side傷原流水
「…………神野以来ですね。オールフォーワン。あの時はオールマイトへの時間稼ぎでしたが……今回は違います。」
「…………虫が増えたな。」
空かさずビーム。邪魔ですか?
体勢を下げながら距離を摘める。ビームが頬を掠める。
「フッ!!」
「!」
躱されるが動きとしては充分。
「オールマイト!動きなさい!!」
「その声……傷原くん…………わかった!!任せろ!!」
オールマイトが飛び立つ。一旦上で二人でドンパチしててください。
血染くんを見下ろす。
……瀕死の重症。直ぐにでも手を加えないと死んでしまう。
躊躇いなどない。傷口を塞ぐ。
「……な……ん……で…………助け……た。」
「……被身子ちゃんがあなたを越せてないから。」
「……!」
目が見開く。そりゃそうでしょ。
「あなたを越すと……あなたに成長したところを見せると……彼女の目標をあなたのエゴで奪わないで。」
「あいつが…………。俺は………………つくづく…………変わったな。」
「いいことじゃないの?興味無いけど。……はい。塞いだわよ。無理に動かなかったら4割くらいで生き残るんじゃない?」
「……はは…………では……もがくとしよう。弟子に……命を奪われるまでは……死ね……んくなっ…………た。」
気絶。そりゃそうだ。ダメージが大きすぎる。
……助けました……が。病院まで運ぶ義理はありません。これからどうなるかはあなた次第です。
ガオン!
ビルが!……さっきのビーム!?出力が違う。
「……オールマイト。」
オールマイト元へ向かう。絶対に殺す訳にはいかない。
あるビルの上。私はオールマイトとオールフォーワンを見上げる。
「……オールマイト!!何をッ!」
さっきまでの黒い鎧はどこへやら。オールマイトを担ぎ上げているオールフォーワン。
「もっかい死ねば!幼稚園児くらいにはなるかぁ!?」
オールマイトの腕が光る。自爆!?
……自爆!?
「馬鹿なことはッ!!」
飛び上がる。オールマイトが回収できなくてもッ!オールフォーワンをぶん殴ることはできる!!
「させないんですよッオオッ!!」
回し蹴り。空を切る。
「ぐっ!?この!?」
オールフォーワンが仰け反る。その隙にオールマイトを回収。
不格好だが着地。何とか助ける。
オールマイト……足が動いて……
「貴様ッ!!……何!?」
ミサイル。
アメリカの人達が駆けつける。本当にありがたい。
「げほっ……がはっ……傷……原くん……何をっ……!」
オールマイトからの問い。何を……
「馬鹿言ってんじゃないですよ!!無個性で立ち向かって!!何しようとしてたんですか!!」
「エルクレスは……A組みんな……の個性の力を……借り……て戦える強化スーツ……だ。……通じなくとも……私の命……ひとつで……オールフォーワンを……もう一度削れるなら……。」
「っ!!だったら尚更ッ!あなたは教師失格です!!オールマイト!!!」
オールマイトの肩を強く握る。
「な……なぜだ……!私は……ヒーローとして……!」
「あなたは!!爆豪勝己に謝ったんじゃないんですか!!その自爆は……誰の個性を元に設計したんですか!!腕のっ!!爆発は!!!」
「!!」
あの自爆が……爆豪勝己の個性を元にしたなら私は絶対にあなたを許しません。生徒の個性で死ぬなど!生徒の手で!平和の象徴を殺すなど!!
「……あなたは……やってはならない事をしようとしたんですよ。オールマイト。」
オールフォーワンがアメリカの援護を全て捌いてこちらに飛んでくる。
「…………。」
「だからっ!!」
オールマイトを横に投げて、夾竹桃(キョウチクトウ)を構える。使えてあと数発……だいぶガタが来てますね。
ギギギ……ガコン…………
「オールマイトを返せぇええっ!!!」
「あなたは爆豪勝己に謝るまで死ぬのを許しません!!やろうとしたこと反省して詫び入れろやこのアメコミ面自己犠牲ジジイイイイィィィ!!!」
「……え!?」
「レッド・オリアンダーッッッ!!!」
DOGAAAAAAAAN!!
