ようこそヒロインが最強な教室へ   作:いわーく

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前回の高育プロフィールを少し修正。

また内容も一部変えています。具体的には、一之瀬をショートさせたときの凪くんの表情の描写の変更です。そのほかにも変更点はありますが、気にしなくていいと思います。

大本の変化はないのですが、今話の綾小路くんとの会話で違和感が生じるかもしれませんので、もし時間があれば見ておいてもらえると伝わりやすいかと。


2 綾小路を篭絡したい

教室へ向かう道中、綾小路と他愛もない話をしていた。話下手なわけではないものの、どこか要領を得ない返答をしてくる彼との会話は面白く、なんだか昔の自分を見ているようで気恥ずかしくもなった。

 

「綾小路はなんでこの高校を選んだんだ?」

 

ふと、彼がここに来た理由が気になった。まだ会って数分の仲だが、彼の人となりはある程度理解できた(・・・・・)つもりである。そんな彼がどうしてこの高校を選んだのか聞くことで、自分の推測があっているかも確認する一石二鳥の質問だ。

 

綾小路は少し考えてから、心の底から嬉しいが(・・・・・・・・・)少し恥ずかしそうな表情(・・・・・・・・・・・)で言った。

 

「親と喧嘩をしてな。3年間外部との接触ができなくなるこの環境が気に入っただけだ。」

 

この高校は、外部との接触が固く禁じられている。ライブや劇も観れない寮生活は監獄のように思えたが、そこが気に入る人間もいるのか。そしてやはり彼はオレが思った通りだった。

 

「綾小路もそんな表情(かお)するんだな。」

 

彼はまごうことなき天才である。あの数秒で、自分に向けられたわけでもないオレの表情を読み取り、模倣していたのだ。

しかし残念なことに、オレが浮かべていたあのときの表情は演技と本音を混ぜた今できるなかで本気の演技だ。あの状況にあった人の本音がわからない(・・・・・)彼にできるのは演技の部分のみであり、上手くできなかったことにどこか納得している様子だった。

そもそも状況が全然違うため、オレでなくとも気味が悪いと感じそうだが。

 

「オレの真似は上手だが、状況判断ができてないな。さっきと違って嬉しい表現は要らないし、恥ずかしさの理由も異なる。そんなんじゃ普通の高校生には到底なれないぞ。」

 

どうやら彼は普通の男子高校生として適度な青春と平穏な日々を送りたいようだが、感情がわからないままだと厳しいだろう。

彼もそれに気づき、演技を模倣していることをオレに気づかせることで利用することにしたのだろうか。そう考えるとさきほどの状況と一致しない表情も、納得している様子も理解できる。

 

「気づかれてしまったか…」

 

「よく言うよ、気づくように仕向けたくせに。オレを利用したいんだろ?だったらこっちも条件を出す。それを吞んでくれるってんなら、思う存分利用させてやる。」

 

さて、こっからが腕の見せ所だな。まだまだ精神的に成熟していない綾小路だが、他の部分は一級品だ。オレの目的の為にも彼は利用できる。利害の一致ってやつだ。

 

今度は、本音だけの勝負だ。オレは綾小路に手を差し出しながら言った。

 

「オレと本当の意味で友だちになってくれよ。お互い飾らずに、本音で話す、親友のような…な。」

 

綾小路は困惑しているようだった。真似をしたことや前置きのせいで、オレの機嫌を損ねたとでも思っていたのかもしれない。

 

「…オレなんかで良ければ、ぜひ友達になってほしい。」

 

綾小路はそう言って、オレを手をしっかりと握った。

 

「決まりだ。じゃあこれからは名前で呼び合おうな、清隆。」

 

「!!ああ、凪。」

 

どうやら上手くいったようだ。どう転ぶかわからなかったが、一番良い形になれた。清隆は使えるやつだ。清隆がオレを見て学ぶように、オレも清隆を糧にする。

この道中でやれそうなことはやった。もうそろそろ教室につきそうだしな。

 

綾小路と手を離して歩き出すと、少し寂しそうな顔をしながらもついてきた。犬か。

 

