ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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新年初の投稿。

お年玉を親に渡したら、お年玉を貰った件について。

社会人一年目とはいえ、嬉しいような、何とやら




第88話 ベターな投球

秋の秋季大会予選、本選一回戦。青道対帝東。

 

タイムリーこそまだないものの、堅実な野球で先制点を挙げた青道。ここで尚もランナー一塁で打席には御幸。

 

―――――タイムリーではないが、この嫌なプレッシャー。尚更コースを狙うはず。

 

御幸は、この手の投手はコースにいい投球をすることで、自分の安定を図るタイプだと察した。

 

だからこそ、

 

――――尚更コースを絞らねェとな

 

コースを絞り、自分の決めたゾーンで確実に捉えることが重要になる。

 

 

――――これまでの打者ほぼ全てに対し、初球はコースに決まっている。

 

左打者の白洲に対しては、外のスライダー。

 

 

向井の第一球。

 

―――――!?

 

ズバァァァンッっ!!

 

「ボールッ!!」

 

ここでインコース低めのストレート。外れたが、際どい球。

 

――――まずは目線を変えてきたか。内を見せた後の球は――――

 

 

だが倉持に対して、その攻めを行った結果、ヒットを打たれている。同じように要求できるか。

 

 

――――狙うは、インコースのストレート。

 

御幸はマウンドの向井を凝視し、バットを握る力を若干強める。足の方も微妙に動かした。まるで、外にも対応できるように。

 

そして最後に、一瞬だけ“向井にだけ”わかるように目線を外のコースへと移した。

 

 

 

それを見た乾は、

 

 

――――若干足元を気にするそぶりも。やはりあの外のスライダーを警戒しているか。

 

 

―――――もう一回のけ反らせてやんよ。これ以上得点をゆるさない。

 

打者を知った気になっているバッテリー。だがこの打席に立っているのは、得点圏で打つ打者であること。

 

 

読み打ちのスペシャリスト、御幸であることを、もっと知る必要があった。

 

 

 

ガキィィィンッッッ!!!!!

 

 

「なッ――――――」

 

内のストレートを強く叩いた当たりは、ライトへ。

 

 

「ライト方向に打球伸びるぞ!!!」

 

「キャプテン!!!」

 

「超えろォォォォ!!!」

 

 

スタンドの声援、そして風にも流された打球は―――――

 

 

ダンッ!!

 

 

ライトフェンスに直接激突する長打。見事な読み勝ちだった。

 

「キャプテンが決めたぁぁぁ!!!」

 

「廻れ、廻れ!!!」

 

一塁ランナー沖田は俊足。快速飛ばして二塁を蹴り、三塁もスピードを落とさずに

 

――――ここは行くしかないだろ!!

 

三塁コーチャーも手をまわしていた。沖田はスピードを緩めることなく三塁を蹴る。

 

「っ!!」

 

しかし、帝東も負けていない。

 

「連携スムーズ!!」

 

外野から素早く送球され、内野手へとすぐにわたる。そしてバックホーム。

 

 

 

沖田が足から滑り込みながら、乾の背後を狙う。クロスプレー。

 

 

際どいタイミングだが――――――

 

 

「アウトォォォォぉ!!!」

 

 

「マジかァァァ!!!」

ホームベース上で悔しがる沖田。悔しそうにベンチへと帰っていく。

 

 

青道はヒットを複数絡めたとはいえ、追加点を許さなかった帝東の堅い守備を感じる初回となった。

 

2回表、4番乾との対決。

 

初球はインコース、ストレート。ボールゾーンへと投げた球だが、初回の強烈な印象が目に焼き付いて離れない。

 

左打者の内角へ、それも強打者の乾相手に躊躇いなく投げ込む大塚。失投を恐れないからこそ、出来る芸当。

 

それは日頃から制球への意欲を見せている投手のみ、到達できる確かな自信。

 

――――インコースを見せた後、次は何が来る?

 

しかしテンポよく投げ込む大塚。今度は外。

 

――――ボールゾーン、だが―――――

 

際どいコースだがボール。しかしあのバックドアを見たら―――――

 

カァァンッッ!

 

 

「ファウルっ!!」

 

――――くっ、ねらって打てるボールではない。だが、今は変化しなかったっ!!

