side傷原流水
今日は相澤先生との訓練日。爆豪くんも居ます。
心操くんもいい動きするようになったけど……多分実戦経験が足りてないね。頑張れ。
被身子ちゃんはもう本当にプロヒーローと遜色ない動きしてる。でも経験値が足りてないから相澤先生には転がされてるけど…………これ以上の強さ求めるって誰目標にしてるんだろ。オールマイト?エンデヴァー?
……いや。多分私。……ん〜……そんなに強くないけどなぁ?トップヒーローのが何倍も強いよ。
だって殺さずにいろんな敵拘束できるから。
「ハラセン。聞いてんのか。」
「ぁえ!?聞いてる聞いてる。攻撃力の強化でしょ?」
「その流れで聞いてることあんのかよ。」
あるね!あるんだよ!
「今ある技を組み合わせればなんとなかりそうだけど、これ以上ってなると別の技術と発想がいるかもね。」
「技術と発想……?」
「そうそう。私が血扱えるようになったみたいに。」
「…………。」
「自信ない?」
「るせぇ!!やってやるよ!」
「才能マンなんでしょ?頑張んな。」
「……ちっ。」
「個性は身体機能。使えば使うほど……」
「強くなんだろ。知ってるわんなこと。」
「それ以外にも2つ大事なことがあるよ。」
「2つ?」
「うん。まず1個は休むこと。身体機能なんだから無理せず休ませる。たくさん使ってたくさん休む。必要でしょ?」
「もういっこは?」
「リスクを知ること。身体機能は酷使しすぎると別のところにダメージが出る。足首捻挫したのに無理して歩いたせいで膝とか腰とかにダメージが行くって聞いて事ない?爆豪くんの掌の汗腺、汗。使いすぎるとどこにダメージが行くか考えてみるのもいいかもね。」
ペットボトルの水を1口。
「自分の限界を知る〜じゃないけど、どう使ったらどうリスクがあるか。例えば汗って元々血なんだけど、なにかの間違いで血管破裂とかになったら大変だよね?まぁこんな感じでリスクとどう付き合うか、どれだけ飲み込むかはすごく大事。自分の身体を理解することがまず強いヒーローの第1歩だよ。」
ペットボトルの中の水を操作して破裂させてみる。
「……リスク……怖がってちゃ勝てねぇが…………知らなきゃいざって時に勝ちきれねぇな。」
「そこの塩梅は爆豪くん次第だよ。」
あ、被身子ちゃんぶん投げられた。最近相澤先生遠慮がないね?
「…………。」
「被身子ちゃんはどう?」
「あぁ?……気になんのかよ。」
「当たり前でしょ。フィアンセだしね。」
爆豪くんが面倒くさそうに口を開く。
「…………最近10本先取はした。」
「え?聞いてないんだけど!?」
「俺が勝ったからな。」
「悔しかったのかな……いつ?何処で?」
「ハラセンがエンデヴァーと福岡行った日だよ。」
「……あーあの時!たしかにちょっと機嫌悪かった気がしたんだよね!……なんで??」
「……ハラセンとエンデヴァーの戦闘をリアルタイムで見た。」
「あちゃー……消しといてって言ったのに。」
リアルタイムは無理かぁ……。
「ハラセンのはちょっとしか写ってなかったが……エンデヴァーの全力とハラセンの全力が見れた。お互いいてもたってもいられなくなった。」
「あー……それで被身子ちゃんと1on1を……スコアはどうだったの?」
「8対10。全部ギリギリだった。」
「えぇ!?爆豪くんに8本も取ったの!?やるねぇ!」
被身子ちゃん個性なしでしょ?すごいねぇ!かっこいいねぇ!!
