「なるほど……ご説明ありがとうございます。ヒフミさんが仰っていることはよくわかりました。例の条約が間近に迫っている中、下手に動くわけにはいかないのですが……。今回はちょっとした例外ということで」
「あ、ありがとうございます、ナギサ様……」
「確かちょうど、牽引式榴弾砲を扱う屋外授業の予定があったはずです。せっかくですし、ちょっとしたピクニックなどいかがでしょう」
「えっと……牽引式榴弾砲ということは……L118の……?」
「はい。他ならないヒフミさんですし、すべてお任せします。細かいことは私の方で」
「愛は巡り巡るもの、ヒフミさんがいつか私に愛をお返ししてくれる時を、楽しみにしてますね」
「あ、あぅ……」
「それにきっと……いえ、間違いなく、シャーレの先生には借りを作っておいた方が良さそうですしね……」
「(相変わらず腹が黒いことで……)」
阿慈谷ヒフミと桐藤ナギサのちょっと物騒な会話をしている横で、大量の書類と睨み合っている我。
鷲見セリナ達から逃げられたと思ったら今度は書類に逃げ道を塞がれたよ。
コレが本当の
▼
ってね。
……やかましいわ。舐めんな畜生。
「そ、それでは私はこの辺でし、失礼します…!」
「少し待ってください、ヒフミさん。アビドスへ行くのならぜひ
「…
「は?我も行くのか?」
「えぇ、さっきからずっと書類と向き合ってばかりなので、気分転換も兼ねてです。それに
「ふん、我は使い勝手のいい駒じゃないんだぞ。神を舐めないでくれ」
「そうですか……、コレは神である
あ゙?
「出来ないなんてひと言も言っていない。神を侮るなよ…!行くぞ阿慈谷ヒフミ」
「え!?行くんですか!?」
「桐藤ナギサの神に対するその認識を改めさせる為だ。5分で終わらせてやろうじゃないか」
「それは頼もしいですね。それではよろしくお願いします」
「後の報告を楽しみにしておくんだな!」
「と、いうわけでアビドス砂漠に来た訳だが……」
聞いていた通りカイザーの奴らがうじゃうじゃと居るな。
たった5人しか通っていない学校を落とすのに使う戦力か?随分と大人げないな。
「
「わかった。さっさと始めよう」
作戦としてはこうだ。
まずは榴弾砲で混乱させ、そのうちに我が無双する。というとってもシンプルなものである。
我としてもアビドスが落とされるのは困るからな。あの緑髪……梔子ユメの事も、私の計画に必要な駒だ。
ドゴオォォォン!!
着弾したな。……よし行こう。
助走をつけ崖から飛び降り羽根を広げ空へと飛び上がる。
さぁ、カイザー共にBADENDを迎えさせてやる。
―――――――――――――――
「あれは……L118、トリニティの牽引式榴弾砲です!」
「支援射撃?……でもなんでトリニティから?」
突然の支援、敵味方関係なく混乱していると、一つの通信が割り込んできた。
『あ、あぅ……わ、私です……』
トリニティの制服(に似てるもの)を着た、5番と書かれた紙袋を被った少女。
「あ、ヒフ「ち、違います!私はヒフミではなく、ファウストです!」……自分で名前言っちゃってるじゃん」
『あ、あれ!?あぅぅ……』
セリカに名前を呼ばれる直前に、急いで訂正しようとしたが、慌てすぎて自身の名前を言ってしまっている。
そんなヒフ……ファウストに対して呆れたような声が空から響く。
「茶番をしている時間なんてないだろう?」
空から転落するように、地面へと降り立つ3対の黄金の翼を持った少年、
「
「構わない。我の事が知らしめられたとしても問題などない」
『えっと……そのL118はトリニティの牽引式榴弾砲ですけど、トリニティ総合学園とは関係ありませんので!
