ポケットもんすたぁアカデミアSPECIAL 作:ネオニューンゴ
『ポケットモンスター』縮めてポケモン、不思議な生物で今では当たり前のように人々の生活の一部として幅広く知られている。ポケモンはパートナーとして時に共に戦ったり、またその魅力を競うためコンテストにでたり、はたまたただ一緒に暮らす家族として共に過ごしたりと人それぞれポケモンとの付き合い方を確立していた。
だが人々の中には邪悪な心で己の欲を満たすためにポケモンを利用する輩も少なからずいる。そんな者達の野望を打ち砕き、各地方の平和を守ってきた幼い少年少女のトレーナー、後に図鑑の所有者と呼ばれる者達のおかげで最悪の事態は免れてきたがその度に超常の力を持つポケモン……いわゆる伝説のポケモンと呼ばれる存在が短い期間で何回も復活を果たし、そのポケモン達が与えた影響は緩やかにだが確実に世界に影響を与えていた。
その最もとされるのが同じポケモンでもタイプの違うδ種と呼ばれるポケモン、そして人に近い形を持ち人の言葉を理解する萌えもんの登場だった。特に後者の萌えもんに対してはポケモン協会は頭を抱えていた。人の形に近いポケモン、それはある種のトレーナーにとっての願望の到達点、またある者にとってはまたとない商売道具……これにより元々各地方で台頭してきた悪の組織の残党に加え心ない人間による萌えもんを使った違法な商売や悪用、それによるトレーナーのモラルの低下が特に顕著だった。事態を重く見た協会は萌えもんを邪な心を持った人間から守るために保護し人工で作った島へと避難させる。
トレーナーのモラルの低下を危惧した協会は未来のトレーナーの育成に更に力を入れるべくこの人工島に各地方から出資を募り何個かの大規模なトレーナーズスクールを設立、トレーナーとしての資格を厳しくしたりと多大な影響をもたらした。その大規模なトレーナーズスクールは徐々に人々の中に浸透していき(これには各地方のジムリーダーや四天王、チャンピオン等が特別講師をしている事も大きな起因となっている)トレーナーやブリーダーを志す子供達は選択肢の一つとしてこの人工島にあるトレーナーズスクールにやって来ていた。そして春桜が花をつける出会いと別れの季節、トレーナーを志し人工島『エデン』を目指すトレーナーの卵達が乗る船の中の一室、どこまでも吸い込まれそうな黒髪に深紅の瞳をした少年クリムもまたそんなトレーナーの卵の一人でありこれから始まる学園生活に無機質な表情と裏腹に思いを馳せ胸を踊らせていた。
「エデン……か、一体どんな萌えもんやポケモンが俺のパートナーになってくれるんだろうなぁ……なってくれるよな」
備え付けられたベッドに寝転がりながら部屋にあったエデンのパンフレットをパラパラとめくる。人工島エデン、5つの島で構成されており各々東西南北に4つの島がありそこに各トレーナーズスクールが設立されている。さらに4つの島の中央に位置する一番大きな島があり大規模なスタジアムが存在する。入学式はそこで一斉に行われ振り分けられる学校はその場で決まるらしい。4つの学校、ノース、サウス、イースト、ウェストからなり各々の学校にトレーナー科(主にポケモントレーナー、ジムリーダー、チャンピオンを目標とする生徒が集まりまた授業内容もそれに準じた物となっている)ブリーダー科(ブリーダー、コンテスト、ジョーイ等ポケモンが関わる幅広い仕事に就くための学科)が存在する。三年の学生生活のうち一年目は学科関係なく学び二年目からそれぞれ希望の学科に進む事になる、つまり希望する学科は違えど一年目は基礎的な事が中心になると見て間違いないだろう。その他詳しい事はきっとこれからの入学式かはたまたオリエンテーションかで説明されるだろう。
クリムはパンフレットを備え付けられていた場所に戻すと船内アナウンスが流れ間もなく目的のセントラルアイランドに着くとの事で部屋を出る。既にデッキには多くの生徒が出ており案内に従い順番にセントラルアイランドに上陸していく。そこからは引率の上級生に案内され島の中央にあるスタジアムに入っていく。スタジアムの中央には特設のステージが作られており壇上には初老の男性が立っていた。男性はマイクがマイクを手にすると新入生は皆口を閉じスタジアム内がシン……と静まり返る。
