side傷原流水
「君は緑谷少年のことが嫌いじゃなかったのか。」
オールマイトが重々しく口を開く。
「嫌いです。……ですがその感情を生徒に向けていいはずがありません。」
「…………それはそうだが。」
「誰か一人を贔屓してみるのもいけません。」
「……。」
「自己投影なんてもってのほかです。」
「…………。」
黙るなんて……お話になりませんね。
「緑谷出久に自己投影してましたよね。オールマイト。」
「…………そうだ。」
「なぜそうなったかいくつか予想は着きますが、行動原理……自己犠牲とナチュラルボーンヒーローなのは確率として高いでしょう。……ですが彼は天才じゃありません。」
「…………。」
「あなたみたいに100%が扱える訳ではありません。あなたみたいな肉体が既にあるわけでもありません。……あなたは初めて緑谷出久が全身5%出来た時に教えてましたか。」
「ちがう。……お師匠……グラントリノの所だ。」
「そうですよね。……貴方が出来たことは……緑谷出久が出来るとは限らないんです。彼は……反復練習と継続だけが肝だと思ってます。それだけではダメです。実戦訓練。……オールマイト。あなたはした事がありますか。」
「…………。初めて手合わせしたのが……期末試験だ。」
「そうですよね。ヒーロー学で何度も使って馴染ませてます。……ですが戦闘は常に100%の自分と向き合えるものじゃないです。なにかの弾みでストッパーが外れることだってある。今の緑谷出久は……身に迫る危機を感じてないんじゃないですか。リスクが……理解できてないんじゃないですか。」
「そんなことは……。」
「貴方じゃないんですよ。オールマイト。」
「……申し訳ない。……分からない。」
「そうでしょうとも。緑谷出久は……申し訳ないですが今のままだと平和の象徴足り得ない。何もかもが足りない。強さも。心も。いつ敵連合が力をつけて暴れるか分からない。来年?半年後?……明日かもしれない。悠長に反復練習とあなたの言語化出来ない教え方じゃ不効率です。……私が教えます。身をもって。体で。」
「…………。」
「オールマイト。責任を感じるのは分かります。自らが与えた力ですから。…………だとしたら私は信用できませんか。」
「……傷原くん……。」
「私は何度も言ってます。私はあなたの駒です。駒の仕事を信頼出来ない王が何処にいますか。」
「…………。」
side渡我被身子
今日のヒーロー学はクラス対抗戦。楽しみにしてました。
B組との同時訓練は初めてじゃないですかね。
ちなみに私は第4チーム。メンバーは爆豪くんと耳郎ちゃんと瀬呂くん。……お相手は……取蔭ちゃん鎌切くん泡瀬くん凡戸くんチーム。うーん……搦手が強そう。
今回は特例で心操くんがA組、B組のどれかのチームに1人入るらしいです。
1試合目はほとんど危なげなくA組の勝ち。
2試合目は惜しかった。もうちょっとだったね!
3試合目は引き分け。ん〜……轟くん……。これ骨抜くんが対応間違えなかったら全然負けてましたね。
次は私たちですか。
「ねぇ渡我……爆豪どうしたらいい?」
耳郎ちゃん……不安ですか?
「およ?……決まってるじゃないですか。」
「作戦会議か?俺も入れてくれよ。」
瀬呂くんも入って来る。
爆豪くんは今緑谷君と話してる。仲良しですねぇ。
「爆豪くんに合わせれば良いんですよ。皆で。」
「……爆豪に?」
「はい。多分ですけど……爆豪くんワンマンチームになるって相手は考えてます。それでバラバラになった所を各個撃破が……相手さんの勝ち筋ですかね?だからそれに乗っかってあげましょうって話です。」
「……具体的にはどうすんだよ。」
「あなたたちは爆豪くんを助けてあげればいいです。爆豪くんも助けてくれるはずなので。」
「……渡我は?」
「オイ渡我ァ。わかってんだろうな?」
爆豪くんが輪に入ってくる。
「爆豪くん。幼なじみとの仲良し雑談は終わりですか?」
「るせぇ!黙ってろ!」
「はいはい。わかってますよ〜。」
「渡我って凄いよね。」
「なんだかんだコミュ力お化けだよな。」
「ちょっとすごすぎて怖いわ。」
「怖い怖い。」
「2人とも〜。聞こえてますよ〜。爆豪くん。私が単独行動でいいですね?」
「わかってんならいい。」
「え!?何で!?」
「ハァ!?流石の渡我とはいえ……単独行動は厳しくね!?」
「何言ってんだ。俺たちが3人で本隊にどつけば渡我が動きやすくなる。渡我に本隊ぶつけりゃ俺たちが動きやすくなる。相手のチームは渡我っつう個性使わせちゃダメなやつがいるから尚更警戒態勢が高い。渡我が俺たちと行動してねぇってだけで相手からしたら相当ストレスだ。」
「……な……なるほど。」
「それに〜……多分取蔭ちゃんが耳郎ちゃんの索敵を潰してくると思うんですよねぇ。真っ先に潰すべきは取蔭ちゃんですねぇ。……ふふっ。私鎌切くんと戦いたいんですけど……贅沢は捨てないとですね。」
「……切り結ぶってことか?見てぇけどよぉ。」
「……渡我。単独行動すんなら……わかってるよな?」
「はい。落ちないように……ですよね?」
「勝つなら完全勝利。4対0!やるぞお前らァ!!!」
「「「応!!」」」
BOM!
