side傷原流水
「頑張れ〜。あと2周だよ〜。」
「「「はい!」」」
今年の初めから朝のランニングにA組がほぼ全員着いてくるようになった。緑谷くんが初めてからみんな来たね。緑谷くんの皆を引っ張るパワーは凄い。
「ふっ……ふっ……」
「ハァ……ハァ……渡我は本当にすごいね?全然息上がってないじゃん。」
「慣れですよ。慣れ。……ふぅ。」
私の横でしっかりストレッチしてる被身子ちゃん。被身子ちゃんは本当にフィジカルモンスターだね。それに着いてきた芦戸ちゃんも相当フィジカルモンスターだけどね?
「かっちゃん。水持ってきたよ。」
「ありがとうな。出久。」
「水分補給は大事だからな。しっかり摂るんだぞ!」
男子組は……ずっと続けてる爆豪くんと……なんだかんだ1ヶ月続いてる緑谷くんはまぁわかるんだけど。飯田くんも全然走れるね。そりゃ個性もあって走るの得意そうだけど……。
「ハァ……ハァ……。」
お、ひと足早く轟くんが終わったね。やるじゃん。
「轟くん。ストレッチしちゃって。」
「ハァ……ハァ……はい。」
「ほかのみんなもラストスパート!出し切りな〜!」
「「「はい!」」」
「お疲れ様。轟くん。」
「緑谷……爆豪と……ハァ……委員長もすげぇな。……ハァ……ハァ……ついていくのでもまだ無理だ……。」
「ハラセンスパルタだからな。半年も走りゃ慣れる。」
「……追いつかねぇとな。」
頑張ってね。私がエンデヴァーに怒られちゃうから。
「……渡我さんはあの速度を個性なしで維持しながら走りきってるんだよな?やはり……経験値というものは凄いな!」
「飯田くんもすごいよ!1週間くらいで着いてこれちゃうんだもん。」
「いや。僕は兄も同じような個性でね。元々走ること自体は苦じゃないんだ。」
「……ちっ。俺が半年で慣れたってのに。出久と委員長は既に楽勝かよ。」
「いや……僕は師匠に言われて個性使ってるし……。」
「僕は何年も走るだけなら蓄積があるからね。爆豪君も個性なしであそこまで早く走れるのは凄いぞ!」
ちょっと雑談多いぞ〜?喋るのはいいけどストレッチは欠かさないでね?
「はい。雑談よりもストレッチね!身体バキバキになるよ!」
「「「はい!」」」
そろそろ皆走り終わってるね。
「ストレッチは絶対すること。しっかり筋肉伸ばして休ませるんだよ。ランニングやって今日授業中寝ましたなんて聞いたら大目玉だからね!」
「「「はい!!」」」
「……流〜水さん♪」
被身子ちゃんが話しかけてくる。
「およ?ストレッチ終わった?」
「はい。もう充分です。」
被身子ちゃんはその場でくるくる回って見せた。可愛い。その後バク宙。まだまだ全然動けるね。
「どうですか?」
「流石被身子ちゃん。偉いね?」
「えへへ。」
「ゴラァ!!イチャついてんじゃねぇ!他のやつのマッサージ手伝えや!」
「かっちゃん!言い方!」
「もー……わかりましたよ。……じゃあ流水さん。また後ですね?」
「はーい。頑張ってね。」
人数が増えたから元々やってた被身子ちゃんだけじゃなくて、爆豪くんと緑谷くんに手伝ってもらって皆に手を回してもらってる。
私?今日も被身子ちゃんと最速でランニング終わってからみんなの水用意して待ってるだけだよ?……本当に楽だねぇ。
「「「ありがとうございました!」」」
「シャワー浴びて授業頑張ってね〜。」
皆が去っていった……あれ?
「傷原先生。」
「轟くん?」
「今日また傷原先生と戦いたいです。」
いい目だね。ちゃんとエンデヴァーの息子さんだねぇ。
「お!いいよ。全力でやろうね。」
「オイ!半分野郎!抜けがけすんじゃねぇぞ!」
爆豪くんが突っかかってくる。
「爆豪くんもやろうね。全力でね?」
「忘れんじゃねぇぞ!」
爆豪くんと轟くんが帰っていった。
「……いいなぁ。」
あれ……?
