私のヒーロー   作:おいーも

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私の望む……

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

リカバリーガールが1度部屋を出た。

 

 

 

……今だ私を抱きしめている流水さんの頭を撫でる。……私の流水さん。…………不安……恐怖……色んな感情がめちゃくちゃに混ざりあっての狼狽。

 

 

「救えるのは……私だけ…………ですか。」

 

嬉しい反面……私でいいのか不安になる。…………何があったのか分からない。誰かに会った?……誰に?今日は……仕事だったはずです。……行く時すごく辛い顔してました。…………そのせいでしょうか。

 

……いや。少し違う気がします。何かがあった。辛く……苦しく……耐えられないようなことが。そのあと……私を見て、決壊した。

 

 

「…………。」

 

ぎゅ……

 

流水さんを少し強く抱きしめる。

 

 

こんな小さな身体に……重い過去と……ヒーローとしての重圧。のしかかるのが……大人なんですか?……跳ね返すのが……ヒーローなんですか?…………じゃあ大人は……ヒーローは……

 

 

 

「…………流水さん。」

 

私は…………少し流水さんに甘え過ぎてたのかもしれません。……恋人としてではなく……1人の生徒として。自立とかではなく……先生として頑張る流水さんに……私はなにかしてあげたでしょうか。

 

 

好きです。愛しています。他の人なんか見えないくらい……流水さんの事しか考えれません。でもそれは…………流水さんが受け止めてくれたから……なんですよね。流水さんも私の事を愛してくれてます。出来る限り精一杯に。

 

…………私を救ってくれた。私を受け入れてくれた。私の愛を……受け止めてくれた。

 

 

 

『……。きっと……子供の頃から色々抑圧してたんだと思う。自らね。育ての親に話を聞いたら昔から何も欲しがらなかった子だったと。…………感情の起伏があまり無かったと。高校の入ってある時期を過ぎたら感情を見せてくれるようになったと言っていたよ。』

 

 

 

無理して見せた感情に……それが日常となってる人に。…………私は……拠り所になっていた。私もそれを流水さんから感じた。嬉しかった。お互いの気持ちが……伝わってるって思った。……でも

 

 

 

『帰ったら……今日は……被身子ちゃんの好きにして。』

 

 

 

きっとあれは……流水さんのSOSだったのかもしれない。流水さんが見せた……我儘。

 

今思えば流水さんは我儘が少ない。我儘を言って欲しかった。頼んでもはぐらかされる姿に……きっと私は慢心していた。これが大人なんだって。ヒーローなんだって。

 

 

 

『傷付いて欲しくない。戦って欲しくない。毎日家にいて欲しい。私の目の届くところに居て欲しい。……私だけのものにしたい。』

 

 

 

あの我儘も……運良く流水さんの心を救えましたけど……もしかしたら…………

 

そういえば…………

 

 

『……あはっ……好き。被身子ちゃん。愛してる。心から。私の全身で愛してる。もう離さない。絶対に誰にもあげない。もう……止められない。こんな感情……知ってよかった。本当に……幸せ。』

 

 

「…………。」

 

 

こんな感情知ってよかった。…………違和感に気付くべきでした。知らなかったんだ。恋を。愛を。ずっと言ってた。あの時も。

 

 

『そもそも私は恋愛経験0だし……この感情に恋と名前をつけていいのか分からないの。』

 

 

私は自分の気持ちを優先した。流水さんは悩んでたのに。苦しんでたかもしれないのに。

 

……いや。私は気付いていたのかもしれません。気付いていたのに……そこまで問題視しなかっただけです。流水さんの事を……本当に考えていたんでしょうか。

 

 

「…………私ってずるい人です。」

 

 

私は皆が用意してくれた敷ふとんに流水さんを抱きしめたまま入る。

 

こんなに愛してるのに。

 

こんなに想ってるのに。

 

あんなに抱き合ったのに。

 

 

全部全部私が言いくるめただけ。…………流水さんの本心が聞けてない。

 

流水さんの本心に…………きっと言葉が付いていない。

 

罪悪感。……小さい子供を騙したような……私の愛が暴走してしまっただけ。

 

……だから今日……何かあって暴走しちゃったんですね。

 

 

 

「……私を救ってくれた。……私を助けてくれた。…………私のヒーロー。私だけのヒーロー。」

 

じゃあ……

 

「あなたはいつ休めるんですか?流水さん。……誰かの理想になって。……誰かの指標になって。…………。」

 

 

本当に働き者さんですね?

 

 

 

気付くのが遅すぎた。……もっと……流水さんを等身大で見るべきだった。言葉通りに受け取るべきだった。…………過去を知るべきだった。もっと早く。もっと多く。

 

 

「本当に…………今度こそ……私の番です。」

 

ヒーローを助けるのも……ヒーローの役割ですよね?

