帝国志   作:kita1751

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■三章西発王ホール■兄弟対決

ホールが湖王アールを討ち果たし、その大剣を地に落とした刹那であった。

 戦場の喧噪を裂くように、一騎の馬が駆け寄り、怒声が響いた。

 「――陛下!」

 声の主はニル。最国の若き将であり、そしてホールの実弟である。

 アールを「主君」と仰ぎ仕えていたニルは、刃を振りかざし、兄の背へと迫った。

 「主君の仇、ここで討つ!」

 周囲の兵たちも剣を掲げて叫ぶ。だがホールは振り返り、ひと太刀を避けつつ、その眼差しをまっすぐニルへと向けた。

 「……ニル」

 その名を呼ぶ声は、戦場の轟きの中にあってなお、不思議と澄み渡った。

 「兄上……!」

 ニルの剣先が震えた。十年の歳月が二人を隔てていた。

 かつて共に学び、共に槍を磨き、聖地で「義と仁を守らん」と誓い合った兄弟。だが、時の流れは残酷に彼らを二つの旗へと引き裂いた。

 元と最――二つの国に分かれた兄弟が、因縁の聖地でついに相まみえたのである。

 実に十年ぶりの再会であった。

 

 「おお、我が弟よ……」

 ホールは戦場に血の臭い満ちる中、なお静かに声をかけた。

 槍を構えながらも、その眼差しには憎しみも怒りもなく、ただ慈母が子を包むがごとき柔らかさがあった。

 「会いたかったぞ、ニル。さぁ、共に帰ろう。我らは同じ母の胎より生まれし兄弟ではないか」

 だが、その言葉を浴びたニルの眼は、烈火のごとき怒りに燃え上がった。

 「兄上、なにを戯言を申す!」

 振るう剣先は震えながらも迷いなく兄を指した。

 「我はニル・チュゲツ。湖王アールの嫡子にして、その血を継ぐ者なり!」

 声は戦場に轟き、刃に映る炎のような決意は揺るがぬ。

 「父君を討ちしは汝――ホール! 我が血族の仇を、この場で晴らさずにおくものか!」

 

ニルは剣を振りかざしたまま、ついにそれをホールの頭上へと振り下ろした。

 刃が唸りを上げて走る。

 「おお……止めよ、弟よ!」

 ホールは声を張り上げ、愛槍を交差させてその一撃を受け止めた。

 火花が散り、鉄と鉄とが震える。

 「黙れ!」

 ニルの叫びは憤怒と悲嘆の入り混じったものだった。

 「父の仇――! k湖王を討ち取った汝を、我が刃で屠らずして何としよう!」

 その眼差しは血走り、怒りと涙に濡れていた。

 十年の歳月を隔てた再会は、兄弟の抱擁ではなく、鋼と鋼の激突によって果たされることとなったのである。

 

