2013年シーズン。圧倒的な戦力で高校野球を席巻した青道高校の投打の柱が注目だ。
史上初となる、2年連続春夏連覇、2年連続神宮大会優勝、3年連続国体優勝という輝かしい実績をひっさげ、伝説の後継者が運命の日を迎える。
「―――――すごいカメラの数だね、沖田」
大量のレンズを見て苦笑いする大塚。隣には、同じく笑みを浮かべている沖田。
「ああ。注目度はお前には負けるけどな」
大塚には父親がいるだろ、怪物の息子は怪物なのか、とかさ、笑みが苦笑いに代わる沖田。
「安打数、本塁打数、打率、打点などなど。その全てで2年連続記録更新の沖田には言われたくないね」
「甲子園で通算3試合完全試合をした男が言うセリフではないだろ」
お互いとんでもないことをしたと笑いあう。
「俺だって1回甲子園で完全試合を達成したんだけどなぁ。すぐ奪われちまった……」
「悔しいけど、未熟。自分を評価してくれている球団に入りたい」
横では甲子園を荒らした怪物二人の会話を聞いて表情が引きつる沢村と降谷。
「みんなおかしいと思う。」
「ああ。同じチームでよかったって毎回思ったぞ」
東条と金丸は、4人に対して君らも同類だと認識していた。ちなみに、東条、狩場は明治大学、春市と金丸は駒大への進学が決まった。
ちなみに、駒大へは丹波、クリス、川上が進学しており、明治大には前園、白洲、結城が進学し、横浦の黒羽、辻原も進学予定だという。
彼らの一部には、4年後のドラフトを目指し、大化けする選手がいたりする。
高校野球は今年も激戦。神奈川県予選は熾烈を極めた。神奈川のドクターK、末井は横浦という高い壁に阻まれ、最後まで甲子園に出場することが出来なかった。
そして、予選大会7連覇中だった光陵がまさかの決勝戦敗退。世代を代表する投手成瀬達也が最後の甲子園に届かなかったのだ。サヨナラパスボールというまさかの展開だった。
しかし、今年の高校野球の主役は西東京代表、青道高校なのは間違いなく、数多の強豪を撃破しての優勝。
有無を言わせない横綱野球で史上初の偉業を達成した。その中心は間違いなく高校史上最高の遊撃手、沖田道広。その攻守にわたる活躍で青道を牽引。4番大塚の前を打つ者として、数多の投手のボールを痛打する活躍を見せた。
投手は大塚栄治が圧倒的な投球を披露。2年間自責点ゼロで引退することに。沢村も通算防御率が0点台、降谷は春の選抜でノーヒットノーランを達成し、勢いそのままに打者を圧倒。
史上最強の三本柱と謳われた。
他の強豪校にも有望な選手がいたのだが、青道の前では霞んでしまうほど、彼らは鮮烈だった。
一方大学は九州の雄、大世良大地が頭一つ抜けているか。国学院の杉甫、山梨の剛腕、富士重のエースといった本格派右腕、左には横商の岩定か。しかし、今年は有望な捕手に恵まれた年と言っていいだろう。必ずやチームの命運を決める選手であることは間違いない。
社会人、独立リーグではJR東の吉田、セガサミーの裏野、エネオスのサイドスローの速球派が存在し、野手も近年ではナンバーワンといえるショート、キャッチャーがそれぞれ一人ずつ名乗りを上げ、楽しみな年となっている。
まずは下位チームからの指名が始まる。今年もパリーグの西武ホワイトライオンズがリーグ優勝、2連覇を達成し、勢いそのままに読売を粉砕。
パリーグからの指名となる。
『第一巡選択希望選手 北海道ソルジャーズ』
『大塚栄治 投手 青道高校』
その瞬間、会場からは異様な声が出た。ざわざわとした空気が流れる。大塚は特に希望球団を出さなかったのだが、横浜にいる大塚和正の所属する球団へと入るのが既定路線と考えられていた。
『来ますねぇ、いきなりレジェンドの後継者ですか』
『まさかとは言えませんよ。大塚栄治は、日本プロ野球を将来担う選手ですからね。』
『打撃もかなりいいですからね。二刀流を育てた球団がどのような舵取りをするのか注目です』
一応、二刀流を育てた実績のある北海道。しかし、前年の印象を良く思わない声もあり、会場は尚もざわついていた。
さらに混乱は続く。
『第一巡選択希望選手 名古屋ドラゴンズ』
『大塚栄治 投手 青道高校』
