【カオ転三次】ワイらのデキシーランド・ジャズ   作:アンナ・D・メタボ

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ということで、最初の話は(主に見た目が)変態コンビの話。
シリアスにちょっとかするかもしれない。



一組目・『セオドォル(炭ジェロ&善イッツ)』その1

 

半終末から3年前。神戸市でもやや港が近い場所にあるお寺。

『山奥家』と書かれたお墓に、見た目が鬼滅の刃の竈門炭治郎の一族のおかっぱ系男児に似た男がいた。

彼はスレ内では炭ジェロと呼ばれるコテハンこと、お笑いコンビ『セオドォル』の山奥が手を合わせていた。

「雲空(もあ)、元気にしとるか? お前と一緒に見てた先輩と一緒に賞レース獲ったわ」

山奥は背負っていた背負い箱風のリュックを下ろし、リュックから物を出した。

出したのは、2日前に取った関西の放送局主催のお笑い賞のトロフィーであった。

日本一を決める大賞より小さいトロフィーだが、小さいながらも立派ではあった。

「何かなぁ、そのうち終末が起こるらしい? 完全にはならへんようやけど」

山奥は機密事項なのでぎりぎり聞こえるか聞こえないかの声で、墓石に囁いた。

「―お前を穢して尊厳を踏みにじった連中は絶対許さへん」

山奥の表情はまるで鬼のごとく憤怒と憎悪が交じっていた。

「ゆうても、俺一人で終末は止められへんのはわかっとる。

 俺が出来ることは、一人でも多くの雲空みたいなやつを救う、それだけや」

そう言って、山奥はお供え花として藤の花を一房を墓前に置き、再び手を合わせる。

「最低年一でまた来るからな!」

頭を撫でるように墓石の頂上をさすり、彼はリュックを背負って墓を後にした。

墓地の出入口まで来ると、巫女姿だが頭は口から上が金属製の狐面で覆った女性が待っていた。

「コハナ、待たせてすまんな」

「いえ。家族の時間を邪魔するわけにはいきませんから」

「俺と一緒に来てもええのに…」

女性はお面で表情はわからないが首を横に振って否定をしつつ、

巫女姿からボディラインが目立つ全身タイツに、黄金色の上半身アーマーを着込んだ姿に変化した。

この女性こそ山奥の式神・コハナである。その容姿はデジモンのサクヤモンであった。

「墓荒らしが来る可能性があります。雲空お嬢以外にも誰かを狙って不届き者は来ますので」

コハナはいつの間にか錫杖を手にし、錫杖を鳴らして"虫"が入らぬように結界をかけた。

「そうかぁ、それやったらしゃあないか。姫路支部寄って帰ろ」

「はい」

山奥はくるりと踵を返し出ていくように歩くが、コハナは"雲空の墓石"を少し見た後、

口元を少し喜びで緩ませ、表情を戻して急いで山奥の後を追ったのであった。

 

 