1年Aクラスが見えてきた、順番通りに並んでいるのだろう。中ではすでに多くの生徒が席についていて驚いた。

 

そのまま進んでいくとBクラスが見えてきた。清隆がオレの肩をたたく。振り返ると、うっすらとだがセクハラ親父みたいな顔をしていた。

 

「彼女はいいのか?」

  

半笑いで言う清隆にブチ切れそうになった。なんとか堪えて教室の中を見ると、席はそこそこ埋まっているようだ。例の一之瀬はクラスメイトの女子と会話をしているようなので、手を振ってみた。

 

オレに気づいた一之瀬が見つめてくるので、からかうがてら笑顔でピースしてやった。先ほどのことを思い出したのか、数秒間固まったあとみるみるうちに顔をやかんモードにしていく一之瀬。顔を背けてしまったので、名残惜しいが清隆とともに先へ進むことにした。

 

「…凪は、凄いな…オレにはそんな真似できないぞ。」

 

尊敬半分、引いてもいるようだ。失礼な奴だな。このくらいはできるようになってもらうつもりなのだが。

 

「オレの真似をするってんならこのくらいはできてもらわないとな。清隆だって彼女くらい作ってみたいだろ?だったらこれ以上にやらなくちゃいけないぞ。」

 

そう言うとかなり嫌そうな顔をしていたが、事実だから仕方がない。あとやっぱり彼女は欲しいんだな。

 

そんなことより、Cクラスについたようだ。席はそこまで埋まっていない。清隆と別れて教室に入ろうとおもったが、捨てられた子犬のような顔をしている清隆が見てられなかったのでDクラスまで着いて行ってやることにした。

 

「わかったよ、清隆が教室に着くまで着いて行ってやるから。」

 

「!ありがとう。オレは良い友だちを持った…」

 

表情が薄い清隆だが、こういうときはとてもわかりやすい。ありがたがって拝んできた。ちょっとキモイぞ。

 

Dクラスに着くと、清隆は別れを惜しむような顔をしながら教室へ入っていった。あの様子じゃ友だち作りは難航するだろうな。そのぶん目いっぱい一緒に遊んでやろう。

 

Dクラスはまだ数人しか座っていないようだった。ここまでの様子を見ると、座っている人数がAから順になっているようだが、なにか関係はあるのだろうか。HRが始まれば少しは情報が入るかもしれないな。

 

Cクラスの教室へ入ると、じろりとしたねちっこい視線を感じた。そちらに向くと、紫髪のロン毛男が険しい顔でこちらを見ていたので、彼と同じ表情をしたあと、笑顔を向けて言ってやった。

 

「そんな顔してたらみんなから怖がられるぞ。」

 

「チッ」

 

彼は舌打ちしながら、顔をそらしてしまった。ファーストコンタクトには成功したようだ。清隆ほどではないにしても、彼はなかなかに使えそうな人物なので、印象を残しておくのはいいことだろう。

 

さて、HRまでまだ少しある。適当にクラスメイトと話をして時間をつぶそう。

 

ーーーーーーーー

 

今日は高校の入学式。バスに乗って向かっていると、座れなくて困っていそうなおばあさんがいた。おばあさんのために席を譲ってくれないかと声掛けをしていたとき、席を譲ってくれた人がいる。席を立ちおばあさんを支えた彼の表情があまりにも優しそうで、ついわたしも笑顔になったのだ。

 

そんな彼にどうしてもお礼を言いたくて、気づかぬ間にバスから降りていた彼をおいかけて、呼びかけた。

 

「ちょっとまってー!さっきはありがとう。辛そうにしてたから見てられなくて…」

 

そういうと彼は少し驚いた様子で、頭を掻きながら言った。

 

「優しい人なんだな。オレは全然気づかなかったよ。」

 

そう言う彼が、さっき見た表情に重なって少し眩しく見えた。わたしは決してそんな良い人(・・・)じゃない。

 

「そんなことないよ!わたしは呼びかけただけ。君のほうこそすぐ来てくれたよね?優しいのは君だよ。」

 

