。これは素直に頭下げに行くしかない。最悪別の手段があるが、これについては考えなくていいだろう。

 そしてダートにウララな訳だが、前述した通りの有り様だ。

 

「最悪ダートは捨てるか……?」

 

 アオハル杯は五部門の五レースで勝った回数を競う訳だが、三点先取じゃない。なぜならどのレースも当日に一斉に行うからだ。これには一人のウマ娘が複数の距離を走らないようにする意味も兼ねている。適正が複数あると兼任できる訳だがそれだと一人にかかる負担が倍増するためだ。アオハル杯だけでなく、正規のレースも走る訳だからいたずらに負担を増やさないための措置として考えられている。

 

「他三人は無理しないことを厳命させればなんとかなる。あとはウララと短距離の勧誘か……」

 

 短距離さえ揃えれば出場資格を満たせるので並行して行うべきはこの二つだ。まずはこの面子と足並み揃えてくれるスプリンターを探さなくてはならない。

 

「ウララ、今日はもういいぞ。帰ってゆっくり休め」

「はーい! 明日もトレーニングするんだよね?」

「ああ。今日はまだお試しって感じだからな。明日から少しずつ負荷を増やしていくから。休むのも大事なトレーニングだぞ」

「またみんなと一緒にトレーニングできるんだよね! 毎日ワクワクで楽しいな!」

 

 トレーニングへの意識が旺盛なのはいいんだが、根拠がみんなと走れるからってのがなぁ。勝負事であることを理解させるにはどうしたらいいのやら。

 

 スプリンターの勧誘とハルウララの意識改革、この二つがチーム:にんじんプリンの課題だった。

 

 

 

 

「とりあえず探すかぁ」

 

 にんじんプリンの面子には俺がいなくてもできる自主トレを投げる。早急にスプリンターを勧誘する必要がある以上こちらに注力せざるを得ない。ウララの懸念はあるがそれは後々でいい。

 そういう訳で学園内をブラついて目星がありそうなウマ娘を探す訳だが────。

 

「まぁそう簡単には上手くいかねぇよな」

 

 大概のウマ娘は既にチームを組んでいるか、そもそもアオハル杯に出場しないと割りきってるという二つで反応が二分されている。アオハル杯に興味があり、かつ未だ無所属のスプリンターを探せというのは中々にハードルが高かった。贅沢言ってしまえば、俺の琴線に引っ掛かる奴がいないんだ。

 

(バクシンオーは無しだ。間違いなく強いがどうせヴィクトリー倶楽部の面子と組んでるだろうし何よりうるさい。あの調子を年がら年中受け止めたくはねぇ)

 

(カレンチャンもなぁ……良い子ではあるんだが俺はウマッターのネタになるつもりはねぇ。言えばウマッターに上げたりはしないだろうが、ネタにならないチームにいてもカレンチャンのメリットが少ないだろ)

 

(デュランダル、カルストンライトオの同室コンビも無し。ライトオが目立ちがちだがデュランダルも負けず劣らずの癖馬だし、何よりライトオがいらん茶々入れてくる可能性が高い)

 

(ニシノフラワーはどうだ……いや、あの子良い子過ぎて倍率ヤバそうだな……来てくれたら受け入れるが、そうでないならこちらから声をかけるのは無しだ。良い子に迷惑かけたらいかん)

 

「うーん……」

 

 ああでもない、こうでもないと悩む。

 知ってる面子は大体スプリンターとして強いんだが、出不精な俺が知ってる時点で他の奴等にも知られてる。今から声をかけるのは得策じゃない。

 そうなると、狙い目はまだデビュー前の有精卵に限られる。未成熟なウマ娘の中で、素質あるスプリンターを探すしかないんだ。

 

「誰かその辺に落っこちてたりしてないかな……」

 

 まさかそんなことあるわけ────。

 

「んおっ!?」

「ひゃあ!?」

 

 何かに躓いて転びかける。

 何とか持ち直したが、転びかけたところを見るとそこには人が────いや、ウマ娘が()()()()()()()

 

「いや、済まん。つい考え事をしててな、よく見てなかった。怪我無いか?」

「だ、大丈夫です! すみません、私こそこんなところで寝てて……」

 

