私のヒーロー   作:おいーも

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ダンス練習

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

「……ダンスゥ?私と被身子ちゃんが?」

 

「そうよ!」「やりたいです!」

 

 

放課後、自販機前でいちごミルクを買っていた流水さんを見つけ説得タイムです。

 

「……一旦それはいいんですけど……ダンスっつっても何するんですか?ドレスでのダンスってなると限られません?」

 

 

「ええそうよ!だからあなたたちにやって欲しいのは……社交ダンス!」

 

社交ダンス……?あんまり見たことないですけど……。

 

「社交ダンス?あのくるくる回るヤツですか?」

 

「……それはワルツね。」

 

「ブラッドロータス先生わかるの!?」

 

「ワルツは非恋の曲多いからやだよ。」

 

ちょっと嫌な顔する流水さん。……そうなんですか?

 

「流水さんって逆に何知らないんですか?」

 

流水さんの知識の豊富さは……知ってたけど社交ダンスまで範囲内なんですね?

 

「私だって知らないことあるよ。興味が無いことはわかんない。社交ダンスは仕事で使うことあったから全部覚えた。」

 

「そういう場があったのね。ちょうどいいじゃない。…………全部?」

 

「ミッドナイト先生。あんまり気にしちゃだめかもです。流水さん知らないことでも興味が湧いた瞬間短期間である程度頭に入れちゃうので……。」

 

「天才を見たって感じね。」

 

ミッドナイト先生がふぅとため息。そりゃ流水さんは理解及ばない天才ですから……。私は慣れちゃいましたけど。

 

「はいはいどうも。……それで何分くらいなんですか?」

 

「取れても3分ね。」

 

「……じゃあある程度は踊れそうですね。スタンダードとラテンがあるんですけど……どっちがいい?」

 

「スタンダード……ラテン?」

 

「社交ダンスのはすごい数のダンスがあるんだけど、その中でもいくつか分類できて、スタンダード系とラテン系があるの。特徴としてはスタンダード系は身体までぴっちりくっついてるものがおおくt……」

 

「スタンダードで。」

 

「……被身子ちゃん?ラテンはいいの?動き激しいから見応えあるよ?」

 

「スタンダードでお願いします。」

 

身体くっついた方が私はうれしいので。

 

「……じゃあスタンダードね。ワルツ……は別れの曲だからやだ。タンゴは嫉妬の曲でお互い笑いあえないからやだ。ヴェニーズワルツは長いの多いからあんま向いてない。スローフォックストロットかクイックステップだね。……短めで見応えがあってってなるとクイックステップが1番いいかなぁ。見てる人もわかりやすい運動量だよ。」

 

「よくわかりませんが……運動量多いくらいなら任せてください。」

 

体力は自信あります。

 

「……私リードできるから男の方踊るよ。ちょっと被身子ちゃんと私身長差あるから大変だけど頑張ってね。」

 

「流水さんと踊れるなら頑張ります!」

 

流水さんの視線は私のものです!

 

 

 

……って意気込んでたんですけど

 

 

 

 

 

 

ぎゅっ

 

「あっ!?流水さんごめんなさい!!」

 

「いいよいいよ〜大丈夫大丈夫。」

 

夜、少しだけ練習してみたんですけど……

 

私ダンス苦手でした。…………流水さんのことになると何も考えられなくなるの本当に良くないです。

 

今も何度も足踏んじゃってます……。

 

「じゃあもっかいね?ワン……ツー……スリー……」

 

「えいっ……とうっ!」

 

 

「被身子ちゃん。足じゃなくて私を見て?社交ダンスは紳士淑女のスポーツ。胸を張って楽しく踊りましょ?」

 

「……っ!はい!」

 

「ふふっ。可愛い。」

 

 

男側……リードって言うんでしょうか?私をリードしてくれる流水さん……頼りがいがあって……笑顔が素敵で……かっこよすぎて胸がドキドキします。いつもと違う流水さんって感じで……新鮮です!