彼が優しい顔を浮かべるものだからつい言葉が出てしまった。彼は釈然としない、納得していない様子だったが、誰だって優しいと思うだろう。そう考えて、自覚の無い彼にもう一度言うことにした。

 

「本音で言ってるんだよ、お世辞じゃない。君は優しい人だね。」

 

「そんなことはないってば、君のように困っている人に気づける人のほうがよっぽど優しい人だと思うよ。」

 

「また!その表情が優しいって言ってるんだよ。」

 

お互いムキになりつつ優しい論争をしていたら、ふとばかばかしくなって笑ってしまった。

 

「はははっ」 「ふふっ」

 

どうやら彼も同じことを考えていたらしい。一緒になって笑っていて、少し嬉しくなった。

 

「なんだか君とは仲良くなれそうな気がするなあ。地元の知り合いとかもいないから、君みたいな優しい人と最初に会えて嬉しいよ。」

 

そう言うと彼は先ほどよりも驚いた顔をしていた。なにに驚いたんだろうと思ったけど、少し恥ずかしい言葉を言ったかもしれない…。彼の顔を直視できなかった…

 

「…そういえば名前言ってなかったな、オレは演城凪。君は?」

 

彼の言葉を受け、お互い名前を知らないことを思い出した。そんなこと気にならないくらい会話を楽しんでいたみたいでちょっと恥ずかしかったけど、彼の顔を見ると少し恥ずかしそうにしていて、また同じことを考えていたのかなと思いつい笑顔になった。

 

「わたしは一之瀬帆波。これからよろしくね!」

 

照れくさそうにしながら、私の顔を見て演城くんが言う。

 

「よろしく。早く行けば混んでないだろうし、クラス分け見に行こうぜ。」

 

彼の言葉でまたしても思い出した。この先も仲良くして行けると思っていたけど、クラス分けがあるんだった。同じクラスだったら嬉しいなあ…。

 

「そうだね。演城くんと同じクラスだったら、わたし、嬉しいな…。演城くんはどうかな?」

 

先ほどより少し近づきながら言うと、彼との身長差からか、わたしが見上げるような形になった。彼は苦笑いを浮かべているけど、なにか変なところでもあったかな。

 

「…一之瀬、お前苦労してそうだな…」

 

「え!?なに急に!?」

 

彼が急にそんなことを言い出すものだから戸惑ってしまったけど、彼の変わった表情を見るに、からかわれていたようだった。

 

彼にいいようにからかわれていることに少し腹が立ち少し早足で歩きだすと、彼もそれに着いてくる。

 

「ふんっ」

 

怒っているわけではないが、意趣返しのつもりでそんなことをしていると気まずそうに目をそらしながら彼が言った。

 

「すまん、悪ふざけがすぎた。でもそのうえで一つ言わせてもらう、さっきの発言、言い方もあいまって人によっては勘違いされるぞ。思い返してみろ…」

 

………!?

 

「ち、ちが、いや違くもないんだけど違くてっ!あの、そういうつもりで言ったわけじゃなくてねっ!?」

 

そう慌てて弁明をするわたしを優しい目で見る彼にいたたまれなくなった。

 

「わかってるよ、クラス一緒だったらいいなってだけだろ。一之瀬と同じクラスだったらオレも、うれしいな…」

 

いつの間にか優しそうな顔が少しいじわるな顔にかわっていて、今度こそ怒ってやろうと思った。

 

「む~っ!またからかってる!わたしだって怒るときはほんとに怒るんだからね!」

 

「はいはい、そんなことしたって可愛いだけだぞ。はやく見ようぜ………?おい?」

 

………………!?

