私のヒーロー   作:おいーも

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お邪魔

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

そこから私は1週間ほど、グラントリノの仕事に付き合った。

 

警察との連携も多く、言えないような仕事も多くあった。

 

 

「傷原がやってることより数倍マシだ。」

 

と言われたら踏ん張るしか無かった。流水さんの隣に立つんだ。この程度のことは出来るようになってないといけない。とてもいい経験だった。これがスムーズに出来るようになれば、もっと流水さんの役に立つ。

 

今日はそれとは別にパトロールをする事になった。一応ほかのヒーローの管轄でもあるが、パトロールするヒーローは多い方がいい。

 

高速で移動して、減速無しで直角に曲がる……そのうえで確保、救助。……1級品です。

 

 

「これくらいとは言わんが……近いこと出来るようになればいいな。」

 

そう言われたが……私はそれだけ筋力を鍛えればいいんでしょうか。ただ学べることも多かったです。

 

救助、確保、避難の三原則。グラントリノさんはどちらかと言うと確保の方が得意そうなので、私とも相性が良さそうです。

 

お昼ご飯でコンビニによって、今は二人で歩いてる最中。

 

 

「嬢ちゃん。いい動きだが……まだ思い切りが少し足りんな。」

 

「思い切り……。」

 

「ああ。全部1回考えて行動しちってる。ワンテンポ遅れてるんだ。」

 

「なるほど。わかりました。」

 

 

私の足りないところを的確に明言する語彙力と観察眼。どちらも長い間最前線で戦ってきた経験を感じます。これを超至近距離で見れるのは……本当にインターンの利点ですね。

 

 

「俺が教えることはこのままだと無くなりそうだな!」

 

「そんなことは……。」

 

「謙虚だな!ただ……謙虚すぎるのも考えものだがな。」

 

「…………善処します。」

 

謙虚……ですか。流水さんの真似ですけどね?

 

「お前……仕事ってなにか考えたことあるか。」

 

「仕事……ですか?」

 

少し考える。……仕事……仕事……。

 

「……世の中に必要なもの……でしょうか。」

 

「かかかっ……それも答えだ。」

 

 

それも?

 

 

 

「俺はな……出来ないことを当たり前にするのが仕事だと思ってる。」

 

「出来ないことを当たり前にする?」

 

ふと……流水さんが浮かびました。

 

 

「ああ。人間誰しも社会人……いや学生時代でも出来なかったことは山ほどある。それを何度も反復練習と積み重ねで身体に叩き込み、昇華する。それはいつの間にか出来て当たり前になる。その当たり前が仕事だ。他者から見て出来て当然。やって当たり前。……ヒーローの社会でもだ。」

 

「…………なるほど。」

 

 

例えば車を運転するだけでも……何気なく運転してる人だって勉強と実践で培った当たり前。…………その当たり前が仕事。あの時の流水さんも……

 

 

 

 

『まぁそうしないと死んじゃうような仕事ばっかりだったから。慣れちゃったけどね〜。おかげで裏社会の人は口伝えのはずだけど私の名前が広まっちゃって……私見ただけで降参する人も多々いるよ。逃げる人もいる。』

 

 

 

 

慣れちゃったけどね。……この言葉の重みを……あの時は理解が薄かったのかもしれません。

 

慣れて……結果を出す。……簡単なようで難しい。出来ないことを出来るようにする。当たり前にする。

 

 

「お前にとっては仕事でも、他人にとっては特別だ。褒められたら素直に受け取っとけ。嫌な顔されるぜ?」

 

私だって積み重ねてる。最高の環境で。最凶の師匠と。

 

「はい。わかりました。」

 

「お喋りは終わりだ。行くぞ。ブラッドヘリアンサス。」

 

「はい!」

 

 

今この環境は……私にとって心地いい。全力で結果を出してみせます。

 

 

 

 

 

帰り道。少し……というかだいぶ暗い。雪は降り終わったはずですけど……。風が冷たいんですね。

 

 

「あ、皆さん。お疲れ様です。」

 

ヒーローコスチュームに身を包む3人。轟くん、緑谷君、爆豪くん。

 

偶然会った。エンデヴァーさんも一緒ですか。……そりゃインターン先なのでそうですよね。

 

 

「あぁ!?てめぇはもう終わったんかよ!」

 

「はい。グラントリノのところは、どちらかと言ったらパワーより知恵を研ぎ澄ます場所ということがわかりました。後はどれだけ形にできるかです。」

 

 

「チィッ!……強くなりやがって。」

 

「負けてられないぞ……きっとグラントリノのお墨付きだ……ブツブツ」

 

「……。すげぇな渡我は。」

 

「……君は?」

 

エンデヴァーさんが話しかけてくる。……邪魔しちゃったですか?