「諸君まずは入学おめでとう、私はこのエデンの責任者……そして4つの学園の長をさせてもらっているシデンだ以後見知りおき願いたい、さて君達はポケモン、或いは萌えもんに関わるスタート地点に立った訳だが本施設は君達若い世代の育成、実力、立ち振舞いを指導していく、嘆かわしい事に昨今ポケモンを己の欲求を満たすための道具として扱っている者も多い、諸君らは決してそうはならないよう三年間大いに学んで欲しい、あまり長くなるのも良くないので私からの話はこの位にしておく」
シデンが頭を下げると新入生もそれにならい頭を下げると下げる、シデンと入れ替わりで壇上に上がったのは恐らく上級生と思われる女子生徒だった。
「はぁい私はノーススクール3年のミナカミよ、新入生の皆よろしくね、それじゃあお待ちかねの所属学校の発表よ、入学前に送られたポケフォンを出してちょうだい」
ミナカミの言葉に従い新入生は各々入学前に送られてきた小型の端末を取り出す。
「それは『ポケフォン』簡単に説明させてもらうわね、このエデンではそのポケフォンが身分証明書、トレーナーで言うところのトレーナカードのような役割を果たすわ、画面にパーソナルデータって項目が追加されてる筈だからそこを押してちょうだい」
指定されたパーソナルデータという項目をタッチすると自分の顔写真と名前、そして学校の名前が写し出されているのを確認する。クリムはイースト校のようだ。
「確認出来たかしら、パーソナルデータに自分の所属する学校が記載されているわ、同じノーススクールの子はよろしくね!さてポケフォンにはそれ以外にも通信端末としての機能、ポケモン図鑑の機能、この学園の通貨であるPP(ポケモンポイント)の支払いや貯蓄機能とポケモン預りシステム、それとポケモンに携わる人間としてのルールや学生としてのルールが記載されたアプリが入ってるわ、とても高価な物だからくれぐれも紛失しないようにね!それじゃあ私からの説明はこれでおしまい!最後に皆ここは学ぶ場でもあるけど楽しむ場でもあるわ、1度しかない学生生活を存分に満喫してちょうだい!以上ミナカミでした!」
ミナカミが壇上から降りると各校の教師と引率の生徒の元へ各自別れる。大体30人ほどの生徒が各校割り振られており教師は自分の学校の生徒がいる事を確認すると各学校行きの船に乗り込んでいった。生徒達もそれに続き船に揺られて一時間程するとイーストアイランドが見えてくる。上陸し早速イーストスクールに案内され教室へと通される。教壇には教師であろう中年の男性が立っていた。
「よし全員席につきましたね、改めてエデンイーストトレーナーズスクールへようこそ、君達の担任を務めさせてもらジンダイです、今日のスケジュールはこの後軽くオリエンテーションをしたら昼食、そしてその後君達の相棒となる子を見つけに行こうと思います」
つまり昼食の後自分の初めてのポケモンか萌えもんを持つ事になるのだろう、生徒達は逸る気持ちを抑えきれず期待を口々にするがジンダイの咳払いにハッとし静かになる。
「ハハハ、まぁ君達の気持ちもわからんでもないですからね、今回は見逃すとするよ、さてそれでは退屈かもしれんがオリエンテーションを始めさせて貰うよ、まずPPについてだが毎月の初めに決まった額を支給させてもらう、一応最低限の生活はPPがなくても出来るようになってるからそこは安心して欲しい、PPを増やす方法はまず授業を受ける、そして生徒間でのバトルに勝つ、後は君達にはまだ早い話だが島で開かれる大会に勝つとかですかな、あと先生方の手伝いをしたりしても支給されますよ」
クリムはそれを聞くと至れり尽くせりではないかと考える、他の生徒も同じような事を考えたようでひそひそ話でPPの使い道等を既に話している生徒も見受けられるくらいだ。
