side傷原流水
……緊張する。……被身子ちゃんは大丈夫だろうか……。
私は今カフェにいる。
……5時間くらい。何度も色んな飲み物を頼んだし、サイドメニューも頼んだ。……支払額なんてどうでもいいんだ。
今日は被身子ちゃんの雄英試験日……。
上手くいってるかな……
お腹壊してないかな……
解答欄間違えてないかな……
もしかしたら筆箱忘れて……
足挫いて午後の試験受けれなかったり!
うわあああっ!!気になりすぎて昨日から寝れてない……
仕事も手にかなかったからパパに帰らされた。
うごごごご……変わってあげたい……
「あの人……ずっと居ない?」
「微動だにしないけどなにかあったのかな?」
「……小さいね。迷子?」
そんなんじゃないやーい!!
うぅ……何事もなく実力を発揮しててくれぇ……
もし発揮できなくても私が全力で養ってあげるから……
大怪我だけはナシの方向でオナシャス!!!
side渡我被身子
……なんか背筋が急に……?まぁいいか。
今私は実技演習試験のために体操服に着替えてる。
学科試験は……多分大丈夫。全力出せた。
ふぅ……着替えも済んだし……行きますか。
実技演習試験の説明があった。
ロボットを倒せばいいだけ?ふーん。ポイントがあるのね。
人を助けてもポイント………。
たしかにこれは……
「……私の個性じゃ……不公平だね。」
実質個性縛り。己の肉体だけの勝負。
できないことは無い。やらなくてはならない。
無茶も無理も飲み込んで。
「私は完全完璧な……流水さんのサイドキックになる。」
きっとこれは私の初めてのヒーロー活動。
試験開始の笛がなる。
side傷原流水
……うごごごご……何度もトイレに行ったけど……まだ……被身子ちゃんはお店に来ない……
約束してたかどうか何度も不安になって今朝の約束を何度も思い出す。
うぅぅぅ……無傷であれば……無傷であればいい!お願い!
カランカラン
「!」
……違う人……何度もしてる。
……試験はできたけど周りの人にやっかみをかけられてたらどうしよう!迎えに行った方がいいのかな!?……もし傷付けられてたら……心臓が持たん!頼む!
カランカラン
「!」
「1名様ですか〜?」
「えーっと……人が既に待ってるはずなんですけど……あっ」
「被身子ちゃん!!」
私は脇目も振らず……人の目も気にせず被身子ちゃんに飛びついた。
「ふぐっ!!ちょっ!?いきなり突撃してきて何なんですか!?」
「お姉さん心配したよォ〜……今日何も手につかなかったよォ〜……」
「……ハァ……なんで私よりも緊張してるんですか。」
なんかあまり気にして無さそうだ……一安心。
スリスリ……被身子ちゃんの匂い安心する。
「……汗かいてるんですから匂い嗅ぐのやめてください。」
スパン
頭叩かれた。痛い。
「早く帰りますよ。会計終わらせちゃってください。」
「……はーい。」
会計額が3万超えてて被身子ちゃんにちょっと怒られたのは内緒。
side????
