私のヒーロー   作:おいーも

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白。時は早くて。

 

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

あの日からいつも以上に張り切った被身子ちゃんは、なんと二学期の中間、期末テスト共に学年一位を取った。

 

先生から少しづつだけどクラスメイトとも打ち解けてる。成長を感じられる。との評価。

 

 

 

頑張ってる事は数字に出ないのに、それでも結果を伴わせるのは凄い。

 

本人は「ちょっぴり運が良かっただけですよ。」とか言ってるけど、運を自分のモノにできるのは、間違いなくあなたの努力だよ。

 

 

 

 

冬休み。雪があまり降らない地域ではあるけどそれはそれとして明日はクリスマス。

 

イルミネーションの準備も、クリスマスケーキも、街が浮き足立つ時期。

 

この時期は特に敵事件も沢山あるけど、全部ヒーローが対処してくれる。大変だねぇ……ヒーローは。

 

かくいう私は今日は休みということもあり外に出ている。ちょっと大きなショッピングモール。もちろんひとりだ。

 

私の格好はマフラーで口元を全部隠し、モコモコのニット帽とロングコート。寒さは苦手だ。風邪対策でマスクもしてる。大丈夫か?だいぶロリだぞ?

 

実際職務質問を何度もされた。解せぬ。

 

 

被身子ちゃんは昼間に一人で出ていった。何か用事があるみたい。お友達と遊びに行くのかな?

 

 

私は私で被身子ちゃんへのプレゼントを買わなきゃね。明日明後日は休みじゃないから……今日くらいしか買えないし。

 

 

ま、天才の私はもうプレゼント買っちゃってるんですけどね?

 

 

……そろそろ寒いし……帰ろ。

 

 

ハァ……

 

 

 

 

 

 

「被身子ちゃんとデートしたかったな…」

 

 

 

そんな思いも届くはずもなく、出入口に足を運ぶ。

 

そうだ、クリスマスケーキも買わなきゃ……家の近くのケーキ屋さんでいいか。

 

 

「いいじゃん!一緒に行こうよ?ちょうど3対3じゃん?」

 

いつもなら意に介さないような声が耳に入る。

 

迷惑な客もいるもんだな。とっとと警備員も来ればいいのに。

 

ちらっとその集団を見やる。

 

 

 

 

「え?……被身子ちゃん???」

 

 

 

ナンパ男の前にはなんと……友達と出かけてたであろう被身子ちゃん。しつこいみたいで顔がとても怒っている。

 

 

ナンパ男に何度も言い寄られて、付いてこられてすごく迷惑してるのが伝わってくる。かくいう友達は2人とも被身子ちゃんが守っているっぽい。

 

「……友達を守ってるんだ。偉いじゃん。」

 

 

「いいじゃん!!行こうってば!!」

 

 

被身子ちゃんの手首をナンパ男が掴む。

 

 

「やっ……やめてください!」

 

 

 

 

 

私の中の何かが弾けた。

 

 

 

 

 

ナンパ男が地に伏せた。

 

 

「ぐえっ!!」

 

「ねぇ?人の彼女に手ェだそうとしてんのはお前か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

 

今日は学校の友達と3人でクリスマスプレゼントを買いに来ました。

 

2人とも彼氏持ちで……恋バナしてたら仲良くなっちゃった。

 

 

私一人で行こうと思ってたけど、みんなの意見を聴きながらの方がいいかもって話になって、今日は流水さん抜きでお出かけ。

 

あーでもないこーでもないって言いながら、私なりのプレゼントを見繕えた。喜んでくれるかな……?

 

 

 

そのあとはちょっとカフェテリアで休憩して、いざ帰ろうって時…

 

 

「ねぇそこの3人とも!可愛いね!お茶しない?」

 

 

変な男どもに捕まった。

 

 

「みんなめっちゃ可愛いね。どこ行くの?」

 

「俺たちいま皆フリーでさ……ちょっと寂しいんだよね!」

 

「奢ってあげるよ。カフェテリア行かない?」

 

 

 

口々に自分の都合を喋る男どもに辟易したので、皆で黙って出口へ。

 

 

 

 

嫌なことあったなぁと思っていたら一人の男が前に立ち塞がった。

 

「ねぇ!!なんで無視するの?一緒にお茶しようよ?」

 

「……」

 

 

ここまでするのか。

 

ほかの2人も続く。

 

 

「いいじゃんいいじゃん。仲良くしようよ。」

 

