side渡我被身子
「何……あれ?」
「緑谷あんな新技あったのかよ!?」
「黒い……モヤ?なんだ……?」
第5試合。モニターに映ったのは緑谷くんの腕から溢れ出る黒いエネルギー。
もしかしたら流水さんなら……。
「る……み…………。」
すごい顔。怒ってるのか……悩んでるのか……睨んでるのか……もはや殺意すら感じられる顔。何……?何がそこまで……。
横に居る壊理ちゃんも不安そうだ。
「…………。」
私の横で見てる爆豪くんは……びっくりしてますね?なにか知ってそうだとは思ってたんですけど……ハズレですか。
オールマイトも相澤先生と相談してるみたいですし……謎……ってことですか?
……超パワーの個性にしては……違いすぎますよね?……これって……
轟くんと同じように個性が2つあるのか……
「それとも私達に話してないだけで全く別の個性か……ですよね。」
「……。」
爆豪くんがほんの少し反応した。なるほど……そういう事ですか。
オールマイトと流水さん。……そして爆豪くんも知ってる緑谷くんの秘密があるわけですね?先生方も知ってるんでしょうか……。
「これにて5試合全て終了です。どの試合も皆、敵を知り己を知り、よく健闘しました。というわけで結果発表。第1試合A、第2試合B、第3試合ドロー、第4試合A、第5試合A。よって今回の対抗戦、A組の勝利です!!」
「「「いえーい!!」」」
最後の試合はぐちゃぐちゃになっちゃったけど……勝てたみたいです。うーん……B組の人は納得いかないんじゃないですかね?……まぁこれもヒーロー活動ですか。
「えーとりあえず緑谷、何なんだおまえ?」
あれ?相澤先生も知らないんですか?
「すごく黒いのが顕現していたが。」
「新技にしちゃ超パワーから逸脱してねえか?」
みんなからも当然の疑問。
「僕にもまだハッキリわからないです……力が溢れて抑えられなかった……今まで信じてたものが突然牙を剥いたみたいで僕自身すごく怖かった……。でも、麗日さんと心操くんが止めてくれたおかげで、そうじゃないってすぐに気付くことができました……心操くんが洗脳で意識を奪ってくれなかったらどうなるかわからなかった。」
個性がそんなことあります?…………やっぱりなにか特別な個性の可能性がありますね?
「心操くん"ブラフかよ"って言ってたけど、本当に訳わかんない状態だったんだ。二人ともありがとう。」
「俺は別に緑谷の為じゃないです。麗日に指示されて動いただけで……ていうか……物間たちも黒いのに襲われてるのが見えた。あれが収まんなかったらどのみちB組の負けは濃厚だった。俺は緑谷と戦って、勝ちたかったから止めました。偶々そうなっただけで俺の心は自分の事だけで精一杯でした。」
……オールマイトじゃないんですかr……おや?相澤先生?
ギュッ
「うっ!!」
相澤先生が心操くんの操縛布で首を少し締めた。
「誰もおまえにそこまで求めてないよ。ここにいる皆、誰かを救えるヒーローになる為の訓練を日々積んでるんだ。いきなりそこまで到達したらそれこそオールマイト級の天才だ。人の為に、その思いばかり先行しても人は救えない。自分一人でどうにかする力が無ければ他人なんて守れない。その点で言えばおまえの動きは、充分及第点だった。」
……おぉ。先生って感じです。流水さんもこんな感じですよね?
「でも俺はまだまだです。対戦してみてよくわかりました。ヒーロー科のすごさを実感しました。及第点では満足しません。もっともっと努力して高みを目指します」
「それでいい。プルスウルトラの精神で行け。」
「はい!」
圧倒的に経験値が足りない中で、よくやった方だと思いますけどね?