「ただしこのスクールに在籍する資格があればの話です、さてシビアな話になるが除籍となると当然ながらこのエデンを去って貰わなければならない、除籍の対象者はルールから大きく逸脱した者、そしてこの学園にいる資格がないとみなされた者、つまり成績が悪い人の事を指す、当スクールでは月に一度試験がありそれを受けるためには課題をクリアしなければならないよ、課題も試験も内容は様々だから覚悟はしておいて欲しい、この試験を受けられない、または試験に一年の内に三回落ちてしまうと残念ながらこのスクールに在籍する資格がないとみなされ除籍となってしまうから気をつけて欲しい」
そうこの人工島エデンにあるトレーナーズスクールは全ての地方が共同出資で作ったもの、スポンサーに見返りのある……つまりは一定の実力を持った人間を育て上げ排出し続けなければいけないのだろうとクリムは予想する。さっきの話から一転急な話の展開に教室内が静まり返る。それを見てジンダイは満足そうに頷く。
「よしこの話を聞いてまだ浮かれている子はいないようだね、大丈夫そうならないように私がいるんだ、是非我々教師や先輩を頼って欲しい、きっと力になるよ!それではこれにてオリエンテーションを終了とします、君達のポケフォンにイーストスクールのルールとイーストアイランドの地図を入れておいたから各自確認しておいてください、それではお昼休憩を一時間程挟みますよ、食堂は教室を出て左を歩いていけばすぐに分かる筈ですので、一時間後にこの教室に集合だよ、それじゃあ」
そう締めくくりジンダイが教室を後にする。教室内は交友を深めようとする者、ポケフォンとにらめっこしている者と様々だったがとりあえず昼食をとるべくクリムは教室を出てジンダイに言われた通り左に歩みを進める。進んだ先には玄関がありそこに大きな案内板があったためその通り歩いていくと食堂にたどり着く。食堂内は既に多くの生徒が利用していたがそれでも空いている席はちらほらと見受けられる。クリムは券売機でおまかせランチを注文し食券を食堂の人に見せるとすぐにトレーにランチが乗せられてくる。それを受け取ったクリムは空いている席を確保し一息吐く。
「ハァ……流石に慣れない船旅で疲れたかな、まぁでも本番はこの後だしもう少し気合い入れないとな」
そう言いながらランチを口にする、オーソドックスにご飯、スープ、ハンバーグ、サラダのランチだったが予想よりもはるかに美味しくしばらく無心で食事にありつくクリム、そこに人影が現れクリムは食べる手を一旦止め口の中の食べ物を飲み込む。
「アハハ、ごめんねなんか食べるの邪魔しちゃったみたいで、相席いいかな?」
視線を上げると金色短髪の穏やかそうな雰囲気の男子生徒がトレーを持って苦笑していた。特に断る理由を持たないクリムは承諾すると微笑みながらトレーをテーブルの上に置き対面の席に座る。
「自己紹介させて貰うね僕はツバサ、ジョウトのキキョウ出身だよ」
「クリムだ、ホウエンのカイナシティ出身だよろしく」
自然とお互いに握手を交わし談笑しながら二人はランチを食べ進める。
「クリムはどんな子が最初のパートナーが良いなとか決まってるの?」
「いや、特にこだわるつもりはないな、そういうツバサはどうなんだ?」
「僕は自分の町のジムリーダーハヤトさんに憧れてるからひこうタイプがいいなぁとは思ってるよ、ここを卒業してゆくゆくはジムトレーナーとして経験を積んでキキョウのジムリーダーになれたらなぁとは思ってる」
「目標があるのはいい事じゃないか、俺は特にそういう物がないからな」
「そんな目標なんて大それたものじゃないよ、ただこうなりたいっていう願望だけさ」
そんなこんなで昼食を食べ終えた二人は教室へと戻る。席につき10分程ポケフォンを眺めているとチャイムが鳴り教室にジンダイが大きな荷物を持って入ってくる。
「ハイ、皆揃ってるかな?それじゃあお待ちかねの時間だ、まずはスクールから君達にプレゼント、便利なショルダーバッグだ、廊下の方の席に座ってる子から取りに来てくれ」