姫路支部。小規模の会議室。

鬼滅の刃に出てくる我妻善逸、というより孫の我妻善照に似た青年が戦闘に関しての講義をしていた。

彼が教えていたのは鬼滅の刃でよく使われれていた全集中の呼吸である。

各種呼吸は師匠クラスに師事しないと難しいため、ほぼ基礎だけであった。

男の正体はコテハン・善イッツこと、山奥の相方である岩津朱良(いわつしゅら)である。

助手として、そろそろ修羅勢に手が届きそうな地元の黒札と、名家上がりの銀札がいた。

「…とまぁ、基礎だけでも全然動けるんで、後は日常の呼吸と瞬時に切り替えができれば強くなれます」

相方・山奥と同じく、岩津も元ネタと全く声は似ていない。やや落ち着きのある声である。

「体型関係なく俺みたいに…」

「調子のんな、メガネ豚」

助手の銀札が天狗になりかけたので、同じ助手の黒札がどついて彼を止めた。

ちなみに、この銀札と黒札は幼馴染で、黒札が天狗になっていた銀札を叩きのめして銀札の根性を入れ替え、

山奥のある姿に脳を焼かれ、山奥率いる軍団の一員となってしまった。

「呼吸法はわかったけど、これ強いんか? 座学ばっかりでつまらん」

初めて参加した名家の一人が、ポツリと文句を言った。

その文句を切欠に、岩津や助手の二人の実力を知らない人々が野次を飛ばし始めた。

基礎の呼吸はあくまでも身体能力を高める程度であり、直接的な戦闘力には直ぐに繋がらない。

「大体、アイツさっさと終わらせるやん。あれ全部相方の山おk…!?」

「うっさい! 手加減用にちょっと尖った木刀や、本物やったらサイコロステーキになるで」

早々と討伐依頼を終わらせることに対し、相方に押し付けている言いがかりをつけた名家がいたが、

流石に岩津はキレて、雷の呼吸『遠雷』で言いがかりをつけた名家のズボンのゴムを木製模造刀で切った。

斬撃はズボンのゴムの下にあるパンツのゴムまで切り裂き、全部が落ちてモロ出しにされた。

参加していた女性の悲鳴が上がり、他の男たちは股間に視線が向き、

モロ出しにされた当人は急いで股間を手で隠した。

「馬鹿ばっか…」

最後尾で監視していた、セオドォルのマネージャー兼岩津の式神である山丹春風(やまにときか)は呆れて呟いた。

今はマネージャーとしているためにツインテールの青が入った黒髪のスーツ女子だが、

本来の姿はデジモンの鳥系獣人タイプであるシューツモンである。

「山丹さんも冷たい目で呆れとるわ、これはビキニ稽古ですね!」

「眼の前で脱ぐアホがおるか!!」

メガネ豚と罵倒されるほど丸い銀札が突然ビキニ姿になった。

突っ込んだ黒札はもちろん、先生だった岩津も頭を抱えた。

 

…そう、山奥と岩津はスレ内でたまに騒がれるビキニの変態、自称『ビキ忍』である。

 

 

***

 