『ここで大塚栄治二球団目!! これ、会議直前の予想に近づいてきましたよ!!』
『活躍が約束されているようなものですからね。高校野球でもレベルの高さを見せていましたから』
そして――――
『第一巡選択希望選手 福岡トマホークス』
『大塚栄治 投手 青道高校』
指名が止まらない。
『第一巡選択希望選手 広島デミオーズ』
『大塚栄治 投手 青道高校』
前代未聞のドラフト会議。ここまで一巡目の選手が一人しか呼ばれていない。
『第一巡選択希望選手 千葉ロッテマーリンズ』
青道高校では、大塚が驚いた顔をしていたがそこまでではなかった。が、他の3人はそうではなかった。
「おい、これ全部大塚じゃねぇか!」
「いうなよ、まじでなりそうだから」
「なかなかできることじゃないよ」
『大塚栄治 投手 青道高校』
「またかよぉぉ!!! これで何球団目だよ」
沖田は突っ込むしかなかった。なんだこれは、と。
「5球団目? すごいと思う」
「俺の名前来ないじゃねぇか!!」
その後、東京ビヒダスが指名をして、近年投手力が充実している大阪。
『第一巡選択希望選手 大阪ブルーバファローズ』
『大塚栄治 投手 青道高校』
『これで7球団目!! 大塚栄治の名前しか呼ばれていません!! こんなことは初めてです!!』
『大阪は欲張りですねぇ。神木君、楊君を当てて、さらに大塚君まで欲しがりますか』
さらに指名は続く。
大阪サーベルタイガース、楽天ゴールデンファルコンズも大塚栄治を指名し、これで9球団が同じ選手を指名。
大塚和正のいる横浜denaビースターズ。この球団の動向に注目が集まる。
『第一巡選択希望選手 横浜denaビースターズ』
『沖田道広 内野手 青道高校』
怒号のような歓声が、悲鳴が、そして戸惑いの声が――――
掲示板すらサーバーが落ちた。ほぼすべての2チャンネルもフリーズした。
全国の野球ファンを驚愕させる、後の神の一手が下された瞬間だった。
『横浜は大塚を指名しません!! なんということだ!! なんということなんだぁ!!』
『こ、これは――――現実、なのでしょうか――――』
『この瞬間、大塚栄治の横浜入りは完全に消滅しました!! そして選ばれたのは、高校史上最強の遊撃手、沖田道広!! これだけの逸材が指名されてなお、ざわつきが収まりません!!』
『会場ちょっと大変なことになっていますよ!! ああっ!! 席を立つ人がいる!!』
カメラの向こうには、席を立つファンの姿がいた。衝撃を受けているファンもいた。悲鳴を上げる。
混乱のせいでドラフト会議が一時中断される事態となった。
事態収拾まで約30分もかかる異例の事態だったのだ。
こんな混乱を映像で見ていた大塚は、
「いやぁ、すごいことが起きているね~~」
「おまっ、他人ごとじゃねぇって!! まさか俺が12球団制覇を阻止するのかよ!! えぇ!? 開幕前からプレッシャーをかけるなよ、野球の神様!!」
沖田は12球団制覇する勢いだった大塚の記録を阻止した自分が横浜ファンに何を言われるのか心配だった。ある意味大塚以上のプレッシャーだ。
そしてドラフトが再開される。
残った西武、読売も大塚栄治を指名。なんと11球団が同じ選手を指名という前代未聞の展開。
ざわつきが尚も続く会場。
11球団の代表が抽選へと向かう。横浜の仲畑監督はそれを見ていた。
「ここまで集中するのは読めなかったなぁ」
モニターに表示される11球団の指名した選手が大塚栄治という名前で埋め尽くされる光景は、彼にとっても驚きだった。
「ええ。本人はどこでもいいと言っていたんですけどね」
今季からピッチングコーチも兼任することになった背番号19梅木祐樹。今年も二桁勝利を達成し、実績も十分。
大塚和正氏もコーチに近い立ち位置で今回の会議に出席している。本人は乗り気ではなかったが、飛田GMに強く勧められ、今回姿を見せていた。
「まあ、競合は予想されていましたからね」
ファンよりも落ち着いてその光景を見ていた和正。むしろ、
―――横浜以外でよかったかもしれないな
『さぁ、まずは沖田道広を獲得した横浜の仲畑監督にお話を伺います!!』
