「聞いてますか?
「き、聞いてる聞いてる……悪かったって……」
現在逃げ込んだ裏路地で阿慈谷ヒフミに説教を食らっている。
神に口答えするとは……!
と、言いたいところだがストッパーが外れて大暴れした我が6:4で悪いので我慢します。
「ちょっと腹立ったんだよ……我の発明品を金扱いされてさ……ほら、貴様だってその………ペリカン……だっけ?アレが「ペロロ様です」あー…うん、そのペロロが金目的で転売とかされるの嫌だろ?それと同じだ」
「それはそうですが、場所を選んでください!」
「はい、すみませんでした…」
最近感情のストッパーが効かなくなっているんだよな……エデン条約が近いからストレスでも溜まっているのだろうか……。
「えーっと……終わったかな~?」
「あぁ、はい……ごめんなさい、人のことを考えず説教を始めちゃって……」
「あんなにここの治安機関の危険性を教えてるってことは……ふむ、ここの事よく知ってるんだね」
「えっ…?と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから……。ブラックマーケットだけでも、学園数個分の規模に匹敵しますし、無視はできないかと……」
「それに様々な"企業"が、この場所で違法な事柄を巡って利権争いをしていると聞きました」
「それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関があるほどですから……」
え、そんなヤバいのここ……。
「銀行や警察があるってこと…!?そ、それってもちろん、認可されていない違法な団体だよね!?」
「スケールが桁違いですね……」
「中でも特に治安機関はとにかく避けるのが一番です……。騒ぎを起こしたら、まず身を潜めるべきです。……戦おうとせずに」
「すまない……」
阿慈谷ヒフミがジト目でチラリとこちらを見る。
悪かったって……もうやらないよ……多分ね。
「ふ〜ん、ヒフミちゃん、ここのことに意外と詳しいんだねー」
「えっ?そうですか?危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか……」
ピンク髪が何かを考えるような素振りを見せ、何かを思いついたかのように、にやりと笑い口を開く。
「よし、決めたー。助けてあげたお礼に、私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうねー♪」
「え?ええっ?」
はぁ?
「わあ☆いい考えですね!」
何処が?
「成程、誘拐だね」
馬鹿か。
「はいっ!?」
「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ?もちろん、ヒフミさんが良ければ、だけど」
……まともだな。
「あ、あうう……私なんかでお役に立てるかわかりませんが……アビドスの皆さんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」
え、引き受けるの?
「よーし、それじゃあちょっとだけ同行頼むねー。……あ、金髪君、君もだからね〜」
「はい?……え、なんで……我も?」
「また、ここの治安機関に襲われた時に守ってほしいな~……って」
何故だろうかすごく嫌な予感がする。
「いや~……我用事あるからこの辺で〜……」
ポケットからバイクカートリッジを取り出しジャッジメントに差し込……あれ?カートリッジ…どこ?
た、確かにコートのポケットに入れたはず……!
「お探しものはこれかな〜?」
ピンク髪の手に握られていたのは我が探していたバイクカートリッジ。
い、一体どうしてコイツが……。
「……それだ、返せ」
「手伝ってくれたら返してあげるよ?」
「コイツ……」
まぁ…別に無理矢理奪えば……。
スッ
……ん?
シュッ
あ……?
シュバッ
………。
「どうしたのー?」
ピンク髪がニヤニヤしながら我を見つめる。
……え、全部避けられたんだが……?
「ホシノ先輩何してるの?」
「いや~?ちょっと遊んでるだけだよー。まぁ、そんなことより……どうするの?手伝う?」
「……わかった手伝おう」
「うへ~、そうこなくっちゃ!」
し、白々しい真似をぉ……!
