バスの囚人に転生したぞー! 作:カンジャリ
目が覚める
外の天気がとりわけていいこと以外に、代わり映えのない通りの朝
父さんは、俺よりも早くもう仕事に出ていない
朝イチの履修に登録した講義に遅刻すると騒ぎながら仕方なく母が用意した朝食を無視して急ぐ
視界の端に入った鏡に映った俺は、ずいぶん寝癖がひどく見えた
仕事休みの非番でゆったり朝を過ごしていた姉が笑っていたのは、その事だろう
飛び出すように家を出て腕時計を見ながら、刻々と迫る電車の時間に焦りを感じる
目の前に赤からパッと変わる青信号
「っぁ"なんだよっはぁ………」
渡る前に、けたたましい音が本来あるべき自覚こそ無いが恐らく疲れているだろう体を休ませる為眠りこけていた俺を無理やり覚させた
自身の声だけが此処にいる自己を確かにさせ、近くのカンテラの明かりだけが周囲を照らす
珍しい夢を見た、あぁいつも通りの光景だ
何も見えない光景だ
まだ鳴り続けるアラームに対して、気が触れつつもトントンと部屋の出口に着くまでに心情を整える
今回は少しだけ、普段より時間が掛かった気がした
扉を開ける
ほぼ全員が、廊下に出ていて暫くするとファウストがダンテを連れてアラームを消す事と同時に確認に向かっていった
アラームが完全に消えた時不満はそれぞれ漏らしつつもまた部屋に戻って再度出てくる囚人は居ない
「………目が、変に冴えちまったな」
だが、俺はまだ眠る気にはなれなかった
気を紛らわせるように、右手に奥歯事務所の所で作ってもらった釣り竿を1本持ち左手に魚を入れる為のバケツを持つ
暫く時間があれば釣りをしているが餌は、まだあるクラップ蟹の食料として使わなかった吐き気がする内臓部を釣り餌と撒き餌の両方として使っている………魚の寄り付きは臭いもあってそれなりだ
まだ見た目的に、見知った魚が釣れる
掛かった感覚があれば、糸を巻いて引き上げて
釣った魚が幼い過ぎれば、そのまま針を抜いて太湖に返した
今の所一匹だけだが、カツオ取れた時は我ながらビックリした物だ釣り竿が耐えられたことがカツオぐらいなら都市基準で軽い魚って認識なのかもしれない
「今の所は、諸々大丈夫だとして」
遠くの魚がまだ掛かってないウキを眺めてぼやきながら、持ってきた残りと船内での雑務の変化を考える
こういう船での生活で一番怖いのは、壊血病と聞いた事があったと言うより昔教科書でサラッと習ったと言うべきか………船乗り経験イシュメールが、同じ缶詰だけ食って過ごしましたとか言ってたから缶詰にビタミンCが添加されているのか、それともその心配がない俺が思う人間と違って全員がスーパープロムン人だから平気なのかは分からないが
バランスは気をつけるに越したことはない、問題を防ぎ解決することはあってもそれが問題になることはないだろう
ウキが沈んで、糸を巻いて引き上げるサバだバケツに入れる
釣り竿をしならせ水に、釣り糸を垂らす
「まぁ正直、やってる事はあんまり変わらないし不便自体は無いんだけど」
リンバスカンパニーの旅路の目的地以外は、良くも悪くもメフィストフェレス内で完結する
囚人が私用で自由に降りていい状況はほぼ無いし、周りが地面から底なしの水に変わった程度とも言えると思う強いて言うならば景色が代わり映えがしないぐらい
ウキが沈んだ、糸を巻く プチンっと音を立てて切れた
「うん大分元気な奴だったな」
誰が見ているわけでもないのに、言い訳のような事を俺は呟いて
切れた釣り糸を、整えついでに船の反対側に移動して再度ウキを飛ばす
「………海掃除屋は、流石に居ないか」
そろそろ囚人としての定時業務の時間になるだろうと、登ってきた朝日と大きなバケツ一杯に動いている釣った魚達を見ながら釣り竿を部屋に置いて
調理場で、まだ生きて暴れる魚の血抜きと内臓取りを行う………内臓まで食えばするだろうが何食ってるか分からないしフグ然り毒性は、内臓から来る場合もあるから殆ど無駄だと思いつつ行う念の為の行為だ
水を流しつつ、洗って全体が綺麗になったら軽く水気を拭いて全て冷凍庫に入れておく
釣った魚の血と内臓が入ったバケツを持って
撒き餌の様に、海にばら撒いた
魚の赤い血とばらばらになった人より小さい臓器が、広がり小魚が群がってペチペチと音を出していた
業務前に、全員のお茶を淹れに行こう
「………?あぁ、まぁ此処まで時間喰われてればそうなるかえーとっどうするかな取り敢えず、別の出すとして」
日課として、お湯を沸かしてそれぞれの飲み物を入れている最中紅茶の茶葉使い切ってしまった事に気がついた
調達出来るだろうU社の公開座標の港に行くまでまだ時間が当然掛かるだろうし俺の管理不足と言うしかない為、紅茶の代わりにはならないが………明日からは、他の飲み物を出して頭を下げるしかないだろう
居眠りをしていた、今日の寝ずの番であるロージャを起こしつつ淹れたばかりの飲み物を渡す
〈ロージャ、ガリバーおはよう〉
「今日は、管理人が一番起きか………おはよう」
ガチャっとドアが開く音がして、その方向と特徴的なカチコチと言う音と共に聞こえる発言に体を向けば管理人がいた