『どうでしたか? まさかの単独使命! 残り全ては大塚栄治に集中しました!』
『沖田君も沖田君で間違いなくチームを背負うことが出来る選手ですよ! 彼は間違いなく横浜の看板を背負える選手です! 彼にはこれからたくさんのことを成し遂げてほしい!!』
『沖田選手! 仲畑監督の熱い思いを聞いて、どのような心境でしょうか!?』
「ええっと、まさか単独とは思っていなかったので。隣の栄治が12球団制覇するだろうなと。ですが、キャンプまでにしっかりと準備をして、開幕一軍を目指します」
『そこは開幕スタメンだぞ! 一年目だからこそ、いろいろ言えるんだぞ!』
沖田のコメントが冷静だったので、仲畑監督は沖田に無茶ぶりを期待する。
「開幕一軍! 規定打席を達成できるよう頑張ります!!」
意を決して沖田は規定打席達成を目標に掲げる。タイトルはさすがに言えない。まだそこは言えないのだ。
『よく言った!!』
『以上、横浜仲畑監督と、ドラフト一位沖田選手でした!』
インタビュー、挨拶が終わった沖田はふぅ、と息を吐いた。
「いい監督だったね」
「あそこまで期待されているんだ。お前に負けないよう頑張るさ」
お互いの健闘を誓いあい、史上最強の遊撃手はライバルに宣戦布告。
「日本シリーズで会おうぜ」
沖田の指名が確定し、今度は大塚の抽選が始まる。
各球団の代表がそれぞれくじを引いていく。11人が一斉に居並ぶ姿はまさに異様。
『さぁ、くじ引きがすべて終わりました!!』
『誰が、どこが大塚栄治を引くのか、さぁ。どこだ!』
一斉に封筒を開ける11人の野望を秘める大人たち。
『バファローズだぁぁァァァ!!! なんということだ!! なんということだ!!』
『まさか3年連続で引き当てますかぁあ。なんという神通力、としか言えないですね』
『大阪ブルーバファローズが大塚栄治を引き当てた!! これで神木、楊に続く、大きな、大きなローテの柱を補強することに成功しました!!』
大歓声。大興奮。ここ数年のバファローズのドラフトは神がかっていた。さらに、先輩捕手の御幸一也は、押しも押されぬパリーグの正捕手。
先輩後輩バッテリーが実現するのは確実と言えた。
『さぁ、まずは大塚栄治投手の交渉権を獲得したバファローズ監督、守脇監督にお話を伺います!』
『まずはほっとしています。今年最高クラスの選手の交渉権を獲得できたことは、よかったと考えています』
『大塚選手に期待することはなんでしょう?』
『まずは地に足をつけて、万全の状態でキャンプを迎えてほしいと考えています。素質は誰もが認めていますが、やはり一年目の選手なので。』
『今は、一年間怪我無くシーズンを乗り越えてほしい。その思いが強いですね』
『なるほどぉ! ありがとうございます!! では大塚選手、大塚選手のインタビューに移りたいと思います!』
ここで、全野球ファンの視線が集まる。横浜からの指名はなく、地元から遠く離れた大阪の地でプロ野球人生を始めることになりそうな彼の動向に、注目が集まっている。
しかし、テレビに映る大塚栄治の姿は信じられないほど晴れやかだった。
『大塚選手、このドラフト結果についての感想をまずお伺いします。史上初、11球団の指名となりました!』
「そうですね。まずは多くの球団からの指名が集中したことに驚きました。一番目に自分を獲りたいと考える球団が多かった、その結果が11球団からの指名になったので。そこはうれしいですね」
大塚は、複数球団からの指名に対する驚きと、実力を評価してくれたことに感謝の意を示した。
『そんな中、大阪ブルーバファローズが交渉権を引き当てました! バファローズに対して、どんなイメージがありますか?』
「投手陣がいいイメージがあります。後は若い選手が多い印象です。」
『最後に一言何かお願いします』
大塚栄治の言葉に注目が集まる。果たして、大塚栄治は交渉に応じるのか。
「そうですね。今はもう来年のキャンプに向けて準備を進めようと考えています。まずはキャンプ、オープン戦を乗り切って、開幕一軍目指して頑張ります。」
言葉をいったん切った大塚。そして最後に、
