私のヒーロー   作:おいーも

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繋ぐ

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

「…………もはやヒーローとは思えんな。」

 

「……。」

 

 

何をそこまで……何がそこまで君の身体を動かすの。

 

緑谷出久はさっき……血を血染くんに舐められた。動けなくなったはずだった。

 

動いている。……所々敗れた衣装からは黒いエネルギーが見える。

 

私はチョーカーを撫でる。……電池はまだある。起動してる。

 

 

「…………多分黒鞭で無理やり身体を動かしてるんでしょう。ステイン。あなたの個性は効かないと思った方が良さそうです。」

 

「……チッ…………厄介だな。」

 

 

緑谷出久……。あなたは……何になりたいんですか。

 

「…………緑谷出久。答えなさい!」

 

「フーッ……フーッ……!」

 

 

 

飛びかかる。

 

「あなたは何になりたいんですか!」

 

拳。躱される。

 

 

 

「あなたは何を目指してるんですか!」

 

蹴り。防がれる。

 

 

 

「気付きなさい!緑谷出久!!」

 

「……!!」

 

 

 

「あなたは……1人なんかじゃ!」

 

 

 

 

 

「SMASH!!」

 

ドゴッ……!

 

「ゴフッ……」

 

 

 

「傷原っ!!」

 

腹に一撃貰った。……距離を取る。

 

「ぐ……がほっ…………」

 

膝を着く。

 

 

口から血が……一撃で…………ワンフォーオールだけじゃない。……何かの個性で増幅された一撃。

 

「ハッ……ハッ……」

 

 

 

何を…………怖がっているの。緑谷出久。

 

その力は……そんな力じゃない!

 

「…………ナチュラルボーンヒーローだな。全く。自己犠牲のためには他者を傷付けるのも厭わないか。」

 

「……そんな…………つもりじゃ!」

 

「ヒーローには力に責任が伴う。……傷付けるためだけの力はただの暴力だ。」

 

 

 

 

『流水ちゃん!?無事!?』

 

「……ふぅ。大丈夫です。」

 

立ち上がる。

 

「…………し……師匠。」

 

 

「緑谷出久ッ!!!」

 

「!」

 

あなたは!力の使い方を間違えた!!

 

腕と足が折れる覚悟。今私が出せる最大出力。

 

 

 

緑谷出久を蹴りあげる。

 

ガードには成功してるみたいだが、打ち上げられる。反応しきれていない。

 

そのまま飛び上がり、緑谷出久の頭上に。

 

地面から伸ばしていた血で反動をつける。

 

ギギギ…………

 

 

 

「力を扱いきれないのであればッ!!」

 

反動を全部使って飛ぶ。緑谷出久に手刀を叩き込む。

 

「あああああああっ!!!」

 

「その拳に!責任が伴わないのであればッ!!!」

 

ガードしてるようだが、関係ない。このまま地面までたたき落とす!

 

 

 

 

 

轟音。地面が割れる。

 

「あなたはまだまだ私の生徒です。」

 

立ち上がる。

 

「ぐ……がはっ……」

 

よく気を持った。

 

 

「まだ私の元から出ていくことを許しません。あなたの力は……容易に人を傷付ける力です。あなたはまだ……本当に守るために戦えてません。」

 

緑谷出久は飛び起きる。距離を取られた。

 

 

 

「でっ……でも!それでも!!……僕はっ……みんなをっ!敵は僕をねらってるんだ!!一緒にいたら……師匠にも……皆にも被害が…………!」

 

「……互いに化け物だな。」

 

血染くんが横に来る。

 

互いに?失礼な。

 

 

「その師匠と……皆はあなたにとって守られるだけの存在ですか?」

 

 

 

緑谷出久が重心を低く構える。

 

……その構え。始めてみる。

 

 

「トランスミッション!!」

 

何を……!?

 

 

「ぐあっ!?」

 

「2速(セカンド)!」

 

血染くんが吹き飛ばされる。

 

「血染くん!?」

 

「3速(サード)!!」

 

横から衝撃!見えなかった!!

 

 

ダメージ!!甚大!

 

もう喰らえない!!

 

 

 

「4速(トップ)!!」

 

宙に逃げる。追ってくる!迎え撃つ!!

 

 

エスコルチア最大出力!雨と血を混ぜろ!腕が折れても!ぶち抜け!!全力で!!!今できる質量と!硬度で!!

 

 

 

「5速!オーバードライブ!!!」

 

「緑谷出久ッ!来なさいッ!!!」

 

 

 

「デラウェア……」

 

「あなたをッ!!」

 

 

「スマッシュ!!!」

 

 

 

 

衝撃。吹き飛ばされる。

 

緑谷出久は…………生きてる。無理だった……か…………

 

「…………1人に…………しな……ぃ」

 

 

私だけの力じゃ…………緑谷出久には……

 

 

 

 

ビルに叩きつけられる。

 

 

意識を保て。まだ……死ぬ訳には……

 

 

地面に落ちる。

 

 

あとは…………お願い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズチャ……ズチャ……

 

 

 

「……緑谷……出……久」

 

「…………師匠。」

 

 

「…………なに……よ…………」

 

「……僕は…………」

 

「…ふっ……………賭けは…………私の…………勝ち……ね……」

 

「!」

 

 

 

BOM!

 

「お前ら。見つけたぞ。」

 

「……かっちゃん……!!」

 

 

雨は止んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

 

「流水さん。」

 

 

私は流水さんを抱き抱える。

 

こんなに……ボロボロで……

 

 

「渡我。まずはアイツだ。……ハラセンが作ってくれた時間を……無駄にしねぇ。」

 

「…………はい。わかってます。」

 

A組が全員集まる。

 

 

 

「聞いたぜ。4、6代目も解禁したって!?すっかり画風が変わっちまったなぁ!?出久ゥ!!」

 

「ありがとう……来てくれて。……6TH!」

 

煙幕!本当に……!!