俺は笑いつつ、今日は管理人が一番起きかと言った
それにロージャは少し不満げに
「なぁに〜一番早く起きたのは私でしょうに」
「寝ずの番に、眠りこけてたのは含まない」
〈それはダメだね〉
早く起きたのは、私だと俺に言うがいやぁお前寝ずの番なのに起きずにぐっすりだったからなぁと目を細めた
その会話が、聞こえない程度に遅れて次から次へと人が集まってくる
一番遅れてきたのは、今日もイシュメールだった
イシュメールが好んでた飲み物が、まだ切れなさそうなのは良かったとは思う
基本的には、連絡もなく管理人から鏡ダンジョンやら向う事になるが一応連絡の為ヴェルギリウスがくだらないことは言うなと言う妙に圧を感じる連絡事項があるものは今手を挙げろという発言に手を上にした
「14番言え」
「毎朝淹れている飲み物の内、紅茶が切れた
その内コーヒーとか諸々無くなると思う 多分その内全員お湯か水になる
紅茶は一旦今日までだ、頼んでた奴は後で別の何かにするかは言ってくれ」
「………」
ヴェルギリウスは、コレが下らない事か報告するにあたる大事な事か悩んでる様な………それとも呆れてるのか妙な沈黙があった
その間に周りを軽く眺めると、ヒースクリフがガックリと肩を落としているし、イサンはコクコクと呑んでいたコーヒーをぼーと眺めているし、ロージャは口をあんぐりさせてるし、シンクレアは視線が泳いでる
目立ったのは、それぐらいだがまぁ大なり小なり無なり反応はしていた
「ヴェル カロンのココアなくなるの?」
軽い沈黙を壊すように、静かにしていたヴェルギリウスにカロンは、朝のココアは無くなるのかと聞く
「カロン後で飴玉あげるから………」
カロンの声に、ヴェルギリウスは答えではなく飴で誤魔化すことにしたようだ
特に怒られもしなかったし、別にずっと立っている必要もないだろうと俺はヴェルギリウスの答えは返ってこないとして席に再び座る
暫く、何も無い時期が過ぎていく
まだヴァルプルギスの夜は来ない、撒き餌と釣りエサとしてのクラップ蟹の内臓は無くなった
紅茶に続いて緑茶とコーヒーも在庫が切れている
曜日を図る為の、カレー粉やカレールーや各種乾麺も減ってきている食料自体はちゃんとまだあるが
………後一応まだ、ビタミンCの補給源は大丈夫
主菜が、ほぼ海鮮だけではあるが今の所は文句は出ていないいつ吹き出すか分かった事ではない爆弾に近いものではあるけれども
「もう俺は、水でいいか」
そうぼやきつつ、諸々の洗濯等の雑務を終えて何もない時間に釣り竿を最早慣れたように垂らして太湖を眺めていれば………
「………なんだこれ、一応触らないでおくか」
一応魚?を釣り上げた、特に暖かい地域の海外とか日本でも沖縄とかで鮮やかな魚とかは見られるし見たことあるが、形的にどうなんだ?プロムン固有種か異変種か………ヒョウモンダコやカツオノエボシ見たいに毒があるかも知れないので直接触れないように気をつけて釣り針を抜いてバケツに放り込む
元気にぐるぐる狭い中泳いでる
「どんな魚か、聞けるかなファウストに」
釣りをいったん留めて水がたっぷり入った、魚?が入ったバケツ持ってファウストを訪ねに向う
「ファウスト、ファウスト」
「2回言わなくても分かります、何でしょうかガリバー」
俺はファウストの後ろ姿を見た時に、バケツを持ったまま駆け出すわけにも行かずひたすらに声を掛ける
ファウストは一応無視して反応せずと言うわけでもなく何処か面倒くさそうにしつつも何か用事があるのだろうと何かを催促した
「このバスの中なら、ファウストに聞くのが一番いいと思ってこんなモノ見つけたんだけど何か分かる?」
ゆっくりとファウストの前に、バケツにまだ元気に動き回ってる魚?を見せる
即答では無く、何処かを見るように目を閉じていたゲセルシャフトでも使っているんだろうかとも思いつつゆっくり待つ………結構待ってるな
「ガリバー、コレは新種と思われます」
「どの科、目?」
「それはファウストといえども、調べる必要がありますね」
………何か変なの当たったな
どんな確率だよ、大体開発しきってそうな都市の何処かの並行世界ついさっき釣ったばかりの魚?ぐらいはあれよ色んな意味でガチモンの新種にぶち当たるとか
ファウストもびっくりしてると思うよ
「………逃がしていい?」
「………」
食えるかも分からないし、暇つぶしの為だけだし新種発見したとしてもどうこうとは思わないし
だけど、ファウストは少しだけ不服気味な表情をしていた釣ったのは俺なのに何が不満なのか………この都市でも新種の命名権はあるのだろうか
「分かった、逃さない」
「少し時間を掛けて登録しましょう」
ため息が出そうなのを抑えながら、また太湖に放さないようにすると伝えれば新種登録をしようと俺が何も言ってないのにファウストは言っていた
そんな中ゲセルシャフトでの、検索が時間が掛かっていたこともあって………
「二人に何話せる?こは………」
イサンが寄ってきて、俺が持ち続けているバケツの中身を見た