 

ぎゅっ

 

 

「ぎゃーっ!?すみません!!」

 

「あはははっ!ゆっくりやってこ!」

 

100%完璧に踊れる気がしません……前途多難です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「できませーーーん!!!」

 

「あははは。可愛かったよ。」

 

 

お風呂。いつも通り私が流水さんを後ろから抱きしめる形で湯船に浸かっている。

 

「うぅ……了承しちゃったの……悪手だったでしょうか……。」

 

「そうかなぁ?私……色んなこと挑戦してる被身子ちゃん。好きだな?」

 

「……そんなこと言われると……頑張っちゃいますけど……。」

 

流水さんを抱きしめる。

 

ダンスの時……私をリードしてくれてた時。本当にかっこよかった。大人の余裕?全身で感じた。移動する時、ターンする時、その場に止まる時。喋りながら動作で教えてくれた。慣れてたなぁ……あれ?

 

「社交ダンスって二人で踊るんですよね?」

 

「そうだね。」

 

「…………最初誰と踊ったんですか?」

 

「白ちゃん。」

 

ちょっと嫉妬を込めて言ったのにサラッと返ってきた返事は白体教の教祖様。白灘珠世さん。流水さんのお友達。

 

「…………じゃあ怒れないじゃないですか。」

 

「えー?嫉妬してくれないの?」

 

「……なにかのお仕事ですよね?」

 

「よくお分かりで。白ちゃんのボディーガードみたいな形だったね。」

 

「……むぅぅぅ……すごく複雑ですけど他の人じゃないから怒りません!」

 

「どういう基準なんだろう。」

 

「…………そういえば白体教の本山は元に戻ったんですか?」

 

流水さんが遊びに行った日に火事があったみたいですけど……。

 

「うん。なんか綺麗になったって。今度は被身子ちゃんも連れてきて欲しいって言われちゃった。」

 

「……ふふふっ。じゃあデートですね?」

 

「そうだね。いっぱいデートしよう。……まぁまずはダンスから……だね?」

 

せっかく話を逸らしたのに!

 

「うううううっ……足の動き難しすぎますよ!!!」

 

「そうだねぇ。」

 

「戦闘訓練なら楽にできるのに……なんででしょう。」

 

 

「……被身子ちゃんは戦闘中基本自由に動いてるからね。1歩1歩音楽に合わせてってのが苦手なんだと思う。」

 

「…………言われてみれば。」

 

「運動神経はいいからコツ掴んだらすぐだよ。」

 

「うぅうぅ……そうですかねぇ?流水さんの足引っ張らないか不安です。……文字通り何回も足踏んじゃいましたし……。」

 

 

 

「……被身子ちゃん。」

 

流水さんが身体ごと私に向き直る。

 

「……どうしました?」

 

「誰もが出来るコツ……教えあげようか。」

 

「そんなのあるんですか!?」

 

 

「笑顔。」

 

「え?」

 

「にこーって笑うこと。」

 

流水さんの満面の笑み。かぁいい……ってそうじゃなくて!

 

「そ……それだけですか!?」

 

「そうだよ?誰でも出来る。初心者さんでも上級者の人でも出来る。」

 

 

「……でもそれだけで……。」

 

「ふっふっふ。すごいことを教えよう。見てる人は学生!つまり失敗したかどうかなんてわかんない!」

 

「それはそうですけど!!」

 

「だから……いっぱい笑うの。」

 

 

「……だから?」

 

「うん。お互い笑顔で踊れば……『なんか楽しそう』『なんか面白そう』って伝わるでしょ?上手下手じゃなくて……楽しい。嬉しいって気持ちを全面に押し出すの。そしたらお互い失敗なんて苦じゃないわ。」

 

「……楽しい……嬉しい。」

 

「私被身子ちゃんといっぱい楽しいことしたい。一緒にご飯作りたい。食べたい。一緒に色んな所歩きたい。一緒に寝たい。お風呂に入りたい。後……。」

 

 

流水さんの顔が近づいてくる。

 

 

私は受け止めた。……受け止める以外の選択肢は考えられない。

 

 

 

 

「ん……こういうこともいっぱいしたい。だって全部好きだから。全部好きな人と出来るから。」

 

「…………わかりました。笑顔ですね?」

 

「うん。笑顔でめいっぱい踊る。簡単でしょ?」

 

「……はい。流水さんしか見えなくなりそうです。」

 

「お互い様ね?」

 

兎にも角にも笑顔。……サーも言ってましたね。笑顔は人に笑顔を与えられる全ての1歩。

 

……よし!頑張るぞ!!

 

 

 

 

 

 

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