「これから改めて審査に入るが、恐らく、いや十中八九心操は2年からヒーロー科に入ってくる。」
「…………!」
やったじゃないですか心操くん。
こっち向いて嬉しそうに親指立ててきました。
私は手を振っておきます。
「……らしくねぇな。」
「手振ってあげないんですか?」
「しねぇ。」
「おまえら中途に張り合われてんじゃないぞ!!」
「おおー!!」
「先生どっち?どっちに入るの?」
「Aー!?」
「Bー!?」
「それは追い追いだ。」
「今回は確かに僕らB組にクロ星がついた。しかし、内容に於いては決して負けてはいなかった!緑谷くんの個性がスカだとわかれば、それに応じた策を練れる!つまりだよ!?今からもう一回やれば次はわからない!」
物間君ヤバすぎますね。私じゃ手に負えないです。
「やんねーよ!これでもう今日の授業は終わりだ!」
「物間、ちょっと明日、壊理ちゃんのとこ来い。」
「??」
「待ってるね。」
流水さん可愛い。
授業終了後、心操くんがこっちに走って来る。
「やったぞ渡我!俺も来年から同じ土俵だ!」
「おめでとうございます。心操くん。」
「…………また留意する事が増えるじゃねぇかよ。」
「なんだよその言い方。」
爆豪くんともなんだかんだ仲良くなってます。流水さんがいる時は爆豪くんもセットで居ますからね。
「行動権奪われる心操くんと、血舐められたら作戦が瓦解する私。どっちもいるのが嫌すぎるって話じゃないですかね?」
「あぁ……なるほど。爆豪翻訳機だなほんとに。」
「あんまり嬉しくないです。」
「んだとゴラァ!喜べや!!」
BOM!
「お前らもそろそろ帰れ。授業終わったぞ。」
「「はーい。」」
「うす。」
side傷原流水
クラス対抗戦の次の日
「先代の個性、ワン・フォー・オールそのものの成長か。」
「いっつもここで話してたんか。」
「うん、かっちゃんも来ててびっくりした。」
「爆豪少年も秘密を共有するものとしてね 。」
私はオールマイトに呼ばれて仮眠室に案内された。私と……緑谷くんと爆豪くん…………と何故か
「……?」
私を膝に座らせる被身子ちゃん。……なんで!?
「ちょっと待ってくださいオールマイト。なんで被身子ちゃんがいるのにその話を……!?」
「……君のことも含めてだ。緑谷くんを教育するのであれば知らなくていずれ隠しきれなくなる。」
「…………なるほど。」
「なんのことですか?」
「それはね……」
被身子ちゃんに緑谷くんの個性について話す。
オールマイトから譲渡された個性ってこと。
ワンフォーオールとオールフォーワンの話。
オールマイトと私がこの学校に赴任した理由。
「……なるほど。薄々勘づいてましたが……理解しました。」
さすが被身子ちゃん!
「…………オールマイトは知ってたんか?今回の事、黒い個性ん事。」
「私も初めて目にした。スキンヘッドの継承者…お師匠の前の継承者は黒髪の青年と聞いている。歴代継承者の個性が備わっていた事、恐らくお師匠も知らなかったハズ。」
「じゃあ、現状てめーが初ってことだなゴミ!オイ、何かキッカケらしーキッカケあったんか。」
手詰まりすぎますね。……こっちでも情報調べておきましょうか。
「ううん、全く…ただ、時は満ちたとだけ言ってた。何か外的な因果関係があるのかも。」
「オールフォーワンが関係してんじゃねえのか?ワンフォーオール、元々あいつから派生して出来上がったんだろ?複数個性の所持……。似てるじゃねぇか。」
「そうだね。私も思ってた。嫌な予感がする。」
「言いたくなかった事を……とりあえず、またああならぬようもっとその力を知る必要がある。だから……緑谷少年には飲み込んで貰わなくてはならないことがある。」
「……僕にですか?」
「君に師匠をつける。」
お……今日からですか?早い方がいいですよね。
「……師匠?グラントリノみたいな……。」
「ああ。猶予が無くなってきている……と思うからな。」
「…………。んな力が出てきたんだ。時は満ちたの発言とも噛み合う。」
「ああ。……傷原くん。彼女を君の師匠にする。」
「えっ!?!?」「ハァ!?」「は?」
三者三様の返事。被身子ちゃん……怒らないで?
「緑谷出久。私が今日からあなたの性根と身体を叩き直します。返事は、はいかYES以外受け付けません。」
「えっ……あのっ!!?先生僕のこと嫌いじゃ……!?」
「嫌いだから……生徒を見ないんですか?教育しないんですか。あなたの未知の力。このままだとどこかしらで綻びが出る。私だけじゃないです。爆豪くんにも被身子ちゃんにも協力してもらいます。…………そのうえで貴方をボコボコにします。着いてきなさい緑谷出久。私がオールマイトの数倍厳しいですよ。」
「…………わかりました。それが僕のためになるなら!」
その返事……形だけじゃないといいですけど。