「試験の点数見たかよ?」
「あぁ……今年も粒ぞろいだな。」
「合計点70越えが4人……?とんでもないな?」
「1人……個性使ってないんじゃないか?レスキューポイントも稼いでるし……1位はこの子だな。」
「いい動きしてたよね〜……何処かで習ってたのかな?」
「2位の子は……ヴィランポイントだけだもんな……とんでもねぇぜ。」
「寧ろレスキューポイントだけで上位に入ってるやつもいるし……今回の試験は見所が多かったな。」
「学科試験次第だが……面白そうな生徒がたくさん入りそうだ。」
モニターには今日の実技演習試験のランキングが写っている。
順位 氏名 VP RP 合計
1位 渡我被身子 54 24 78
2位 爆豪勝己 77 0 77
3位 切島鋭児郎 36 35 71
4位 麗日お茶子 25 45 70
5位 塩崎茨 35 30 65
6位 拳藤一佳 22 40 62
7位 緑谷出久 0 60 60
8位 飯田天哉 47 9 56
9位 鉄哲徹鐵 45 10 55
10位 常闇踏陰 43 10 53
「君の……教え子も。僕の教え子もどちらも入学できそうだね。傷原くん。……少し気を引き締めないとな。」
side渡我被身子
今日は合格発表の日。手紙が来るらしい。……朝から流水さんが死んじゃいそうな顔してた。友達も応援してくれてたし……悔いは無い。どうなってもどうにでもできるんだから。
「ただいま帰りました。」
お家に着くと……廊下で流水さんが倒れてた。1枚の封筒を持って。
最近こんな調子なんですよね。この人。可愛いからいいんですけど……今日を休みにしてたパパさん……ナイスです。
「……何してるんですか?」
一応聞いてみる。
「被身子ちゃん……とっととこの封筒を見てくれ……お願い……私を……助けて……」
「……もう。わかりました。一緒に見ましょ?」
「へぁ?……いいの??」
流水さんが上体を反らしてこちらを見あげる。
腰……大丈夫そうですか?
「どうせ一人で見るって言っても覗き見するんでしょ?……心配症だなぁ……。」
「うぐっ……なぜバレたんだ……。」
「バレますよ。最近毎日それじゃないですか。…………まぁ……おかげであまりこっちは緊張しなくて済みましたけど。」
流水さんを脇に抱え、一緒にリビングの椅子に座る。
「じゃあ開けますね。」
「まって!もうちょっと!深呼吸!」
「……無理です開けまーす。」
開けると1枚の紙……机に置くとホログラム映像が映し出される。
「うわああ!意地悪!!!」
『私が来た!!!!』
「うわでた(スン」
「……本当にオールマイトさん嫌いですね。」
さっきまでの緊張はどこへやら……急に静かになった流水さん。表情豊かで見てる分には面白いんですけどね。
可愛いって思ってしまうのは……惚気ですね。
「合格通知は根津校長じゃなかったの……?私の時はそうだったんだけど。」
『どうせ聞いてるんだろう傷原くん!』
「うわキモ。なんでわかるんですか。」
わかりやすいですからね。という言葉は飲み込んだ。
『え?雑談はナシ?巻きで?……しょうがないね。コホン』
『渡我少女!君は……』
少しだけ緊張する。横の人は顎ガチガチ言ってる。というか全身震えてる。
『学科試験。実技演習試験。どちらも1位!首席合格だ!すごいじゃないか!!』
「え!?首席!?!?……被身子ちゃん!」
首席……私が?どっちも…………
「私と一緒だね!おそろいじゃん!!」
流水さんが抱きしめてくる。まだ実感がわかない。……首席合格……本当に……?嘘じゃない……?
『合格通知を私が務めたのは他でもない。君の個性の件だ。』
私の……個性?何も言ってないはずだけど……
『君は個性の影響で吸血衝動に駆られることがあるんだってね?傷原くんから聞いたよ!生憎ヒーロー科は怪我が多い。血を見ることも多いだろう。だからいつでも吸血バンクとして傷原くんに雄英に来てもらうことになったんだ。』
「!!流水さん……」
「…………言うなっつったのにクソジジイ……」
顔を背ける流水さん。きっと今は顔が赤い。
恥ずかしがることじゃないのに……嬉しい。私の配慮まで……。
『もし困ったことがあれば先生をいつでも頼って欲しい。君の学園生活をより良いものにすると約束しよう。君ほどの逸材を吸血衝動だけで野に捨てる訳にはいかないからね!』
雄英……高校…………これが……
「……まぁ及第点かな。……オールマイトにしては配慮できたセリフじゃん。」
……本当にこの人は……もう。今晩はおしおきですね?
『改めて……渡我少女!おいで!ここが君のヒーローアカデミアだ。』
私の夢への第1歩が……ようやく始まる。
さすがにちょぴっと泣いちゃった。