私のヒーロー   作:おいーも

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弱さ

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

「あ……」

 

 

「うふ。」

 

 

 

 

「あぁ……」

 

 

「ふふふふっ」

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

私はッ…………

 

被身子ちゃんのことを…………裏切ってた……?

 

私の口から…………出た…………言葉なんて…………全部…………意味が……………………

 

 

 

 

 

「あはははははははっっ!やっと壊れたァ!!」

 

 

「あああああああああああああああああっっっっ!!!!」

 

こいつは……殺すッ!!!絶対に!許さないッ!!絶対にッ!

 

 

 

「だぁーめ。」

 

バヅンッ!!

 

「がっ!?……ぐうううううっ!!!!」

 

壁に阻まれる。水の壁!?どこから……

 

 

「うふふふふっ……面白い。やっぱり……人間って心ぶっ壊れた時が1番いい表情するわよね?……あーあ。うちの母親もそうだったのかしら。もったいないことしたなぁ。」

 

「アアアアアアアアアッ!!!」

 

バキ……バギ……

 

「……うわ……これ割れるの?……だったら……」

 

壁が身体を包んで動けなくなる。

 

「ぐっ!?はっ……離せっ!!!お前をッ!殺すッ!!!」

 

「冷静さを欠いてる人間ほど処しやすいものはないわよねぇ〜。」

 

その女の後ろに……大きな水の人形ができる。

 

「じゃあね?また会いましょう。」

 

「待てっ……」

 

人形の拳が振り向かれる。

 

 

 

ドバァン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬……意識が……飛んでた。

 

 

何処だ……ここ……ゴミ捨て場……?

 

 

「!…………ころさなきゃ……」

 

私は立ち上がり、さっきの場所へ向かう。

 

肺が痛い…………左腕が……上がらない。折れたか……?

 

そんな痛みなんて気にしてられない。あいつを殺すまで……私は……

 

 

 

 

 

私は……

 

被身子ちゃんに顔向けできない……

 

 

 

 

 

 

落ちてたのは白いハンカチ。

 

もう

 

 

 

 

あいつは居ない。

 

 

 

逃げられた。

 

 

 

 

 

否定もできず

 

 

 

 

 

 

反論もできず

 

 

 

 

 

 

あいつを殺せず

 

 

 

「………………。」

 

 

 

私は……なにが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ…………

 

 

ひみこちゃんに……

 

 

あやまらないと…………

 

 

 

 

 

ひみこちゃんに…………

 

 

ゆるしてもらわないと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

私が寮の外に出ると、暗い夜。雨の中に人影が見える。

 

あれは……

 

 

「流水さん!」

 

傘もささず……ずぶ濡れの流水さんがいた。

 

少し異常に思いつつ声をかける。

 

 

「流水さん…………?そこにいては…………風邪ひいちゃいますよ?傘はどうしたんですか?」

 

 

「……え?あれ傷原先生?」

 

「何してんだ…………?」

 

「タオルタオル!お風呂空いてるよね!?」

 

 

みんなも駆けつける……が流水さんが一向にこっちに来ない。

 

目も……濡れた前髪で見えない。口は……震えてる。足も。

 

 

「…………流水さん?」

 

普通じゃない。脳が警笛を鳴らす。絶対流水さんに何かあった。

 

私の警戒をよそに流水さんは……そのままその場でうずくまった。

 

 

「……めん。」

 

「…………え?」

 

 

 

「ひみごぢゃんごべんなざい!ひみごぢゃんごべんなざい!!ひみごぢゃんっごっべんなざいぃいいいい!!!」

 

「えっ……?えっ……なにが……!?」

 

 

大きな声で謝罪。涙声。何も心当たりがない。

 

 

「わだぢば……ひみごぢゃんのごどあいじでまぜんでぢだ!わだぢみだいな!けいはぐなおんながひみごぢゃんのっこどっあいぜるはずがありまぜんでぢだ!ごべんなざい!!あっ……あああああああああああああああああああっ!!」

 

「流水さんっ!!」

 

 

私は流水さんに駆け寄る。

 

流水さんを抱きしめる。……左腕……折れてる!?一体何が……

 

「ああああああっ!!ああああああああああああああああっ!!」

 

 

「渡我!?傘傘っ!」

 

「タオル持ってきた!」

 

「誰でもいいので女子を呼んできてくださいまし!まずはコスチュームを脱がせないと行けません!リカバリーガールにも連絡をお願いします!!」

 