 昼寝か? 確かに今日はよく晴れて穏やかな昼下がりだが。

 まぁこんな日和なら、ターフの上で昼寝くらいしたくなるか。

 

「あー……、名前はなんだ、後輩。俺はアジテイター……最近無駄に有名になっちまってるから知ってるかもしれんが」

「ラインクラフトです! こんな形でアジテイター先輩とお会いしてしまうなんて……! 何かお詫びさせて下さい!」

「いや、詫びなんていい……いや、待てよ」

「?」

 

 トレセンで名を上げてる奴等のほとんどは何かしら強烈な個性というか、独特な気配を纏っていることが多い。陰キャ代表の俺だって*1そうだ。その気になればレースでもそういう気配で他の雑魚に睨みを利かせられる。

 ラインクラフト────ターフで堂々昼寝するこいつにも、大物の気配があった。

 

「ラインクラフト、おまえ……短距離走れるか?」

「走れます……ティアラ志望なので、走りたいのはマイルと中距離ですけど……」

「デビュー済み? どこか担当のトレーナーとかチームに入ってたりする? アオハル杯に興味ある?」

「チームとかトレーナーとかそういうのはまだです! 同室の……シーザリオっていう友達と一緒に頑張ってるんですけど、中々難しくって……アオハル杯もシーザリオと参加出来れば良いなって思ってます。ライバルではありますけど、同じくらい大切な友達なので……」

 

 よし、決めた。

 

「ラインクラフト、俺のチームに来い。トリプルティアラくらい取れるようにしてやるよ」

「えっ……えぇぇぇ!?」

 

 こういうのは早いもん勝ちだ。

 良い感じの素質持ちを無事ゲット出来て、内心ウハウハな俺だった。

 

 

 

 

 次の日。

 

「つーワケで、こいつがチーム:にんじんプリンに入ることになった」

「ラインクラフトです! 先輩の皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

「「「「お~」」」」

 

 一同からのウケはよろしい。

 今までいなかったスプリンターだ。本人はティアラ路線というのも、ここにいるタイプじゃないから新鮮さもある。シーザリオとやらも勧誘できれば良かったんだが。

 

「すみません、シーザリオはしばらく考えさせてほしいって……」

「いいさ。こんなのは無理強いするもんじゃない。ラインクラフトが来てくれただけで御の字なんだぜ」

 

 ラインクラフトは善意を利用して押しきったが、シーザリオはそうでもないらしい。

 普通ならティアラへの出走、欲を言えば優勝経験のあるチームに入りたいもんな。俺も含めてここにいるのはクラシック三冠か生粋マイラー、地方の勝ち無しロリと見事にティアラと関係無い連中だ。二の足を踏むのは当然と言える。

 

「ラインクラフトちゃんだね~、私はハルウララって言うんだ~。一緒にトレーニング頑張ろ~」

「が、頑張ります……」

「固い固い。アオハル杯は非公式のレースだ。そんなに肩の力入れてもよくはならねぇよ」

「アジテイター先輩の言う通りデース! まずはEnjoyするのが一番大切デスよ!」

「新たな可能性のお導き……これもアジテイター先輩の成せる業……はんにゃかはんにゃかはんにゃか~」

「ラインクラフトさん、大丈夫……? ここちょっと個性的な人達が多いから……」

 

 ライスシャワーとハルウララ辺りがラインクラフトと感覚的に近いのか? マイルならタイキシャトルが教えてやれるし意外と相性は悪くないかもしれん。

 

「ラインクラフト、とりあえず走ってみてくれ。1400と1800、最後に2000の三回だ。あくまでおまえの調子を見るためだから本気で走らなくていい。タイキシャトル、短距離とマイルを併走してくれ。2000はフクキタルとライスな」

 

 そういう訳で走らせてみる。ウララは俺の隣だ。

 ウララを出さなかったのは勿論適性の違いはあるが、それ以上にレースという勝負を外側から見させるためだ。いくら併走といっても競り合う以上、負けて悔しさを滲ませるウマ娘は多い。ウララをいくら併走させても、そういう感覚は無かったみたいだから第三者的な立ち位置で観察させたかったんだ。

