昨日、今日の朝と何も言わずに休んでしまって申し訳ありません。昨日の朝は事前に連絡通り何も出来なかったのですが、午後はサーバーエラーで何も出来ず、今朝は用事があったのでスマホにほぼさわれませんでした。
お詫びと言ってはなんですが、今回の話はいつもより長めに作ってます。
この度は申し訳ございません。
side緑谷出久
僕が戦わないといけなかった。
オールフォーワンからの刺客。初めて6TH……煙幕を使った。
刺客との戦いは熾烈を極めた。ぶっつけ本番だったけど……発勁が使えてよかった。今までの訓練の賜物だと信じたい。
…………もう僕はあの頃に戻れないけど。
僕が戦わないと、みんなに迷惑がかかる。3代目から7代目。みんなの個性を使ってダツゴクと戦い続けた。
途中で2代目も僕の覚悟を信じてくれた。2代目の個性……変速はまだ使えなかったけど、すごく強い個性だ。それ相応の相手が来たら使わざるを得ないだろう。
身体がしっかり出来ていたのが功を奏した。苦戦することもあったけど、師匠の「バッドコンディションと向き合う。」がしっかり出来ていたんだと思う。
……オールマイト以外の師匠。僕のことを嫌ってた筈だけど……かっちゃんを助けて、壊理ちゃんを助けて、みんなを導いていた相澤先生とは毛色の違ったみんなの先生。
……もう考えるのは辞めよう。辛くなるのは……自分だけでいい。
いつの間にか……継承者たちの声は聞こえなくなった。
「緑谷出久。」
その時は訪れた。
オールフォーワンからの刺客を何人も倒し、ダツゴクを何人も捕まえた。
疲労はすぐに限界を迎える。不眠不休で敵を探し続けた。大雨の日。……目の前に師匠がいた。
「……師匠……どうして……。」
「3日です。3日。協力者に要請して。あなたを探して。3日間。やっと見つけましたよ。このバカ弟子。」
「…………。」
バカ弟子……僕のことをまだ弟子だと言ってくれる師匠に少し嬉しさを覚えた。でも……
「貴方を連れ戻します。緑谷出久。」
「……僕は……みんなを笑顔にしないといけないんです。」
僕は師匠の言う通りに戻ってはいけない。みんなの迷惑になるから。これは僕とオールフォーワンの戦いなんだ。
「そうですか。……頑なですね。本当に。話は平行線。…………ただダツゴクを何人も仕留めたその腕……実戦で磨かれた戦闘力、そしてワンフォーオールは…………正直私が万全でも勝てるか怪しいです。」
「……じゃあ。」
逃がしてくれるのか……そう思っていた矢先
「なので。協力者を用意しました。」
「協力者……?」
信じられない光景を目にした。
「ハァ…………協力関係は今だけだ。」
「言ったじゃない。この子は自己犠牲が過ぎるって。みんなと協力しろっつってんの。」
「…………それもまた。貴様にとって粛清対象か。」
「そゆこと。」
仲良く会話する姿は……まるで友達のような……以前から知り合っていたかのような風に僕の目に映る。
「し……師匠…………なんで……。」
「なんでも何も……言ったじゃない。私は裏の世界で名前が知れてるって。」
「…………貴様。殺すつもりは無いが…………無駄な抵抗はよせ。」
「ヒーロー殺し……ステイン!!!」
「戦わないの?」
「…………まず答えてください。なぜヒーローがヒーロー殺しと……。」
「……何度も言ってる。今は協力関係だと。」
困惑が勝つ。今は対話がしたい。距離を詰めてくるが離れる。
「それじゃ説明になってません!なんでヒーロー殺しと協力関係になったんですか!」
「あなたを雄英に連れ戻すためよ。……それらしい事も言ったわ。少しは察しなさい?」
理解が出来ない。ヒーローと敵が協力して僕を連れ戻す!?何があったらそんな事が……!