 

「はっ……はい!私雄英高校の1年A組、渡我被身子です。」

 

「被身子……なるほど。焦凍の同級生か。」

 

そういう認識なんですね。

 

「はい。お邪魔しました。」

 

 

「……まて。……お前も家で晩御飯はどうだ。」

 

「…………え?」

 

 

 

 

轟くんのお家……でか。

 

「姉さんが友達を紹介してほしいって。」

 

「今からでも言ってこい、やっぱ友だちじゃなかったってよ!!」

 

「かっちゃん!」

 

流水さんに聞いたら『大丈夫。楽しんできてね。』とだけ返ってきたので顔を出すことにした。爆豪くん……。轟くんのことそろそろ認めてあげましょうよ。

 

ガララ……

 

 

「いらっしゃい。忙しい中お越し下さってありがとうございます。初めまして、焦凍がお世話になっております。姉の冬美です。」

 

 

おぉ〜……美人の人。……轟くんには……似てないね?

 

「この度はわざわざお招きいただきありがとうございます。僕は轟君のクラスメイトで緑谷出久といいます!」

 

「知ってる!雄英体育祭の焦凍との試合、テレビで観たわ。」

 

「はぁ……その件につきましては弟さんに危害を加えてしまい大変申し訳ない……。」

 

「試合だからいいだろ、緑谷。」

 

律儀ですねぇ。緑谷くんは。

 

 

 

 

 

「突然ごめんね。今日は私のわがまま聞いて貰っちゃって。」

 

自己紹介もあらかた終わって案内されてる最中。

 

「嬉しいです!友達の家に呼ばれるなんてレアですから。」

 

爆豪くんを見る。

 

「んだよ。」

 

バツが悪そうだ。

 

「夏兄も来てるんだ。玄関に靴あった。」

 

「家族で焦凍たちの話聞きたくて。」

 

 

座敷に通された。……広い……。

 

「改めて紹介するわね。私は焦凍の姉の冬美です。小学校で先生をしています。そしてこっちが焦凍の兄の夏雄。大学生。」

 

「どうも。」

 

……なんか雰囲気悪くないですか?

 

「焦凍、お友達、紹介してくれる?」

 

「ああ、ヒーロー科のクラスメイトで緑谷と爆豪と……今日飛び入りの渡我。」

 

「は…はじめまして!」

 

「はじめまして。渡我被身子です。」

 

「……。」

 

なんか雰囲気ギスギスしてません?

 

 

 

 

 

「美味しい!この竜田揚げめちゃくちゃ美味しいです!」

 

「よかった!」

 

「味がしっかり染み込んでるのに衣はザクザクで仕込みの丁寧さに舌が……」

 

「飯まで分析すんな!!テメーのしゃべりでマーボーの味が落ちるわ!!」

 

たしかに美味しい。流水さん程じゃないですけど。……流水さんの料理に舌が負けてる可能性も捨てきれません。……後でレシピ聞いてみましょうか。

 

「お手伝いさんが腰やっちゃって引退してからずっと姉ちゃんがつくってたんだから。」

 

「なるほど。」

 

「お手伝いさん……。」

 

豪邸ですねぇ……。

 

「夏も作ってたじゃん~代わり番こで。」

 

「え?じゃあ、俺も食べてた!?」

 

夏雄さんも作れるんですね。

 

「あー、どうだろ……俺のは味濃かったから……エンデヴァーが止めてたかもな。こんなもん食うなってさ。」

 

ギス……

 

「「「……。」」」

 

「気付きもしなかった。」

 

ギス…

 

「「「……。」」」

 

「しょっ…焦凍は学校でどんなの食べてるの?」

 

「学食で……」

 

「今度、夏雄の料理も。」

 

「ごちそうさま、席には着いたよ、もういいだろ。」

 

ギスギ……

 

「「「……。」」」

 

夏雄さんが席を立って部屋を出る。

 

「ごめん姉ちゃん、やっぱりムリだ。」

 

ギスギス……

 

そのまま部屋を後にしてしまう。

 

……この家バッドコミュニケーションが過ぎませんか!?

 

「……センシティブな話題ですね。」

 

「ああ。」「うん。」

 

「…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

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