まぁ……。
「神が手を貸してやるのだ!光栄に思うが…「さ、行こっか皆ー」聞けぇ!!」
ピンク髪に軽く流され、アビドス?という連中と共に、ブラックマーケットの奥へと歩いていった。
……ずーっと気になっているんだが一言も喋っていない薄緑髪のやつは誰なんだよ。
_____________________
ブラックマーケットを歩いて数時間、アビドスの連中の目的地は一向に見えてこない。
因みに道中で自己紹介は済ませた。
猫耳が黒見セリカ。赤メガネが奥空アヤネ。オオカミ耳が砂狼シロコ。ゆるふわが十六夜ノノミ。ピンク髪が小鳥遊ホシノ。黒髪は先生というらしい。
……桐藤ナギサが言っていた先生というのはこいつのことだったのか。
薄緑髪の奴は……わからなかった。
聞いてもそんな人いないと言われた。
……どうやらあれは幽霊だったらしい。
確かにヘイロー無かったからもしかしてとは思ったが……。
「はぁ……しんど……」
「もう、数時間は歩きましたよね……」
「これは流石に、おじさんも参ったなー。腰も膝も悲鳴を上げてるよー」
「えっ……ホシノさんはおいくつなのですか?」
「ほぼ同年代!!」
「何故、こんな癖の強い一人称を……」
「自分のこと神って言ってる君も大概だと思うけどねー」
「我は事実を述べてるだけなんだがな」
「そういうとこだよ」
そういうとことはなんだそういうとことは。
「あら!あそこにたい焼き屋さんが!」
そんな調子で歩いていると、ふと甘い香りが漂う。
十六夜ノノミがそのニオイのもとを見つけ指をさす。
その方向を見ると、少しボロい屋台が目に入った。
……衛生面大丈夫だろうか。
「あれ、ホントだー。こんなところに屋台があるなんてね」
「あそこでちょっとひと休みしましょうか?たい焼き、私がごちそうします!」
「えっ!?ノノミ先輩、またカード使うの!?」
「先生の大人のカードもあるよ〜?」
「ううん、私が食べたいから良いんですよ☆みんなで食べましょう?ねっ」
……ここの会話でわかったのは先生の扱いはわりと雑ということ。
……若干可哀想とは思った。
「まいどー!」
「(もぐもぐ)…おいしい!」
「いやぁ、ちょうど甘いものが欲しかったところだったんだー」
「あはは……いただきます」
「……これ、貸しとか言って変なことに付き合わされたりしないだろうな?」
「もちろん、そんな意図はありませんよ?」
「……なら…良いんだが…」
近くにあった木に寄りかかりながらたい焼きを頬張る。
……やっぱ、たい焼きはカスタードだな。あんこも嫌いではないが、やっぱ小豆が嫌。*1
……しかし、アビドスの連中が探している戦車のパーツの情報、一切見つからないな。
過去売っていたという店はあったがすべて閉店済み。
……なんか、妙な感じがするな。
「お探しの戦車の情報……絶対どこかにあるはずなのに探しても探しても出てきませんね……。ここまで情報がないのも妙ですし……。販売ルート、保管記録……全て何者かが意図的に隠しているような、そんな気がします」
阿慈谷ヒフミが我と同じような疑問を投げかける。
「いくらここを牛耳っている企業でも、ここまで徹底してブラックマーケットを統制することは不可能なはず」
「そんなに異常なことなの?」
「異常というよりかは……普通ここまでやります?という感じですね……」
阿慈谷ヒフミが砂狼シロコの疑問に答え、ブラックマーケットについて話し始める。
「ここに集まっている企業は、ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりしないんです」
「例えばあそこのビル。あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」
阿慈谷ヒフミは指を差した先には、一見なんてことはないビル。強いておかしな点を指摘するのであればブラックマーケットの中では比較的清掃が行き届いており、銃を抱えたガードらしき人影が多いことだろうか。
もっとも銀行だから守衛の人数を多くしていると言われたらそこまでだが。
「ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つです。聞いた話だと、キヴォトスで行われている犯罪の15%の盗品があそこに流されているようです……」
「横領、強盗、誘拐などなど、様々な犯罪によって獲得した財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われる……。そんな悪循環が続いているのです」
「……そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」
「その通りです。まさに銀行の犯罪組織なのです……」
……我はブラックマーケットを見くびっていたらしい。
ここまでデカくなっていると手のつけようがなくなるぞ……連邦生徒会は何をしているんだ?