「連れ戻すためだとしても!!ヒーローが敵と協力なんて!!」
師匠の顔が少し曇る。
「……それがあなたの理想のヒーロー像?」
「……え?」
その質問は歩みを止めるには充分すぎるぐらい突然だった。
「敵は排除して。ルールにしたがってる人だけが……あなたの救う人?」
「……それは…………。」
師匠が言っていた。裏社会に名前が知れてると。……であれば裏社会の住人と仲がいい者が居るのも当然…………それ以上に、ヒーローと敵が手を取り合ってる姿は…………
「私は違う。私が救いたい人は個性で苦しんでいる人。何らかの事情があった人。……それが敵でもそうじゃなくても。私は色眼鏡で見ない。救うべき人は出来る限り手を伸ばす。それが私の…………私だけのヒーロー感。私の全て。どんな人でも平等に……未来は変われる。」
「…………師匠……っ。」
手を伸ばした結果が……今の状態。平等に。当然のように敵すら救う。犯罪者すら手を貸す。これが傷原流水。……オールマイトとはまた違った正義。
「だからこそ。あなたも救う。今のあなたは破滅の道を歩んでいる。バカ弟子を……救うのも師匠の仕事だから。……道を正すのが……先生の仕事だから。」
師匠の正義がそれなら……僕にだって正義がある。
「…………それでも!!……それでも僕は進まなくちゃいけないんです!皆に迷惑をかける訳にはいかないんです!!」
「粛清対象。心を折ります。協力して。」
「了解した。」
ふたりが突撃してくる。
ステインはともかく、師匠は傷付ける訳にはいかない。
「どいてください!!師匠!!!」
あれは……エスコルチア・トロッケン。かっちゃんに勝った技。師匠も本気だ。このままだと確実に怪我人が出る。……逃げの一手。逃げれるかは分からないけど。
煙幕を発動。そのまま浮遊で宙に浮く。
「上ッ!!」
師匠の声。速攻でバレた!
頭に電流が走る。危機感知!右側!
ダァン!
銃声!?右肩がカスった。
「ぐっ!?何がっ!!!」
そのままバランスを崩し、浮遊を解いてしまった。
地面に落ち、師匠を見上げる。
「誰が協力者がステイン1人って言ったの?……あなたを拘束するために……私は全力を尽くすわ。〜〜。」
最後は何を言ってたか分かんなかったけど、もう1人の協力者がいるらしい。……あと1人……見えないところからの長距離狙撃……厄介だな。
「血は……まだだな?弾丸を見て躱わす……そんな芸当が空中でできるとは思えん。」
「ぐっ!?」
ステインの声に驚いて後ろに引く。
血を舐められたらアウトだ。こっちが一方的に負ける。
「……〜〜。」
「了解。」
二人で突撃してくる。
煙はまだ残ってる。逃げれるか……!?後ろに引くが……危機感知が!
「不適切!」
2人の攻撃を躱す。煙幕と危機感知。僕が今持てる最強の防御手段。
そのまま宙に浮く。浮きすぎると狙撃されるので煙の範囲に留める。
「……ハァ……少し工夫がいるな。」
「〜〜。」
少しでも時間を稼げれば……
「…………。低空浮遊ですか。そんなことも出来るようになったんですね。」
バレた!?早い!なるべく距離を……!
「……見つけた。」
動いたのがいけなかった。
白い糸が広範囲に伸びて体にくっつく。
「捕まえたァ!!!」
「なんでっ!!??危機感知がッ!?!?」
危機感知は発動しなかった!どんなカラクリが……!?
「危機感知は万能じゃないみたいですね。」
そのまま拘束。引きづられる。
「緑谷くん。敵意なんていくらでも消せるんですよ。」
敵意の無い攻撃……!?危機感知で反応できない攻撃があるなんて……。
どうやったら敵意なんてなしで攻撃が……!?
「くそっ…………。」
「ステイン。すぐに。」
「わかってる。」
ステインが刃を振り上げる。
このままっ!
「くっ!!あぁああっ!!!」
ブチブチ……
終わっていられるか!!
「SMASH!!!」
ブチィ!!
拘束ちぎってそのまま低空浮遊。一旦距離をとる。
「ちぎられ……はぁ!?最大硬度ですよ!?」
「……傷原。こいつはオールマイトだと思え。並の拘束は効かん!」
ステインが刀を構える。
オールマイト……僕はオールマイトみたいな立派なヒーローになれるだろうか。
…………オールマイトには……酷いことを言ってしまったのかも知れないな。
「例え話だとしてもやめてください。彼はオールマイトじゃない。オールマイトになんて……絶対にさせない。」
「!」
……どういうことだ?オールマイトにはさせない?何を……
「……例え話だ。」
ステインは理解しているかのような返事。
オールマイトにはさせない。その言葉が喉に引っかかって少し気持ちが悪い。
煙が少し晴れる。
ダァン!
「……っ!!」
ダァン!ダァン!!
1発、2発3発。危機感知がなければ躱せないほどの精密射撃。
「くっ……狙撃がっ!!」
煙幕+低空浮遊!
一旦狙撃手の目を潰す!