ゴムを切られモロ出しにされた男の着替えも終わり、

最近技術部で簡単な練習用人形として発売した、見た目が戦闘フィギュア(*1)を出して訓練場で模擬戦となった。

「ぐぇーっ!?」

「この木偶n…グワーッ!!」

「アホばっかり、これはk―」

「落ち着いて、こうして、よし一撃―痛っ、ダメかぁ」

練習用とはいえ、Lv5のDLv換算で20相当の強さに設定しているため、

実力が足りない人々は次々と痛恨の一撃を食らったり、気絶している人もいた。

それでもなんとかやっている人は知恵を絞り、武器で威力を殺したり受け流し、

間合いを取ったり見切ったりして避け、攻撃を受けないように努力していた。

デモニカはあくまでも補助であり、デモニカが手元にない場合に"戦えません"は話にならない。

そこで、基礎的な全集中の呼吸を覚えることで地力を上げるのである。

「どうせアイツら口だけ…えっ」

「腕一本壊した!」

「かすったぞ豚!」

「お前風の呼吸使いやろ! 俺の攻撃見れるやん!!」

「岩の呼吸はもうちょいぶっ壊せるやろ、呼吸足らんぞ!!」

黒札と銀札のコンビはビキニ姿でDLv100に設定した4本腕の人形相手にいい勝負をし、

疲れたり負けて心折れたギャラリーが驚いてる。

銀札の武器は片方がウォーピックでもう片方が棘鉄球の両端が武器という変態ポールウェポンだが、

ヌンチャクのごとく鎖に繋がれた短柄のウォーピックと短柄のモーニングスターに分割可能である。

しかも内部の鎖は捻りでロック箇所が変化し、先端についている槌型鶴嘴や棘鉄球を鎖を接続して投擲できた。

銀札は岩の呼吸で筋力を瞬時に上げ、棘鉄球を投げつけて腕に命中させたのである。

ただ、想定以上のスピードだったために、風の呼吸使いの黒札がタイミングを見誤って棘鉄球が掠ったのである。

「"シィィィ…"、キエェエエエッ!!!」

岩津の方は雷の呼吸による前動作から、示現流の猿叫に近い叫びを上げて6本腕の人形に挑んでいた。

動きは霹靂一閃系であるが、周囲の影響を加味して足遣いは参ノ型・聚蚊成雷を混ぜ込んでいた。

踏み込みは雷光を伴い、見ていたギャラリーは雷光が眩しくて目をつぶってしまったが、

目を開ける頃には人形と納刀した岩津がそこにいた。

人形はハラリハラリと腕が肩からもげていくが、

最後の一本が取れる前に「うぐっ…」と小さな悲鳴を上げてぶっ倒れた。

実力をあまり知らない人は「えっ」という驚き顔、実力を知っている面々は「あー」というため息であった。

岩津は霹靂一閃でも六連を放とうとして、6つ目の斬撃が速度不足で人形にやられたのである。

「実力があっても平気で死ぬ可能性もあります。が、作った隙を逃してはいけない」

山丹はそう言いつつ、人形にとどめを刺して岩津をひっぱたいた。気絶から岩津は回復した。

「見栄を張るな。それだから毎回怒られるんでしょうが」

「ぐぇ、ずいません…」

そんな岩津をひっぱたく山丹をみて周囲は『最強は山丹さんでは?』と思ったのであった。

 

 

一方、支部長室。

就任してから暫く経つ鏑木紫(*2)と山奥が色々と書類を交わしていた。

ガイア興行の『地域移住芸人プロジェクト』で、セオドォルは兵庫移住を決めており、

血での直サインで山奥は支部長へ署名した書類を渡した。

「―あなたほどの実力があれば、支部長出来たのでは?」

「いやぁ、俺は神戸市出身なんで、姫路の支部に就くのはちゃうかと…。

 それに、妹の約束があるんで、ホンマにテレビがダメなるまではまだ芸人で居たいんですわ」

「妹との約束?」

鏑木は山奥は深く知っていないが、山奥の妹が亡くなっているのは情報として確認していた。

鏑木が真面目な顔で聞いてきたので、山奥は一瞬「あっ」としまった顔をしたが表情を戻した。

「そうそう、妹とヌーディストび…」

「いつの間にビキニ姿になるな、あほんだら!」

山奥がボケをぶちかましつつビキ忍姿になり、鏑木がすかさずツッコミでボディブローを入れた。

なお、山奥の服はビキ忍にいつでもなれるよう、おしゃれにこだわらず破いても替えがきくシャツと短パンである。

「ぐぇ、支部長のボディブロー効きますわぁ。あっ、用事思い出したのでこのへんで!」

スタコラサッサと逃げ出すように、山奥はさっとリュックを背負って出ていった。

「アイツ、この前も妹のことを聞き出そうとすると、

 『いもう…(ぷぅ)、あっ、すんません。焼き芋食うて屁が』って屁を出してボケてくる。

 本人に聞き出すより、岩津を捕まえたほうが早いか?」

鏑木はまたもや山奥から妹の話を聞き出せずにため息を付いた。

表の仕事や事務所独自で回すオカルト仕事の都合上、鏑木と山奥&岩津とはなかなか会えない。

本人が喋りたがらないので、鏑木は深くは聞きたくないのだが、

妹が死んだのはオカルト関連であることは一応公開されていた。

しかも、明らかにメシアンに対しては、セオドォルがTVロケとして訪れた教会に関しては表情は普通だが、

画面では伝わらない殺気を山奥は漂わせており、メシアン絡みとあからさまである。

半終末は姫路支部を本籍に置くゆえに、人(にん)を把握しておかないと、

何かしらの爆弾を抱えていた場合に最悪の状態で爆発されては困る。

「アイツが単独の仕事の時に聞き出そう」

鏑木はどうにかして聞き出すために、岩津を読んで聞き出すことを考え始めたのであった。

 

 

そして、その時はすぐやってきた。

山奥はボケであるゆえに単独の仕事が入り、岩津が姫路支部に呼び出された。

支部長のご指名故に、岩津はビビって怯えながら支部長室に入った。

「単刀直入に言おう、炭ジェロ―いや、山奥能(やまおくちから)は過去に何があった?」

言葉を聞いて岩津はため息を付いた。やらかしの詰めではなかったのが半分、過去を絶対噤むこと半分である。

「………。まぁ、メシアンではようあることなんですけどね。

 ただ、本人にとっては描いていた未来を潰されたのがホンマにショックみたいで」

岩津は静かに支部長に過去のことを語り始めたのであった。

 

(つづく!)