「皆バイトしてたからお金ならあるよ!好きな物買ってあげるよ!」

 

 

お友達の肩を組もうとしてきた男が居たのですぐさま叩いた。

 

「いたっ……何すんだよ!」

 

 

「……この子彼氏持ちなので。これ以上関わらないで貰えますか?」

 

「はぁ??いいじゃん今日だけでも遊ぼうよ!」

 

 

 

 

 

「もういいよ渡我ちゃん……帰ろ?」

 

「無視しよ。無視。」

 

「……そうだね。」

 

 

 

「君、渡我ちゃんって言うの?可愛いね。」

 

懲りないですね。本当に厄介。

 

 

「君は?名前なんて言うの?」

 

私は2人を守るために前に出る。せっかく私を受け入れてくれた友達を、こんなヤツらに汚させる訳には行かない。

 

 

「この子も彼氏持ちなんで。自己都合で女の子漁ってないで、他を当たってくれます?」

 

「渡我ちゃん口悪いね?嫌われちゃうよ?」

 

「あなたたちなら嫌われていいのでどうぞご自由に。」

 

「えー……お兄さん寂しなぁ〜。」

 

「渡我ちゃんは彼氏いるの?」

 

「答える義理はありません。」

 

 

「え!?じゃあフリー??彼氏に立候補します!」

 

「うざいです。本当に目の前から消えてください。」

 

「いいじゃん!一緒に行こうよ?ちょうど3対3じゃん?」

 

 

「だから……」

 

 

話の通じない動物園の猿と話してる気分。本当にめんどくさいけど……2人だけは守ってあげないと。

 

 

「いいじゃん!!行こうってば!!」

 

手首を掴まれる。

 

 

今の私ならこれくらいは全然制圧できるけど、せっかく楽しいお出かけを台無しにしたくない。

 

どうしよう……こんな時に流水さんが居てくれたら……

 

 

「渡我ちゃん!」

 

「やっ……やめてください!」

 

 

 

 

刹那

 

 

私の目の前にいたナンパ男は地面に押さえつけられた。

 

 

腕を後ろで固められて、背中にちょこんと女の子が乗っている。…あれ?………女の子…え!?なんで!?

 

 

「ぐえっ!!」

 

 

 

 

「ねぇ?人の彼女に手ェだそうとしてんのはお前か?」

 

 

「流水さん!?」

 

 

「何だこのガキ!?離しやがれ!」

 

 

流水さんに蹴りを入れようとする仲間の男。

 

流水さんは一瞥もくれずその場で飛び上がり、宙で一回転。

 

上から回り込んで蹴りを男の背中に入れて同じように制圧。

 

 

「いてぇ!?」

 

 

「こいつ!俺たちの充実クリスマス計画を邪魔しやがって!」

 

なにその自分勝手な計画は……。

 

最後のひとりが流水さんに殴りかかってくる。

 

 

「単調。」

 

 

それを手で受け流すと相手の体が宙を一回転。

 

合気の要領で投げ飛ばした。

 

 

「ぐえ!」

 

 

すごい……1人だけで……男の人3人も……。

 

 

 

 

「こら!何をしてる!!」

 

「やべ!!逃げるぞ!!」

 

 

警備の人が2人、こちらに走ってくるのが見えた途端、ナンパ男たちはヨタヨタと逃げていった。

 

 

「逃げ足が早いな……。すみません。何があったか聞いてもいいですか?」

 

 

「……私こういうものでして、今日オフなんですけど……この子達にずーっと付きまとってナンパしてた男たちが、手を出そうとしてたので制圧しました。」

 

ヒーローライセンスを見せながら説明する流水さん。

 

 

「……本当ですか?」

 

 

私達に確認を取ってきてるみたいなので皆で頷いておいた。

 

 

「……わかりました。次からは何か行動をする前に我々を呼んでください。あらぬトラブルになってしまいます。」

 

「善処します。」

 

「……それでは。」

 

 

警備員さんは少し納得いかない様子でこの場を去っていった。

 

多分今日だけでも色々あったんだろうな。大事にしたくない感じ。ちょっとだけむっとしたけど。

 

 

 

「はぁ〜怖かったぁ……」

 

 

「ほんとにねぇ……もう無理。」

 

私の後ろにいたふたりがへたり込んでしまう。

 

 

「2人とも……ごめんね?もっと強く断れば良かった。」

 

 

 

「渡我ちゃんは何も悪くないよ〜むしろありがとうって感じ。」

 

 

「うんうん。かっこよかったよ!」

 

 

そう言われると少しだけ嬉しい。守ってよかったって思う。

 

 

「それと!……ヒーローライセンス持ってたから……お姉さん!助けてくれてありがとうございました!」

 

「わっ私からも!ありがとうございました!!」

 

 

なんか……流水さんがモテてる。……は?