 当の本人は楽しそうに見ているが、果たしてこれが吉と出るかどうか。

 

(頼むからこれで何か変わってくれ……)

 

 正直に言えば、ハルウララはトレセン随一の問題児だと思ってる。性格や素行が悪いんじゃない。()()()なのが不味いんだ。

 

(勝ったウマ娘が正しい称賛を受けられない。ウララが走ると間違いなくそんなことが起きる)

 

 ハルウララという光がデカ過ぎて、それに伴う闇も深くなる。楽しければいいっていうのは、レースに対して真剣に取り組んでいるウマ娘への侮辱だ。まぁ俺はルドルフ相手にやったが、少なくとも称賛はあいつのものだった。

 しかしウララにはそんな線引きできるはずがない。

 

(()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。だから、やる気にさえなってくれりゃ俺のように走らせてやれるんだが……)

 

「……ふーっ……皆さんありがとうございました……私なんかまだまだですね……」

「No Problem! これからトレーニングすればいいだけデスよ! 大丈夫、クラフトさんならきっとティアラを狙えマース!」

「2000mの伸びが苦しい感じですかね? ティアラを狙うならスタミナを重点的に鍛えるといいですよ」

 

 そうそう、こういう感じ。

 タイキシャトルが太鼓判押せるくらいだったらマイルについては問題無い。短距離も少し脚の使い方を学べば行けるだろう。

 ラインクラフトの課題は中距離と来たか。2000m、僅かにだが後半脚が動かせていなかった。恐らくだが適性距離じゃないんだろう。2000mまでならまだ何とかなるが、ティアラ二冠目のオークスは2400mだ。ここで躓くようならトリプルティアラ達成など夢のまた夢でしかない。

 

(距離適性は一番矯正が難しいんだよな。次善策でNHKマイルも考えておくか)

 

 ラインクラフトの課題もしっかりした。当面はオークスに向けてのスタミナトレーニングが中心となる。今から行えばオークスにも間に合うはず。

 

(さて、肝心のウララは……?)

 

「ねぇねぇ、クラフトちゃん」

「はい、ハルウララさん、どうしましたか?」

「ウララでいいよ~。えっとねぇ、クラフトちゃんはどうしてそんなにティアラっていうのに勝ちたいの? 私分かんなくて……」

「……ティアラの先輩方への敬意、ですかね。私、嫌なんです。ティアラ路線とクラシックじゃ、クラシックの方が強いだなんて言われるのが」

(ほう……)

 

 そういえばティアラ志望の理由を聞いていなかったな。なんだ、存外はっきりとした"心の柱"を持ってるじゃないか。

 

「シーザリオと約束したんです。共にティアラで戦おうって。そして、ティアラの先輩方が紡いできた縁を一緒に未来へと繋いで行きたい。そう、誓いました」

「なるほど、クラシックとティアラの違いか。ラインクラフト、それじゃあトリプルティアラ取ってもまだ終わるつもりはないんだな?」

「勿論です。そしてただ勝つだけじゃありません。私はあるウマ娘に憧れて入学しました。それと同じように、誰かに憧れてもらえるような、そんなウマ娘になりたいんです」

「……ほぇ~」

 

 おお、ウララが感心している。

 こういうことだぞ、ウララ。ただ走るだけじゃなく、勝って示したい姿ってのがあるんだから。そのためには勝利に貪欲になってもらわなきゃ困る。

 アオハル杯、負ければ樫本代理の管理教育プログラムが施行される。少なくとも、そこに勝つ意義を見出だしてもらいたいもんだ。

 

「ところで、おまえが憧れてるっていうウマ娘は誰なんだ?」

「キングヘイローさんです。何度も敗北を重ねて、それでも挑み続けた不屈の王、あの人のように、何度へこたれても挫けないウマ娘になりたいと思ってます!」

「キングちゃん! キングちゃんはね、すっごくやさしいんだよ! 朝になると、いつも私のことを起こしてくれて、お着替えとか手伝ってくれるんだー!」

「え……ウララさんって……あのキングヘイローさんと同室……!?」

「えへへ~そうなんだ~。キングちゃんはね……」

 

(打ち解けるのにも、そんな時間かけなくても良さそうだ)

 