「はい!ありがとうございます、ファウストちゃん!」
『あはは……えっと、皆さん、が、頑張ってください!……あと、
対策委員会の面々には応援、
「敵は混乱状態です、急いで突破しましょう!」
目前の敵を蹴散らす為、各々が突撃しようとした時。
「その様子を見るに急用なんだろ?ならばコレを使うといい」
そういうと
地面へと着弾すると、オレンジ色の平たい円の形をしたエネルギー状のナニカが現れた。
その円の向こうにはこの場所とは違う砂漠が写っている。
「え!?な、なんですかコレ!?」
「ポータルさ、ゲームなどであるだろう?向こう側の景色の場所へテレポート出来る」
「コレ……本当に入って大丈夫なの?」
「我をカイザーの回し者か何かだと思っているのか?君達をトラップにはめて我になんの徳がある」
罠を疑うシロコに呆れた視線を向ける
「さぁ、早く行ったほうがいいんじゃないか?君達の大事な先輩を助けられないかもしれないよ?」
ポータルへ入ることを躊躇している対策委員会の面々に不安を煽るような言葉で、急かす。
そしてその言葉を聞き、覚悟を決めたのか一斉に飛び込み、ポータルを通過したものはこの場から消えた。
「さぁ、先生。君も早く行くんだ」
「"
「ヒフ……ファウスト達の援護もある。まぁ、援護など無くてもこの神である我が負けることなどないがね」
余裕の表情でそう言い切る
そんな先生を見て、大きくため息を吐き、本日3度目の呆れた視線を先生に向ける。
「あの子達には君の力が必要不可欠だ。私に手を貸すのはまたいつか。………こんな無駄話をしているうちにも"黒服"の実験は進んでいるのかもしれないぞ?」
「"なんでその事を……うわっ!?"」
現状先生しか知らないはずの黒服の計画を知っている
「小鳥遊ホシノを助け出し、この章のHAPPYENDへ辿り着けるかは……君次第だ。先生」
―――――――――――――――
「………やっと行ったな」
正確には行かした、だが、仕方ない。だってすごいモタモタしてるんだもん。
最後に不穏な事を言ってしまったが、変な事にならないだろうか。
「お前か!!対策委員会は!!」
「待て、制服がトリニティの物だ。恐らく対策委員会の仲間だろう」
「説明をする手間を省いてくれて感謝しよう。まぁ、正確に言うと仲間な訳では無いがな」
「だったらそこをどけ!今ならまだ痛めつける程度で済ましてやる!」
「はぁ…神に対する礼儀がなっていないようだな」
「何を言って…「執行」
ジャッジメントのトリガーを引いた瞬間、極太の光線が前方のカイザー兵士を焼き尽くした。
「くっ……!早くヤツを無力化しろ!」
「まだ罪を犯す気か!」
向かってきた戦闘用ドローンを撃ち落とし、オートマタ達を光線で貫く。放たれた戦車の砲弾を着弾前に掴み、そのまま力任せに戦車へと投げ返す。
投げた砲弾は戦車を貫き、爆発した。
残りは片手で数えられるほどのオートマタ達と戦闘用ドローンのみ―――
ドゴオォォォン!!
―――も消えちゃった。
ちょっと可哀想になってきた………いや、嘘。めっちゃ清々しい。最高の気分だ。
「取り敢えずはコレでステージクリアだな」
『それでは、対策委員会の皆さんの援護に……』
「いや、辞めておいたほうがいい」
『え…ど、どうしてですか?今からでも行けば助けになるんじゃ……』
「深く関わりすぎると面倒なことになる。どうせ、カイザーの事だ、変な言いがかりを付けてこちらの仕事を増やしに来る。それはなるべく避けたい」
それに、あちらには先生が居るんだし我達が居なくても大丈夫だろう。
先生の指揮能力には目を見張るものがある。……指揮方法やどこでそれを学んだのかという疑問はあるがな。
「君達はここで待機しておくんだ。まだ、何人かこちらに来るだろうから、そいつらの迎撃を頼む。我は少し用事がある故、席を外す」
『よ、用事があるって……どこに行くんですか!?』
「我限定のシークレットクエストだ」
「これは……いや無理だ。こんなものでは復元できない」
阿慈谷ヒフミと別れ、我が足を運んだのはアビドス高校の生徒会室。そこで我は梔子ユメの遺伝子を含むものを探している。
髪の毛とかがあれば行けるんだが……無いな。
……なんか人の髪の毛探すなんて変態みたいだな。
我は断じてそういう目的ではないからな。梔子ユメを蘇らせるためにやっているんだからな!!勘違いするなよ!!
「ここにはないか……別のところを探す―――ヴェアア!!??」
「………?」
「び、びっくりした……!居たのか梔子ユメ……」
後ろを振り返ったら干からびてガッリガリになった人が居たら流石の我も心臓が飛び出そうになる…。我はホラゲーが苦手なんだ。露骨なビックリ描写はもっと嫌いだ。
「……?」
「何をしているのかって?君の遺伝子情報が含まれているものを探しているのさ。例えば髪の毛とか」
「………」
「誰が変態だ!君の為にやっていることだぞ!死者を蘇らすと言う現代の医療では成し遂げられない偉業だぞ!まずは我に感謝しろ!」
「……!?」
まったく……無礼な奴だ。
「はぁ…なんかちょうどいいもの……ん?これは……手帳か?」
砂ぼこりを被った紙の山の下から一つの手帳を見つけた。
緑色の表紙に白い水玉模様、バナナの先っちょの部分に鳥が描かれ、『たのしいバナナとり』と書かれている。
……何だこの、変な……不気味な……不思議な絵は……?
