side傷原流水
ガシャン……
「……なぁに?それ。」
「だーれにも見せたことない武器です…………厳密に言うと違いますけど。この武器見た人だいたい死んでますからね。」
私が振り回せる最重量。右手で持ち上げ、肩に担ぐ。まるでハンマーのようなその見た目。
長い柄の先、本来であればハンマーで言うところの頭が着いている場所。ソレは一言で表すと歪だった。
まるでリボルバーのシリンダーと撃鉄だけ切り取った歪なソレは……大きく、それでいて装填数は3発。何かを込める穴がある。
「……夾竹桃(キョウチクトウ)。久しぶりに抜きました。……かれこれ4年ぶりくらいですね。」
「…………用心。油断大敵……そして危険な愛。」
「花言葉なんてどうでもいいんですよ。……とっとと始めましょ。」
撃鉄を引く。
ギギ…………ガコン……
……少し硬いですね。まぁ……使えないほどじゃないですか。
「…………。」
傷原操水は少し警戒してるみたいだ。何してくるかわかんないものですからね……私の情報調べていたとしても……コイツまでたどり着くことはほぼ不可能だったでしょうから。
「じゃあ……行きましょうか。」
左手で血の玉を3つ作り、シリンダーに込める。
「……アナーヒター!!」
傷原操水は水を操作、何人もの人型の水を作り出す。
「行きなさいッ!!」
全員こちらに来る。
……ちょうど良いです。久しぶりなので試運転と行きましょう。
大きく振りかぶる。
「レッド・オリアンダー!!」
衝撃と同時に手元のレバーを引く。
DOGAAAAANNN!!
水人形は跡形もなく消し飛ぶ。
……ガコン
「さて。……次は貴方ですね?」
新しく血の玉を込める。
レッド・オリアンダー……夾竹桃に血の玉を込めて、レバーを引くと撃鉄が作動。中の血の玉を勢いよく後ろに破裂させ、柄の中に充満している汚水を伝い血を後ろに噴射。そのエネルギーとハンマーの質量で対象を跡形もなく消し飛ばす技。
周りの被害を度外視して対象を消すためだけの技。こちらへの衝撃も大きいから、エスコルチアでカバーしている。
「…………化け物め。ポセイドン!!」
「どちらがッ!!」
傷原操水は水の槍を作り出す。
「アナーヒター!!」
水人形がまた多数。……私と同じで操る分にはデメリットがほぼ無し……ですか。……少し厄介ですね。持久戦はほぼ無理ですね。
地面に叩きつける。
「レッド・オリアンダーッ!!!」
地面が割れる。轟音と共に砂煙が巻き上がる。
砂煙の中から何人もの水人形が飛び出てくる。
……突撃するタイミングを切り替えましたか。連発は難しく見えますよね?撃鉄引かないといけないですから。
「……そんなの対策済みなんですよ。」
夾竹桃を振り上げる。血を這わせて撃鉄を引く。
ガコンッ
「はぁ!?」
「レッド・オリアンダー!!」
DOGAAAAAAANN!!
「ぐっ!?…………直撃してないのにッ!!!」
ガコン……
「……だいぶ滑らかになってきましたね。僥倖僥倖。」
衝撃だけで吹き飛ばされた傷原操水を見下しながら2発玉を込める。
「……アナーヒター。……攻め方を変えないといけないわね?」
また水人形……さっきより多いですね。頭数増やされると相当厄介なんですけど。
「トラロック!!」
私の周りに水玉が浮く。その水玉から水が発射される。
上に飛んで躱す。
その水噴射で地面にいくつも穴を開ける。
「まるでウォーターカッターですね。」
水人形も私に追いすがる。
「面倒臭いですね!」
地面に血を伸ばし、速度をつけて着地。こいつらは最低限しか相手しない。時間の無駄だ。
「!……トラロック!」
今度は目の前。水のガトリングガン。1発1発がさっきと同じと考えると……本気で殺しに来てますね。
ただ直線攻撃は躱しやすいです。横に逸れる。
逸れたところに無数の水人形。
「個性の同時発動と同時操作。……脳みそも弄られてそうですねッ!レッド・オリアンダーッ!!!」
水人形をまた消し飛ばす。……あと2発ッ!
