side傷原流水
あれから1週間。
各国からの支援も相まって急ピッチで復興が勧められている。
私も……復興……って言うのかなぁ?今は手術と手当で手一杯だけど……早く元に戻るといいね。
病棟を歩いていると、爆豪くん一家と出会う。
「傷原先生。」
「ハラセン。」
「やっほ。」
およ?先生とお話中でしたか。
「傷原先生。ちょうど良かったです。爆豪勝己君ですが……多分元には戻らないですね。」
「……!」
「そう……ですか。」
まぁ……そう思ってましたけど……ふぅん。聞くと結構心に来ますね。
「手術前にもお伝えしましたが、これが最善です。我々も彼の活躍を見ております故……手は尽くしました。なんとか接合を重ねて形は留めましたがリハビリで動くようになるかは……明言できません。ヒーロー活動を見据えるなら、ミルコのように義肢の選択も……」
「いーや、良いよ。俺の個性、掌由来だもん。それにあいつは持ってすらなかったんだ。どんなキツイリハビリだろーがやってやんぜ今すぐ……」
「まだ負担の軽い訓練しかダメ。」
「っつーか訓練禁止です。今は休みなさい。」
「は!」
当たり前でしょ。なんですかその顔。
「腕よりねまず心臓よ君は。エッジショットと傷原先生の見事な縫合と心肺蘇生がなきゃ君死んでたんだから。あの状態で戦い切ったのもちょっとよくわかないね。生かされ……応えたという他ない。とにかく絶対安静だからね。」
「まぁ暇があれば私が見てますよ。暇があれば。」
「お願いします。心強いです。」
私の心臓?知らない。とっとと塞がった。っていうか何も出来ないからリカバリーガールに言って塞いでもらった。だからピンピンしてる訳だしね。おかげでほぼ病院生活ですよ。
「ハラセン!俺は……」
「絶対安静。これ以上のダメージが少しでも入ると心臓ぶっ壊れるよ。……また模擬戦してあげるから。」
「……うす。」
「!!……うちの子がこんな素直に……」
爆豪パパさん?
緑谷くんたちの様子も見ときましょうか。
「腕の……けても転弧……期まで……。」
「臨死……と、最期に……うよ。」
おや。どっちも起きてるみたいですね。
ノックをして入る。
「なんですか。2人とも生きてたんですね。」
「傷原くん。その言い方はなんだい??」
「師匠!」
2人とも元気そうですね。
「御2人とも絶対安静ですよ。動きたくなったらナースコールでお願いしますね。」
「「はい。」」
「……さっきの話の続きだが、そこに泣いてる少年がいなかったのならやっぱり心は救ったのだと思うよ、OFAの使命と共にね。譲渡したんだろう?伝わってきたよ。」
譲渡……?何を?誰に?
「……はい、けれどまだ残り火が燻っているのを感じます。」
残り火……ワンフォーオールのこと!?
「ちょっとそr……」
ガラッ!
え!?爆豪くん!?なんで立って……!?
「なんで動けるのあんたはああ!」
なんで動かしてるんですかお母さん!?
「かっちゃん!無事でよかった!」
「残り火って……え……じゃあそれ……おまえ……無個性に……。」
「うん、でも元々なかったものだし惜しいとかはないよ。すごい夢を見させてもらったなって感じ。」
……緑谷くん。……ハァ。あなたって人は…………あなた達って人は。
頭を搔く。……自己犠牲は尊いですね!本当に!
「マジで……おまえに……何しとったんだろうな俺……なんとなくずってこのまま競い合って追っかけていくって……なんか思ってた。」
爆豪くんの目からボロボロと涙がこぼれる。
そりゃそうだよね。全部終わったから……あとは切磋琢磨出来るって思うよね。
「やめてよ、らしくない。とりあえずまだ残り火あるし、身体弱ってるからメンタルも弱ってんだよ。」
「強くなったんだよ、2人とも。初めて会った日から随分変わった。あの日、駆け出した緑谷少年は私にとって最高のヒーローだった。だが今は皆を奮い立たせる、皆にとっても最高のヒーローだ。そして、これを伝える暇を私にくれた爆豪少年も……最高のヒーローだ。本当にありがとう。」
「私には何かないんですか?」
「君は素直に受け取らないだろう。」
病室に笑い声が響く。
は?くだらな。
抜糸ミスっても知りませんからね。
side渡我被身子
ドン♪ドン♪ドン♪
うるさ……これが……
ドンドンドン♪
ジャジャジャン♪
「……卒業式ですか?」
「らしいね。」
卒業生には既におなじみ、新2年生ドン引き、新3年生は受け入れ始めている。
6月、溜め置かれた先輩達の卒業式が開かれた。
「泣きイベントだろうが……!」
「まるで祭りだな 。」
各国への必要物資の要望、復旧計画、費用の算出と捻出、支援の配置と分配、病床の確保に医療に……超人社会といえどこれ程、迅速な復旧の裏には世界的偉人、根津校長による各国への働きかけがあったらしいです。
流水さんが慕ってるだけあって……校長先生凄いですね。
「素敵なリリックだったぜ。在校生代表、不和真綿にプチャヘンヅァッ!それでは次はアンサーだ!レペゼン卒業生ルミリオンa・k・a、通形ミリオォ!」
通形先輩が壇上に上がる。
「本日はお忙しい中私たちの為にご臨席いただき誠にありがとうございます。」
お……真面目モード。
「喪ったものは多く得たものは無い、ヒーローの戦いってのはいつも大体マイナスをゼロに戻す為のものです。普通科、サポート科、経営科それぞれがこの学舎で培った経験を駆使し、一丸となって戦いました。しかし未だゼロには戻っていません。私達の三年間はこの先の為にあります。ゴールは今日じゃない。ユーモアなき世に明るい未来はない。たくさんの人が笑って過ごせるプラスの世界、そこが私達のゴールテープです。私達は今日スタートするのです。在校生の皆さん、じゃあね!」
ドガァン!