「近距離で何度もやらない方がいい。対策されるぞ。」
危機感知が反応。何とか躱すが……
「フッ!」
師匠の蹴りが腹にめり込む。
「ぐあっ!?」
痛烈な痛みと衝撃で吹き飛ばされる。転がって衝撃を抑える。
煙から出される。
リカバリーは出来た。内蔵に損傷は無い。……危機感知が反応しない攻撃…………厄介すぎる。どうする。見て躱す?煙幕が使えなくなる。そうなると狙撃が厄介だ。……どうすれば
「……危機感知に頼った回避。……個性は手足。手足の延長。武器。…………私は言ったわよ。武器に頼りすぎるなと。」
確信を着いた言葉。……個性は道具。個性の扱いにだけ矢印を向けていた。……師匠の教えも……まともに覚えてないのかッ……僕は!
師匠が煙の中から飛び上がりかかと落とし。
エスコルチア・トロッケンが乗った攻撃。躱せば追撃が来る!
「ああああああっ!!デトロイト・スマッシュ!!!」
威力が相殺出来た。僕も強くなってるんだ!
師匠が弾き飛ばされて煙の中に戻る。
「……〜。」
「…………〜。〜〜。」
「…………〜〜。」
「…………。」
何か喋ってる?
隙を見せるなら飛ぶ。
危機感知で弾丸は見える。むしろ危機感知できない2人の方が厄介だ。
ダァン!ダァン!!
弾は少し躱せるようになった。来る方向がわかるなら身体の動かし方もわかる。
今のうちに逃げるのが……
すると師匠が煙から出てくる。視点の高さが同じになる。
「!!」
「緑谷出久。空はあなただけのエリアじゃない。」
師匠の足元を見ると長い血。登ってきたのか!上に飛び上がる。迎え撃つしか……!
「考える隙は与えない。」
彼岸花と紫陽花を抜かれる。
まずいクロユリ十断!捕まったら逃げるのに相当時間を喰うぞ!
「クロユリ!!」
「くそっ!!デトロイト……」
ダァン!!
「あぐぁッ!?」
肩に弾丸が掠る。なんというタイミング!狙われてたか!?
「十断!!!」
無慈悲な拘束。地面に叩きつけられる。
「うわああっっ!!!!!」
「……いい援護でした。レディナガン。」
レディ……ナガン?それって……
「行動を縛る。」
「お願い。」
そのままステインに無慈悲にも血を舐められ、身動きが取れなくなる。
くそ……このままだと……でもどうすれば?
身体が動かないのに……無理やり動かす?不可能。無理だ。指すら動かせない……出来ること……浮遊……煙幕……黒鞭……
黒鞭?
黒鞭で体を縛って動かせないか?身体の収縮は……発勁を使って……!これなら行ける!!ぶっつけ本番だけど……ぶっつけ本番なら何度もやってきた!いかなきゃ負ける!
「うぐ……あああああああっ!!!」
「!?……何を……!?」
ワンフォーオール45%+発勁。
ブチィ!!
クロユリ十断が破れた!これなら……行ける!発勁を常に絶やすな!拘束は力づくで破……る……
「……。」
ふと師匠の顔を見ると泣きそうな顔をしていた。
僕は……そんな顔して欲しいわけじゃ……!
「…………緑谷出久。答えなさい!」
まずい!来る!!制御に集中しろ!
「フーッ……フーッ……!」
「あなたは何になりたいんですか!」
拳!喰らえない!!
「あなたは何を目指してるんですか!」
蹴り!どうにか防ぐ!
「気付きなさい!緑谷出久!!」
なんだよ……その顔は!!僕はッ……皆に苦しんで欲しくなくて……!!!
何が言いたいんですかッ!!師匠ォ!!!
「……!!」
「あなたは……1人なんかじゃ!」
やめろおおおおっ!!!
「SMASH!!」
僕はその顔を振り払おうと……
「ゴフッ……」
当たった…………?師匠に……?今までこんなこと…………
「傷原っ!!」
「ぐ……がほっ…………」
師匠が膝を着く。
「ハッ……ハッ……」
…………自分は……今……何をした?
ステインが師匠に駆け寄る。
ワンフォーオール45%+発勁……考えたくもない。どれくらいの衝撃が……師匠の腹部を叩いたのだろうか。
「…………ナチュラルボーンヒーローだな。全く。自己犠牲のためには他者を傷付けるのも厭わないか。」
「……そんな…………つもりじゃ!」
「ヒーローの力には責任が伴う。……傷付けるためだけの力はただの暴力だ。」
違う……!僕はっ!ただ振り払おうと……!!
暴力なんかじゃ……
師匠が立ち上がる。
「…………し……師匠。」
「緑谷出久ッ!!!」
怒号。身がすくむ。
「!」
低空姿勢で突撃してくる!今までよりも早い!危機感知は発動しないッ!