「初めまして、バファローズファンの皆さん。ドラフト一位指名を受けた大塚栄治です。すぐに名前を覚えてもらえるよう、精いっぱい頑張ります。」
カメラの前で、にっこりと微笑んだ大塚。それは間違いなく、バファローズに来るというサインだ。
この一言で、またサーバーが落ちた。大塚栄治は確実にバファローズに来る。日本の未来のスター候補は浪速の関西球団に足りない最後のピースとなり得るのか。
『大塚栄治選手でした!!』
中継が終わり、解説と実況へとマイクが戻る。
『清々しいくらいの対応でしたね』
『プロ野球界もさらに盛り上がるでしょう。入団拒否の可能性もあっただけに、大塚君の対応は気持ちのいいものでしたね。』
『来年のバファローズはさらに投手陣が盤石なものとなるでしょう』
青道高校では、二人のドラフト一位候補が出てきたことに歓喜の輪が出来ていた。
「おめでとうございます、沖田先輩!!」
「さすがだな、沖田ぁ!!」
新田直信と金丸から祝福を受ける沖田。ただ一人の単独指名。横浜を背負うだろう彼に対して、多大な期待がのしかかるだろう。
「開幕一軍、規定打席! それが出来たら結果はついてくるさ! まずは暴れてくるぞ。浅田は左の大塚になれるかもな! 来年も頑張れよ! エース!」
「ぼ、僕――――はいっ! 頑張ります!! 絶対選抜も投げ切ってみせます!!」
弱気な投手、浅田は初々しさが抜けていない。だが、大塚の背中を追い続けたことで大きく成長した。マウンドになるとスイッチが入り、気持ちを前面に出すようになった。
夏の甲子園でも先発を経験。九鬼とともに秋季予選でも活躍を見せている。
「大塚先輩も11球団競合! 来年から応援しています!」
「活躍、期待しています!!」
「沖田ではないけど、プレッシャーがすごいね。そして浅田君は興奮しすぎ。ごめんね、ちょっと目が怖い」
「先輩は僕をどういう目で見ているんですか!?」
その後、北海道ソルジャーズが本郷の獲得に成功。複数球団競合だったが、ここで勝負強さを見せた。
ソルジャーズはその後、高卒遊撃手、注目の社会人投手裏野、大卒投手城村、高梨を指名したソルジャーズ。
そして6番目の指名に――――――
『第六巡選択希望選手 北海道ソルジャーズ』
『小川常松 投手 成孔学園高校』
東京で名を轟かせたサウスポー、小川がソルジャーズの最後の指名となった。全国区ではない為か、指名順位は落ちたものの、その潜在能力は侮れない。
「――――――なんで俺が呼ばれたんですかねぇ」
驚きのあまり、小川はぽかんとしていた。
「ツネ。ここからが本当の勝負だぞ。」
「――――うっす。このままじゃ、俺も終われないっス。プロでまたあいつと勝負して、今度は勝ちます」
「その意気だ、ツネ!」
熊切監督に檄を飛ばされ、左の剛腕はプロの世界に足を踏み入れる。
その後はバランスのいい野手をとり、来季に向けて最下位脱出を目指す。
5位に終わった福岡トマホークスは、本郷の獲得に失敗し、社会人投手を指名。社会人投手中心の指名となった。今年も有力な高卒選手の獲得に失敗した若鷹軍団。既存の戦力の底上げが期待される。しかし、ドラフトでの影響が大いに心配されていた。
4位千葉ロッテマーリンズは社会人ナンバーワン右腕を獲得し、内野手、捕手とバランスのいい指名。2年目でブレイクの予感を秘める天久光聖、美馬総一郎を中心に据え、下克上を狙う。
3位大阪バファローズは、大塚栄治獲得と拒否の印象が欠片も見られない彼の様子に大興奮。上位は実力者の大社投手を指名し、下位には高卒野手を指名。ロマンと実績を融合したドラフト戦略となり、前評判が高い部類に入る。合計6人の選手を獲得。
そして、その4番目の指名にあの男が呼ばれる。
『第四巡選択希望選手 ブルーバファローズ』
『轟雷市 内野手 薬師高校』
薬師高校では、
「うおぉぉぉ!!! ライチがドラフトにかかりやがった!!」
「――――まだ。まだ戦えるんだ。すごい奴らとまだまだ戦えるっ!!」
この3年間で精悍さが増した轟。どこか天然も入っていた彼だが、この高校三年間で大きく成長した。食の環境も改善され、体格もやや改善された。
