私のヒーロー   作:おいーも

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side緑谷出久

 

 

 

「ハッ!」

 

 

 

ベットから起き上がる。

 

「…………夢か。」

 

 

 

嫌な夢だった。僕が道を見失っていた時の夢。あのまま行ったら……行けてしまったら……僕はどうなっていたんだろう。

 

結果的に師匠とA組のみんなのおかげで今があるけど…………あのまま大人のヒーローと一緒に戦っていたら……戦っていたのなら……僕はオールフォーワンに勝てただろうか。

 

 

 

『このバカ弟子が。人様に心配させて。……己の身を犠牲にするのはいいですけど……他人に心配かけてまでするものじゃないです。自己犠牲は……言い換えたら他人の心配を無下にする行為。心に秘めなさい。あなたはオールマイト程孤高じゃない。孤独じゃない。たくさんの仲間がいます。心強い仲間が。』

 

 

 

師匠の言葉が胸に刺さる。

 

オールマイトにさせない。やっと意味がわかった。オールマイトは孤高。だからこそ……頼れる人が居なかったのも事実。オールマイトを目指すあまり周りを蔑ろにしてた。守るものだと決めつけていた。

 

 

『話もしねーでトンズラか!何でもかんでもやりゃできるよーになると周りがモブに見えちまうなぁ!?』

 

『大切な雄英を守りてぇってんなら離れず側にいるって選択肢もあるだろ!俺たちも一緒に戦わせろ!』

 

『どこへでも駆けつけ迷子の手を引くのがインゲニウムだ!!余計なお世話ってのは……ヒーローの本質なんだろ!!』

 

 

きっと皆は気付いてたんだ。オールマイトの欠点に。周りに頼れない強さに。

 

「……いつの間にか妄信的だったんだな。」

 

 

これからは……きっと間違えない。

 

選択も。力の使い方も。

 

僕は……強さじゃない。助ける力が欲しい。助け合える力が。

 

人も。敵も。みんなを助けれる本当のヒーローの力が。

 

 

 

 

 

…………ワンフォーオールが無くなったとしても……僕だけの力を。

 

 

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

今日も皆が帰ってきてから色々相談を受けていた。

 

 

車椅子生活の上あまりヒーロー活動が出来ない私は、ほかのヒーローは警備や作戦会議で出回ってるため、生徒の相談を聞いている。

 

ご飯を食べたりお風呂に入ったりゲームしたり話したり。基本的に自由時間。被身子ちゃんの料理は作ってあげたいけど、車椅子じゃねぇ……。残念。

 

 

「傷原先生ぇ〜相談乗って欲しくて〜。」

 

「どうしたの?」

 

「アシッドマンがね〜……」

 

「なるほどねぇ?だったら纏う量をもう少し……」

 

 

「…………。」

 

 

 

「先生。少々知恵をお借りしてもよろしいでしょうか?」

 

「いいよ〜。何かあったの?」

 

「ありがとうございます。実は……」

 

「ふむふむ。じゃあコスチュームを……」

 

 

「……む。」

 

 

「師匠!ワンフォーオールの件で相談したいことが……。」

 

「わかった。聞こうか。」

 

「同時発動はある程度慣れたんですけど……」

 

「そうだねぇ……そればっかりは発想力と基礎力だから……」

 

 

 

「むむ……。」

 

 

 

「流水お姉さん!」

 

「はいはい!何かあった?」

 

「手がみかいたの!よんでほしい!」

 

「いいよ。どれどれ……?」

 

 

 

「むむむ……。」

 

 

 

「ハラセン!ちょっと聞きてぇことが……」

 

「どうしt……」

 

「流水さん!!!」

 

「うぇっ!?どしたの!?」

 

 

爆豪くんに話しかけられたと思ったら後ろから被身子ちゃんに抱きしめられる。

 

「私は今ご機嫌斜めなのです!」

 

「テメェ!後にしやがれ!!」

 

「やーです!今日は流水さん貸出スペースは閉店です!!」

 

なんなのそれ?

 

「ンだよそれ!さっきまで色んなやつが話してたじゃねぇか!」

 

「それはそれ!これはこれなのです!!」

 

 

もう少し車椅子なので身動きが取れないが、被身子ちゃんに抱きしめられてるので悪い気はしない。むしろいい気分。

 

「……爆豪くん。明日にできない?」

 

「あぁ!?……チッ。わぁったよ。」

 

「ごめんね。」

 

「フン。」

 

 

 

「終わったか爆豪!ゲームしようぜゲーム!」

 

切島くんからお声が掛かる。

 

「爆豪!勝負しようぜ!総当り!結構緑谷つえぇぞ!」

 

「やった!ここだ!!」

 

「うわっ!?負けた!緑谷つえぇ!!」

 

「…………行ってあげたら?」

 

「……るせぇ。」

 

「やろうよ!かっちゃん!」

 

「あぁん!?また俺が圧勝して終わるわ!ボケがッ!」

 

爆豪くんは切島くん達に合流した。

 

 

 

「もう……素直じゃないなぁ……。」

 

「流ー水ーさーんー?」

 

 

被身子ちゃんに少し強く抱きしめられる。もう……私の事大好きだねぇ?

 

「被身子ちゃん。……帰ろっか?」

 

「……はい。」

 

 

皆に挨拶をしてから寮を出る。

 

もう夜もだいぶ更けた。……時期が時期もあるけど夜の帳が早いね。それはそれで風情があって好きだけどさ。

 

 

「…………。」

 

さっきから被身子ちゃんが無言だ。……さっきのことかな?