生徒全員が順番にジンダイの元にショルダーバッグを取りに行く、最後の一人が受け取り着席したのを見てジンダイは説明を再開する。
「よし、それじゃあボールのマークがついたポケットにモンスターボールが5つ入ってる筈だ、確認してください、入ってない子がいたら私の元へ来るように…………大丈夫そうかな?次にきずぐすりのマークがついたポケットにきずぐすりが3つ入ってる筈ですのでこちらも確認を…………うん皆入ってるようだね、それじゃあこれから君達の最初のパートナーを見つけに行こうか、場所は学園から少し離れたイースト自然公園だ、それじゃあ早速着いてきてください」
ジンダイの言葉に従い教室を出てスクールの敷地を離れ歩くこと15分程度、入り口に木々が立ち並ぶ自然豊かな公園、イースト自然公園へと到着した一行は早く行かせろと言わんばかりウズウズとしていた。
「ハイ逸る気持ちも分かるけどルールは大事だからね、といってもそんなに難しくはない、ここイースト自然公園に住んでいるポケモンや萌えもんは気性も荒くないし人懐っこい、多分手持ちのボールで十分足りる筈だ、もしも捕獲出来ずボールがきれてしまった私の元へ来てくれ、入り口にいるよ、今から君達には自分のパートナーを一匹だけ捕獲してもらう、いいかい?くれぐれも一匹だけだよ、今の君達では二匹の面倒を見ることは難しいだろう、手持ちを増やすという事はそれだけ責任が増えるという事だからね、それと萌えもんはコミュニケーションが計れるからなるべく合意の上で捕獲した方が良いよ、最後にこの自然公園から出なければOKだ、捕獲し終えたら私の元へ来てくれ、私が確認し終えたら今日の授業はおしまいです、そのまま学生寮に行ってもらって構わないよ、それじゃあ……はじめ!」
ジンダイの言葉を皮切りに我先にと公園内へと入っていく生徒達、未だに入り口にいる生徒はクリムを含めて30人中5人程だった。その中に見知った顔……というかツバサが残っておりこちらへと歩いてくる。
「やぁクリムも急がなかったんだね」
「まぁ……早けりゃ良いってもんでもないだろうし俺はゆっくりと周りたいからな」
「僕もだよ、よかったら一緒に行動しないかい?」
「あぁよろしく」
いつの間にかクリムとツバサを除く三人も公園の中へと入っていったようだ。二人も自然公園の中へと入ると大きな看板が飛び込んでくる。どうやらイースト自然公園の地図のようで大きく3つのエリアに別れているようだ、一番大きいオーソドックスな草むらのある中央エリア、自然が豊かで木々が生い茂る森林エリア、大きな湖があるウォーターエリアからなっている。
「どこから行きたいとかあるか?」
「うーんとりあえず一番近い中央エリアからでいいんじゃない?」
中央エリアに足を踏み入れると一番大きなエリアだけありかなりの数の生徒が来ているようだ。すれ違って入り口の方へと歩いていく生徒もいたので既に捕獲し終えている生徒もちらほらいるようだ。
「見た感じだがここには多種多様なタイプのポケモンがいる見たいだな」
「萌えもんは……まぁあんまり見かけないね、突然変異種だから数が少ないからかな……ちなみにクリムはポケモンにするか萌えもんにするかとかは決めてるの?」
「いや……それすら決めてないな」
「そっか、僕はポケモンにしようかなって思ってるけどまぁ……その時のフィーリングにもよるかなぁ……」
二人はそんな話をしながら中央エリアを見てまわるがお互いピンと来たパートナー候補には会えず続いて森林エリアに行くことにした。予想通りというか森林エリアには草ポケモンや虫ポケモンが多く点在しており、恐らくタイプに拘りがあるであろう生徒が来ているようだ。少し歩いているとツバサがどうやら気になるポケモンを見つけたようだ。
「ヤヤコマ……よし僕は君に決めたよ、いけっモンスターボール!」
「ヤヤッ!?」
ツバサはヤヤコマに狙いを付けボールを投げる、突然の事にヤヤコマは驚いたようだがボールは二回、三回とその場を転がりやがてカチッと音がする。どうやら一発で捕獲に成功したようだ。
「やった!出ておいで!ヤヤコマ!」