ニルの剣とホールの槍が激しくぶつかり合い、甲高い衝撃音が聖地の大地に響き渡った。

 幾万の兵の鬨の声が渦巻く戦場にあっても、この兄弟の一騎打ちは、まるで天と地が見守るかのような緊張を孕んでいた。

 「ニル……!」

 ホールは押し合う刃の狭間から、弟の顔をまっすぐに見つめる。

 「おぬしは変わらぬ。我が記憶のままの眼差しだ。ただ怒りに曇っておるだけだ。」

 「戯れ言を!」

 ニルは歯を食いしばり、力を込めて剣を押し下げる。

 「我はアール王の血を継ぐ者! 父を討ったおぬしを許すことなど決してない!」

 その叫びに、周囲で刃を交えていた両軍の兵までも一瞬動きを止め、二人の激突に視線を注いだ。

 ――まるで、この兄弟の決着こそが戦場の命運を左右するかのように。

 ホールは槍を大きく払い、ニルの剣を弾き飛ばす。

 馬を回らせ、間合いを取りつつ静かに言い放つ。

 「ならば……このホール・カンを討ってみよ。

 されど覚えておけ。汝は我が弟、血を分けた唯一の縁だ。

 その剣を振るうならば、我が胸は受けよう――だが、心までは汝に討たせはせぬ。」

 ニルの腕は震えていた。怒りに突き動かされながらも、その奥底にかすかに兄への情が揺らめいていたのである。

 その声は戦場を震わせ、再び刃が交錯した。

 ホールの槍が鋭く突き出され、ニルの剣が閃光のごとく打ち払う。

 鋼と鋼とが幾度もぶつかり合い、火花は夜空の星のように散り続け、互いの息づかいさえ炎のように熱を帯びていた。

 「弟よ――十年の歳月を超えて、我らはついに刃を交えるのか!」

 ホールの声は、怒号ではなく深い悲嘆に震えていた。

 十年前、共に並んで父祖の墓前に立ち、未来を語り合った幼き日の面影が脳裏をよぎる。

 だが、いま眼前に立つのは、憎悪に駆られた敵将であった。

 「されどこの槍は、主君と民のために振るうもの!」

 ホールは槍をひるがえし、凄烈な突きを繰り出す。

 「いかに汝とて――退くわけにはいかぬ!」

 その一撃は、怒りではなく冷徹な覚悟の一撃であった。

 ニルは咆哮を上げて剣を振り下ろし、鋭い衝撃音が天地を震わせる。

 両雄の刃は一歩も退かず、互いの瞳には血の宿命と、かすかな未練が交錯していた。

 戦場の喧噪は遠くに退き、数万の兵らすら呼吸を忘れる。

幾度も刃を交え、稲妻のごとき一撃を繰り返すうち、二騎の馬は次第に息を荒げ、ついに耐え切れずに膝を折った。

 巨体は砂塵を巻き上げて大地に崩れ落ち、いななきは断末魔のように戦場へ響き渡る。

 だが、主を落馬させてもなお戦は終わらぬ。

 ホールとニル、二人の兄弟は同時に地に転じ、瞬時に立ち上がった。

 大地は血に濡れ、空気は鉄の匂いに満ちていた。

 両者の衣は泥と血にまみれ、甲冑には幾筋もの傷が刻まれていた。

 だが、その瞳だけは決して曇らず、烈火のごとき炎を宿し、互いを真っ直ぐに射抜いていた。

 

 

 「弟よ……何故、同じ母の胎より生まれ、同じ父の教えを受けた我らが、今このように刃を交えねばならぬのだ」

 ホールは槍を構えながら、なおも静かに問いかけた。

 「幼き日、共に庭に駆け、同じ膳で飯を分け合った。その時、汝と我の心は一つであったはずだ。……なのに、いかなる因果にて、兄弟が敵となったのか」

 その声音には、戦場の烈しさとは裏腹に、深き悲嘆が滲んでいた。

 

 だがニルは、冷たく首を振った。

 「兄上よ……そのような懐旧の言葉、今さら何の価値があろうか」

 握る剣の刃は震え、その瞳には怒りと涙が交錯していた。

 「幼き日を共にしたことは、我も忘れてはおらぬ。だが――我らは引き裂かれたのだ。汝は元の将として誉れを得、我は最の子として父王に育てられた。十年の歳月、我らは互いの影を追うことすら許されなかったのだ!」

