私のヒーロー   作:おいーも

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黒霧とは

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

「……。」

 

「だからエンデヴァー……学生の強化……お願いしますね。」

 

「……それがいいが……なんでこいつが居るんだ。」

 

 

エンデヴァーに指を指される。

 

「こいつとはなんですか。」

 

公安の委員長室。エンデヴァーと公安委員長の会話の席の私もいた。

 

 

「だって〜。敵連合の狙いが公安委員長だってのも検討ついてるんです。誰か1人護衛つけないといけないんですよ〜。」

 

「ふふっ……傷原はこんなだけど実力だけは確かだから安心してるわ。」

 

「こんなってなんですか?……お茶うま。どこの茶葉ですか?」

 

「それは後からね?」

 

 

「…………傷原。爆豪勝己に何をやった。」

 

「爆豪くんにですか?」

 

「ああ。あれはもはや学生の域をゆうに超えてる。少なくとも……死穢八斎會の時はあそこまででは無かった。それを言うと……緑谷出久もそうだな。」

 

なるほど。初対面で何かにびっくりしたのかな。

 

「あぁ〜……最近は爆豪くんと被身子ちゃ……私の愛弟子なんですけど、その子たちと緑谷くんが普通にタイマン10本勝負し続けてるんで、実戦経験だけなら轟くんの数段違うと思いますよ。時々私ともしますし。緑谷くんの個性を馴染ませて伸ばす方針で育成してるんですけど、追加で爆豪くんや被身子ちゃんもメキメキ強くなってる感じですね。」

 

「……なるほど。理解した。」

 

「爆豪くんは多分なにか傲慢チックに物事喋るんですけど、本心なので。あんまりカリカリしないであげてください。」

 

一応言っておかないとね。エンデヴァー怒るかもしれない。

 

「…………よほど気に入ってるのだな。」

 

「そりゃね。手塩にかけて強くしてるので。被身子ちゃんほどじゃないですけど。」

 

「……ここまで来るとその被身子という生徒も見てみたいものだな。」

 

「グラントリノん所いますよ〜。委員長にも相談してちょっと公言できないような仕事経験させてもらってるはずです。」

 

「初めて相談された時はビックリしました。」

 

「……。わかった。学生の強化だな。できる限りの事はしよう。」

 

「よろしく〜。」

 

「貴様は黙っていろ。」

 

エンデヴァーが部屋を出る。

 

 

「私にだけ当たり強いなぁ。」

 

「信頼してるんですよ。」

 

「そうですかね。……それで。私に対してなにかあるんでしょ?」

 

委員長がびっくりした顔してる。今更でしょうに。

 

「……そうですね。四ツ橋力也が貴女に会いたいと。」

 

「……へぇ。委員長には言ってましたもんね。」

 

予め異能解放軍に会いに行った後は連絡をしていた。何かあったら困るからねぇ。個性消失弾だけじゃなく、細々したものもぜーんぶ報告はしておいた。私が対処するかどうかは置いておいて。

 

「…………貴女のフットワークは軽過ぎます。異能解放軍のトップから情報をいくつも仕入れてくるんですから。」

 

「……私の手腕ですよ。……場所は?」

 

「タルタロスです。」

 

「じゃあナガンに会いに行くついでに見に行きましょうかね。聞きたいこともいくつかありますし。」

 

「…………よろしくお願いします。」

 

委員長が目を伏せる。……申し訳ないのかなぁ。だったら釈放してくれないかなぁ。

 

「大丈夫ですよ。何度も言いますが……ナガンはあなた達のこと恨んでませんでしたよ。」

 

「……それでもです。」

 

頑な。私と一緒。

 

「ホークスくんはどうですか?潜入してるんでしょ?」

 

「……彼は優秀です。とだけ。」

 

「なるほど。まだ話せないと。……ふむ。」

 

多分いくつか情報を仕入れているんだろう。……ま、日本が終わる前には帰ってきて欲しいですね。

 

「傷原。」

 

「はい?」

 

「貴方……少しだけ言動が柔らかくなりましたね。何かありましたか?」

 

「……私のお母さんですか?」

 

「ふふふっ。飼田が貴方を雇わせて欲しいと言われてから……雇い主並には心配をしてきたつもりです。」

 

「ふぅん?……気分はいいとだけ伝えておきます。……それじゃ。気分がいい私は情報集めてきます。」

 

「はい。お願いします。異能解放軍の残党が何処にいるかわかるだけでも変わります。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね流水ちゃん。流石に……」

 

「ですよねぇ。」

 

寄り道。気月さん宅に食材を届けに来たついでに聞いてみたけど……知るわけもないよね。

 

「スケプティックとトランペットと……あと……誰だっけ。」

 

「外典ね。」

 

「あーそうそうそれそれ。連絡先は?」

 

あの子私と話そうとしないんだよね。嫌われてるっぽい。

 

「……連絡をとっていいものなのか……。」

 

「あー……確かに。」

 

「今現状異能解放軍からは開放されてる訳だし……何をしたいのかも分からなくて。」

 

今まで信じてきたものを、急に捨てろって言われてもわかんないよねぇ。…………あっそうだ。

 

 