 

手を出してしまう。外のバックドア。選球眼が当てにならない。ボールコースを打ってしまったことで、やはり焦燥を感じてしまう乾。

 

 

―――――まあ、だいぶバッティングしづらいよな。大塚の今の投球は、夏とは違うんだからな。

 

 

 

夏は相手を制圧する投球ならば

 

――――次はストライクゾーンから落とすぞ、大塚。

 

 

ククッ、ストンッ!!

 

 

「ストライクツー!!」

 

 

秋は、相手に力を出させない投球。夏程ではない制圧力を残しつつ、新たに至った大塚のスタイル。

 

 

「っ!!」

 

外のストライクゾーンからボールになるパラシュートチェンジ。まだ一球もSFFを投げていない。

 

 

SFFがまだ不完全。投げていないのではなく、大塚はSFFを投げられないのだ。

 

 

 

――――狙い球をもう絞れてないだろう。ここは好きに投げろ。

 

 

――――では、

 

大塚はテンポよく投げ込むことを選択。乾に最後まで考えさせる余裕を与えずに、

 

「ストライクっ!! バッターアウトっ!!」

 

 

最後はインコースのフロントドア。シンキングファストがボールゾーンからストライクゾーンへと入ってきた。

 

 

もう何が何だかわからない。決め球となるパターンを複数持っている。配球を読むことが難しい。

 

 

4番にスイングすら最後はさせなかった。

 

 

力で押さえつけられているなら、中盤、終盤にガス欠を起こすこともあるかもしれない。

 

だが、目の前の投手は巧さをもって、剛柔を封じている。それぞれ精度の高い変化球をもって。

 

 

続く5番6番も無抵抗に見逃し三振。スイングをさせず、前の回から6者連続三振。

 

 

 

 

しかも、5者連続見逃し三振。有り得ないことが、起き始めていた。

 

 

「―――――――」

マウンドからベンチへと戻る大塚だが、それでも笑みすら見せない。まだ満足していないかのように。

 

終始怖い顔で、淡々と投げるその姿に、

 

 

――――マジで手が付けられなくなったな、大塚。

 

ライバルであり、親友の止まらない成長に、沖田は頼もしさを感じる。

 

――――本当に、凄い人だ。

 

春市も、あの帝東を寄せ付けない投球に、感嘆する。

 

 

ベンチにて御幸が大塚に声をかける。

 

「だいぶ形になってきたな、外と中の出し入れ」

 

「まだですよ。序盤で決めても、終盤疲れが出始めるケースでそれが出来なきゃ意味がないです。出来なければ相手に考える余地を与えてしまう。選択肢を維持する努力が必要です。」

冷静なままの大塚。

 

「ったく、可愛げがない奴。」

その言葉を聞いた御幸は嬉しそうに左肩をポンポンと叩く。

 

 

2回裏、6番前園が練習の成果を見せ始める。

 

ショートの頭というイメージが、引っ張る傾向にあった彼のメンタルに変化を与えていたのだ。

 

 

カァァァァンッッ!!

 

 

――――ちィ!! また仕留め切れんかった!

 

 

 

アウトコースの決め球スクリューにバットを当てる前園。球数を投げさせられている向井。

 

だが、外を意識しているのがもろ解りの前園。最後は、

 

 

カァァァンッッ

 

――――差し込まれたっ!

 

 

「レフト!!」

向井が守備方向へととんだ場所を叫ぶ。だが―――――

 

ボールが落ちない。まだ飛距離を伸ばしていく。

 

 

「――――え」

 

「!?」

向井と前園が驚く。打った本人も打ち取られたと考えていた。だが、打球がまだ落ちない。

 

 

レフトがまた一歩、一歩下がっていく。

 

 

 

パシッ!