……いや、それより…
「何故そんなにブラックマーケットについて詳しいのだ?阿慈谷ヒフミ」
「えっ?……あ、えっ……それは……そのぉ……」
「君……ここに何回も来てるだろ。それも数回じゃなく数十回は」
「うぅ……ごめんなさい……」
「はぁ……取り敢えずこれはティーパーティーに報告するからな」
「あうう……」
『お取り込み中失礼します!そちらに武装した集団が接近中!気づかれた様子はありませんが……まずは身を潜めたほうが良いかと思います……』
「う、うわあっ!?あれはマーケットガードです!」
「あ?」
銀行の方に視線を移すとあの時と同じ黒いロボットが居る。
……殺さねぇと。
ジャッジメントを構えマーケットガードに狙いを定め…
「戦おうとしないで早く隠れますよ!!」
「おわっ!?」
阿慈谷ヒフミに服を引っ張られ茂みの中へ引きずり込まれる。
いや、阿慈谷ヒフミ、掴むのは良いんだが首を掴まないでもらっていいか?苦しい……。
しかしそんな我には目もくれずマーケットガードの動向を覗き見る。
「……パトロール?護衛中のようですが……」
「トラックを護送してる……現金輸送車だね」
「アレ?あっちは……闇銀行に入りましたね…」
1台のトラックが闇銀行へと入り、闇銀行の行員らしき人物に一つの紙を差し出された。
あの車……カイザーローンか。
「今月の集金です」
「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを」
「はい」
「……いいでしょう」
「では失礼します」
……ちゃんと書類のサインとかやるんだな。
【私たちを信じてないのか?】とか言ってサインしないと思ってた。
にしても……カイザーローンか。闇銀行と関係があるだろうなとは思っていたが、本当にあったとは……。
「見てください……あの人……」
「あれ……?な、何で!?あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員……?」
「あれ、ほんとだ」
「……どういう事?」
アビドスの連中の反応がおかしい。
全員信じられないとでも言いそうな顔をしている。
……まさか、道中言ってた借金の相手って……。
『ほ、本当ですね!車もカイザーローンのものです!今日の午前中に、利子を支払った時のあの車と同じようですが……なぜそれがブラックマーケットに……!?』
「か、カイザーローンですか!?」
「やはりそこだったか……」
「2人とも知ってるの?」
「カイザーローンと言えば……かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です……」
「有名?……何かまずいとこなの?」
「あ、いえ……カイザーグループ自体は犯罪を起こしてはいません……。しかし合法と違法の間をグレーゾーンでうまく振舞っている多角形企業で……」
「カイザーは我達トリニティの区域にも進出しててな、生徒達の悪影響を考慮し、ティーパーティーが目を光らせている」
「ティーパーティー……あのトリニティ生徒会が、ね」
「…ところで皆さんの借金とはもしかして……アビドスはカイザーローンから融資を?」
「借りたのは私たちじゃないんですけどね……」
「話すと長くなるんだよねー。アヤネちゃん、さっき入ってった現金輸送車の走行ルート、調べられる?」
『少々お待ち下さい……』
奥空アヤネがタブレットを使い、走行ルートを調べ始める。
まぁ……カイザーの事だ。どうせ……
『……ダメですね。すべてのデータをオフラインで管理しているようです』
「だろうねー」
だと思った。あのクズ共は狡い、そう簡単にボロは出さない。
「そういえば、いつも返済は現金だけでしたよね。それはつまり……」
「私達が支払った現金が、ブラックマーケットの闇銀行に流れていた?」
「じゃ、じゃあ何?私達はブラックマーケットに犯罪資金を提供してたってこと!?」
「状況証拠的にはそう捉えて問題ないだろう。しかし、"モノ"としての証拠がないから断定はできないな」
「さっきサインしていた集金確認の書類があれば証拠にはなるかもしれないが……まぁ、難しい「――それだ」…え?」
突如砂狼シロコが口を開く。
すごくキラキラした目で他のアビドスの連中を見ている。
なぜだ……嫌な予感が……!