 

 

「いいのよ?気をつけてって言い方もあまり良くないけど、この時期あんな人達が多いから注意してね?」

 

待って!そんな言い方したら……

 

 

「はい!……ちょっとお願いがあって……」

 

「何かしら?」

 

「握手してください!かっこいいなって思っちゃって……」

 

「あっずるい!私もお願いします!」

 

 

「まぁ……握手くらいなら。」

 

 

なんで了承するの!?!?……モヤモヤが止まらない。嫌なやつだ。私。

 

 

「渡我ちゃんもしてもらいなよ!」

 

 

唖然として居た私は、声をかけられてやっとハッとする。

 

一旦握手とか言われてたのは見逃そう。

 

 

「流水さん……何をしてるんですか?」

 

「ん?買い物。」

 

 

私の気持ちなんて気付いてるだろうにサラッと答える流水さん。いや買い物でしょうけど……

 

 

「るみさん?」

 

「るみさんって…もしや……渡我ちゃんの……」

 

 

あ、やばい

 

 

「あれ?言ってなかったの?はじめまして。渡我被身子ちゃんの彼女、傷原流水です。」

 

 

流水さん!?!?

 

 

「「キャー!」」

 

「……もう。」

 

 

2人はすぐこうなるんだよね。人の恋バナ大好き。知り合った理由も、私が流水さんをケータイの待ち受けにしてたのを見られたから。「誰?」って話からトントン拍子に全部話させられた。なんというか……小動物みたいなんだよね。この子達。

 

 

「渡我ちゃん!なんで言ってくれなかったの??」

 

「めちゃくちゃ可愛いですね!写真だと髪の毛出してるのしかなかったから分かんなかったです。」

 

 

「うるさいうるさーい!私の好きな人なんだから好きにしていいでしょ!!」

 

「えー……渡我ちゃん顔真っ赤じゃん可愛い〜。」

 

「照れなくてもいいのに〜私たちの仲でしょ?」

 

 

 

「照れてない!!」

 

 

2人とも嫌い!!

 

 

 

 

「…………そうだ!」

 

 

流水さんが……嫌な顔してる。こういう時はもっと恥ずかしいことしてくるんだ……。

 

私が断れないのをいいことに。

 

 

 

 

 

 

「この場から私と抜け出しませんか?姫。」

 

 

急に跪いて私の手を取る流水さん。何それかっこy……恥ずかし!

 

 

「わー!!姫だって!姫だって!!」

 

「ロマンチックじゃん!私も言われたい!!」

 

 

「もー!!2人ともうるさい!!」

 

この恋愛脳!

 

私が2人に怒ったら少し手を強く握られた。

 

 

 

「姫?」

 

 

「ヴッ…………な……流水さん。」

 

心が……彼女成分の供給が……

 

 

「ふふっ……如何でしょうか?」

 

 

マスク越しでもわかる優しい顔で言われたら……

 

 

「……(コクン」

 

頷くしかないよね?私悪くないよね?

 

 

 

「「キャー!!可愛い!!」」

 

 

「うるさいなぁ!!もう!!」

 

 

「ふふっ賑やかなお嬢様方だ。……それでは…」

 

 

「え!?」

 

 

急に私の視界が変化する。

 

 

抱き上げられてると認識するのはそう遅くなかった。

 

 

 

「流水さん!?ちょっ!これって!」

 

 

 

「お姫様抱っこですよ?こちらの方が……お好みでしょう?」

 

 

待って待って待って私最近ちょっと体重が!それ以前に周りの目が!!!

 

 

「それでは姫をお借りしますね?」

 

 

「はい!今日は返さなくていいので!」

 

「渡我ちゃん!また今度何したか教えてね!!」

 

 

 

「絶対やだ!!!!」

 

 

「「ばいばーい」」

 

 

「2人とも嫌ーい!!!」

 

 

そのまま流水さんは歩いてショッピングモールを後にした。

 

 

私はと言うもの、すれ違う人すれ違う人全員に変な目で見られてそれはもう恥ずかしかった。

 

 

……ちょっとだけ嬉しかったのは内緒です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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