 

 

「アウト!」

 

最後はフェンス手前。詰まった当たりにしては、だいぶ飛距離が伸びた。

 

 

 

「―――――――」

前園は首を傾げながらベンチへと帰っていく。

 

「ゾノ、後一歩だったな。」

御幸が声をかける。本当に傍から見れば、上手くとらえているように見えた前園の打席。

 

本人は詰まった感覚を感じていたので、

 

「アカン、狙い球を外された。詰まらされたわ」

 

「ゾノの感覚はそうなのか。(これは言わない方がいいな。試合後ぐらいがちょうどいい)」

 

「??」

 

 

続く大塚――――

 

 

 

―――――金丸は、動から動を意識していたよね

 

大塚は足元を気にしつつ、打席に立つ。

 

 

一方、夏前に比べ体格がよくなっている大塚を初めて打席で見た乾は――――

 

 

―――――こいつ、こんなに体が大きかったか!?

 

 

スケールの大きさを感じさせるフィジカル。身長185cmの大柄な体格が右バッターボックスに入る光景は、捕手目線で脅威に感じる。

 

 

振り子のようにバットを軽く振る大塚。そして構える一連の動作。一年生にして貫禄があった。

 

 

初球―――――

 

 

「ストライィィィクッっ!!!」

 

空振り。外のストレートにいきなり振ってきた大塚。タイミングはまだあっていないらしく、ボールに掠るイメージもなかった。

 

 

「―――――――っ」

 

マウンドの向井、そして乾はそれでも冷や汗を流した。

 

 

轟音にも似た強烈なスイング。力感を感じないにもかかわらず、とてつもないスイングスピードを見せた大塚に、驚愕したのだ。

 

 

風を切る音が観客席にも届いてしまう様な、そんなフルスイング。

 

 

―――――初球ストレート。春市の言う通り、訳の分からない相手にはアウトローは安全策。けど、次はどうするかな

 

 

キィィィンッッ!!!

 

 

続く2球目もストレート。今度はバットに当てた大塚。軽く振っているようにも見えるのだが、打球は痛烈にレフトファウルスタンドへと入り込んだ。

 

 

――――おいおい、外角のストレートを強引にスタンドだと―――!?

 

乾はそのコースに届くということもだが、そのコースに力負けせず、スタンド深い場所に魔で打球を引っ張れる大塚のパワーに驚く。

 

打球はきれてファウルなのだが、パワーだけは侮れない。

 

 

―――――だがこれで追い込んだ。打撃でも好きにさせるかよ!!

 

3球目はインコースのボール。変化球はずれて1ボール2ストライク。スライダーを冷静に見極めた大塚。

 

 

―――――あのコースにバットが止まった!? 見切られたのか!?いや、バットは出かかっていた――――

 

 

乾から見た大塚は、明らかにボールを打ちに行く仕草だった。それを大塚は途中で止めたのだ。

 

――――外で終わりだ

 

 

ガキィィィンッッッ!!!

 

 

乾には、大塚の動作が見えていた。

 

 

 

ボールが放たれる前から大塚の動きは始まっていた。

 

 

ゆっくりと、ゆっくりとバットを引く動作、それが緩慢にも見えた。130キロを優に超す向井のボールを相手に何を考えているのかと。

 

 

向井の手からボールが放たれる。外のスクリュー。右打者には一番効果的なボール。今までも、このコースは誰にも打たせたことがなかった。

 

 

ボールが打者の前で変化する。外へと逃げながら沈むボール。

 

 

イメージは空振り三振だった。

 

 

打球はライト方向へ。痛烈な打球がライトのグラブに収まったのを二人は見た。

 

 

「うわぁぁ!! 当たりはよかったのに!!」

 

「ドンマイ大塚!!!」

 

打球の行方を見て走りかけた大塚だったが、渋々と一塁ベースを回ったところからベンチへと帰っていく。

 

 

 

 

 

 

小湊も野手の正面を突くセカンドライナー。

 

 

3回の表、待ち球作戦が一切の意味を持たないことを思い知らされた帝東が早打ちに切り替え、大塚の連続見逃し三振は6で途切れるものの―――――

 

カァァンッッ

 

力のない芯を外された打球が量産されていく。

 

「アウトっ!」

 

癖球が猛威を振るう。複数の決め球が確実に打者を打ち取る。

 

3回を投げて、被安打0。奪三振は6つ。投球の巧さが際立つ投球内容。だが、驚くべきことはそれだけではない。

 

 

偵察班も、大塚の投球の中で代名詞とも言われるあの決め球が姿を現さないことに困惑していた。

 