「直近でタルタロスに行くんだけど、気月さんも来ない?」

 

「え?タルタロスって刑務所よね?」

 

「四ツ橋社長が私に会いたいって。……話したいことあるなら話せば?」

 

「………………。」

 

「無理にとは言わないけど。」

 

「…………行きます。行かせてください。」

 

お、決意に満ちたいい目だ。委員長に連絡しないとね。

 

「はーい。じゃあ日程は後日ね。」

 

「はい。」

 

「とりあえず日用品は大丈夫そうだね。ほかのみんなは何か不都合無いかな?」

 

「ええ。聞いてる限りは大丈夫そうよ。……ただ……異能解放軍をまだ捨てきれてないみたいで……。」

 

「それは本人の自由だよ。何してくれてもいい。」

 

キッパリ言い放つ。

 

「…………。そうよね。わかったわ。」

 

私は言った。3ヶ月は家賃を払うと。3ヶ月後は知らない。……好きにしたらいい。……気月さんも。ね?

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

「渡我!」

 

「本当だろうな!?」

 

ドアを強く開く音。相澤先生が入ってきた。プレゼント・マイク先生も一緒だ。

 

「え?どういうことですか?」

 

先生が来るなんて聞いて……

 

「渡我。もう一度こいつに化けてくれるか。……煙は無しで……だ。」

 

「……?はい。でも多分血が足りなくて数分しか持たないですよ?」

 

「構わん。」

 

 

ドロ……

 

「「っ!!?」」

 

2人のびっくりした顔。何が……。

 

「あまりに精巧でそれと気付くまでに時間がかかった。複数の因子が結合され、一つの新たな個性になっていたんだ。……渡我さんが居てくれて良かった。」

 

「なんだってんだ……こりゃ!オイ渡我!なんかの冗談だろ!オイ!!」

 

プレゼント・マイク先生が詰め寄ってくる。

 

グラントリノが間に割って入る。

 

「慌てるのはわかる。が……話を聞け。」

 

 

「そして、そのベースになった因子、かつて雄英高校で君たちと苦楽を共にし……若くしてその命を落としたとされている男。白雲朧のものと断定していいだろう。」

 

 

「「…………。」」

 

「……この姿が……その白雲朧?さんって人なんですか?人違いでh……」

 

 

「そんなわけねぇ。……俺たちが見間違えるわけがねぇ。」

 

「……白雲……。死んだはずじゃ……。」

 

 

「つまり、黒霧は脳無で、白雲の遺体がベースになっている可能性があるっつーことだ。DNA鑑定も今爆速で進んでる。嬢ちゃんのおかげだ。」

 

 

「"A組の3バカ"なんて呼ばれもしたよ。」

 

「意味がわかんねェよ!!」

 

あまりにも落ち着いた相澤先生と激しく動揺するプレゼント・マイク先生。……死人を……脳無に…………つい最近聞きましたね。

 

「『目立たず三ツ星レストランの残飯を漁るようなもの』……だそうだ。恐らく火葬の過程で白雲朧の遺体をすりかえ、脳無という狂気の玩具に変えた。意味なんて求めちゃいけねぇよ、DJ。そこには悪意があるだけだ。」

 

いい個性が集まる雄英を計画的に襲ってるってことですか……厄介ですね。

 

「わかんねーよ!」

 

「今は眠らせている。個性を使おうとするからな。」

 

「何で我々をここに?絆による奇跡でも期待してるなら、大衆映画の見すぎでは?」

 

ドロ……

 

「あ……溶けちゃいました。」

 

「ありがとうな。……根拠がありゃあ、奇跡は可能性になる。すまねぇが……こっから先は嬢ちゃんでも見せられん。」

 

「……わかりました。」

 

 

私は待合室で待つことにした。

 

 

 

死人を脳無に。敵連合。流水さんのママ。……色々な思考が脳を巡る。

 

……どれくらい待っただろうか。

 

 

「被ー身ー子ーちゃん!」

 

後ろから名前を呼ばれたと思ったら、流水さんに後ろから抱きつかれた。

 

「流水さん!?どうして……。」

 

「だって〜約束の時間になってもいなかったから〜。」

 

「……あ……。」

 

 

時間を見ると予定時刻を大幅に過ぎている。

 

 

「ごめんなさい……流水さん。」

 

「いいよいいよ。なにか進展があったんでしょ?」

 

「…………はい。私にはわかりませんが。」

 

「……相当なことだね。」

 

「……多分。」

 

少しの沈黙。流水さんの顔は何か考えてるようです。

 

「…………ま、いいでしょ。被身子ちゃん膝枕して?」

 

「えっ!?……いいですけど……。」

 

「ふへへ。ありがと。」

 

流水さんがゴロンと私の膝に頭を乗せる。

 

「みんなが来るまで待とうね。……ふふっ。被身子ちゃんを独り占めだね。」

 

「……お互い様ですね?」

 

「へへ。……幸せ。」

 

「私もです。」

 

流水さんの頭を撫でる。気持ちよさそうな顔をする流水さんを見てると、少しだけ心が安らいだ気がしました。

 

 

帰ってきた皆さんには変な顔されましたけど……なにか進展したと思いたいです。

 

 

 

 

 

 

 

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