私のヒーロー   作:おいーも

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地獄……?の轟家

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

 

「敵連合に…………私の死んでいたはずの母が所属していることがわかりました。」

 

「……死んでいた?」

 

 

エンデヴァー事務所の個室をひとつ借りて話を切り出す。

 

「はい。私が幼い頃……事故によって死亡が確認されたはずが、何者かの手によってオールフォーワンに蘇生され、敵連合に所属、暗躍している可能性があります。…………可能性といいましたが、敵連合に所属しているのは100%事実です。」

 

「…………そうか。」

 

「話はこれだけじゃないんですよ。黒霧……敵連合の黒霧が捕まって、身元確認をしたところ……数年前に雄英高校のインターン中に起きた事故で亡くなっていたはずのイレイザーヘッド、プレゼントマイクの同級生、白雲朧のDNAと一致しました。」

 

「………………。」

 

「敵連合は……オールフォーワンは……既に2人。亡くなっていたはずの人間を何らかの形で蘇生、敵連合の駒にしています。……エンデヴァー。ここで質問です。敵連合……知っている中でもう1人……身元が不明の人物が居ますよね。」

 

「…………荼毘か。」

 

 

「はい。荼毘です。荼毘とは火葬の意味。そして炎の個性。……エンデヴァー……」

 

「何が言いたい。」

 

食い気味にエンデヴァーが答える。まるで話させないかのように。

 

 

「……分かりませんか。エンデヴァー。これは可能性です。」

 

「…………可能性であってもだ。」

 

エンデヴァーの炎が強くなる。熱が上がる。

 

「私を遠ざけようとしても無駄ですよ。……我慢比べしましょうかエンデヴァー。」

 

「黙れ。燈矢は死んだんだ。死んだのだ!……あの山火事で……生きているはずがない!!」

 

エンデヴァーは机を強く叩く。

 

 

 

「…………まるで自分に言い聞かせてるみたいですね。」

 

「今……家族が少しづつだが歩みを進めているんだ。これは焦凍のおかげでもあり……貴様のおかげでもある。感謝はしている。…………だがそれ以上口に出してみろ。俺は……」

 

「出しますよ。全然出します。」

 

「!」

 

「エンデヴァー。現実から逃げないでください。貴方の罪から逃げないでください。……燈矢くんはもしかして青い炎が出せたんじゃないですか。若くして。」

 

「……ぐっ…………くっ…………。」

 

「どうなんですか。……事実を教えてください。」

 

「………………出せていた。」

 

「…………死体は。」

 

「…………見つからなかった。……燃え尽きたと…………思っていた。」

 

 

「……であれば…………8割方燈矢くんですね。……ハァ〜………お互い似たような状態ですね。私の場合は不可抗力……あなたの場合は自らがまいた種ですけど。」

 

私は椅子にもたれかかる。

 

「…………何情けない顔してるんですか。エンデヴァー。」

 

「…………貴様はあまり気にしてないのだな。」

 

「……気にしてもしょうがないです。最悪私の母と言っているだけかもしれませんし、燈矢くんじゃ無いかもしれません。…………ですがひとつ明らかなのは、我々の敵という事だけです。」

 

「…………。」

 

「それだけで……それがわかっているだけで相手を始末する理由になります。……私は自らの刃は鈍らせません。敵連合……これから全勢力で戦うことになるでしょうが…………私は母を殺します。絶対に。」

 

「…………。」

 

「話したいことは以上です。この話はあくまで私の妄想。空言です。あまり信じないように。…………炎の個性の人ならあなた以外にも居ますしね。」

 

「……まて。ブラッドロータス。…………皆にも言う。相席しろ。」

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カポーン

 

「え?」

 

ここってすごい高い所じゃ…………いや、そうじゃないんだけど……

 

「先生。親父が急に呼んだみたいで……ごめん。」

 

「あ……あぁいいのよ轟くん。……轟くんだとこの場はわかりにくいか…………焦凍くん。」

 

ちょうど学校だったので早めに着いた私と轟くん。既に席に通されて、あとは3人を待つだけとなっている。

 

「……何も聞かされてない。先生もか?」

 

「いや……多分……私が話すことになるのかな?……皆が来るまで待っててね?」

 

「…………?」

 

焦凍くんはお茶を1口。うーん……いい胆力だ……。

 

 

 

 

 

 

「遅くなった。」

 

「お久しぶりです。傷原先生。」

 

「お久しぶり……です。」

 

集まったね。全員。

 

エンデヴァーは私の隣。あとの3人と向かい合う形。

 

「…………そこでいいんですか?」

 

「座ってる場所などどこでもいい。……重要な話だ。」

 

「重要……?」

 

「…………今月に入って何度も話し合った。……だが……問題は思っていた以上に大きかったみたいだ。」

 

「……。」

 

エンデヴァーなりに色々話し合ってたんですね。到底許されるとは思わないけど…………償いでしょうか。

 

