四代目火影・大蛇丸   作:缶ジュース

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序章:火影の座

 ダンゾウの咆哮が部屋の壁を震わせた。

「甘いのだ! その甘さが、ヒルゼンに死を招いた!」

 左手に握る杖の先端を床に叩きつけ、我慢ならないとばかりに口角泡を飛ばす。

「忍界大戦が終結した今こそ! 五大国と忍世界に根を深く張り巡らせ揺るがぬ木ノ葉を築く! そのためには! 時として間伐すら厭わぬ里長が必要なのだ! わからぬか!!」

 ダンゾウと並ぶ木ノ葉隠れの里の相談役、水戸門ホムラとうたたねコハルは揃って顔を渋くした。

 薄暗い室内で顔をつき合わせている老人三人は、木ノ葉隠れの里が抱える大小無数の問題の中でも最大の懸案事項を片付けるべく、かれこれ十二時間にわたり議論をし続けていた。

 懸案事項とは、次期火影の選定である。

 話し合いがもたれるのは二度目だった。木ノ葉隠れの里に生じた未曾有の事件を受け結論が白紙に戻されたとはいえ、一度は結論に達した議論である。「それで、火影の件だが」とダンゾウが口火を切り、候補が二人に絞られるまでは僅か三十分たらずだった。

「……そうさな。ヒルゼンは、あやつの瞳に悪意と野望を見たと言っておったが、ミナトがまた若すぎるのも事実」

「心もとなさは否めん、か……。何より、かのような事態、二度と繰り返すわけにはいかぬしのぅ」

 しかしそこからが混迷を極めた。さながら石橋を叩き続けるような、堂々巡りの議論は十一時間半にも及んだ。夜の帳が上がったどころか、日は南中を過ぎて西の空へと傾き始めている。窓から差し込む光は、疲弊しきった老人たちの顔を橙色に染めていた。

 苛立ちが臨界に達したダンゾウに押され、コハルとホムラはようやく議論を妥協点に着地させる雰囲気となった。ダンゾウは畳みかけた。

「和平を結んでなお戦争は終わっておらぬのだ。三忍の威光は里の内外へ大いに響く。二度の大戦を経た経験と知識、天賦の類まれな慧眼、そしてあの狡猾さ、今ここで切らずして、いつあれという札を切ると言う? 同輩の自来也が腰を落ち着ける意思を見せぬ以上、木ノ葉を盤石としうる火影はあやつをおいて他にない」

 努めて沈着に述べられた総括に対して、最後の抵抗のようにコハルが口を挟んだ。

「あやつの底知れぬ危うさはどうする?」

 待っていたとばかりに、ダンゾウは静かに、しかし確信に満ちた声で答えた。

「奴の危うさはワシが誰よりも理解している。理解しているからこそ、御することも可能よ」

 それが決め手となった。疲れと苦渋を滲ませながらホムラが重々しく述べた。

「……大蛇丸が、適任か」

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