 ニルの声はしだいに嗄れ、やがて絶叫となる。

 「そして今、兄上は我が養父を討った! 血に濡れ、冷たく横たわる父の亡骸を前にした我が胸の痛みを、兄上は知るか!」

 その言葉と共に剣先が突き出され、ホールの胸元をかすかにかすめた。

 「父を奪い、我が国を奪い、それでも兄と名乗るか! ならば我がこの刃にて、兄上を討ち、父王の無念を雪ぐのみ!」

 戦場の喧噪は遠のき、ただ二人の兄弟の叫びが大地に木霊していた。

 断崖の上、月光を背にした二人はなおも刃を交えていた。

 槍と剣がぶつかり合うたび、岩肌が砕け、石片が虚空へと散って落ちる。

 下方では大河が怒涛のごとく流れ、轟音が二人の息づかいを呑み込んでいた。

 その時――。

 ホールの手が、わずかに滑った。

 血と汗に濡れた掌が槍の柄を取らえきれず、わずかに緩んだのである。

 その刹那、鋭敏なるニルの眼は兄の隙を見逃さなかった。

 「兄上……これまでだ!」

 烈風のごとき剣閃が走る。

 ホールは咄嗟に槍を立てて受けたが、すでに均衡は崩れていた。

 大地を蹴る力が足りず、岩の縁に追い込まれる。

 背後には深淵のごとき谷。

 ホールの踵が崩れた岩を踏み砕き、石片が虚空に吸い込まれていった。

 烈風のごとき剣閃が走り、ホールの槍は大きく弾かれた。

 均衡を失ったその身は、ついに断崖の縁まで追い詰められる。

 「ぐ……!」

 ホールの踵が岩を砕き、砂礫が虚空へと崩れ落ちてゆく。

 背後に広がるのは底知れぬ深淵。

 その眼下では、大河が轟音を立て、白き飛沫を月明かりに煌めかせていた。

 「兄上……これまでだ!」

 ニルの剣が再び振り下ろされる。

 ホールは最後の力を振り絞り、愛槍を立てて受け止めた。

 しかし――鍔迫り合いののち、力尽きた槍は音を立てて折れ、鋼の破片が夜空に散った。

 次の瞬間、兄ホールの巨体は断崖を越え、闇の淵へと吸い込まれていった。

気を失ったまま、どれほどの時が流れたか――。

 ホールが再び瞼を開いたのは、藁葺きの天井の下であった。

 鼻をつくのは干し草の匂い。かすかな燻煙の香り。

 耳に届くのは、牛の鳴き声と、軒を打つ雨音である。

 「……ここは……」

 低く呻くように言葉を漏らすと、脇で火を焚いていた老農夫が振り返った。

 「おお、目を覚まされたか。死人のように流れ着いておったでのう。神仏の加護じゃろう」

 農夫の話によれば、崖下の大河にて傷だらけの巨躯が流れ着き、村人らが網を張って引き上げたのだという。

 幾筋もの骨折と深手、全身に打撲――常ならばとっくに命を落としていたはずであった。

 ホールは痛みに呻きながらも、かすかに笑みを浮かべた。

 

 「……助かった。礼を言う」

 ようやく目を覚ましたホールがそう呟くと、枕元に座っていた農夫が首を振り、低く応じた。

 「いえ、助かったのは我らの方でございます、ホール様。

 聖地を守り、幾度も侵略の兵を退けてくださったお方……この村に潜む盗賊どもが横行した折も、殿の軍が駆けつけてくださり、我らは生き延びることができました」

 農夫の声は震えていたが、その眼は真っ直ぐであった。

 「殿はただの武将ではありませぬ。民の盾、正しき御旗にございます。

 ゆえに、このような片田舎の百姓までも、殿の名を語り継いでおるのです」

 ホールはしばし言葉を失い、静かに農夫の手を取った。

 「……民がこの槍を覚えているならば、我が身は未だ尽きてはおらぬ。

 されば必ず立ち直り、汝らの信に応えてみせよう」

 農夫の老いた目から、ぽろりと涙がこぼれた。

 