プロとして、プロの投手相手に戦うことのできるボディを手に入れ、持ち前のフルスイングで開幕一軍を目指す。
2位楽天ゴールデンファルコンズは神奈川のドクターKを獲得。左投手を合わせて3人指名し、高卒選手も指名。優勝を目指していたシーズンだった今季。エースが抜ける来期はどういった戦いをするのか。
そして1位西武は高卒トップクラスの大阪桐生の捕手を指名。上位には一発のある打者と横浦の右投手諸星和巳を指名。今年のエースナンバーを背負った彼は、先輩楠慎吾に続くことが出来るのか。そして、来季優勝という目標を達成できるのか。
そしてセリーグ。
最下位に沈んだ名古屋ドラゴンズは度重なる競合でくじを外し、高卒投手を指名。以降の指名で持ち直したものの、まだまだローテの枚数が足りない。
5位に沈んだ広島デミオーズは大学ナンバーワン右腕大世良大地の獲得に成功。2位指名に成瀬を考えていたが、東京ビヒダスに一位指名で奪われ獲得できず。日本一厳しい練習を誇る大卒右腕を指名した。
その頃、光陵では
「ほら見ろ! 成瀬を一位で指名しないから――――」
「甲子園出てないからなぁ俺……出たかったなぁ」
「東京かぁ。土産に東京バナナを期待するぜ、成瀬」
「もっとおいしいものにしておくさ。東京に必要なものは何だっけ? 後で沖田に電話しよ!」
「東京を何だと思っているんだ」
その後3位指名には社会人ナンバーワン遊撃手など、チームの根幹が揃ってきた。巻き返しになるか。
4位東京ビヒダスは一位指名に広島の名門、光陵のエース成瀬達也を指名。社会人、大学生の選手を多数指名し、即戦力が揃う。Aクラス入りを目指す。
3位大阪サーベルタイガースは大学ナンバーワン左腕を指名。その後は一発のあるパワーと走力を誇る選手を次々と指名し、下位指名にもしっかりと左投手を指名。今年こそ、今年こそ優勝と強い気持ちを掲げてきた関西球団は、日本一という野望に届くのか。
2位横浜denaビースターズは――――
『第二巡選択希望選手 横浜dena』
『降谷暁 投手 青道高校』
「!!!」
ここで、ついに青道の剛腕が呼ばれた。大きく目を見開き、沖田とチームメートになったことを知る。
「またよろしくな、降谷!」
隣には、彼を祝福する沖田の姿。
3位には――――
『第三巡選択希望選手 横浜dena』
『沢村栄純 投手 青道高校』
「うおぉぉぉ!!! 俺来たァァァ!!」
隣にいる降谷と沖田を見てびっくりする沢村。高校ナンバーワン左腕と言われていたが、全国屈指の投手陣を誇る青道の中で登板機会が減少したのだ。
エース大塚、剛腕降谷、2年生左腕浅田と右の九鬼。沢村を入れてレベルの高い投手が5人もいる状態。片岡監督も色気を出して下級生たちに経験を積ませたかったのだ。
ゆえに、わかりやすい武器が見えにくかった彼は崩れたわけではないが評価が薄くなっていた。
左のエース柿崎、右にはあの大塚和正と、梅木祐樹、4年目にブレイクを果たした國吉がローテに加わっている。
先発争いをめぐる残り2つの椅子を既存選手と争うことになる沢村と降谷。
4位には亜大の正捕手が指名された。一族というキーワードがちらつく強打を誇る選手に。
5位にはサイドスロー、オーバースローを使い分ける投手が指名される。
6位には社会人で評価の高い右投手。しかし、メンタルに課題あり。後にビハインド神となる。
7位は甲子園出場がなかった高卒外野手を指名。層の厚い外野陣に食い込めるか。
東京キャッツは、社会人ナンバーワン捕手を指名するなど、終始バランスのあるドラフト戦略。しかし、全体的に原石の選手が多く、ハマれば面白いと言われている。
大阪ブルーバファローズ 一位 CSファイナルステージ敗退
今シーズンは開幕戦に3年目の神木が先発。続く二戦目には大塚栄治、三戦目には楊舜臣が先発。開幕三連勝と、前半戦首位ターンの原動力となる。裏ローテにも笑顔のエース西、ベテランの金子、6番手は熾烈な争いになり、投手陣は12球団屈指のレベルに。
しかし後半戦の中頃、神木が足首の故障で離脱。裏ローテも疲労から崩壊し、表ローテの頭をルーキーの大塚、2戦目に楊舜臣を配置することで首位陥落は免れた。不幸中の幸いは、神木が来年のキャンプには間に合う見通しだということだ。