「問題……?なんなのお父さん。」

 

「先に料理頼みません?そっからでも遅くないですよね。」

 

「……あぁ。済まない。配慮に欠けた。」

 

 

 

 

 

 

 

ずらりと料理が並ぶ。全部高そう……。同じくらい美味しそうです。

 

「この話は……ブラッドロータス……横に座ってる傷原から持ちかけられた話だ。…………この話はまだ確定じゃない。」

 

「確定じゃない……?」

 

「…………不安煽りに来たのか?」

 

「……夏。」

 

冬美さんを手で制する。

 

「いいんです。私が気付いてしまったので。すごく不本意ですけど。……覚悟は出来ますか。」

 

「覚悟…………?」

 

1度大きく息を吐く。

 

「はい。家庭崩壊をしかねない問題という事です。受け入れるも逃げるのもあなたたち次第です。」

 

「…………。」

 

「そんな…………話……。」

 

「……。」

 

沈黙。

 

 

 

 

 

「いいよ。親父が話したいと思ったんだろ?だったら……今がいい。」

 

「「「!」」」

 

 

 

「焦凍くん。いいの?」

 

「俺はインターンで親父の仕事を見てきた。判断能力、決断力の高さを肌で感じた。……だからこそ今回の決断は……俺たちを集めたのはきっと親父なりに必要だと理解したんだと思う。……俺は親父の……エンデヴァーの決断を信じたい。」

 

「焦凍…………。」

 

 

……立派じゃん。

 

「……。私も聞く。内容はわかんないけど……聞かなかったらきっと後悔するから。」

 

「……ありがとう。」

 

「……はぁ……俺だけ悪者みたいじゃん。いいよいいよ。聞くよ。…………どうせ家庭環境なんて半壊してるようなもんだもんな。」

 

「夏雄……。すまん。」

 

「……エンデヴァー。謝るのは早いです。……皆さん。この件に関して……エンデヴァーの責任が無かったとはいいません。ですが……エンデヴァーだけの責任ではありません。それだけは留意しておいて下さい。実は…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……燈矢兄が……」

 

「生きてる…………?」

 

「……。」

 

3人は驚きを隠せないようだ。

 

「……可能性があるだけです。ただ…………」

 

「敵連合の……荼毘……。」

 

「ええ。……あまり考えたくないですけど。」

 

「…………。本当にすまない。……俺がもっと燈矢のことを……。」

 

「……お父さん。」

 

しんみりした空気……そりゃそうだよね。私だってそうだよ。表に出てないだけで。

 

 

 

 

「親父。謝るなら俺たちじゃない。燈矢兄にだ。俺たちに謝られてもどうすりゃいいかわかんねぇよ。」

 

「お父さん。ありがとう。話す決断をしてくれて。……私どんな形であっても燈矢兄が生きてくれてたってだけで嬉しい。」

 

 

「…………夏雄……冬美……俺はお前たちがこんなにも立派に育っていたことも……知らなかったのか。」

 

 

 

 

「エンデヴァー。後悔するなら……」

 

「わかっている。どんな形になっても構わん。……燈矢を止める。」

 

「……まだ確定じゃないですよ?」

 

「バカを言え。青い炎。お前の話……裏付けをするには充分すぎた。」

 

 

「……冷静になってくださいね。」

 

「任せろ。」

 

その顔……いいじゃないですか。色んなもの背負ってそれでも立ち上がらなきゃならないのがナンバーワンヒーローです。

 

 

「傷原先生も……すみません。貴方も辛いでしょうに……。」

 

冬美さんに頭を下げられる。いい人ですよねぇ。

 

「いえいえ。私はあなた達ほど辛くは無いです。顔もあまり覚えてなかったので。」

 

「…………なんか先生に急に親近感が湧いた。」

 

「あまり良くない親近感ですね?」

 

 

 

「…………親父。」

 

「なんだ。夏雄。」

 

「………………一旦切り上げて飯食おうぜ。冷めちまうよ。」

 

「……そうだな。こいつは無神経だから食ってるが。」

 

エンデヴァーがこちらに目配せする。

 

「……私ですか?そりゃそうですよ。被身子ちゃん待ってるので。」

 

美味しいですねこれ。さすが高いだけあります。

 

 

「……。まぁいい。俺達も食べよう。」

 

「ご馳走様でした。……じゃ。失礼しますね。お代は払っとくのでしっかり話し合ってください。」

 

「…………すまん。」

 

「え?」

 

「ひとつ貸しで。」

 

「……わかった。」

 

私は部屋を後にする。

 

お会計は……少し高かったけどこんなものか。

 

いつか被身子ちゃんと来よう。

 

 

 

 

 

 

 

「焦凍……傷原先生……ここ払えるの?」

 

「先生金持ちだから。」

 

「俺と同じくらい……それ以上稼いでる可能性があるぞ。」

 

「はぁ!?親父以上!?何してんだよあの人!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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