 幾日かの養生を経て、ホールは傷を抱えたまま農家を辞した。

 杖にすがり、時に村人の背を借りながら、彼はただ歩いて故郷を目指した。

 馬も兵もなく、かつての大将軍は一介の流浪人のごとく、ただ大地を踏みしめて進んだのである。

 雨に打たれ、夜露に濡れ、痩せた体をさらに削りながらも、彼の瞳には一片の迷いもなかった。

 ――元帝のもとへ帰らねばならぬ。

 ――民を護るために、再び槍を握らねばならぬ。

 やがて幾度もの峠と河を越え、足を血に染めながら、ようやく元の領地に辿り着いた。

 城門にたどり着いたその姿は、見るも哀れな乞食に等しかったと伝わる。

 しかし、平馬(へいま)の城の門番は、その面影を見て叫んだ。

 「おお……ホール! よく、生還された」

 瞬く間に城中へ声が広がり、将兵も民も城門へ押し寄せた。

 骨と皮ばかりに痩せたホールが、なお背筋を伸ばして門前に立つ姿を見た時、人々は涙を流して地に伏したという。

 こうしてホールは奇跡的に帰還を果たし、再び槍を執ることとなった。

 

 かくして元国は大敗を喫し、聖地を失った。

 将軍ロワン討たれ、軍勢は総崩れとなり、元の兵は雪崩を打って退却するほかなかった。

 その敗北は、元国の覇権が崩れ落ちる転機となったのである。

 一方、勝利を収めた最国の軍は聖地を完全に奪還し、その威信はまさしく全盛のきらめきを放った。

 帝サン自ら聖地へと巡幸し、祖廟に香を捧げ、天に向かって勝利を奏上したことは、後に「聖地大巡礼」と呼ばれ、国史の金字塔と記される。

 この偉業により、サンは諸侯の推戴を受け、ついに自ら「帝」を称するに至った。

 また、聖地を守護する大任をも兼ね、その権威は絶頂を極めたのである。

 かくて、帝は共に戦った若き将ニルの働きを大いに賞し、彼を「湖国王」として冊封せんとした。

 聖地において兄ホールと死闘を繰り広げ、なお立ち上がり戦い抜いたその姿は、帝の目に忠義の鏡と映じたのである。

 「汝こそ湖を治める器なり。王の位を授け、我と共に国を支えよ」

 ――最帝サンの言葉は、朝堂を震わせたと伝えられる。

 

 しかしニルはこれをすぐには受けず、毅然とこう答えたと伝わる。

 「我が父アールはホール・カンの刃に斃れた。

  その仇を討たずして、いかにして王たる位を戴こうか。

  もし我が兄ホールを倒し得たならば、その時こそ湖国王の位を受けましょう」

 この言葉に朝廷は粛然とし、諸将はその剛毅を畏れた。

 かくしてニルは、ただ一つの宿命――兄ホールとの再戦を胸に抱きつつ、湖の地を治めることとなったのである。

 

 聖地巡幸の始まりは、古においてソカメン王が大祭を機に自ら聖地を訪れたことに端を発すると伝えられる。

 その後、曹操王、ビライ王へと受け継がれ、今回の最帝サンはすでに四人目の巡幸者であった。

 このころより、宗教と王位との結びつきは次第に強固なものとなっていった。

 聖地における祭祀は単なる祈願ではなく、「天命を受けし王」が正しく国を治める資格を有することの証とみなされるようになったのである。

 こうして王権は「神より授けられたもの」とする思想――すなわち王権神授の観念が、次第に人々の間に深く根付いていった。

 ゆえに、サンの巡幸は単なる戦勝の顕示ではなく、まさしく天命の承認を示す宗教儀礼にして政治儀礼であった。

 この巡幸を経て、最帝の威信は神意と重なり、王朝の権威はかつてないほどに盤石となったのである。

 さらに、最帝サンは聖地において宗教融和の策を打ち出した。

 それまでシルルク教とアデム教は互いに教義の違いを理由としてたびたび争いを繰り返していたが、サンはこれを憂い、巡幸の折に両教の大僧正を招き、和合の儀を執り行わせたのである。

 彼は自ら両方の寺院を参詣し、香を焚いて礼を尽くした。

 「天は二つにあらず。民の祈りもまた二つに分かつべからず」

 ――そう宣言したサンの振る舞いは、民衆に深い感銘を与えたと伝えられる。

 この施策により、シルルク教とアデム教は初めて同じ聖地に祭壇を並べることを許され、互いの祭祀を妨げぬ約定が結ばれた。

 

