私のヒーロー   作:おいーも

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流水 オリジン。そして卒業。

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

「あけましておめでとうございます!流水さん!!」

 

「うん。あけましておめでとう。被身子ちゃん。」

 

 

1月1日午前0時。新年。私の……雄英高校入試の年。

 

 

二人でリビングに出したこたつに入りながらそばを食べながら語らう。

 

去年あったこと。したこと。今年したいこと。今年も……したいこと。

 

私にとって激動の2年年。流水さんに救ってもらって、守ってもらって、愛してもらって。全部全部……私は塗り替えられたんだと思う。

 

 

「……そういえば流水さんはなんで公安に行こうと思ったんですか?」

 

 

「ん?そうね〜……あんまり気持ちの良い話じゃないけどいいの

?」

 

 

だいぶ軽い言い方だけど……流水さんがこう言う時はちょっと重い話。多分あまり言いたくない話。

 

 

でも

 

「私……流水さんの全部を知りたいです。」

 

「……全身は見せてるけどね?」

 

「昨日も可愛かったです。」

 

「…………そりゃどーも。」

 

 

少しの深呼吸。ポツポツと話し始めた。

 

 

「私……雄英首席って言ったじゃない?だから体育祭もインターンも全部……結構いいところの人達から注目されたのよね。」

 

 

「……それっていいことでは?」

 

「そう思ってたわ。当時はね。いい就職先が出来ればパパに喜んでもらえるじゃない?」

 

「……パパさん大好きですね。」

 

「当然じゃない。……まぁ1年の間は何も問題なかったんだけど、その次の年……私は色々な所から声をかけられてたから複数人の同級生のやっかみを受けてね〜……」

 

 

「……その人の実力が足りないだけなのに?」

 

そばを食べ終えたのか箸を置く流水さん。早くない?私まだ半分くらい残ってるんだけど……

 

 

「そういうもんよ?人間関係って。別になんとも思ってない……は嘘になるけど、あまり気にしないでいたの。……それでも何度も色んな所から声かけられるもんだから、しっかり調べてから就職先を決めたかったのもあるし、ちょっと煮え切らない対応をしちゃったんだよね。」

 

「まぁ……分からない訳では無いです。」

 

 

「それが良くなかったのかもね〜……数件のちょっと名の知れたヒーロー事務所から、あまり我々に思わせぶりな態度を取らないでいただきたいって雄英に講義の電話が来てね?」

 

「はぁ!?なんですかそれ。」

 

 

「今はその事務所ほぼ潰れてるから何してるかわかんないけど……当時それが噂になっちゃって……先生方は庇ってくれてたけど……同級生からの印象は最悪よね?」

 

「……でも……流水さんが…悪くないじゃないですか。」

 

「そうよ?でも社会は……雄英高校っていう社会は容認しなかった。私は腫れ物扱い。何しても一緒に組んでくれる人は居なくなった。先輩も。後輩も。もちろん同級生も。」

 

嫌な同級生……もしかしたら私もそうなっていたかも……そうなっていた場合……誰が私のことを救ってくれてたんだろう。

 

背筋が少しだけ冷たくなった。

 

 

「……先生方は……」

 

「大丈夫。事情を知ってるから大切にしてくれたわ。特に保健室にはよく通ったから、色んな先生と仲良しになれたしね?」

 

流水さんは少しだけ笑って見せた。私もちょっとだけ安心。

 

 

「……それだけでも良かったです。」

 

 

「根津校長とリカバリーガールにはすごーく感謝してもしきれないね。……久しぶりに会えるんだもんねぇ〜……」

 

 

「嬉しそうですね?」

 

 

「当たり前でしょ?……まぁ話を戻すと、そんな事あったらヒーローなんて目指す気起きなくなっちゃうし……根津校長にヒーロー業界は目指さないって言っちゃった。」

 

「え?そんなこと言ってヒーロー科に在籍できるんですか?」

 

 

「出来るよ〜。……お陰で声掛けも苦情の電話も無くなったからせいせいしてたけどね。でも……」

 

 

流水さんはそばの汁を飲み干す。

 

 

「ふぅ……社会の縮図って言われてる学校があれだもん。社会に対してはあんまりいい印象を抱かなかったよね。」

 

「……そう……ですよね。」

 

「まぁ……それでも自分の持ってるものを全部使わないと、こういう業界は生き残れないのは重々承知してた。だから……」

 

 

「パパ……一狼さんに今の条件で公安に務めることを頼んだんですね?」

 

「うん。正解。めっっっっちゃ反対されたけどね。」

 

「そうでしょうねぇ……目に浮かびます。」

 

大切にされてるからなぁ……私までも。

 

「ふふっ……それでも説得して、何度も喧嘩して……半年くらいかな?パパが折れてくれたんだ。」

 

「……パパも大変ですね。わがまま娘を持って。」

 