「今日の大塚、SFFを投げたか?」

 

 

「いや、まだだ。乾には投げると思ったんだけどなぁ」

 

 

「今年の甲子園出場、帝東相手にSFFを温存かよ。」

 

 

「マジで底がしれねェぞ、大塚栄治――――っ」

 

 

マウンドで君臨することを、するための努力を行ってきた大塚。

 

 

「ナイスピー、大塚ァァァ!!!」

 

「寄せ付けてないぞ!!!」

 

「さすが大塚だァァ!!!」

 

「青道の至宝!!! いや、関東の至宝!!」

 

「さすが関東ナンバーワンの称号を持つ男!!!」

 

 

 

青道応援席にて、大塚の変化に心配を持つ者も―――――

 

「―――――大塚君――――」

吉川は、大塚がマウンドで表情を見せなくなったことに、何か哀しげな表情を浮かべていた。

 

夏の時は、闘志を前面に押し出す力でねじ伏せ、技でねじ伏せる、相手の力を上回る投球をしていた。

 

 

今もそれは変わらない。力押しできる状態ではないのは解る。けれど、なにか決定的に違う。

 

彼女が思った疑問。それは――――

 

―――――大塚君は今、野球が楽しいのかな―――?

 

皆が望んでも出来ないことを、彼は成し遂げる。フロントドアという言葉を、夏川先輩から教えてもらった。

 

 

「あれはもう、メジャーの投手が使うような技術よ!! それを1年生で出来るようになるなんて、凄すぎるよ!!」

 

「そ、そうなんですか!?」

なぜ、彼はそんな技術を欲したのだろうか。

 

 

「ええ。大塚君の投球にますます磨きがかかってるわ。うん、もう誰も寄せ付けないんじゃないかな!!」

 

「誰も――――」

誰も寄せ付けない力を手にして、彼は野球が楽しいのだろうか。

 

 

「だって、打席に入っても何が来るのか絞れないもん。」

 

 

「相手の力を出させない、踏込を防ぐ、球数を節約する。芯を外す。どれもが出来る技術。大塚君は本当の意味で、ストライクゾーンで勝負できる投手なのよ」

 

 

大塚栄治を掻き立てるモノはいったい何なのだろうか。

 

 

 

 

3回の裏は三者凡退。ギアを上げてきた向井が出塁を許した倉持を今度は抑え込む。白洲は惜しくもショートライナー。

 

やはり、コースを突くことで、野手の正面を突くことが多くなっている。いい当たりであっても、帝東の堅い守備がそれをフォローするのだ。

 

 

そして4回の表――――

 

 

「――――雨か。」

 

この試合、天候が気になってはいたが、やはり雨脚が若干強くなってきた。ベンチにいた大塚は顔をしかめる。

 

 

――――だが、関係ない。足場が崩れるなら、それに合わせるようにするのが投手。

 

 

雨の所為で、自分の投球が出来ませんでした、では話にならない。エースならばこの程度の障害を、障害と考えてはならない。

 

 

 

そんな“くだらない”理由で、片岡監督の首が飛ぶことなど、“絶対に許さないッッ゛ッッ”!!

 

 

 

 

そんなことでッ!!! そんなくだらない理由で負けることなどッッ゛ッッ゛ッ!!!!

 

 

 

思わず顔が歪む大塚。この顔は誰にも見せられない。表情を何とか無表情に戻し、マウンドへと上がる大塚。

 

 

 

 

躍動感が戻ってこない。

 

 

 

 

 

―――――あの夏、俺が怪我さえしなければ―――――――ッ

 

 

夏が終わって、そして今日この日まで、大塚はそれを考えていた。

 

 

もしかすれば、違った結末もあったのかもしれない。

 

 

勝敗が変わるかはわからない。しかし、そんなifを考えてしまうほど、自分の不甲斐無さを彼はせめた。

 

――――打者との勝負を楽しむ、投げ合いを楽しむ。だけど―――――

 

 

 

――――今の俺には、それが見えなくなった。

 

 

勝つ以外、何が必要なのかが解らない。

 

 

 

 

打者を打ち取る為に、手段を選ぶ余裕などない。相手に力を出させずに終わらせる。それが一番手っ取り早い方法だという事。

 