 

「な、なななな何を言っているのかな!?か、可愛いとか急に言われても…」

 

彼が急にか、可愛いなんていいだして、恥ずかしくてすっごく動揺してしまった。特に意識はしてなかったけど彼は顔が整っているから、ちょっとドキドキしちゃったし…。

 

「別に言われ慣れてるだろこんなこと。ほら、見ようぜ。」

 

そう言って彼は少し混んできた人たちを掻き分けて道を作ってくれたけど、言われ慣れてないよ全然!なんなら中学3年生の後半は保健室(・・・)登校だったから人との会話も全然してないのに…。

 

「…可愛いなんて初めて言われた…。なんだか調子狂っちゃうなあ…」

 

ーーーー

 

演城くんに着いて行って、クラスがかかれた掲示物を見る。どうやらわたしはBクラスのようだが、彼の名前は見当たらない…。

 

「一之瀬、オレはCクラスだったけど一之瀬は?」

 

演城くんはCクラスだったかあ…ちょっと寂しいな。演城くんも寂しがってくれてるかなと思いながら振り向いて言った。

 

「あちゃー、わたしはBクラスみたい、残念だね…」

 

本当に残念。もっと仲良くなりたかったのになあ。

 

「そうだな。まあ隣のクラスだし、放課後とか遊べたりするだろ。せっかく友だちができたのにさよならってのもなんかな。」

 

彼の言葉に結構驚いた。さっきからからかわれっぱなしで、そんな正直に友だちって言ってくれるとは思っていなかったから、すごく嬉しい。

 

「友だちって思ってくれてたの…?演城くんってあんまりそういうこと言ってくれない人だと思ってたなあ。」

 

ちょっと失礼かもしれないけど、人をたくさんからかってくる演城くんのほうが失礼だよね。失礼な…って表情をしてた彼も自分を顧みたのか、少し気まずそうに言った。

 

「携帯端末とか受け取ったら、連絡先交換しようぜ。自由時間にそっちのクラスに遊び行くからさ。もちろん一之瀬がよかったらだけど。」

 

さっきから驚きっぱなしだ、わたしも連絡先を交換する提案をしようと思っていたから。ふと、いいことを思いついた。驚かされたり、ドキドキさせられたり、恥ずかしい目に合わせてきた仕返しをしよう。

 

嬉しいのは本当だから、それを前面に押し出して…

 

「もちろんいいよ!わたしも言おうと思ってたから…お揃い…だね…?」

 

そう伝えると思惑通り彼が固まった、といっても一瞬だったが。わたしも正直すっごく恥ずかしくて仕方がない。たぶん顔も真っ赤っか。でも仕返しは上手くいっただろう。そうしてひそかに喜んでいたのだけど、演城くんが急にわたしの手を取ってきた。

 

「そうだな、お揃いだ。オレ、嬉しいよ。一之瀬ともっとずっと仲良くなれた気がして…」

 

………………………!?

 

彼の恥ずかし気な、だけど嬉しさがこみあげて溢れているような顔で見つめられて…

 

 

 

 

 

「…はっ」

 

脳がショートしていたみたいで、気づけば手は離されて目の前で振られていた。うう…上手く仕返しができたと思ったのに…

 

「…次は負けないからねっ!またあとで!」

 

わたしは逃げるように校舎に向かった。いつもなら入る前に手鏡でくせ毛がないか気にするけれど、今日はできなかった。まだ、顔が赤いだろうから。




綾小路(凪はいいやつだ。オレたちは友だち、いやもはや親友といっていいのではないだろうか。名前呼びだぞ名前呼び。)
龍園(気味の悪い野郎だが、使えそうなやつだ。)

ーーーー

凪くんprofile No.1

イケメン、高身長(178㎝)、高い身体能力に知性と隙がない布陣で、コミュ力もある模様。なんだこいつ。そんな彼が高育にきた、ましてやCクラスなのは理由があるようだが…。

ーーーー

ヒロインよりも会話して本音で話してる親友枠がいるってマ?実際初期の小路くんは書いてて可愛いのでついつい可愛がってしまっています。それも茶柱がたつまでかはたまた…。あと一之瀬さんの"な"が"にゃあ"になる現象、本人は意識してないもしくは気づいてないんじゃないかなとの思い(というかそのほうが可愛くないですか)で、一之瀬さん視点ではあえて書いてません。

基本的に筆が乗った時に書き始めているので、書き溜めとかはありません。2日連続更新なんて人生で初めてです。伏線なんかも張っていきたいのですが、回収できるかもわからないので適度にやりくりします。
これ以降は遅くなると思うので期待はせず、更新してらあくらいの気持ちでいてもらえるとありがたいですね。
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