後ろの壁がぶっ壊れて変な顔のロボットが出てくる。
「「「「…………!!」」」」
流水さんに聞いたらこれが恒例らしいです。……雄英怖い。
ところで新2-A教室。
「例年なら担任は持ち上がりじゃないんだが、まァ事情が事情だ。もう一年よろしく。」
「「「よかったああ!」」」
相澤先生持ち上がりで皆のバイブスが上がってるみたいです。私も嬉しいです。
「相澤先生がうれしいよお、相澤先生でよかったああ。」
「泣いちゃった。」
芦戸ちゃん……先生大好きだもんね。
「これで一段落か。」
「おまえ入院してなくていいの?」
いやまぁそうなんですよね。なんでいるんですか爆豪くん。流水さん頭抱えてましたよ?
「安静にしてりゃいいってよ。今日は全員そろってなきゃダメだろ。」
「まともなこと言いだしたぞ!」
「あぁ!?」
「安静に……」
「オイ、入れ。」
相澤先生が無理やり切り出す。キリないですからね。
「改めてお別れを!僕は雄英を出る☆」
そうなんです。今日は青山くんの正式なお別れの報告会。居なくちゃいけないのも分かりますけど……
「青山……やっぱ気持ちは変わんないの?」
「おまえのおかげでAFO達を分断できたのに……。」
「先生も塚内さんも残っていいと仰ってくれたよ。けれど、僕自身がケジメをつけたいんだ。AFOの思惑が絡んだ入学で今日のような卒業式を僕は迎えられない。罪を償ってもう一度……ヒーローの道を目指す☆平気さ!だって僕は君たちの手を取ったんだもの!」
緑谷くんにチーズを渡す青山くん。……ふたりらしいですね。
「うん!」
「またいつか……必ず……胸を張って皆と並び立つからね!!」
「青山……おめェ……まじでだれより漢だよ!」
「泣かないで皆!湿っぽくなるのは嫌さ!だからここでサプライズ!A組の新メンバーさ!」
心操君が入ってくる。やっぱりA組ですか。
「心操オオ!」
「A組に来たかあ!」
「編入だぁ。A組なんだあ!」
「すげぇー!仮免正式発行されたの!?」
「……。」
陽キャばっかりですからね。辛いでしょうね。顔面白。
「…………送別会とかの話題になってもよくない?」
「……確かに。」
なんかごめんなさい。青山くん。
「おい、連絡事項はまだあるんだが。」
するとひとつ上の先輩……3年のヒーロー科の人が入ってくる。
真綿先輩でしたっけ?
「ヒーロー科2・3年はこっから当分の間再建活動にあたります。私が代表で陣頭指揮ばとります。今行われとる復旧活動に加え、治安悪化防止の為に全国ば回ります。」
聞けば聞くほど……大変ですけど……やらねばならない事ですね。
「オールマイト引退後、そして言うまでんなく蛇腔戦後の教科書に載るごたる戦いの後に必ず教科書には載らん混乱があります。」
「象徴の不在。AFOもそういう混乱の中生まれたワケだしな。」
「これでオッケー?イレ先。」
「ああ。」
「「「「イレ先。」」」」
「私一応、元イレ先クラス。君らは除籍喰らってないっちゃろ?うらやましい。甘えとう私らに一回死を味わわせるってねぇ、怖かったー。」
入学初日の相澤先生みたいですね。
「おい不和もういいよ。行け。」
「やけどそのおかげで何のためにヒーローんなるかわかった。」
「…………どうも。」
真綿先輩がクラスを後にする。
信頼関係ですね。
……送別会はいつするんですかね?