 

 

 

なのに痛い。

 

 

 

どこかを痛めたわけではないのに、痛い。

 

 

 

不安を掻き消すように、彼はマウンドで首を振る。雑念を振り払う。

 

 

 

 

 

そんな大塚の異常な雰囲気に帝東の岡本監督は、異端を見るような目で見ていた。

 

 

リードしている者がする目ではない。有利に試合を進めている目ではなかったのだ。

 

 

常に目をぎらつかせ、何かにおびえているような目。

 

―――――なんでぇい。なんちゅうひでぇ目をしとるんや

 

 

――――まるで修羅、修羅のような目をしとる

 

 

それは、追い込まれた人間がする目だ。彼が決してするべき目ではないというのに。

 

 

 

 

 

 

――――大塚……

 

 

片岡監督は、教え子の豹変ぶりを前に、どうすることも出来ない。

 

 

もはや、彼の一存でエースを剥奪することも出来ない。内外野が黙っていない。

 

 

止められないのだ。

 

 

 

その繰り返し。心が、それとも体が壊れるまで

 

 

あの敗戦、ベンチに入ることすらできなかったことが、

 

 

準決勝直前、つながったかに見えた彼の心が、

 

 

チームの掌から零れ落ちて言っているのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も知らない、何も知ろうともしないエースは当てもなく走る。

 

 

 

 

「ツーアウトォォ!!」

 

「いい球来てるよ!!!」

 

内野では、前園と小湊が声を張り上げる。緊張しているであろう大塚を気にかけているのか。

 

 

無表情になっていた彼を気にするのは当然だといえる。

 

 

大塚は一瞬だけ二人の方向を見て微笑する。ナインの声を聞いて、大塚の心が一瞬だけ和らいだ。

 

 

その声を聞き続ければ、自分がどうにかなりそうで。

 

 

 

―――――このチームで優勝したいんだ……絶対に

 

 

そして今度はベンチを、応援席にいる部員たちへと視線を変える。

 

 

 

その快挙を期待するような目で大塚を見つめる無数の両目。大塚のことを信じていると考えてしまうほど期待に満ちていた。

 

 

 

――――――優勝するんだ……勝ちたい、勝ちたい!! 俺はみんなで勝ちたいッ!!

 

 

 

自分を道を作ってくれた青道を、絶対に優勝させるんだと。みんなを優勝させるんだと。

 

 

―――――だから、青道のエースを張り続ける!!

 

 

もう絶対に、大事なところでいなくなったりしない。

 

 

 

 

何もできずに敗れることが悔しいことは、この夏で思い知った。何も出来ない自分が、大切な時に頑張れないことが、

 

 

それがどんなに悔しい事か。知っていたはずなのに。

 

 

認識が甘かった。甘すぎた。

 

 

 

2年前にそんなことがあったのに、自分は努力が足りなかった。力が足りなかった。

 

 

心・技・体。何もかもが足りなかった。

 

 

 

 

大塚は、その悔しさをよく知っている。

 

 

試合終了の瞬間が訪れた時の虚無感を思い出す。もう帰ってこない時間が。

 

 

――――知っている。

 

 

御幸の涙をスタンドから見ていた。

 

 

――――知っているッ

 

応援席でのみんなの涙を見ていた。

 

 

――――知っているからこそ、間違えない!! 今度こそ!!

 

 

 

2年前の悪夢を改めて思い知ったエースの心は、”エース”の投球に固執する。

 

 

 

 

勝つための投球を。

 

 

 

4回が終わり、大塚栄治。

 

 

未だにヒットを許さず。

 

 

完全投球を継続。




これでもマイルドにしたつもりなんです。彼の心情は。




秋大会での大塚君の変化。

まず打力が上がる。速球に打ち負けない程度

制球力悪化→技巧型のフォームで制球を維持し、140キロ前半を出す(夏前は前後)

カッターとシンキングファストの変化量増大。(デメリットあり)

SFFが使用不可(コントロールが効かず、後に致命的な欠点が露呈)。

スライダーの種類が増える。

上背が高くなる。

と、プラスなのかマイナスなのかわからない微妙っぷり。


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