 

 

「てめェら!絶対逃がすなよ!爆風地雷!」

 

煙が晴れる。

 

上!

 

「話もしねーでトンズラか!何でもかんでもやりゃできるよーになると周りがモブに見えちまうなぁ!?」

 

 

鳥が緑谷くんを囲む。

 

「戻ってきて大丈夫だって!緑谷君!校長先生が戻っておいでって!ね!? だから逃げないで!」

 

「それ垂らしっぱにしてんのコエーよ!警戒するわ!」

 

「ハートビートウォール!はっや!」

 

口田くんが、瀬呂くんが、耳郎ちゃんが……皆が緑谷君を止めようとしている。

 

 

 

私は……。本当は……流水さんを助けたい。

 

 

「被身……子ちゃん…………いって……あげて?」

 

「流水さん!!」

 

「あ……なた……は…………やさし……い子だ…………から…………きっと……大丈……夫……。」

 

「……でも……」

 

「…………意地を……はら……ないであげ…………て?…………素……直……になっ……て?」

 

「…………素直に……。」

 

「彼は…………今……周りが…………見えてないから…………」

 

 

 

 

 

 

 

「穿天氷壁!…………なんだよその面…………責任が涙を許さねぇか……その責任俺たちにも分けてくれよ!」

 

大きな氷……轟くんか!やっと追いついた!

 

 

「緑谷ちゃん!行かせないわ!あの時のようにもうオロオロ泣いたりしない!」

 

梅雨ちゃんも……

 

「大切だから怖い時は震えて辛い時には涙を流す……私のお友だち……あなたがコミックのヒーローのようになるのなら私達、あなたを一人でそっちへは行かせない!」

 

 

 

 

「緑谷!今の状態がオールフォーワンの狙いかもしれねェだろ!その隙に雄英を狙ってくるかもしれねェ!そんなナリになるまで駆け回って見つかんねェなら次善策も頭に入れろ!」

 

緑谷君が抵抗している。

 

本当に周りが……見えてないんですね!彼はッ!

 

「大切な雄英を守りてぇってんなら離れず側にいるって選択肢もあるだろ!俺たちも一緒に戦わせろ!」

 

 

「できないよ……これはワンフォーオールとオールフォーワンの戦いだから、皆はついてこれない!」

 

……は?なんですかそれ。絶対許しません。私を……爆豪くんを轟くんを……あれだけ一緒に訓練したのに!

 

着地点を予測。先回りします。

 

 

 

 

 

「黒鞭の弾性+ワンフォーオール45%+発勁!」

 

「絶対行かせません!!」

 

飛び上がったと同時に捕縛布で縛る。

 

勢いを殺しきれずに私ごと引っ張られる。

 

 

「ああああっ!!!」

 

「……渡我さん!僕のことが……嫌いじゃ……なかったのか!!」

 

「嫌いです!大っ嫌いです!!」

 

縛り上げる。動きを阻害しろ!全力で!!

 

 

「じゃあ!!」

 

「だからといって!あなたを見捨てれません!!今のあなたを見捨てたら!!私は過去の私を見捨てることになるッ!!!」

 

 

「!」

 

「それに…………あなたとの訓練。少しは見直したんですよ?緑谷くん。」

 

 

振りほどかれる。でも!

 

 

 

 

「あとは!!お願いしますッ!!!」

 

「デクくん!あん時とはちゃう!」

 

 

 

「膨冷熱波!」

 

爆豪くんと轟くんが飛んで……!飯田くんを射出!!

 

 

捕まえた!

 

「そんな……ダメだ……離して……」

 

「離さない!」

 

「どこへでも駆けつけ迷子の手を引くのがインゲニウムだ!!余計なお世話ってのは……ヒーローの本質なんだろ!!」

 

 

 

 

 

 

麗日ちゃんに浮かされてなんとか着地。そのまま飯田くんの着地点に皆で合流。

 

 

 

「特別だとか力だとか関係ねぇ!あん時のおまえが今の俺たちの答えだと思うぜ。」

 

 

「緑谷、もう誰かがいなくなんの嫌だよ!一緒にいよう!?また皆で授業受けよう!」

 

 

 

 

「そうしたいよ……けど恐いんだ……雄英には沢山の人がいて他人に迷惑かけたくないんだ……もう今まで通りじゃいられないんだ。」

 

「そんな……」

 

 

 

爆豪くんが前に出る。

 

 

「死柄木にぶっ刺された時、言った事覚えてっか?」

 

「覚えてない。」

 

 

 

「“一人で勝とうとしてんじゃねェ”だ。続きがあるんだよ。身体が勝手に動いて……ぶっ刺されて……言わなきゃって思ったんだ。…………ワンフォーオールを継いだおまえの歩みは理想そのもので何も間違ってねぇよ。けど今、おまえはフラフラだ。理想だけじゃ超えられねぇ壁がある。おまえが拭えねぇもんは俺たちが拭う。……理想を超える為におまえも雄英の避難民も街の人も……もれなく救けて勝つんだ。」

 

爆豪くんが頭を下げる。

 

「俺に……俺達に……一緒に救けさせてくれ。」

 

「…………。」

 

「緑谷くん!ウチだって救けたい!」

 

「俺だって!」

 

「緑谷!!」

 

「一緒にやろうぜ!緑谷!!」

 

 

 

 

「ついてこれない……なんて言ってごめん。」

 

緑谷くんが倒れる。

 

「……わぁーってる。」

 

爆豪くんが抱き抱える。

 

 

緑谷くん……回収完了です。……流水さん。やりましたよ。

 

 

 

 

 

 

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