「……アイツはすげぇ。鍛えてる俺でも……まだ足りねぇって思わせられる。柔軟と筋肉量のバランスがいいのか?わかんねぇけど個性なしの身体能力だけならクラスどころか雄英1じゃねぇのか。」
……多分爆豪くんの忖度無しの評価。
「ほえー……そこまで言ってくれるんだ。」
「当たり前だろ。毎朝あんな量ランニングしてるの見ちまったら認識せざるを得ねぇよ。」
爆豪くんも着いてくるようになった毎朝のランニング。最近ちらほら参加者が増え始めてる。……けど爆豪くんですら置いていくくらいにはペースが早い。量も多い。
「毎朝じゃないけどね。」
「だとしてもだ。運動量が俺らとは文字通りレベルが違う。」
「基礎は大事だからね。」
「長期戦になった時……確実に殺られる気がした。だから短期戦に持っていった。」
「スタミナ負けってやつ?被身子ちゃんめっちゃ体力あるからね。」
「…………何やったらあんなスタミナつくんだよ。意味わかんねぇ。」
「毎日の食事と運動です。」
「ちっ…………それも経験値かよ。」
「被身子ちゃんの場合は、才能じゃなくて努力の部分が非常に大きいからね。まぁ……後ろに回り込んだり、相手の視界を外す動きはもはや天性の才能だと思うけど。あれマネ出来ないんだよねぇ。」
「……やりづらかった。」
経験したの?多分嫌なほどそれで負けたんだろうね。
「わかる。対処方法作ってもそれ以上をお出しされるもんだからめんどくさいったらありゃしない。敵じゃなくて良かった。ほんとに。」
「…………渡我の事話してるハラセン……オールマイトみてぇだな。」
何それ侮辱?怒っちゃうよ?
「どういうこと?」
「出久とオールマイトの関係に似てるって思っただけだ。あんたも知ってんだろ。オールマイトの話。」
ワンフォーオールの話……爆豪くんに話したの?緑谷くんは。
「……なんで知ってるの?」
「出久の行動と反応がちょっと違和感だった。出久に持ちかけたら事実を話してくれた。」
「…………ハァ。……君が口固くてよかったよ。機密中の機密だからね。ワンフォーオールは。」
「…………オールマイトは出久をよく見てる。ハラセンは渡我をよく見てる……が。オールマイトとは違う。」
「およ?」
「あんたが見てるのは渡我以外もだ。いろんな生徒を気にかけてる。……そこは取っ付きやすい。」
ふーん?嬉しいじゃん。
「褒めてる?」
「うっせ。」
「そこ!!イチャイチャの波動を感じました!!禁止です!!!」
イモムシ被身子ちゃんがぴょんぴょん跳ねる。あれ可愛いんだよなぁ。
「うるせぇ渡我ァ!イモムシにされてんのに文句言ってくんじゃねぇ!」
「うるさいですよ!次は勝ちますから!!」
元気だねぇ。いいことです。
それはそれとして。
オールマイト……。先生として失格ですね。
そろそろ行動が必要でしょうか。
「オールマイト。」
「なんだい傷原くん。」
仮眠室にいたオールマイトに声をかける。ちょうどいい。
「話があります。」
「わかった。聞こう。」
「緑谷出久のことです。」
私はオールマイトの対面に座る。
お茶を入れて差し出すオールマイト。
「緑谷少年か?何かあったかい?」
「あなたの教育方針にも関係するんですが、緑谷出久を矯正するためにオールマイト……貴方にも協力をして欲しいです。」
「矯正……?」
「分からないでしょうね。あなたには。絶対に。」
「…………。なんの事だい?」
「緑谷出久は何故か自己犠牲の強い生徒です。自分の評価が著しく低いです。そして……周りの個性への探究心が深いです。どちらも異常なまでに。」
「……。」
オールマイト。黙っているなら私は結論を述べますよ。
「彼の元々の個性はなんですか。……私は持ってない子だと思ってます。無個性……では無いですか。」
「…………凄いね、君は。」
「自分以下の存在は居ないと……潜在的に盲信してます。自分よりもすごい人なのになんでって気持ちを敵に持ってます。だから救おうとします。」
「……。」
「…………それが爆発したのが文化祭です。」
「あれはすまなかった。」
「それを……止めれなかったのはあなた。オールマイトです。」
「…………。」
「このままあなたの元で学ばせていても緑谷出久の為になるとは思えません。」
「……何が言いたいんだ。」
凄み。ナンバーワンヒーローの圧。
「気付いてるんじゃないですか?感覚派の貴方と理論派の緑谷出久。合わない事を。緑谷出久に教えるのが難しいでしょう。」
「……。」
「簡潔にいいます。オールマイト。緑谷出久は私が育てます。」