夾竹桃が砕けた……やっぱり……コレの強度に耐えれる武器じゃない。
「ごはっ……!!?」
「畳み掛けます!!」
『任せろミス・ロータス!』
アメリカさんの援護。いける!
間髪入れずにミサイル。オールフォーワンが難なく躱す。……が!!
「ナイスパァアアス!!」
私は血を伸ばしてミサイルを受け止める。
ミチミチミチミチ…………
なんて質量!!これぶち当てたらさぞ楽しいでしょうねぇ!!
「躱しきれて……ねぇんですよォ!!」
大きく振り回し、遠心力込で投げ返す。
DOGAAAAN!
バリア!防がれましたか。
「消えろッ!俺の邪魔を……するなぁ!!!」
ビーム!あれ食らうのがいちばんマズイ。横に逸れる。
アメリカさんたちも躱してる。さすがだぁ。
「……攻めあぐねますね。本当に。私本来なら表に出て戦う人じゃないんですけ……ど…………!」
何か……聞こえる……
これは…………
BOBOBOBOBO……!!
「ハウザーーーッ!!インパクトォオオオオ!!!!」
BOOOOOOOOOOOM!!!
「ぐおおおあああああ!?!?」
「大・爆・殺・神・ダイナマイト!」
そのまま勢いが殺しきれてないのか、こちらに吹っ飛んでくる。
それを私が受け止める。
「よいしょっ!!」
「ごはっ!!」
吐血!?まだ怪我が!!
「爆豪勝己!!」
「あー…………ハラセン。やっと……間に合った!」
すると爆豪くんの首元から糸が……にょろっと……え?……これって……
「器官に溜まってた血を吐かせた。これでだいぶ楽になるだろう。」
「……エッジショット!?」
めっちゃ細いけどエッジショットだ!生きてたんですね?
「ブラッドロータス!君のお陰で回復が捗った!大・爆・殺・神・ダイナマイトは怪我を見なければピンピンしている!」
良かったです!
「うるせぇ!なんだあれ!オールフォーワンが居るって聞いたから来て見りゃ……なんだあのガキ!ぶっ殺す!!」
元気そうですね!何よりです。……であれば。
「……爆豪勝己。」
「……あん?」
「私はオールマイトとエッジショットを連れて安全な場所に行きます。」
二手に別れましょう。
「……そうかよ。」
少し悲しそうな顔。大丈夫ですよ。
「大丈夫です。あなたの動きも。個性も。活躍だって……ずっと見てますよ。」
「…………だったらいい。」
オールマイトを抱き抱える。……すると
「爆豪少年。……こちらに来て欲しい。」
「……。」
爆豪くんが近寄る。
「手を。」
爆豪くんは何も言わずに左手を差し出す。オールマイトはその手に自らの手を重ねる。
「……もう……機能はほぼ残ってない上に……左腕しか残ってない。……が……君の助けにはなるだろう。」
エルクレスがオールマイトから爆豪勝己に……
「……………ありがとう……オールマイト。」
爆豪くんの少年のような笑顔。……そりゃトップヒーローから貰えるものはなんだって嬉しいですよ。
「…………私は……また過ちを犯そうとした。…………だから……必ず生きて……君を見続ける。頼んだ。大・爆・殺・神・ダイナマイト。」
「……!」
……それがあなたの覚悟なんですね。オールマイト。
「エッジショット。」
「ああ。行こう。連れて行ってくれ。」
「先輩。ありがとう。」
「自らが望んだことだ。後悔はない。」
エッジショットも大人ですね。
……なんか私だけ……しょうがないな。
「……爆豪勝己。」
「……んだよ。まだなんかあんのか。」
「オールマイトだけでは不公平ですからね。」
爆豪勝己の背中に触れる。エスコルチア。爆豪勝己の動きを阻害せず……体温を維持するために。
「……こいつは……。」
「私が戦うために残してた血の全部です。……言いたいことは分かりますね?」
「!…………ありがとう。ハラセン。」
「行ってきなさい。制限時間は30分。あなたも主人公よ。」
「……任せろ!」
爆豪くんが飛び立つ。
あなたなら絶対に勝てる。
「オールマイト。病院に行きますよ。」
「……ああ。」
彼に託す。
大・爆・殺・神・ダイナマイト。生きて帰りなさい。