「ヤヤ!」
ボールから出たヤヤコマは少し戸惑ったようにツバサを見つめるがそろそほと近づきやがてツバサの足に頬擦りをする。どうやらジンダイが言っていたように人懐っこいようだ。
「おめでとうツバサ、どうするお前は戻るか?」
「いや折角だしクリムがパートナーを見つけるまで付き合わせて貰うよ、これ以上捕獲しなければルール上は問題ないしね」
「そうか、何か悪いな」
「アハハ、済まないって顔に見えないよ?クリムは感情が表に出ないタイプなんだ?」
「よく言われる、何考えてるか分からんから気味悪いとさ」
「そっか……なんかごめんね?それで気になる子とかいた?」
「うーん……とりあえず最後の湖エリアに行ってみて考えようかと思う」
「了解、それじゃ行こうか」
ツバサは肩にヤヤコマを乗せながら歩き始める、平静そうにしているが内心は嬉しくてしょうがないようだ、心なしか足取りも軽い気がする。森林エリアを抜けて湖エリアにやって来る二人、時間が経過しているからかそれとも奥の方だからかは分からないが生徒の数はかなりまばらだった。湖の周りをぐるりと歩きながらじっくりと生息するポケモンやまばらにいる萌えもんを見ていく……がどうにもピンと来ない。もう一度森林エリアに戻ろうかと思っていた矢先に目の前を一匹の萌えもんが駆け抜け咄嗟に足を止めるクリム、向こうも思わず足を止めてしまったようだ。
「わっ」
「っと……済まない驚かせたな」
飛び出して来たのは水色の体に白いマフラーのような物を首に巻いた萌えもん……恐らくミズゴロウの萌えもんだろう。ミズゴロウ、クリムにとっては馴染みのある個体だ。ホウエン地方の御三家と言われる種類の中でみずタイプ……そして図鑑所有者の一人であるルビーが使っていた事でも知られている。
そんなミズゴロウは恐怖と申し訳無さが混じったような瞳でクリムを見ていた。
「あっわっわっご、ごめんなさい!」
「いや大丈夫だ怪我はないか」
「ハイ!大丈夫でしゅ!あ、あう……」
驚いたり落ち込んだりとせわしないな……と思うクリムだったが何となく、これがピンと来たという感覚だろうか?どちらかといえば放っておけないような……クリムはダメ元でこのミズゴロウを誘ってみる事にする。
「なぁこれも何かの縁って事で良かったら俺と一緒に行かないか?」
「へっ!?でも私ドジだし……多分ご迷惑お掛けするかと……」
「そんなのやってみないと分からないし、もしそうだとしてもそれを何とかするのがトレーナーの役目だ……って俺もまだトレーナーの卵だから偉そうには言えないんだけどな、一緒に頑張ってみないか?」
「え、ええっとそれじゃあ……私ミズゴロウのミミといいます、よろしくお願いしましゅ!あう……」
「俺はクリムだ、よろしくなミミ、それじゃボールの中に一度入ってくれ」
ボールをコツンと頭に優しくぶつけるとミミはモンスターボールの中へと吸い込まれていく。特に抵抗する素振りもなくカチッとすぐに音がして捕獲に成功する。
「おめでとうパートナーが決まったんだねクリム」
「あぁ、出てこいミミ」
ボールが開き赤い閃光と共にミミが姿を現す。
「あわわ、マスター!」
ミミはツバサを警戒しているのかすぐにボールから出るとすぐにクリムの後ろに隠れてしまう。そんなミミの様子にツバサは苦笑が隠せないようだ。
「ハハ、どうやら君のミミはおくびょうな性格みたいだね」
「みたいだな……そらミミ、挨拶だ、俺の友人のツバサだ」
「あ、あう……よろしくお願いします」
「うんよろしくねミミ、こっちは僕の相棒のヤヤコマだよ」
「ヤヤ!」
「ぴぃっ!!」
「うん……とりあえずボールに入ってるか……」
「お、お願いしますぅ……」
どうやら性格に癖がありそうだがそれでも自分が納得できるパートナーを見つける事が出来た、特に目的意識が強い訳ではないクリムにとってその事はとても大きな一歩となった。トレーナーとして自分がどうなっていくかまだ予想もつかないがクリムはこの臆病な相棒と共に自分の道を見つけて行こうと、そう心のなかで思うのだった。