 

「被身子ちゃん。無理しなくていいんだよ?」

 

「…………ありがとうございます。流水さん。……私……さっきは嫌な女でした。」

 

「そうかな?」

 

 

「流水さんの気持ちも……身体も全部私のものになってるのはわかるのに……皆と話してると凄くモヤモヤします。……嫉妬……なんでしょうけど。凄く嫌な気持ちです。……みんなの事も大好きなのに。」

 

「そうかな?私は嬉しいけどね。好きな人からいーーーーっぱい想って貰えるんだから。私は幸せ者だね。」

 

「……流水さん。」

 

 

「嫌な事しちゃったって思ったなら明日謝ろうね。私も着いて行ってあげるから。」

 

「……はい!」

 

「ふふっ。いい子。」

 

 

 

綺麗な月。曇り続きの天気だったからこういうのは新鮮だ。

 

「……被身子ちゃん。月が綺麗だね。」

 

「流水さん?それって別の意味があるの知ってます?」

 

「どうだと思う?」

 

 

私は被身子ちゃんに振り向く。

 

「……もう。……死んでもいいわ。でしたっけ?」

 

「正解。被身子ちゃん。愛してる。」

 

「流水さん。愛してます。」

 

 

どちらからともなく唇を合わせる。

 

消えない絆。揺るがない想いを胸に秘めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「緑谷くん!そっちは大丈夫?」

 

「はい!師匠!拘束完了しました!!」

 

 

だいぶ動きがいいね。これだけでもダツゴクと死闘を繰り広げたんだろうという想像がつく。個性の同時発動と、取捨選択。早くて正確。彼の元々の思考や研究もあるだろうけどね。

 

 

「オイハラセン!出久!こっちに人間はいなかったぞァ!」

 

「傷原先生。こっちに難民は居ませんでした。」

 

「皆さん怪我してないですか?ウイルスとかもあるので怪我してたら言ってください。」

 

怪我が完治して数日。

 

 

根津校長とエンデヴァーに許可をとって生徒4人連れて少し遠くまで来た。

 

ダツゴクも居たが、難なく拘束。爆豪くんと轟くんもいい仕事してくれてる。被身子ちゃんが3人のストッパーになってくれてるのもありがたい。

 

 

「……チッ。病み上がりで動けねぇかと思ったら全然ンなことねぇじゃねぇか。」

 

「生半可な鍛え方してないよ。残念だったね。とっとと次のポイント行くよ。今日中に回るんだから。」

 

「「「はい!」」」「わかってる!」

 

私が休んでた分。緑谷くんに時間使った分。取り返すどころか……取り返してプラスにすくらいには仕事してる。安全圏を増やす……と言うよりも敵を探す。人を見つけるの方に重き置いてる。

 

Cafe wide varietyのマスターや、従業員さん達。白体教のみんなは無事なのか……連絡が一切取れないからすごく不安。気月さんは時々連絡してるから大丈夫そうだけど。

 

不安をかき消すように仕事をする。今はみんなを導く立場。……捜索に行こうにも何も出来ない。

 

 

「フゥーッ……。」

 

「大丈夫ですか?流水さん。」

 

「師匠……やっぱり病み上がりで……。」

 

「大丈夫。心配事があるだけだから。」

 

「あぁん?だったらそっち行けよ。」

 

「爆豪くん。大人は普通は綺麗事だけじゃ動けないのよ。頼まれてることがあるならそっち優先ね。」

 

「……そうかよ。」

 

頑張ろ。運良く見つけれたらラッキー位で。…………心配だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ流水ちゃん!」

 

 

帰り道、声をかけられる。

 

「……え?優ちゃん!」

 

「えっマウントレディ!」

 

「…………優ちゃん?」

 

「元気になったんだ!心配したんだよ?めっちゃ骨折してたって……。」

 

マウントレディ……優ちゃんだ。ギガントマキア戦から復帰したって聞いたけど……もう頑張ってるんだね。本当に偉いよ!

 

「大丈夫。大丈夫。めっちゃ元気になったから!」

 

「ゾンビみたいじゃん!」

 

マウントレディのコスチューム……汚れがいっぱい。本当に頑張ってるんだね。

 

「雄英の卵ちゃんも連れてるんだ。引率の先生だね?」

 

「先生だしね?」

 

「あははっそうだね!」

 

 

 

「流水さん?マウントレディと仲良しですね?」

 

おっ……被身子ちゃんの嫉妬……背筋ゾクゾクする。言ったら変態さんって言われちゃうから言わないけど。

 

「そうだよ!ギガントマキアと戦った時に仲良くなってね。優ちゃん!紹介するね。私の彼女!」

 

「え!!彼女!?」

 

「はい。流水さんの彼女です。」

 

「えぇ〜……雄英に来た時は優等生っぽいなって思ったけど……先生と付き合っちゃってるんだ?」

 

あー……そういえば雄英に特別講師として来たんでしたっけ?その時は事情が重なって会わなかったので……。

 

「はい。私のです。」

 

腕を抱かれる。独占欲……へへ……嬉しい。

 

「ヒューッアツいね!じゃあ流水ちゃんの事も守ってあげないとね?」

 

「……はい!」

 

 

 

そのまま優ちゃんと次は一緒にお仕事する約束して別れた。

 

「流水さん。」

 

「なぁに?」

 

「私マウントレディと仲良くなれるかもしれません。」

 

……チョロくない??

 

 

 

 

 

 

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