……ガコン
「全部消費させるのよッ!アナーヒターッ!!」
足少しでも止めたら無限に出てきますね。撃ち方変えましょうか。
血をまっすぐ伸ばす。狙いは傷原操水の足元。
「レッド・オリアンダーッ!!」
撃ち込んだ衝撃に乗って、血を引っ張る。
水人形を処理しながら高速で傷原操水の目の前に着地。
「くそっ!!」
水の槍で攻撃される……が……
「甘いッ!」
ガキンッ!
夾竹桃で弾く。……この人も水の硬度も操作できそうですね。
「どちらがッ!!」
傷原操水の真後ろに水玉!
「トラロック!!!」
すんでのところで躱す。頬が切られた!関係ないね!
ガコンッ!
「レッド・オリアンダーッ!!!」
ボディ目掛けて撃ち抜く。
DOGAAAAAANN!!
力任せに振り抜き、吹き飛ばす。
後ろのビルに激突。ビルごと崩れ去る。
少し距離を詰める。
「…………。」
血の玉を3発込める。
ガコン
撃鉄も引く。
…………確実にボディに入ったのに……手応えが甘かった。水のクッションでも入れられたか。身体強化もあると思うが…………だとしても半身消し飛んでないとおかしいダメージのはず……。
生きているとしたら……
ガラ……
脳無のような改造をされているか……といったところですかね。
瓦礫が持ち上げられる。
「……。」
「あァ〜……痛いじゃナい。本当に。」
半身は消し飛んでいる。……消し飛んでいるのだが……超スピードで再生している。
「もう……こノ服……先生ニ買ってもラッたものなのニ。……ボロボロね。」
「……予想は……外れて欲しかったものですけど。」
「うふ。……予想?私がマトもな人間だと思ッた?」
再生しきる。早い。USJの黒い脳無と遜色がない。
「死んでるはずの人間に生命を与えるなど……ありえないと思っていましたが…………身体に無理やり回復系の個性を入れて半分脳無のような形にするとは……。」
「あら?これでも当初はまだまだ改造部位は少なかったのよ?……最近ね。頼んで色々個性入れてもらったの♪」
「…………そりゃ大層な準備ですこと。それほど敵連合が大事?」
「いいえ?私にとって正直敵連合なんてどうでもいいの。敵連合の子達はいい子ばかりよ?私はみんなのこと大好き。敵連合の子達のために戦ってると言ってもいいわ!みんな事情があって世間様に日陰者にされた可哀想な子達。可哀想よね?世間が間違ってるわよね?……敵を救ってるあなたなら分かるでしょう?この気持ち。」
……はぁ。解像度が薄いですね。
「いいえ?」
「…………は?」
「いい子なのと、どんな行動をしているかは別です。罪は罪。どれだけ快活でどれだけ優しくてどれだけ皆から慕われていようとも……犯した罪は罪です。それをごっちゃにしちゃいけませんよ。例えば死柄木弔がすごくいい子だとしても……オールフォーワンが洗脳教育を施していたとしても…………罪は消えません。可愛そうではありますが、間違ってるのはあなた達です。」
おや?…………死柄木弔に反応した?
「…………なによ。」
「……え?」
「なによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによなによッ!!!!弔ちゃんのこと何も分からない癖にッ!!荼毘ちゃんの事もッ!秀一ちゃんの事もッ!睦月ちゃんの事もッ!何一つ知らないくせして偉そうに!!」
発狂。精神状態大丈夫ですか?個性いくつもぶち込まれたせいで色々不安定になってないです?
「興味無いです。私じゃ救えません。」
「キイイイイイッ!!!私の娘だから殺す時は一瞬で殺してあげようと思ったけどッ!やめたッ!!全力で嬲り殺してあげる!苦痛という苦痛を味合わせてから殺すッ!!もう絶対許さないッ!!」
「とっととやってみな。アバズレ女。」
「殺すッ!」
本腰入れろ。
……これからが本当の勝負ですね。