「こは、魚か?」
「魚ですね」
「ファウスト曰く新種っぽいらしい」
「新種のごとしと!所にいかでこれを………」
動いている魚?を指して一応魚だろうと言えば、ファウストは魚だと言い俺はファウストは新種だと言っていたと補足すれば
イサンは、声を大きくして目を開いていてからコレをどうしてと首を傾げて俺達を訝しげに見ている
「ガリバーが、釣り上げましたね」
「なんか変だから、知ってるか?と聞いたらコレだ」
俺はファウストの方を見て、ファウストは俺の方を見て新種だと発覚した経緯を端的に伝えた
「ふむ………、名付け楽しくなりてなこそ」
あっ一応この都市にも、新種の命名の仕組みはあるのか俺は別に何でもいいから二人に任せようそう思いつつ新種である魚?が入ったバケツを置いて
別の掃除用の予備バケツを使えばいいだろうと考えて
「じゃあ俺、また釣りしてくるから」
話し込み始めたイサンとファウストを置いていった
俺が新種らしい魚?を釣り上げた後数日経った、だいぶ恐らくファウストとイサンの立ち話が聞こえたのかそれともイサン経由で話が広まったのか、イシュメール以外で魚?の名称は何にするかの話で盛り上がっているようだった
生命力がだいぶ強いらしく、代わる代わる囚人達やカロンに眺められている魚?は相変わらずぐるぐると回っている
俺が釣り上げたと言う話も、一緒に広まっていたらしく適当に聞かれるため俺もそれなりに返すそんな様子を管理人は何処かおかしく思っていたらしい
〈何で、ガリバーが最初に見つけたのに何とも思ってない感じなの?こういうのって喜ぶんじゃ………〉
「うん?いやただそこに"あったもの"がそこに"あっただけ"だからじゃないかな………一緒に喜ぶべきだと思う?」
〈喜ぶべきかどうかは分からないけど、なんて言えばいいんだろう〉
管理人の最初に見つけた人ならば、周りが喜んでいるのならば同じように喜ぶのが当たり前という感性はあるらしい
まぁ確かに珍しいものだなぁと、いうことは浮かんだが新種と言われた時にあれしようこれしようとは全く浮かばなかった
別に名付けとかに、興味があまり湧かない
名をつけようと付けなかろうとそこに有る事には、変わりがないからかも知れないどうしてなのかは俺にもよく分からないから管理人に聞くのは酷かもしれないなと俺は純粋に感じた
もしそれが分かるのならば、きっと俺の親か姉ぐらいだと考えている、俺がそう考えているだけで家族でも分からないかもしれないと思う
管理人も、俺の話に首を傾げて少し考えて答えは出せなかった
「結局他人事なんだから、考えすぎると頭痛くなるよ管理人」
そう言って、ただ次の季節の訪れを告げるヴァルプルギスの夜を待つことにする
ファウストのキャラ崩壊してると思います、本当に申し訳ない………後ヴァルプルギスの夜もメインストーリーにくっつける形で描写する予定
6期ガリバーの人格抽出(投票が多いほど優先度↑)
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奥歯ボートセンター〈今回が最後〉
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西部ツヴァイ協会
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北部ヂェーヴィチ協会
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南部ディエーチ協会
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南部センク協会
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南部ツヴァイ協会
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東部センク協会
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黒雲会
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LCCB
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剣契
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技術解放連合〈今回が最後〉
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南部セブン協会
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K社〈今回が最後〉
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バラのスパナ工房フィクサー〈今回が最後〉