蹴り上げられる。ガードは成功しているが、勢いが受け止めきれずに身体が宙に浮く。
師匠は……何処に……
「力を扱いきれないのであればッ!!」
師匠は地面に糸を伸ばし、まるでスリングショットのゴムのように使い、師匠自身をこちらにはじき飛ばした。
手刀を叩き込まれる。ガードはしているが、エスコルチアの肉体バフと、スリングショットの応用によるエネルギーも合わさり、ワンフォーオールと発勁じゃ受け止めきれない。
「あああああああっ!!!」
「その拳に!責任が伴わないのであればッ!!!」
轟音。地面が割れる。
背中が打ち付けられる。咄嗟の黒鞭で衝撃を和らげようとしたが、出来たか不明。体全身にダメージが響く。
「あなたはまだまだ私の生徒です。」
師匠に見下ろされる。
「ぐ……がはっ……」
「まだ私の元から出ていくことを許しません。あなたの力は……容易に人を傷付ける力です。あなたはまだ……本当に守るために戦えてません。」
そんなことはッ!無いッ!!ワンフォーオールはみんなを守るための力だッ!!
跳ね起きる。距離を取る。
「でっ……でも!それでも!!……僕はっ……みんなをっ!敵は僕をねらってるんだ!!一緒にいたら……師匠にも……皆にも被害が…………!」
肺に空気を入れろ。身体はもう限界だ。限りなく一雫。ここまで戦えてるのは……きっと師匠達が殺す気で来てないから。
それが隙だ!絶対に逃げ切る。身体を癒すのは……オールフォーワンを倒してからでも出来る!!
「その師匠と……皆はあなたにとって守られるだけの存在ですか?」
皆に迷惑は……!かけられない!!
被害があってからじゃ遅いんだッ!!!
「トランスミッション!!」
体勢を低く構える。
ガシャコ……
1速。
2代目の個性。変速。物体の速度を段階的に変える個性。対象は……己の体ッ!!
これで……勝つ!!
2代目!お借りします!!
『待て!緑谷出久!!』
まずはステイン。
「ぐあっ!?」
「2速(セカンド)!」
拳が顔面を捉える。吹き飛ばされた。
「血染くん!?」
「3速(サード)!!」
師匠に一撃。防がれた!?でも吹き飛ばした。
追撃。逃がしはしない!
「4速(トップ)!!」
上に飛んで躱された!?まだ僕が個性を扱いきれてないのか!!師匠が早い。でも追えない速度じゃない!!!
飛び上がる。上で迎え撃つ師匠。
師匠の右腕が膨れ上がる。雨と血を溜め込んで歪な色になっている。
「5速!オーバードライブ!!!」
「緑谷出久ッ!来なさいッ!!!」
負けないッ!!!
「デラウェア……」
「あなたをッ!!」
「スマッシュ!!!」
拳を撃ち抜く。師匠のエスコルチアが砕け、吹き飛ばされる。
「…………1人に…………しな……ぃ」
え……?1人……?何を……
師匠の言葉が頭の中を反芻する。
『まだ私の元から出ていくことを許しません。あなたの力は……容易に人を傷付ける力です。あなたはまだ……本当に守るために戦えてません。』
『だからこそ。あなたも救う。今のあなたは破滅の道を歩んでいる。バカ弟子を……救うのも師匠の仕事だから。……道を正すのが……先生の仕事だから。』
『彼はオールマイトじゃない。オールマイトになんて……絶対にさせない。』
『その師匠と……皆はあなたにとって守られるだけの存在ですか?』
『あなたは……1人なんかじゃ!』
頭は理解を拒んだ。
でもきっと心は理解している。
口に出したら……そっちに引っ張られてしまうくらいには。
師匠が後ろのビルに叩きつけられる。
師匠が地面に落ちる。
僕は…………何のために……力を…………。
ズチャ……ズチャ……
見つけた。
血でめちゃくちゃの師匠。……僕が……使ってはいけない力の使い方をした結果。
何度も頭に叩き込んできた筈だった。個性は人を殺めれる力。正しい力の使い方を……と。
僕は…………弟子失格だ。
「……緑谷……出……久」
「…………師匠。」
息はあった。……病院に……。
「…………なに……よ…………」
なんで……勝ち誇ったような……顔が……
「……僕は…………」
「…ふっ……………賭けは…………私の…………勝ち……ね……」
「!」
なんの……!?
BOM!
「お前ら。見つけたぞ。」
「……かっちゃん……!!」
上からの声。さらに会いたくない人に……人達に……会ってしまった。