 交わることがなかったウマ娘達の邂逅は俺でも未知の領域だ。どんな変化をもたらすか、これは素直に楽しみでしょうがない。

 

(あいつを煽るよりずっと健全に面白いなぁ。トレーナー業、存外悪くないのかもな)

 

 課題は多い。が、それこそ楽しみの一つだ。こういうチームが一皮剥けるところを俺は見てみたい。

 

(帰ったらルドルフに自慢してやろ。どうせ拗ねるだろうけど)

 

 俺はもう引退してるしな。こうやって後進の育成をやってた方が言い訳が立つってもんだ。

 

 

 

 

 

 この後家でそう自慢したら、やっぱり拗ね始めたので布団の中でめちゃくちゃくすぐってやった。

 おまえがいくら学園で睨み利かせようが、ベッドの上で俺に勝てると思うなよ? 

 

 

 

 

 アジテイターのヒミツ⑧

 実は、こっそりトレーナーになるための勉強をしている。

 

 

 

 

 

*1
そう思っているのはアジテイターただ一人だけである





 いつものキャラ紹介

 アジテイター
 いつものクソボケ主人公。
 今回はクソボケ度低め。チーム:にんじんプリンの監督を一手に引き受け割りと真っ当にトレーナーとして励んでいる。なおその報酬はマルゼンスキーとメジロラモーヌをチームに入れることだが当の二人はシンボリルドルフと同じチームであることを知らない。結局はいつものクソボケっぷりである。

 タイキシャトル
 チーム:にんじんプリンのマイル担当。偉大な先輩ウマ娘がチームを監督してくれることに一番喜んでいる。アジテイターからの評価は高く、最も放任できるウマ娘ということで特にアジテイターから特別な指導は無いが、これに関してはアジテイターにマイルの経験が無いからと割りきっている。
 アオハル杯でぶつかる仮想強敵としてはオグリキャップ、グランアレグリア、ノースフライトを想定している。

 マチカネフクキタル
 チーム:にんじんプリンの中距離担当。実は占いで出たお告げと共にチームの監督にアジテイターを推薦している。無駄に高い声と叫びがちな気性でアジテイターからは苦手に思われているが、優れた末脚への評価は高い。中距離後方脚質ということもあってアジテイターからの指導を最も受けられやすい立ち位置にある。
 中距離担当ということもあって想定している仮想敵が最多。直近ではサイレンススズカ、エアグルーヴ、バブルガムフェローを仮想敵として想定している。

 ライスシャワー
 チーム:にんじんプリンの長距離担当。既に並外れたステイヤーとして広く知られ、その才能はアジテイターの目から見ても一級品。しかしそれに反比例するかのように自虐的なメンタルを抱えているためアジテイターは自信の無さを課題としている。アジテイターからするとやたら可憐な容姿をしているためいつもの露悪的な振る舞いがしづらい相手の一人でもある。
 想定している仮想敵は春の盾に名を挙げるメジロ一族やセイウンスカイ、スペシャルウィーク、更にはキタサンブラックとマチカネフクキタルに次いで多い。

 ハルウララ
 チーム:にんじんプリンのダート担当にしてアジテイターが頭を悩ませる問題児。勝ちへの意欲が全く見られないため流石のアジテイターでも頭を抱えている。頑丈さにあってはアジテイターにも迫る勢いという評価だが本人がその才能に自覚的でない。しばらくアジテイターはハルウララに付きっきりになるだろう。
 仮想敵はダートを走る他のウマ娘全てといったところ。しかしハルウララの気質を考えれば、真の意味で敵など存在しないのかもしれない。

 ラインクラフト
 アジテイターの手引きでチーム入りした短距離担当。この世界ではアスケラにもアプリトレーナーにも出会わず不思議な縁を紡ぐことになった。
 自身が望むティアラ路線とは全くかすらないチームだがアジテイターがハルウララと並んで一番指導するつもりでいるため不思議と不安は無い模様。キングヘイローについてハルウララと話題が合うためチームの居心地も悪くは無いようだ。
 まだ新人なため明確な仮想敵とは言いづらいが、最終的にサクラバクシンオーにさえ勝てれば何とかなるとアジテイターは豪語している。
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