 さらにサンは、単に言葉をもって融和を説くだけではなく、聖地において実際に両教の寺院を建立するという大事業を行った。

 聖地の中央にはシルルク教の大伽藍を、西方の丘にはアデム教の壮麗なる神殿を築かせ、両者が相対して並び立つように設計されたのである。

 これにより、シルルクの僧侶もアデムの司祭も同じ聖域において祈りを捧げることが可能となり、民衆は「二つの教え、ひとつの天に通ず」と口々に称えたと伝わる。

 この両寺院建立は王の威信を天下に示すとともに、宗教と王権を結びつける象徴的な出来事であった。

 

 サンの聖地統治は、わずか四年という短き歳月にすぎなかった。

 だが、その間に行われた宗教融和の施策や両寺院の建立は、後世にまで深い影響を及ぼすこととなる。

 彼の在位は短命であったが、シルルク教とアデム教が同じ聖域に並び立ち、王権が両宗を超えて支配の正統を示したのは、この時が初めてであった。

 この前例が、やがて後世の王たちにとって「聖地を治め、二教を守護すること」こそが帝の資格であるとする思想へと発展していく。

 ゆえに、サンの四年は単なる一治世にとどまらず、宗教と王権の結びつきを確立する画期となったのである。

 湖公ニルは、その四年間、ただ戦功の余韻に浸ることなく、地元の統治と軍政に専念した。

 彼はまず荒廃した村々を巡り、戦で散った家々を再び戸籍に編入し、租税を定めて民の生活を安定させた。

 また軍制を整え、散在していた兵を集めて訓練を施し、湖国の兵はやがて「精鋭」と称されるまでに鍛え上げられた。

 さらに、ニルは苛烈なる父アールと異なり、民に対しては寛容であった。飢饉の年には倉を開き、孤児や寡婦を庇護してやまなかったため、人々は彼を恐れるのではなく敬い、湖公の威信は日に日に高まった。

 

 聖地での戦いを経て、ホールは辛くも生き延び、故郷たる東且国へと帰還した。

 しかしそこは、すでに王ロワンを失った荒涼たる地であった。王亡き後、東且国は力を失い、諸侯に領地を割かれて廃国の憂き目を見ていた。

 ホールはその廃墟のごとき都に赴き、亡き主君の遺族に拝礼した。

 ロワンの遺児であり、またホールの妻でもあったメイは、涙ながらに一振りの槍を彼に授けた。

 その槍は、かつての武具とは似ても似つかぬほどに細く、まるで庶民の用いる洗濯竿のようであった。

 だが不思議なことに、どれほど力を込めて押しても、また打ちつけても、決して折れることはなかった。

 廃国となった東且国の荒れ果てた城内で、ホールはかつて老将ロワンが鍛え上げた兵と精鋭の馬を引き継ぐこととなった。戦乱を潜り抜けた者ばかりで、剛勇に加えて忠誠心も厚く、槍の一突きごとに鍛練の跡が宿っている。

 直属の兵たちは、まだ若い将ながらもロワンの後を継ぐホールに深い信頼を寄せ、黙してその命令に従った。馬場での訓練では、老将譲りの陣形を再現し、槍の突きや盾の受け方、馬上での連携を一つひとつ確認する。

 「皆の者、この槍の如く真っ直ぐに、誇りをもって戦え。されば我らの名は再び東且国に轟く」

 ホールの声は低く、しかし確かな指導の力を宿していた。兵たちは頷き、馬の蹄が砂を蹴る音と共に、これからの戦いに向けた決意が城内に静かに満ちた。

 こうして、ホールは単なる戦士ではなく、ロワンの志を受け継ぐ新たな将としての地位を確立していった。忠臣たちと共に築く軍勢は、やがて湖国や聖地をめぐる戦いにおいて、彼自身の名を歴史に刻むことになるのである。 

 

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