side渡我被身子
家。今は朝ごはん作ってます。
流水さんが風邪ひいてるのでマスクはしてます。流水さんには帰ってからすぐマスクと冷えピタをつけてあげました。前々から流水さんがこういうものを常備しててくれて助かりました。
流水さんは私が視界にいないと不安そうだったからソファで寝てます。テレビにも……スマホにも手をつけずに私を見てます。
じーっと。
「……。」
私は今日……流水さんと一緒にいるって決めたから。絶対に離れません。
今日の朝ごはんは風邪気味の流水さんでも食べられるお粥にしました。私もお粥です。流水さんが常備してる昆布出汁で作ったお粥なので美味しいです。卵も入れたので栄養満点です。
生野菜が余ってたのでサラダも作りました。野菜は大事。ビタミン大事。
「流水さん。ご飯できましたよ。食べましょ。」
「…………うん。」
私はテーブルに2人分のご飯を置いて、流水さんを抱き上げる。
ぎゅぅ……
昨日から流水さんの抱きしめる力が普段より強い。不安……だけじゃないでしょうけど。
「流水さん……座れますか?」
流水さんを席につけると離してくれる。
「…………ごめんね……被身子ちゃん。」
「…………流水さん。じゃあ早く治しちゃわないとですね?」
「…………ごめんね。」
流水さん……。なにか否定されたんでしょうか。……私に関する何かを。昨日からずっと謝ってます。謝ってるのに離れられるのを極度に怖がってます。……歪です。
私がいつも通り対面の席に着くと、少し不安そうな顔をされました。
……ふふっ。
「……流水さん。今日は隣で食べてもいいですか?……私がそんな気分なので。」
「……かぜ……うつっちゃうよ。」
「流水さんの風邪なら嬉しいです。」
「…………ばか。」
私は食器を持って流水さんの隣の席に座る。
「へへへ……流水さんの横顔見ながらご飯も……嬉しいですね。」
「…………ごはんさめちゃう。」
顔が既に赤いので照れてるかどうか分かりませんね?
「もう……いただきます。」
「…………いただきます。」
ん!美味しくできました!流水さんから教えてもらった料理も……それ以外だってなんでも出来るようになりましたね。流水さんの教え方がいいからです。
「…………ごめんね。被身子ちゃん。」
「……なにかありましたか?」
「なさけないすがたみせちゃって。……はやくなおすね。」
「……流水さん。無理しないでください?」
「むりなんて…………」
「泣きたかったら私の胸で泣いていいんです。苦しかったら私がそばにいてあげます。辛かったら私に言ってください。…………流水さんにとって私はまだ頼れる存在じゃ無いかもしれません。でも……私は流水さんの事大切に思ってます。流水さんからも……大切に思われてるって思ってます。今日は……これからもずーっと一緒にいましょ?流水さん。」
流水さんの目を見て話す。私が……流水さんの心の支えになる。流水さんの全てになる。守られる対象じゃなくて……お互いに支え合える存在になる。
「…………ありがと……被身子ちゃん。」
「いいえ。どういたしまして。」
流水さんにとって私は……どう写ってますか?
朝ごはんを食べて、薬を飲んで。流水さんは眠そうだったので寝かした。今は食器を洗って、できる限りのことを終わらせた後。
また流水さんのベットの脇に行く。
寝てる流水さん。顔色は……少し良くなりましたかね?
流水さん。私の愛おしい流水さん。何があったのでしょう。分かりません……が。私は出来ることをしましょう。流水さんに信じてもらいましょう。私は離れませんと。私は流水さんと一生一緒だと。
その積み重ねが……いい方向に転ぶと信じてます。
side???
ピーポーピーポー……
あかいひかり
あかいみず
ひとが……うるさい……ママ……?
ここはどこ?
ママは……
わたしの……ママ……
「今日から私がパパだよ。」
パパ…………ママ……いなくなっちゃったんだ。パパといっしょだね。
パパ……大変そう。私が居るから?
ママが居なくなったから?