「ホシノ先輩、ここは例の方法を」
「なるほどー、あれかー、あれなのかー」
「……えぇっ?」
「あ……!そうですね、あの方法なら!」
「まさか……私が思っている方法じゃないよね?」
砂狼シロコは目を輝かせ黒見セリカを見つめる。
「う、うそっ!?本気で!?」
「あ、あのぅ……全然話が見えないんですけど……あの方法ってなんですか?」
「そうだ、わかるように説明しろ!」
我と阿慈谷ヒフミは抱いていた疑問をアビドスの連中に投げかける。
「残された方法はたった一つ」
そして返ってきた返答は……常人ではまるで考えつかないであろう……イカれたものだった。
「銀行を襲う」
「はいっ!?」
「はぁ!?」
「だよねー、そういう展開になるよねー」
「はいいいっ!?」
「お前委員長だろ!?あいつを止めろ!」
「わあ☆そしたら悪い銀行をやっつけに行きましょう!」
「えええっ!!??ちょ、ちょっと待ってください!」
「そうだ!まだ状況の整理が……!」
「はぁ……マジで?マジなんだよね?ふぅ……それなら」
く、黒見セリカお前だけはまともだと……おい、待てお前何をもって……
「とことんまでやるしかないか!!」
「あ、うあ……?あわわ……?」
「やるな馬鹿!戻れ!」
『はぁ…了解です。こうなったら止めても聞かないでしょうし……どうにかなる、はず……』
「ならないだろ」
「……ごめん、ヒフミ、
「あってたまるか!あと我は
「うへ~ってことはバレたら全部トリニティのせいっていうしかないねー」
「無視すんな!あとふざけんな!」
「ふ、覆面なんて……え、えっと……あ、あうぅ」
「それは可哀想すぎます。ヒフミちゃん取り敢えずコレでもどうぞ☆」
「おぉ、たい焼きの袋、それなら大丈夫そうー!」
「え?ちょ、ちょっと待ってください、皆さん……」
阿慈谷ヒフミの静止を聞くことなく紙袋をかぶせペンで5の番号を書いていく。
「ん、完璧」
「見た目はラスボス級じゃない?悪の根源だねー、親分だねー」
「わ、私もご一緒するんですか?闇銀行の襲撃に?」
「さっき約束したじゃーん?今日は私たちと行動するって」
「う、うあぁ……わ、私もう生徒会の人たちに合わせる顔がありません……」
「問題ないよ!私らは悪くないし!悪いのはあっち!だから襲うの!」
「理論が飛躍しすぎだろ……あと、我の顔を隠すものはないのか?」
「たい焼きの袋はあれしかなくて……」
「じゃーあ、バレちゃったらトリニティのせいってことでー」
「チッ!ならばコレしかあるまい…!」
指を鳴らし顔全体に砂嵐を発生させる。
くっそ…!ジャッジメントのバッテリーがもう残り僅かだというのに……!
「こ、コレで見えないだろう!!」
「おー、なんか……よくわかんないけどすごいねー。じゃあ
「よし、それじゃあ先生。例のセリフを」
「”銀行を襲うよ!!”」
「ようやく喋る一言目はそれでいいのか!?」
「細かいことは気にせずに出発です☆」
「では、覆面水着団―――
―――出撃しましょうか」
………いや、名前だっさ。
9割くらい原作と同じ状況、同じ言動になっちゃった。
オリジナル要素加えたいけど難しいなぁ……。