「………!」
「君の手帳か?」
「……」
「そうか。……別にコレ探しているわけではないが……」
『神秘』を再現する過程でどういう人物か知る必要がある。
一応これも拝借するか。
「………!!」
「コレは駄目?…何故だ」
「………!」
「ホシノの為に残したもの?」
「………」
……ゆっくりと探している暇は無いんだよな、あまりモタモタしていると帰って――「ねぇ、そこで何してるの?」――噂をすればだな。
「思ったより早いお帰りじゃないか
小鳥遊ホシノ」
「足跡があったから来てみれば、ここで大事なものでも無くしちゃったの?おじさんも探すの手伝ってあげようか?」
言葉だけ見ればふざけているように見えるが、どんだけ愚純な奴でも分かる程に圧をかけてきている。
……回答を間違えれば即ゲームオーバーもあり得る。
仕方がない、本当のことを言うか。
「私の計画に必要なものを探しているのさ」
「……ここには砂しかないし珍しいものなんてないと思うけど」
「別に特別なものが必要なわけじゃない。死者を蘇らす為にはその人の遺伝子が必要だ。血やら髪の毛やら……一人で喋り過ぎたね、少し説明をしようか」
言っていることが分からずキョトンとしている小鳥遊ホシノの為に少しだけ説明をする事にする。
「過程をグダグダと言うより、結論をさっさと言ってしまったほうがいいだろうな―――私は梔子ユメを蘇らそうとしている」
「…っ!?ユ、ユメ先輩を……い、いや、なんでお前がその事を知っている!!」
「まぁ、落ち着きたまえ。別に利用しようとしているわけじゃない」
激昂し、ショットガンをこちらへ向ける小鳥遊ホシノを宥める。
致命傷を負う可能性があるから、本当に勘弁してほしい。
「君へ提案があるんだ。梔子ユメの遺伝子を含むものがあるなら譲ってほしい。髪の毛1本でもあれば君の大事な先輩をこの世に呼び戻すことができる」
「そんな気持ち悪い提案飲むと思う?」
「気持ち悪い……まぁ、否定はしないが……、いいのか?満足行くまで関われたのか?伝えたいことは伝えられたのか?謝りたいことはないのか?」
「っ……」
「仮にすべて満たしていたとしても、大事な先輩は居たほうがいいんじゃないのか?」
「ふざけるな!!」
「……何だ、急に大きな声を出して」
「死んだ人が蘇るなんてこと……あり得ない。私を騙そうとしている……!」
「別に事実を言っているだけなんだが」
そんな怒りに満ちた目ともとれるビクビクと震えた目で私を見ないでほしい。本当に騙しているみたいになる。
「ここから出ていけ。二度とアビドスに来るな」
「落ち着け、別に君を騙すつもりは……」
ガチャ
「出てけ」
「……わかった」
ショットガンのトリガーへ指をかけたのを見て、無駄だと悟りここから出ていくことにした。
仕方がない、運と時期が悪かった。
まぁ、だが"目的の物"は回収した。
ポータルを自分の足元の設置する。
あぁ、そうだ。言い忘れていた。
「コレは借りていくぞ」
「…!それはユメ先輩の…!?」
物を借りるときはちゃんと『借りる』って言わないとな。
「じゃあな」
「待て!!返せ!!」
我の持つ手帳を奪い返そうと小鳥遊ホシノは手を伸ばすが、当然届く訳もなく、その手は虚無しか掴めない。
我はポータルをくぐりアビドス高校から姿を消した。
「よっと……」
ポータルから、アビドス砂漠の辺境へと降り立つ。
人間関係に歪みを入れてしまったが、クエスト自体はクリアした。
……梔子ユメが"持っていってはダメ"と言っていたが、彼女の神秘を再現する為には当人の性格等を知る必要があるのだ。仕方ない。
……それに、『死人は口無し』と言う言葉がある通り、我が耳を傾ける必要はない。
にしても……フフフ、ハハハ……
「ヴェハハハハハ!!」
あぁ……つい、笑みが溢れてしまった。
私の計画が円滑に進んでいる事に興奮してきたな……!
コレで、梔子ユメを蘇らせ、"再現した神秘"と"死のデータ"さえあれば!
私は不滅の神になれる!!
ずっと足を引っ張っている中途半端に壊れた使い物にならないヘイローとは、もうオサラバだ!
さぁ、待っていろ『ベアトリーチェ』不滅の神がこの手でお前を抹殺してやる……!!
そして、サオリ姉さん達……私が必ず虚しさからの束縛から救ってやる。
今回色々情報が出てきたので、聞きたいことがあれば答えられる範囲で答えます。
ハーメルンの利用契約的にアウトだったら、私の活動報告に質問所を作ったのでそちらから。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=337591&uid=483645