 

 

*1
100均のセ◯アでの名称。正式名称はDummy13というフリーの3Dモデル。3Dプリンタがあれば印刷可能。出力した物は販売可能だが、制作者のクレジット表記が必須

*2
ディストピア氏作『【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい』の主人公




妹の名前は禰豆子の中の人の担当ウマ娘・セイウンスカイから。
炭ジェロ・善ッツともに本話でのレベルは魔眼習得手前。
銀札と黒札も元ネタあります。
今回のキャラ解説はコテハン・炭ジェロ。


解説
コテハン:炭ジェロ
本名  :山奥能(やまおくちから)
詳細  :ガイア興行所属の芸人で、『セオドォル』のボケ担当。
     芸名ではあくまでも名字までだが、覚醒してからは出される下の名前はボケを込めて"ノウ"読み。
     見た目は竈門炭治郎と言うより竈門家のカナタや六太に近く、声は炭治郎声ではない。
     故に、ミームであったニセ炭治郎にちなんでコテハンは炭ジェロ。
     過去に妹を過激派で失ったが、当人はボケで話をそらすため深くは語らない。
     ガイ興要注意人物その3。着衣でもそれなりに力を出せるが真価はビキニスタイル。
     相方共々ビキニ姿だと強くなる。周囲曰く、『着衣は舐めプor手加減』。
     容姿が竈門家系なので、ビキニの柄は炭治郎の柄である黒緑の市松模様。
     語呂が良いことから、自称『ビキ忍』。だが、使うのは鬼殺隊の全集中の呼吸。
     ビキ忍状態はハイテンションのため、鬼にならないかノリで『ビキ忍ならないか?』言う始末。
     強さに脳を焼かれた連中が集まって『ビキ忍』派閥が出来上がり、
     鬼殺隊のノリで柱がいる『ビキ忍衆』が半終末後に出来上がる。
     魔眼開花で強制的に『ビキ忍』姿にさせる『ビキ忍ビーム』を覚え、更に『ビキ忍』は増加中。
     式神はデジモンテイマーズのサクヤモン。つまり獣人系?ケモナー。
     前世も芸人で死因はアンチによる飲み物の毒殺、マティアスニキとは何かしら因縁がある模様。
     漫画・アニメは本誌をちゃんと買うジャンプ派で、デジモンも大好き。
スキル :アギダインまでのアギ系、ムドオンまでのムド(スキルカード後付)、
     鬼神楽、奥義一閃、火迅斬り、日天の刃(コンセントレイト効果なし)
     ???(動画でお披露目されてすぐ覚えた)、?????(???と同様)
特殊装備:戦闘用ビキニ
     (スケベ部生産部門の力作、パンツは自力以外脱げない仕様。ビキニのみ印象に残る認識阻害効果あり)
     日輪刀
     (技術部制作。使用者に踏みとどまり貫通付与するが、持ち主以外抜刀不可)
特殊技能:・日の呼吸『ヒノカミ神楽』
     ※鬼神楽+火迅切り+α(型によって更に混ぜる)。日の呼吸による究極演舞。
      師匠に比べると当人曰く、『初撃が壱の型からできず、全然遅い』とのこと。
     ・水の呼吸
     ※攻撃として常用するのはこっち。干天の慈雨は暗殺専用に磨き上げたらしい
式神  :姿はデジモンテイマーズのサクヤモン。名前は『コハナ』。
     式神を得たのは雲空が亡くなった後。メンタルフォローも込みで出来が上がった。
     容姿が容姿なので、普段は姿が隠れる術をかけている。
     状況によっては巫女モードに変身可能。何故か人間の偽装は嫌がっている。
余談  :本霊はヴリトラですが、黒札の認識で歪んた火神寄り。姿もヴリトラモン。
     特殊技能の?2つは作中でお披露目したときに開示します。
     式神はプロローグから訳アリです。行動からしてバレバレですが。
余談(裏):モデルの人います。炭治郎ビキニの点であからさまですが。
     炭治郎っぽい人はおそらく他にいるかも知れません。
     表の知名度なら彼ですが、本当に強い炭治郎は別にいると思います。
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