「そんな人好きになって毎日毎日鳴かしてくる人は誰ですか?」

 

「愛してますよ?流水さん♡」

 

真っ直ぐ見つめて言うと顔を真っ赤にして背けちゃった。変わらないなぁ。

 

 

「……もう。それで……パパが色んなところに掛け合ってくれて今があるって感じ。公安のお偉いさん達もめちゃくちゃ反対してたみたいだけど……そういう戦力も欲しかったんじゃない?……1年くらいで認められたわ。形式上だけどやらされたテストも満点合格。実力は言うことなしで満場一致。それで今の私があるってわけ。」

 

「それである程度自由の効く駒になったわけですか……」

 

「そうよ。お陰で色んなところにコネクションがあるからすごーく楽しいわね。楽だし。」

 

 

 

「……良かったです。流水さんと出会えて。」

 

「私もよ?被身子ちゃん。……卒業式は根津校長とリカバリーガール……それ以外の先生にも大泣きされてね……いっぱい謝られたけど全然恨んでないわ。寧ろ感謝してる。」

 

いい思い出なんだろうな。流水さんのオリジンであり……嫌いなもの。好きな人のことを知れるのはなんだって嬉しい。

 

 

 

「……私……ますます雄英に行きたくなりました。絶対合格します。」

 

 

「頑張ってね。応援してる………そろそろ血染くんとの訓練も終わるんじゃない?」

 

 

「……そうですね。あまり個性を伸ばせた感じはしなかったですけど……それ以上に対人、対災害は動けるようになった気がします。」

 

 

「いい事です。私に肩を並べて仕事できるようになるのも時間の問題ね?」

 

 

「楽しみです。」

 

「私も。」

 

 

 

絶対に……夢なんかじゃ終わらせない。待ってね流水さん。

 

ずっと一緒に……ね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハァ……まぁ最初に比べると……大分……まともになったか。」

 

 

 

結局1年頑張っても全く手も足も出なかった。……最近は褒めてくれるようになったのが少しだけ嬉しい。

 

 

「ハァ……ハァ……ハァ……ありがとう……ございます。」

 

 

 

身体に水筒から水を流し込む。体の五臓六腑にしみわたる。……あまり攻撃を受けなくはなったけど……それでもまだ……

 

 

「……フン。……俺をここまで手こずらせるまでに成長したのは……貴様の努力だ。俺はきっかけを与えてやったに過ぎん。」

 

 

ちょっとびっくり。こんなこと言われたの初めてだ。

 

「……ふふっ……流水さんと似たようなこといいますね?」

 

「……あいつとは求める理想が似通ってるだけだ。それを向ける対象の違いだ。」

 

 

「対象……ですか。」

 

 

汗をタオルで拭きながら答える。今日で一応の契約は終わる。……犯罪者ではあるけど、より良い社会を作るための…活動……?言い方がよく分からないけど、正さねばならない人がこの世にはごまんといる。……何れ捕まってしまうだろうけど……きっとその活動はヒーローの根幹を深く刺激する。してくれる。

 

私たちは別のアプローチを目指すだけだ。

 

 

 

「……あいつは……きっと社会全体だ。……俺よりも辛く苦しい道に自ら入った。ヒーローの鑑だ。人を守る立場でありながら自らは何にも守られていない。……不条理だが……それこそがヒーローのあり方だ。」

 

 

 

 

お互いに認めあってる関係。やっぱいいな。私も……いずれ……

 

「……私が守ります。流水さんのこと。」

 

 

「……フン。であればもっと強くなれ。お前ならできる。自らを信じろ。」

 

 

「任せてください!」

 

「ハァ…………どこまでも楽観的だな。」

 

「私も成長したので。」

 

 

 

 

「…………こいつをやる。」

 

 

どこに隠してたんだろう……棒状の布の包みを受け取る。

 

 

「……なんですかこれ?」

 

 

「ブラッドロータスからの依頼だ。貴様に扱える丁度いい武器を作れと……きっと雄英には合格するから……とな。……一応俺の弟子だから……卒業祝いでも用意してやれと口酸っぱく言われてな。きっとお前の考えていたコスチュームとも合う。」

 

 

流水さんとステインさんが……私のために…………

 

 

「……流水さん……ステイン……血染さん!ありがとうございます!!」

 

「その名で呼ぶな。」

 

「……絶対強くなります。貴方より。」

 

「ハァ……それまでに並のヒーローに染まらぬようにな。」

 

「師匠を超えるのは弟子の仕事ですもんね?」

 

「…………勝手にしろ。」

 

 

最後に握手を頼んだら渋々だけどしてくれて。これで訓練は終わりなんだと再認識した。

 

ビルから出た時には流水さんがいて一緒に帰った。

 

余談だけど、血染さんは私の訓練期間中犯罪を犯してないらしい。珍しいこともあるものですね?血染さん?

 

 

 

 

 

 

 

 

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