それでも神木が抜けた穴は大きく、CSシリーズでは圧倒的に有利な状況を作り出したにもかかわらず、まさかの敗退。
打線も後半戦になると貧打が深刻になり、3番轟、6番御幸は3割を達成することができたものの、打線がつながらなかったことが日本シリーズを逃した要因となる。
リーグ最弱の攻撃力は、最後の最後に最強の投手陣に引導を渡したのだ。
この事態を重く見たバファローズフロントは、キャッツから放出された外国人一塁手を獲得。彼の入団は、大阪の悲願につながっていくことになる。
大塚栄治 背番号18
28先発登板230回 1.13 勝率.954 21勝1敗 完投16 完封11
QS 28回(率100) HQS28回(率100)
奪三振281 四球28 死球1 被本塁打1 被安打148
失点34 自責点29 WHIP0.76
96試合 .401(192打数77安打) 19二塁打 3三塁打 24本塁打 79打点 3盗塁
得点圏.431 三振12 四球23 死球1 犠打4 出塁率.450 長打率.906 OPS.1.35
開幕から驚異的な投球を継続。後半戦は投手に野手と大車輪の働きをする羽目に。HQSを下回る勝ち星を積み重ね、ブルーバファローズの躍進を支える。
交流戦で初めて打席に入った大阪タイガース戦、4打数3安打4打点、ホームラン1本をぶち込んだ大塚。その後の活躍により、交流戦から代打の切り札として、野手としての出場が増える。後半戦での貧打解消のために、7番DH大塚が解禁。後半戦失速を阻止した。このころから、「休日出勤の大塚」という不名誉なあだ名がなんJで広まる。
CSファイナルステージでは、勝ち上がってきた西武ホワイトライオンズを相手に二塁すら踏ませず、1安打無四球完封、19奪三振で勝利投手に。しかし3戦目から西武の打線が本領発揮。
最後は塁上で西武の下克上に立ち会うことになる。来季に向けて二刀流の期待も高まるが、「スタメンはありません。コンディションが良ければ出場します」とのこと。
二桁勝利、二桁本塁打を達成した新人は例がなく、プロ野球界を困惑させた。歴代でもレベルの高いルーキーが揃った年だったが、その遥か頭上を行く新人王。大塚がいなければ新人王、という言葉が各球団に大量発生した。
3年目のオフに同い年の女子大生と結婚。女性ファンの血涙を大量発生させた。
轟雷市 背番号4
143試合 .315(447打数141安打) 20二塁打 3三塁打 27本塁打 81打点 15盗塁
得点圏.282 三振48 四球58 死球4 犠打2 犠飛7 出塁率.393 長打率.554 OPS.947
失策4 守備率.987
開幕からサードスタメンの座を勝ち取る。高校三年間で、攻守ともに弱点が消えた男は、プロの世界で躍動。新人王こそ獲得できなかったが、一年間レギュラーの座を守ったことで、今後のチームの顔となる準備は出来ている。契約更改の時に、うれし涙を見せた。が、得点圏での勝負弱さが少しだけ目についた。初年度や彼のエピソードが明るみに出ると、食いしん坊キャラとして露出が多くなり、幅広いファン層に支持されるようになる。
西武ホワイトライオンズ 2位 日本シリーズ進出
今年は開幕から大阪ブルーバファローズに水をあけられることになった獅子軍団。しかし、打線はリーグ最強の破壊力を誇り、交流戦でも勝ち越しを決め、2位を死守した。しかし、2年目のエース楠が幾度となく大塚栄治と轟雷市の一撃に沈み、勝ち頭が貯金を稼ぐことが出来なかった。
高校時代の苦い経験を覚えていたであろう大塚は、12打数8安打5HRと楠を圧倒。そのことから、大塚さんは畜生、というワードが生まれるきっかけとなった。
CSシリーズでは3位ロッテに苦戦を強いられ、初戦はロッテのエース天久光聖に完封負けを喫した。しかし、その後は息を吹き返し、エース神木を欠くブルーバファローズに逆転勝利。3年連続で日本シリーズに進む。
しかし、後に同時受賞となる新人王の片割れ、沖田道広の活躍により、横浜に日本シリーズ開幕4連敗を喫し、シーズンが終了。横浜黄金時代の幕開けを象徴する頂上決戦となってしまう。