 

「流水さんごめんなさい。でも……ヒーローは遅れてやってくるんですよ?」

 

 

私の腕の中で眠る流水さんに……宣戦布告をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

 

「風邪だね。こりゃ。安静にしてな。」

 

「…………。」

 

「流水さん……どこか痛くないですか?」

 

「…………(コクン)」

 

 

私が朝起きたら、顔が真っ赤の流水さん。……照れてる訳じゃなく、額が熱かった。

 

起きてから何も話さない流水さん。リカバリーガールが来ても……私が話しかけても。

 

 

「……調子はどうだ。」

 

「……相澤先生。……流水さん熱出しちゃったみたいで。」

 

相澤先生には一応連絡をしておいた。

 

「…………そうか。大変だな。」

 

「……渡我。どうするかい。一旦家に帰った方がいいんじゃないか?」

 

リカバリーガールの言葉はごもっとも。なるべく安静にしてあげたい。

 

「…………そうします。リカバリーガール……相澤先生……」

 

「わかってる。今日は欠席ってことにしておく。……昨日のことはあらかた聞いた。…………頼むぞ。」

 

本当にありがたいです。

 

 

 

 

 

「……ぃゃ……」

 

「……流水さん?」

 

流水さんが今なにか……

 

 

「ぃや……です……出勤します……。」

 

「傷原。ダメだ。今日は休みな。」

 

「……いやです。……いやです……。」

 

「傷原先生。今日は休みましょう。……渡我も心配してます。」

 

「…………でも……」

 

2人の静止を聞かない。

 

 

……流水さん……。本当にあなたって人は…………ここは私が一肌脱ぎます!

 

「流水さん帰りますよ!私を心配させた罰です!私の看病に付き合ってもらいますからね!」

 

「……被身子……ちゃん…………だめ。……あなたは…………べんきょうが…………。」

 

「ダメです。私も休みます。……絶対今のあなたを置いてどこにも行きませんから。」

 

「………………わかった。」

 

 

「「!」」

 

 

流水さんは今自分のことが信じられてないんだと思います。他人の不安に敏感なんです。自分は無事だと……言い聞かせないと多分自分が保てないんだと思います。今彼女に必要なのは……自覚じゃなくて…………

 

 

「……なにか掴んだみたいだね。渡我。」

 

「任せてください。私はヒーローなので。……ヒーローの心を救うのもヒーローですよね?」

 

ヒーロー。心も身体も救ってしまうような……絵本の中の存在。私が本当の意味で流水さんのヒーローになる。流水さんの心も身体も救ってみせる。

 

「…………頼んだ。渡我。……こんな軽い言葉ですまない。」

 

「大丈夫です。相澤先生。……流水さん。帰りますよ。」

 

 

私は流水さんを抱き上げる。…………熱い。流水さんが風邪ひいたの初めて見ました。

 

「渡我。風邪薬はあるかい?」

 

「はい。常備薬が。」

 

「ならよし。酷くなったらすぐ連絡するんだよ。」

 

「はい。頼りにしてます。」

 

 

私は流水さんと一緒に部屋を後にする。

 

 

 

 

寮の玄関まで行くと、投稿前のみんなとかち合う。

 

 

「渡我……傷原先生熱だって?大丈夫?」

 

流水さんの抱きしめる力が一瞬強くなった。

 

「大丈夫ですよ。……はい。なので今日は休ませてもらうことにしました。……ごめんなさい。」

 

 

「いいよいいよ!しっかり看病してあげて!」

 

「ウチが代わりにノート取っておくよ。」

 

「芦戸ちゃん……耳郎ちゃん。ありがとう。」

 

2人とも優しい。本当にありがたいです。

 

「渡我さん。これ……どこに置けばいいか分からなかったので……皆さんと綺麗にだけしておきました。」

 

八百万ちゃんが流水さんの武装を指さす。

 

「わぁ……皆さんありがとうございます。」

 

綺麗。みんなで掃除してくれたんだ…………。

 

ガシャン……

 

流水さんの武装を背中に担ぎあげる。

 

 

「……えぇ……?」

 

「すっげ……。」

 

 

「……?……ありがとうございました。流水さんのこともあるので早めに失礼します。」

 

私は足早に寮を後にした。

 

 

 

 

 

「…………あれすっげぇ重かったぜ?」

 

「ああ。…………武器1本でも相当筋トレになる。」

 

「被身子ちゃん全部を片手で持ってなかった?」

 

「本当に力強いんだねぇ。」

 

 

 

 

「…………いいのかよお前らは。」

 

「え?」

 

 

「渡我の身体は努力の賜物だ。才能じゃねぇ。あれが出来るくらいの身体だってことだ。……お前らはまだ渡我に負けてんだ。すげぇって思ってんだ。見上げてんだ。……お前らは満足かよ。」

 

「…………そうだよな。渡我が今日休んでるんだ。少しでも差縮まらせねぇと!」

 

「ケロ……対等にならなきゃね。…………ありがとう。爆豪ちゃん。」

 

「ふん。」

 

 

「かっちゃんは渡我さんが居なくて、今日張り合える人が居ないから寂しいんだよね。」

 

「ハァ!?出久てめぇ!!」

 

「爆豪〜!俺たちもいるぜぇ?」

 

「寂しいこと言ってくれるなよ爆豪〜!」

 

「親離れには早いぜ?」

 

「うっせ!引っ付いてくんじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

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