side傷原流水
私の名前を知ってる……?でも私は知らない…………同級生?こんな人いたっけ?
「会いたかったわ。流水ちゃん。……こんな関係になっちゃったけどね?」
こんな関係……?
「知らない人にちゃん付けされたくないのでやめてください。」
警戒を解かない。こんな道端……人もいないような豪雨。個性を十中八九違法に使って遊んでるなんて……ロクな人じゃない。
「えぇ〜?私ほど貴方の事知らない人いないと思うけどなぁ?」
「……何が言いたいんですか。」
この人の言いたいことが全く分からない。
「ふふふっ。……分からないって顔ね?それはそうよ。私の顔見るの……20年振りくらいだし。」
「20年?そんなのまだ赤ちゃ……んで…………え?」
そんなはずは無い。
そんな訳ない。
今思いついた事は……絶対に違う。ありえない。
「ピンと来ちゃった?そういう所は私に似ね?」
「いや……違う……だって……。」
「違わないわよ。面白いこと言ってあげましょうか?貴方小さい頃卵アレルギー持ってたでしょ?」
事実だ。そんなこと知ってる人……限られる。
「……ありえない……そんなの……。」
「ありえてるじゃない。目の前に居るのよ?……まぁ1度死んじゃったけどね?」
「いや……嘘……やめて…………。」
「やめないわ。私の愛しい子…………私がママよ?」
そんな………………はずは…………
side渡我被身子
「どういうことですかッ!!もしかして流水さんを騙してたんですかッ!!!」
大きな声が出た。私の大切な流水さんを。最愛の流水さんをましてやパパが……嘘を……
「なんだかんだ?」
「渡我〜?大丈夫そ〜?」
『……聞いてくれ。被身子。流水は愛情深い子だ。死体が無見つからなかったと聞けば……きっと全てを投げ打って探す。そんなこと……させられん。警察ですら……ヒーローですら捜索してもなに1つ証拠も何も出てこなかったんだ。…………自動車にはねられただけで。』
「…………流水さんは多分そうします。……でも何も言わないのは違うじゃないですか……流水さんはあなたの事信じてたんですよ!」
『……済まない。言うタイミングを……失っていた。…………墓場まで持って行くつもりだった。』
「そんな身勝手な…………。」
『頼む。…………流水には言わないでくれ。……彼女は…………絶対に探す。見つけ出す。……どんな状態になっても。どんな状態であっても。…………私の二の舞に…………ならないで欲しいんだ。』
そんなこと頼まれたって…………
side傷原流水
「うふふふっ……私に似て綺麗になったわね。流水ちゃん?……どうしたの?そんな顔して。ママよ?」
「そんな……訳っ……だってパパがっ!」
呼吸が浅い。……思考がまとまらない。
「パパ……?あの人は居ないはずだし……私あの人以外に身体を許した覚えないわよ?もう!やめてよね?」
「違うッ!あんたがママだったなら……傷原操水だったら覚えてるはず!私のパパ……育ての親…………あなたと付き合ってた飼田一狼さんを!!」
その人の口からありえない単語が聞こえた。
「飼田……一狼?………………あー……いたわねそんな人。」
「いた……わねって……あなた……何を……。」
「えー?だって当たり前じゃない?付き合ってたとはいえ……結婚したのは別の人だし。子供産んだのもその人のだし……あの人とは結局なにもなく私が死んじゃったしね?」
「そんな軽く……それも……なんで今になって……」
「出てきたかって事?」
当てられる。……勘が鋭い。……まるで……私みたいに。
認めたくない……認められない。
「ふふふっ。答えてあげよっか?簡単よ。……あなたへのプレゼントの感想を聞きたかったの♪」
「プレ……ゼント?」
なんだそれ……受け取ったおぼえなんてないぞ。
「えー?もう忘れちゃったの?しょうがないなぁ〜。」
わざとらしく振る舞い……一言。
「福岡。」
「………………まさか……。」
「ふふふふっ。さすが私の娘。察しが良いこと良いこと♪」
「待てッ!……じゃあ……それが本当だとしたらッ!」
「うふふふふふふっ。」
「笑ってないで応えろッ!!どうなんだッ!あの……あの脳無はっ!!あんたが送り込んだものなのかッ!!!!」
「あはっ……あははははははっ」
「あんたは…………あんたはァっ………………敵連合と!関係があるのかッ!!傷原操水ィ!!」
side渡我被身子
通話が終わり……私は放心状態。
流水さんのママさんは……既に亡くなってて。
死体も無くなってて。
無くなるはずの無い死因で……。
それをパパは言わなくて……。
流水さんも嘘をつかれてて……。知らなくて……。
もしかしたら生きている可能性すらあって……。
その場合……流水さんは絶対に探し出す。何年もかけて。
私は…………私はどうしたら……。
……。
「……が……渡我ッ!大丈夫!?」
「渡我?生きてる?」
「あ…………耳郎ちゃん……と芦戸ちゃん。……みんな。」
八百万ちゃん。梅雨ちゃん。飯田くん……爆豪くん……緑谷君。みんなに囲まれて……心配されてるようです。
「何があったのさ?急に電話で大きな声出して……そのあと座り込んじゃってさ?」
「何かあったら聞くよ?……話せることじゃないならいいけどさ。」
「傷原先生に何かあっ…のですか?」
「何か……もハラセンは死ぬようなタマ…………ぇだろ。」
「……多分師匠関…………と思うよ。」
「師匠……?緑谷君…………生の弟子…………のか。」
「今…………話…………合じゃない…………〜。」
皆が何話しているか分からない。……思考がまとまらない。
パパが…………流水さんを騙していた?嘘をついていた……?…………あんなに流水さんに愛されてるのに……?あんなに流水さんが想ってるのに……!?許せない…………許せない許せない……許さない。
「……にしても先生遅いね。もう19時んなるよ……?」
「何してんだハラセン。……まじでなんかあったんじゃねぇか?」
流水さんに何か……?