諸星和巳 背番号66
16先発登板 102回 2.91 勝率.667 7勝5敗 完投0 完封0
QS12回(率.705)HQS7回(率.437)
奪三振120 四球36 死球2 被本塁打7 被安打106
失点44 自責点33 WHIP1.41
新人離れした冷静な投球で順調に勝ち星を積み重ねる。落差のあるチェンジアップが冴え渡り、大きなカーブは打者の意表を突いた。日本シリーズでは大舞台に呑まれたのか、初回に沖田のツーランホームランから打者一巡の猛攻で2回持たずKO。シリーズ終了後、涙ながらに来季の飛躍を誓う。
千葉ロッテマーリンズ 第三位 CSファーストステージ敗退。
エース天久が一気にブレイク。大塚栄治に初めて黒星をつけた投手としてその名を注目される。美馬総一郎も脚力を活かし、盗塁王のタイトルと打率三割を達成。若い力が躍動した千葉の下克上軍団はAクラスに返り咲いた。
投打の若き柱が出来つつある千葉の旋風は、来期にもつながっていく。
第四位 北海道ソルジャーズ
後一歩Aクラスには届かなかったが、二刀流の覚醒とともにチームは成長を続けることに。高卒左腕小川の出番は来期以降に持ち越しとなったが、ファームで順調に成長しているらしい。Aクラスにはあと1ゲーム差だったが、5位との差はかなり開いており、来季もそこまで順位を落とすことはないと言われている。
小川常松 一軍出場無し
ファームで一年間ローテを投げ切る体力を獲得。新球種、パワーカーブは対左において有効なボールとなり、来季へのブレイクを予感させる。さらに最速153キロのストレートも球質が良化し、より強いボールに変貌。チーム事情と将来のために一軍登板は最後までなかったが、熱心なファンなら彼を知らない者はいない。
本郷正宗 背番号22
14先発登板 94.3回 3.53 勝率.500 5勝5敗 完投2 完封1
QS5回(率.357)HQS2回(率.142)
奪三振52 四球48 死球1 被本塁打7 被安打97
失点37 自責点37 WHIP1.54
リーグ中盤辺りから登板数が増えていった。球威はトップクラスだが、プロのゾーンに悩まされ、課題と可能性が見えた一年となった。しかし課題として浮かび上がったのは、ストレートの空振り率の悪さだった。決め球として考えていたスプリットの痛打が目立ち、決め球のなさが浮き彫りに。ストレートと変化球のレベルアップが要求されることになる。
横浜denaビースターズ リーグ優勝、日本シリーズ制覇
当初は疑問視された2番沖田が大爆発。優勝の原動力となる。
本塁打王坂田、打点王東に加え、最高出塁率と首位打者、三割三十本を達成した沖田、盗塁王を獲得した梶前。その勢いはシーズン終了まで衰えず、下克上で日本シリーズに勝ち上がった西武相手に3戦連続二けた得点を達成、4連勝で日本一に。
44歳の大塚和正は無冠ながらすべてのタイトルで2位。無冠でシーズンを終えることで球界に激震が走る。
エース柿崎則春は最優秀防御率、最多勝、最多奪三振、最優秀勝率の投手四冠を獲得し、ルーキー沢村、降谷が二桁勝利を達成。大塚、柿崎、沢村、國吉、降谷の二桁クインテットを形成した。リリーフも中継ぎ転向の洲田、剛腕北形、ルーキー三神が台頭。
一気に芽吹いた投手陣の光景に、自分の体の限界と、その役目が終わったことを悟った梅木祐樹は現役引退を表明。
沖田道広 背番号6
143試合 .383(552打数200安打) 26二塁打 6三塁打 38本塁打 103打点 27盗塁
得点圏.451 三振28 四球45 死球2 犠打2 犠飛7 出塁率.440 長打率.693 OPS1.133 失策3 守備率.995
当初は疑問視された単独指名。その論調を吹き飛ばす大活躍で、一気に横浜ファンのハートをつかんだ。史上二人目となるルーキー三割三十本を達成し、あと少しでトリプルスリーも目前だった。広大な守備範囲と送球の正確性からハマのアキレスと呼ばれる。新人記録を悉く更新し、大塚栄治とのダブル新人王となった。ホームラン数2位、打点5位、盗塁数3位と、ハイレベルな成績を達成。