「わっ……わかった!手分けをしよう!」

 

「おう。」「わかった!」

 

 

「ごべん!ごべんなさい!ゆるぢでぐだざい!!わだぢのごど……すでないでくだざい!!いやだ!すでられだくない!いやだ!!いやだあああああああああああ!!!」

 

うずくまったまま動かない流水さん。

 

「流水さん!!一体何が……。」

 

「渡我ッ!タオル!」

 

芦戸ちゃんが傘をさしてこちらに来てくれる。

 

「芦戸ちゃん……ありがとうございま……」

 

「やだっ!やだああ!わだじをずでないで!やだああああっ!!」

 

芦戸ちゃんを見た瞬間、動かないはずの左手と右腕ですごい力で掴まれる。

 

「え!?……なんで……!?」

 

流水さんがこんな事になるなんて……初めてです。

 

 

「……これ相当まずいね……誰かと会った?何かあったのかな?」

 

耳郎ちゃんも来てくれる。

 

「えぇ……どうしちゃったの傷原先生?」

 

「いやだぁあああっ!ああああああっ!ああああああああああ!!」

 

「流水さん……」

 

こんな狼狽した流水さん初めて見た。よく見ると口の中血だらけだ。口の中切ってる。誰かに……攻撃された?でもそれだけで……こんなに……

 

 

「渡我ッ!」

 

え!?拳藤ちゃん!?……B組の子たちも……

 

「なにが起こってるかわかんないけど一旦先生に言って空き部屋借りてきた!一旦部屋に入って着替えちゃって。私の貸すから!」

 

「先生には私の貸すノコ!」

 

「はっ……はい!ありがとうございます!」

 

「いやだ!ずでないで!やだ!!やだああああああ!!」

 

「流水さん……一回部屋に行きましょ?それからです。」

 

 

私は流水さんを抱き上げ、寮に上がる。タオルで吹いてる時も、腰の武器、装備を外す時も私から離れなかった。左腕は腫れてる。……本来の流水さんならこんな放置しないはずなのに。

 

 

 

空き部屋に入らせてもらい、二人で待つ。

 

 

リカバリーガールが治療に来る時も泣き叫んでいた。離れないで。見捨てないで。私をゆるして。……なにが流水さんをこうさせたのか……全く分からない。身に覚えがない。

 

「フーッ……傷原が……ここまで泣き叫んでるのは…………あの時以来だねぇ。」

 

治療が終わった。

 

私を抱きしめたまま疲れて寝ちゃった流水さんをそのままに、リカバリーガールが口を開く。他の人には入って貰ってない。

 

「あの時?」

 

「1回ね。この子の育ての親……飼田一狼って人が敵に襲われて大怪我をしたことがあってね?……その時の傷原と来たら……泣いて騒いで……授業どころじゃなくなって……私と根津が2人がかりで病院に連れてって生きてることがわかってもまだ泣きじゃくって大変だったんだよ。……まるで言葉を知らない子供みたいにね。普段の傷原とは大違い。……びっくりしたろ?」

 

「……そんなことが……。」

 

「……。きっと……子供の頃から色々抑圧してたんだと思う。自らね。育ての親に話を聞いたら昔から何も欲しがらなかった子だったと。…………感情の起伏があまり無かったと。高校の入ってある時期を過ぎたら感情を見せてくれるようになったと言っていたよ。」

 

抑圧。無欲。無感情。……今の流水さんからは信じられません。

 

「……ある時期?」

 

「……クラスの皆から腫れ物扱いされてた時さ。」

 

「…………。」

 

きっと……無意識的にパパに縋ったんだろう。捨てられないように。見放されないように。……流水さんなりの……SOSだったのかもしれません。母親と死別して……誰かにもう捨てられたくないから……わがままを言わない。感情をあまり見せない。…………流水さん……ずっと我慢を…………私と居た時も?……そんなようには……見えなかった。

 

「なにが彼女をこうさせたかは分からない。……私には分からないが…………渡我。あんたなら救える筈さね。」

 

「…………私なら……はい。任せてください。」

 

「頼りになるね。……こういう時……私と根津じゃ……何もしてやれないから。」

 

「リカバリーガール……そんな事は……。」

 

「この子が抱えた闇は深い。それも……本人が自覚してないほどに。」

 

「…………無自覚……ですか。」

 

「……それを救えるのは……現状あんたしかいない。お願いだよ。傷原を……私の愛弟子を……助けてやって欲しい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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