「流水さん!!」
私は外に部屋を出る。
「ちょっと渡我!?」
私が守らなきゃ……私だけが……私が流水さんの……理解者にならなくちゃ。パパですら……流水さんに嘘をつくのに……誰も信じられるかッ!流水さんを任せておけるかッ!!
side傷原流水
「ふぅ……ふぅ……笑った笑った。当たり前でしょ?……私がドクターに作ってもらったんだもん。」
「…………ドクター……?……敵連合には協力者が多いようね。」
「言っちゃった♪てへ?……それはそうと。聞いてなかったわね?どうだった?プレゼント♪」
「……最悪。」
エスコルチアを発動。敵連合との関わりがあるんだったら親でも容赦しない。
「あらあら……臨戦態勢ね?」
「……あなたは……飼田一狼さんを愛していたから付き合ったんじゃないのか。」
「うーん……だってしょうがないじゃない。傷原の家系は……愛が薄いから。」
愛が……薄い?何それ。
「そんな理由で……捨てれたっていうの!?最愛の人をッ!!」
「ええ。」
「ええって……そんな軽い返事がッ……」
「貴方もそうよ?傷原流水。」
私が……?
「そんな訳ないッ!私はあなたとは違う!」
私には被身子ちゃんが!
「そんな訳ないじゃない。だってあなたも傷原。私の血を継いでるなら……私と同じはずよ?」
「違うッ!何を根拠にッ!」
この人は何を言ってるんだ血が繋がってるからと……そんなわけがない!
「私のこと。」
「……は?」
「私のこと……好き?」
「……今は大嫌い。」
「それが答えよ。」
「…………何が言いたい。」
「好きな時に私の事を飼田一狼から問いたださなかった事。……私に対する愛情なんて……そんなもんだったって事でしょ?」
言葉が刺さる。
ズキン。
深く……深く。言い負かされた。そんな気だってした。
「…………そんなことは……。」
「あるある。だって私も同じだもん。好きでもそれ以上に踏み込まない。だって好きの本質が分からないから。」
『……私もあなたの事好きよ?』
『でもそれって…私の好きとは違いますよね?』
『……分からない……が正しいわ。』
ズキン
「……そんな……ことはっ……」
「だって好きなんて……恋なんてわかんないから!」
『…………傷付いて欲しくない。戦って欲しくない。毎日家にいて欲しい。私の目の届くところに居て欲しい。……私だけのものにしたい。…………そんな嫌な感情が……止められなくなって……もう…………どうしたらいいか…………わかんないの。……初めてなの…………これが恋なの?…………わかんないよ……。』
ズキン……ズキン……
「ハッ……ハッ……」
「人の感謝すら受け取れないのにっ!」
『マンションに関しては2割くらいしか貰ってないはずなんだけどねぇ……?なんかいつも多めに来るんだよね。おかしいなぁ?』
ズキン!
「自分のこと全くさらけ出さないのにッ!」
『……流水さんの事全然知れてないなって思って……私が好きな人の事……もっと知りたいなって。』
ズキン!ズキン!
「他人の事本当に愛せるわけ……無いよね?」
『流水さん……好きです。ずっとずっと愛してます。私だけのものです。』
『被身子ちゃん。あなたはずっとずーっと私のもの。嫌って言っても話さないんだから。』
バキ……
心……
バキバキ……
あ……これ……
バギン……
ダ……メな……奴……。