「……被身子ちゃんはしないの?言ってくると思っちゃった。」
「え?……いいんですか?」
「うん。私超楽しみだったんだけど。」
「やります!やりたいです!!」
被身子ちゃんが私の手を握る。
「被身子ちゃん。もちろん……死ぬ気でやろうね?」
「はい!死ぬ気です!」
被身子ちゃんに抱きしめられる。本当にこの子ったら……。
「重ーい感情ぶつけられる方が嬉しいなんて……困った子。」
「流水さんもですよね?……絶対離しませんよ?」
「……ふへへ……帰ろっか?」
「はい!シャワー浴びたいです!」
二人でおうちに帰る。
この時に視線……気付いてればめんどくさい事にならずに済んだのにね。
ちょっとだけ後悔。
side渡我被身子
「よーーっし!被身子ちゃん!殺り合おうか!」
「ハァ……ハァ……んでピンピンしてんだ……。」
「ハァ…………毎度毎度傷原先生には驚かされるな。」
さっきまで戦ってた轟くんと爆豪くんは今休憩時間。
私の番。……ふぅ。殺ってみせます!
「流水さん!いっぱい殺りあいましょうね!!」
元気いっぱい。気合十分。本当に楽しみです!
「2人とも!怪我をしない範囲でな!」
「わかってますよオールマイト。……よーし。」
ガチャ……ガチャ……
「え!?師匠!?何して……」
「え?武装外してるだけだけど……。被身子ちゃん相手にエスコルチア使えないからね。身体できるだけ軽くしないと。」
「エスコルチアが……使えない?」
ふふん。分からないみたいなので私が解説してあげましょう!
「だって今の流水さんのエスコルチアって血じゃないですか。」
「……なるほどな。舐めたら変身できるのか。」
「舐めプじゃねぇのかよ。」
「血を使うなら渡我さんの個性は相当厄介だね。」
「も〜。だから縛りプレイだよ〜。」
ガシャン……
流水さんの武装全部外したかな?……ふふ。
「流水さん!私今喜びで震えてます!」
「そう?……へへ。私も!」
捕縛布と注射器を両手に持つ。
流水さんは紫陽花と彼岸花を背中に携えてる。……あれが普通に厄介なんですよねぇ。
「ふふふ。」
「殺る気マンマン!ビシビシ伝わるよ!……ヒリつくねぇ!」
「流水さん殺していいのは私だけです!!」
「あはっ!それって I Love You!?」
姿勢を低くして突撃。流水さんに捕縛布と注射器は当たらない。
「早くなったねぇ!」
流水さんは受け入れの姿勢。だったら……
「ありがとうござい……ますッ!」
捕縛布と注射器を飛ばす。
流水さんに両方掴まれる。
防がれることは織り込み済み。防がれなかったら逆に心配します。
足狙いの飛び蹴り。
「いいじゃん!」
流水さんは飛び上がって躱す。
本当に重荷なんですね……あれ。すごく身軽です。
着地は逃さない。取れるとは思えないけど!
「そこっ!」
薙刀の投擲。
「それもいいね!」
着地と同時に背中に携えてた紫陽花と彼岸花で弾かれる。
弾かれた薙刀を捕縛布で回収……手元に戻す時に流水さんが切り込んでくる。
タイミング、距離感、速度……流水さんは本当にすごい。対人経験の中で最適解を導き出してそれを遂行する……私の目指す道。
足りないものは……発想力で補う!
首周りに巻いてる捕縛布の中からナイフを取り出し投擲。
「!」
足狙い。流水さんもわかってるようで、跳躍。血を使って速度を落とさずに突撃してくる。
ただその跳躍の一瞬……減速で薙刀が手元に戻った。
ガギン!
鍔迫り合い。
「上手いね!なるほど……楽しいよ!被身子ちゃん!」
「そう思って貰えると光栄です!負けませんよ!流水さん!!」
流水さんを弾き、薙刀を構える。
流水さんも着地と同時に二刀を構え直す。
流水さんは私の捕縛布を考慮してあまり宙に浮かない。空中だと躱すのが難しいからだ。
なので足元を執拗に攻める。宙に浮かせる。そこからが本題。
「…………ごめんね被身子ちゃん。私の勝ちだね。」
「……え?……きゃっ!?」
急に縛り上げられる。
「なんで!?血は……見えな……まさか!」
地面をよく見ると血が垂れている。いつの間に!?
「ローザネーラ・クラッチ……警戒してなかったでしょ?」
「……やられました。私の負けです。」
完全に無警戒。……頭の中から抜けてました。敗因です。
「強くなったわね?ふふっ。……楽しい。次しましょ?」
拘束を解かれる。……ふぅ本当に流水さんは手札が無限です。どれだけ処理して……どれを捨てるか。
「次は負けません。絶対に殺ります。」
「楽しみ!ふふふっ!」
流水さん……今日こそ勝たせてもらいます。