単独行動初めて数分。ペタンペタンと鳴ってる取蔭ちゃんの分身を追いかけながら、近くで爆豪くんの爆発が聞こえた。
「渡我が居ねぇ!気ィつけろ!!」
「狙うは耳郎!」
BOM!!
「どけぇッ!!」
「爆豪!!」
BOOOMM!!
派手にやってますねぇ……じゃあ。私はできることをしましょうか。……コレとコレ。……貰ったことですし。
『渡我の言う通り……しっかり私メタやられてる。』
『……取蔭ちゃん厄介ですねぇ。』
『オイ渡我。耳郎。瀬呂。コレ持っとけ。』
『危なっ!?なんだこれ。』
爆豪くんから爆弾みたいなものを渡される。
『殺傷力はねぇが……役に立つはずだ。』
『…………じゃあ瀬呂くんのテープもちょっと貰えません?』
『んあ?……いいけどよ。何に使うんだ?』
『早めに取蔭ちゃん潰すためですよ。』
『『?』』
「ふふふふっ。取蔭ちゃんはそっちですね?」
side???
おかしい。渡我が居ない。静かすぎる。
爆豪の3人組は他3人で足止めできてる。……ただし3人だ。
渡我の単独行動。咎めたいけど……場所が分からない。不安要素。この不安はミスを誘う。どうする。私が渡我を見つけないと……。
「み つ け た。」
は!?声……どこから……。
…………。
気のせい?いや……それにしては……声が
「キョロキョロしちゃって。可愛いですね?」
「!!」
なんで何処にもいない!?声は聞こえるのに!
「不安ですよね〜……不安は……判断能力の低下を招きますよ?」
「何処!何処にいるの渡我ッ!!」
「も〜……そこまで言うなら出てきてあげますよ。取蔭ちゃん!」
「なっ!?上ッ!?」
BOM!!
「何!?」
「ふふふっ。おやすみなさい。」
ゴッ……
単独行動の掟。
発見。即勝利。拘束。
単独行動するのであれば……相手の頭数を減らすことを主に。
爆豪くんの爆弾と瀬呂くんのテープが役に立ちました。
取蔭ちゃんの分裂した欠片に瀬呂くんのテープで引っつけた爆弾でBOM。目潰しにしては100点満点ですね?
爆豪くん。耳郎ちゃん。瀬呂くん。あとは任せましたよ〜。
その後危なげなく爆豪くんが大暴れして勝利。
爆豪くん頼もしいですねぇ。
牢屋の前でみんなと再開。
「渡我!すごい!一人で取蔭捕まえたんだ!」
「いやぁ……すげぇわほんと。見つけるにしてももう少し時間かからねぇか?」
「ふふふっ。索敵楽だったでしょう?」
「うん!ありがとう渡我!あと……爆豪に任せて正解だった!」
「俺たち爆豪助けるだけで良かったもんな!爆豪も助けてくれたしよ〜。」
「ふん。」
嬉しそうな顔。皆気付いてますよ?
ガシャン!
「これで……4対0!私たちの勝ち!!!」
「「いえーい!」です!」
耳郎ちゃん。瀬呂くんとハイタッチ。
「「「……。」」」
じーっ……。
「……んだよ。…………ちっ。」
爆豪くんが手を上げる。
「「「いえーい!」」」
爆豪くんとも皆でハイタッチ。
「……悪かねぇな。……お前らのお陰だ。」
「爆豪……!お前本当にまん丸になったな!」
「誰がまん丸だゴラァ!」
完勝。圧倒的勝利。
相手の作戦ぶっつぶせた感じがしてとても気持ちがいいです。
「あっ。」
流水さん!見ててくれましたか!
ピースしてくれてる。
皆の肩を叩いて指さす。
流水さん!皆で勝てましたよ!
「「「ピース!」」」
「……ふん。」