お仕事……大変なのかな。
パパを楽にさせてあげなきゃ。私がお金を稼いだら……パパ楽になるかな?
勉強いっぱい頑張ったよ。運動も沢山したよ。いっぱい色んな本を読んだよ。褒められる事は……少ししかないけど。パパのために頑張るよ。忙しいパパ。私に任せて。
雄英高校……きっとこのまま行けば……パパを休ませてあげられる。
「天才は……お高くとまってヤダね。」
「お金稼ぎたいからヒーローなんて……邪だよね。」
「僕の事務所に来ないならそんな対応しないでくれ!」
「ヒソヒソ……」
「コソコソ……」
……ヒーローって皆が目指すほどいいものなの?……でもパパのため。パパの笑顔のため。私……頑張る。……頑張らなきゃ。私には……パパしか……ないんだから。
「〜〜さん!!……あなたのお父さんが……!」
「…………え?」
パパ!!ヤダ!!死んじゃやだ!!なんで!?どうして!?私が弱かったから!?パパのそばにいてあげられなかったから!?……私が……私が……。…………私がいたから。私が…………パパのためにしてきたことは……間違ってた?……なんでパパなの?……分からないよ……。こういう時…………どういう顔すればいいの?
色んな本を読んだ。本を読めば……色んな知識が入ってきた。知らないことも……知った気になった。私……まだパパに何もしてあげられてない。ママみたいに居なくならないで欲しい……。でも……どうすればいいか分からないの。
私の感情が……分からない。私って……なんなの?私は…………何をすればいいの?
犯人は……異形差別者だった。
…………私許せない。異形差別……個性で悩んでる人。沢山救いたい。助けたい。……どうすればいい?何をすればいい……?救うために必要なのは……お金と武力……。ヒーローじゃない……私の道を……。何がしたいかじゃなくても……未来は作れる。
「……本当かい?」
「うん。私を公安の暗部に雇って欲しい。」
「…………わかった。そこまで意思が強いのなら……掛け合ってみよう。」
力がいる。雄英高校は私を鍛えてくれた。知識がいる。雄英高校で必要以上の知識を付けた。お金が居る。公安で依頼を受けることで無理やり作った。
色んな人を救った。
虫の個性の人。
個性の特性のせいで犯罪を犯していた犯罪者。
戻れないところまで行こうとしていた人。
感謝された。パパも……喜んでくれた。
…………でも私は……何も無いから。何も受け取れないんだ。
心の中はぽっかり穴が空いてる。空洞。
自分のことは結局なにも分からなかった。その場しのぎ。流れ。
被身子ちゃんを助けたのも……愛してあげるとか言っておきながら…………本で読んだ通りのことしかしてなかった。被身子ちゃんの心の拠り所になることに重点を置いた。……それだけだった。だから身体も差し出せた。簡単でしょ?
被身子ちゃんから好きって言われるのは嬉しかった。……でもまたわかんない感情が生まれた。どうすればいいのか分からなかった。
依存って教えてもらった。昔調べたことがある。良くないこと。……でも被身子ちゃんと一緒なら……どうでもよかった。
だから……感情に任せて色々した。色々やった。……でも……結局私は自分自身が分からなかった。
……私は他人に依存していたのかもしれない。
自分で自分を形作れないから。
自分の形を保てないから。
他人に作って貰ってたんだ。
…………そんな私を一目で見破った。……生きていたママ。
他人に作ってもらった歪な外側は……守り方を知らない私だから……難なく崩れ去り……私は私が分からなくなった。
私は……どうすればよかったの?
全部……全部間違えていたの?
最初から……最初ってどこ?
わたしが……
わたしがじこにあったひから?
さいしょ……ずっとさいしょ。
うまれるまえから…………
『流水。』
……え?
『流水ちゃん。』
……だれ?
『流水ちゃん!』
だれなの?
『私の……流水さん。』
あ…………被身子……ちゃん。
みんな…………
え?……何?眩し…………
被身子ちゃん…………