日本シリーズでも大車輪の活躍を見せる。その活躍が認められ、日本シリーズ最優秀選手に選ばれることになり、翌年以降も規格外な成績を収め続けることになる。
しかし、毎年のように売名被害に遭遇し、「まるで意味が分かりません」という発言が有名となった。
玉の輿を狙う異性が多いことにショックを受けた彼は、数年間女性不信を患っていたかに見えたが、大塚綾子の再来と謳われたアイドルと婚約する。
そしてこれは極めて異例なことだが、ルーキーイヤーにもかかわらず、メジャーリーグのスカウトが彼を追う姿も見受けられ、彼の周囲は一年中騒がしくなりそうだ。
沢村栄純 背番号11
24先発登板 170.6回 2.42 勝率.947 17勝3敗 完投4 完封3
QS23回(率.958)HQS17回(率.708)
奪三振179 四球23 死球2 被本塁打7 被安打155
失点49 自責点46 WHIP1.05
入団時、空席となっていた背番号11を継承。金属バットから木製バットに代わったことで、高校時代では二番手に甘んじていた彼の本領が発揮。変幻自在の癖玉は、七色の変化球と呼ばれるようになり、判別不可能とさえ言われた。圧倒的なスターターとしての能力と、横浜強力打線の援護力により、柿崎則春に次ぐ勝ち頭となる。日本シリーズでは第三戦に先発。西武打線を翻弄し、7回無失点と好投。
数年後、付き合いの長い幼馴染と入籍し、女性ファンの涙を大量発生させることに。
梅木祐樹曰く、「メジャー向きの性格と球質をしている」と言わしめた。
降谷暁 背番号46
20先発登板 132.6回 1.56 勝率.666 12勝6敗 完投5 完封3
QS17回(率.850)HQS13回(率.650)
奪三振182 四球54 死球2 被本塁打1 被安打123
失点25 自責点23 WHIP1.34
沢村にやや遅れをとったものの、一軍に定着。最速158キロのストレートと、切れ味鋭い縦スライダー、SFF、チェンジアップなど多彩な変化球も駆使し、打者を圧倒。時折、四球で自滅しかけることもあるが、粘りの投球を見せ、成長を感じさせる一年となった。
日本シリーズでは第四戦に先発。1失点完投で、日本シリーズ優勝投手となる。
女性との交流であまり笑顔を見られなかったが、子供との交流になるとはじけたような笑顔を見せる等、子供好きな一面を見せた。
2位 大阪タイガース CSファイナルステージ敗退
リーグ二位のチーム防御率を誇る一方、チーム打率は4位とイマイチだった。しかし秋の風物詩を乗り越え、Aクラスを死守。若きエース大浪を中心とした守り勝つ野球で堅実な戦いを展開。ファーストステージでは、初戦に成宮の前に零封負けを喫するものの、2戦目を最少得点で勝利し、続く第3戦目は引き分けに持ち込み、ファーストステージ突破を決めた。
しかし、リーグ最高の遊撃手沖田道広が攻守で大きく立ちはだかり、あと一歩届かず惜敗。
3位東京ビヒダス
左のエース成宮、右の小河が二桁勝利を達成。さらに新加入の成瀬がレベルの高い投球を披露。成瀬も新人二桁勝利を達成し、三本柱が形成されたことがAクラスに躍進した大きな要因となった。
2年目の成宮は、昨季に比べ被本塁打数を大幅に改善し、一気に防御率を下げ、ハマのレジェンド大塚に投げ勝つなど、何かをつかんだ一年となった。
成瀬達也 背番号22
24先発登板 162回 2.55 勝率.666 12勝7敗 完投2 完封2
QS18回(率.750)HQS10回(率.416)
奪三振174 四球31 死球2 被本塁打8 被安打169
失点50 自責点46 WHIP1.25
成宮に次ぐ勝ち星を挙げる等、チームのAクラス入りに大きく貢献。切れ味鋭いスクリューボールに加え、降谷の握りを参考にしたという縦スライダーが猛威を振るい、左右関係なく通用した。CSファーストステージでは、第三戦目に先発後がない状況で8回無失点と好投するも、チームはファーストステージ敗退となってしまう。
沖田は翌シーズンからトリプルスリーを継続。
球界の革命児と言われるように。
大塚は野球界のやばいやつと言われるかも。